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婚約破棄には婚約破棄返し!
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卒業前の今日のパーティは発表会の一端ではあるが、自由時間であり、この後発表会は終了するので打ち上げも兼ねている。その為全学園生と教員が出席する。
ホールは壁側には芸術部門の展示で絵画や彫刻などの作品が飾られていたり、ダンスホールでダンスができたり、テーブルと椅子が置かれている歓談があったり、各々が自由に過ごせるようになっている。
学園長から開始の挨拶が終わり、各自が好きなコーナーへと移動しようとしていたその時、ある男女が寄り添うようにして壇上に姿を現した。そして男性が声高に叫ぶ。
「アリシア・カナディナ。お前との婚約は破棄だ。」
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
壇上で叫んでる男性は私の婚約者だ。
私アリシアはカナディナ伯爵家の長子。2年制のこの学園の2年で今年卒業だ。
一方、婚約者はディフィーマ侯爵家の嫡子のアグリアーノ。2年で同じく卒業する。
卒業の1年後に結婚する。予定だ。
裕福なカナディナ伯爵家に財政的に傾きかけたディフィーマ侯爵家から婚約の申し込みがあった。融資目的な政略結婚が前提だ。
ディフィーマ侯爵家から婚約の打診が来る前は隣の領地のグルード子爵家のファインと同い年で幼い頃から仲も良かった。その頃はまだ弟も生まれておらずお互いが家を継ぐことから彼との婚姻は諦めていた。だが、弟が産まれたことにより婚約を意識し始めた頃に格上の侯爵家からの申し込みがあり、ディフィーマ侯爵家と婚約が整った。
婚約が決まってからはファインとも距離を取り必要以上に近づかないようにした。そしてアグリアーノ様を好きになる、好きになれなくても寄り添いあえる関係になろうと努力した。
婚約が決まってからカナディナ家からの融資で生活レベルが変わると周りの人々の反応も変わり、アグリアーノ様を貧乏だと侮り遠巻きにしていた人達が取り入ろうとしてチヤホヤと持ち上げてくるのだ。今までの反動だろうか、アグリアーノ様はそれを何も考えず喜んで受け入れていた。
それに対して私が口出しすると、「うるさい、伯爵令嬢如きが俺に口出しするな。」と怒鳴られてしまった。
「侯爵家として社交は伯爵家のお前では無理だ。俺が社交をする。これはただの遊びではない。」
社交だと言いきりお金を湯水のごとく使い好きに遊び回っていた。
そんな人を好きになれるはずもなく、寄り添いあうという理想も打ち砕かれた。
それからは交流も会話も必要最低しかなく婚約者だと思えないような仲だった。
そうしてこの婚約破棄宣言だ。
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
「婚約破棄ですか?理由をお聞かせいただいてもよろしいでしょうか?」
婚約破棄など私的な事に公の場で皆様の行動を止めてまでする事でないと婚約者に伝えて場所を移動しようとしたが、自分に非があるからだろう。大勢の前でお前の非を明らかにしてやるから謝罪しろ。と騒ぎ立てるので、学園長がこの場で事を明らかにすることを許可した。
アグリアーノ様は悔しがったり泣き喚いたりを想像していたのだろう。冷静な私に腹立たしそうだ。
「先ほどのやり取りでわかるようにお前は感情がない冷たい女だ。婚約者に捨てられそうになっているにも関わらず涙の一つも見せない可愛げがない女だから愛される要素がない。
それに人の顔を見ると口うるさく文句ばかり言う。
1番は俺の愛するベッキーに嫉妬して虐めをしているらしいな。
愛想もない性格も悪いなんて侯爵家の俺の婚約者に相応しくない。だから婚約破棄だ。そして俺はこの愛らしくて優しく身分も釣り合うベッキー・ハルテンス侯爵令嬢と婚約する。」
ベッキーはアグリアーノに抱きつき頬を染め見上げて「嬉しい。アグ、愛してるわ」と言い、その姿に満更でもないアグリアーノは「俺も愛してるよ」と抱きしめ返しておでこに口づけた。
婚約破棄宣言しただけでまだ、正式に婚約破棄が成立していないのにこんな大勢の前で公開浮気ですか?あり得ない。こんな人が婚約者だなんて恥ずかしい。
周りは2人に対して侮蔑の視線を向けているが2人の世界に入ってる2人はわかっていない。
「端的に申し上げます。
婚約の破棄には合意しますが、婚約破棄はこちらからさせていただきます。勿論慰謝料も請求します。」
「なっ!やはり金に汚い。可愛げのない奴め。」
「お黙りください。」
まだぶつぶつと俺は侯爵家なんだぞ。と反論しようとする婚約者を黙らせて続きを口にする。
「理由は貴方が申告されたようにそちらの女性との浮気です。
それと、貴方のことを好きではありませんので嫉妬するなんてありえません。」
「ふふん、自分が愛されなかったから、強がりか?」
女性は全て自分を好きになると思っているのだろう。人目を引く整った外見と高い身分だから仕方がないのかもしれないが、成人を迎えるこの年になったのだからそろそろ周りが見えていてもおかしくないのに、やはりいまだに甘やかされているようだ。
「貴方の思い込みはどうでも良いです。
私はこの婚約は最初から反対でした。勿論、家族もです。
しかも我が家からの融資ありきの政略結婚です。我が家に利はありません。お断りしようとしたのですが、侯爵家から圧力をかけられて逆らうことができませんでした。
それならばと、契約書を作成いたしました。覚えていらっしゃいますか?
婚姻までに私と貴方、もしくは各々の家が不利になるような言動、行動を取った場合は婚約を破棄し加害側が慰謝料を払う。それが侯爵家ならそれまで援助していた融資額を全額返還する。我が家ならばそれまでの融資金の返還を求めない。
お互いの当主と当事者の私と貴方もサインしておりますよ。お忘れですか?」
「お、覚えているに決まっているだろう。
それならそちらが慰謝料を払う立場だろう。虐めなんて悪質なことをしていたのだから。
そうだ。虐められていたベッキーにも慰謝料を払ってもらうからな。」
契約書の事をすっかり忘れていた婚約者は青い顔をしながら話し始めたが、何を勘違いしたのか勢いづいて浮気相手に慰謝料を払えと言い出す。
「ハルテンス嬢、貴女とは初めてお目にかかります。それなのに私から虐めを受けていたとはおかしな話ですね。どのような虐めを受けておられたのですか?貴女を虐めていたのは本当に私ですか?どなたかと間違われておりませんか?」
カッとなったアドリアーノが「お前に決まっている。」と言い、ベッキーは頬を赤らめて潤んだ瞳でうっとりとアドリアーノを見上げる。
話が進まないので「本人にお聞きしているのです。」と。先を進めるとようやく彼女が口を開いた。
「虐めは周りから悪口を言われたり、お茶会に呼んでも来てもくださらないし、お茶会に行きたいと言っても呼んでくれる事もなく仲間はずれにされてました。それをいつもアドが助けてくれてました。」
「では、虐めの相手を貴女もアドリアーノ様もご覧になっているのですね。その方はどなたですか?」
言い出しにくいのかモジモジするばかりで名前を口にしようとしない。
アドリアーノを見ると観念したのかクラスの女生徒だと言った。
「それのどこが私が虐めをしたと言われるのでしょうか?」
2人は気不味そうにしながら「何度も俺には婚約者がいるから近づくな。と言ってきていたからお前の指示しかないだろう。」
呆れてしまった。私がしたというのはただの思い込み。いじめの内容も悪口ではなくマナー違反を注意しているだけ。仲間はずれというのも注意しても聞かないので呆れて距離を取られたのだろう。
周りも2人を残念な物を見るような顔をしている。
「お聞かせいただいた内容から貴方のおっしゃる虐めはただの注意です。それを聞き入れない彼女は距離を取られただけですわ。
それとその話に私はいっさい関わっておりません。
周りから何度も注意を受けておられたということは、婚約者がいるとわかっていたにも関わらず婚約を解消する事なくお二人は恋仲になられた。という事で、この婚約破棄は貴方の有責になります。
ハルテンス子爵令嬢も婚約者のいる男性だとわかってお付き合いされていたのですから慰謝料を払っていただきます。」
「えっ。そんな……。私はただアドが好きなだけ。婚約破棄するなんて知らなかったの。」
「婚約者がいる事を知りながら、公の場であるここに彼に寄り添うようにして来られたのですからその覚悟があったとみなされます。それに婚約破棄するしないに関わらず、交際していた事実がありますよね。
婚約破棄と慰謝料はそれぞれの家に連絡いたします。」
2人は真っ青になり口々に「違う。やっぱり婚約破棄はしない。」「そんなつもりはなかったの。」「別れるから許して。」だとか言い訳を口にするがもう無かったことにはできない。
おそらくアグリアーノは私の家との婚約を破棄して今後はハルテンス侯爵家から融資を受ければ良いと考えたのだろう。
ディフィーマ侯爵家はカナディナ伯爵家からの融資で侯爵家として生活できているが、事業が上向きになっているとはいえない。まだまだ融資は継続的に必要だ。
ハルテンス侯爵家にしてみたら同じ侯爵家のディフィーマ家に融資する旨味はない。
それに加えてこれまでの融資の返済と慰謝料を肩代わりなんて絶対しないはずだ。
アグリアーノにはこれまでの融資の返還と慰謝料は頭になかったらしい。
ベッキーも愛する人と結ばれると言うこと以外何も考えてなかったのだろう。急に慰謝料を請求すると言われて別れを切り出すなんて、本当にアグリアーノを愛していたのだろうか?
「婚約破棄はわたしが証人になろう。この件はこれで終わりだ。そろそろ本来のパーティを始める。」
ずっと静観されていた学園長による再開の合図でパーティは再開された。
アグリアーノとベッキーはコソコソと会場から姿を消した。
周りの皆さんが痛ましいものを見るような目で見てくる。
このパーティは学園の行事の一環だし、私に非はないので彼らのように逃げたくない。
だが、先ほどのやり取りで疲れてしまって壁の花になろうとしていた。その目の前にずっと距離を置いていた幼馴染みのファインがいた。ファインは私をダンスに誘った。
婚約破棄したばかりだが、もう誰にも気兼ねせず会話やダンスが出来る。嬉しくて誘いを受けてホールへと進む。
久々に至近距離で見るファイン。好きだった若葉のような翠の瞳に吸い込まれそうだ。
「婚約破棄、おめでとう。で良かったのか?」
「うふふ。ありがとう。婚約破棄できて嬉しいわ。あのまま婚姻を結んでいたら、すぐに愛人を連れて来ていたでしょうね。結婚までいかずに破棄できて本当に良かったわ。」
「でも、アリシアは彼のこと好きだったのだろう?婚約当初、あいつのために色々としていただろう。」
労るようでいて探るように聞いてくるファインの真っ直ぐな瞳にドキドキする。
「あの頃からアグリアーノ様のことは好きではなかったわ。
あの頃は結婚後寄り添い合える関係になりたかったから色々と頑張っていたわね。
けれど、すぐその思いも拒否されてすっかり諦めていたわ。
そ、それよりファインはどうなの?好きな人とか……」
「式は後からでいいから卒業後すぐに結婚したいと思っている。好きなんだ。二度と奪われることのないように少しでも早く自分のものにしておきたい。」
アグリアーノとの婚約期間中はファインや他の男性から距離をとっていたから彼にそんなにも想う人がいたなんて知らなかった。
しかも結婚式を後回しにしてでもすぐに手に入れたいほど好きだなんて……。
婚約者を思い浮かべているのだろうか、こちらをまっすぐ見ている彼は真剣で、今まで見たこともない恋する瞳だ。
アグリアーノから婚約破棄だと言われても何も感じなかった胸がズキズキ痛む。ファインの他の女性を思っているその表情を見たくなくてそっと視線を逸らす。
「式は後ですぐに結婚なんてアリシアは嫌か?」
ファインに求められてるのが私なら「嫌ではないわ。それほど求められてるのは嬉しいと思うわ。」と答えてから、ファインは一般論を聞いているだけで、これは私のことではなかった。
彼に結婚を考える人がいることにショックを受けた。
アグリアーノと婚約破棄してファインと恋仲になれるなんて思ってもいなかったけれど、一時の夢を見るくらいはしたかった。婚約破棄の傷心と偽って引き篭もろうか。
「式は翡翠の月頃が良いと思うんだが、アリシアはいつが良い?」
私の落ち込みに気づけないファインは嬉しそうに話しかけている。
翡翠の月は天気も良く暖かくなり色んな花が咲き始める新緑の季節。花嫁が1番綺麗に見えると人気だ。
「そうね。翡翠の月の結婚は季節的にも素晴らしいものになるでしょうね。」
青空の下での結婚式。花婿の正装をしたファインとその横で幸せそうに微笑んでる花嫁。それを側で祝わなければならないの?そう考えるだけで涙が出てきそうだ。翡翠の月まで後半年ほどだ。それまでにこの気持ちを抑えて笑顔で祝えるようになっているかしら?
「女性の衣装の事はわからないけれど、今から用意したとして翡翠の月なら準備は大丈夫なんだろう?」
瞳は潤み鼻がツンとした。視線を合わさず
「そうね。お式の日取りが決まったら教えてね。」
そう言うとタイミングよく曲が終わった。
これ以上聞きたくなくてさっと離れようとした。でも、それはファインに手を握られて阻止された。
「アリシア。まだ話したいことがあるんだ。」
思ったより必死になって引き止められた。
ファインには他に恋人のことを話せる人が周りにいないのだろうか?自分は特別なんだ。と浮かれる反面、お前のことなんてなんとも思っていないと恋心をズタズタにされている気がした。
婚約破棄宣言をしたからといってまだ正式に破棄されたわけではないので軽はずみな行動はしたくないと断った。
ファインはそれじゃ、婚約破棄が成立してから伯爵家を訪問すると離れていった。
ファインは何を話すつもりだろう?ファインの婚約者の相談かしら?ああ、やだな。会いたくない。ファインの口から他の女性のことなんて聞きたくない。
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
学園のパーティはアグリアーノがやらかした事もあり、例年より早目に終わった。
邸に帰りつき父カナディナ伯爵に学園であったことを話をした。父は怒り、翌日にディフィーマ侯爵家へ訪問し、かなりごねられたが、学園長が証人になってくださった事もあり、アグリアーノ有責で婚約破棄が成立した。
自室のベッドでアリシアはぼーっとする。好きになれない婚約者との婚約を破棄できてスッキリとした。
だが、どこで知ったのか明日訪問するとファインから連絡があった。ファインの事を考えると憂鬱になる。
そして眠れない夜が明けた。
きてほしくない時だけ時間は早く流れるようで、ファインがやって来た。
今日訪問すると連絡があり、両親も久しぶりにファインに会いたいと揃って出迎えている。
「カナディナ伯爵、伯爵夫人。アリシア嬢。訪問を受けていただきありがとうございます。」
久々に会うファインに両親は嬉しそうだ。
「ファイン君、久しぶりだね。最後に会ったのは学園に入る前だったかな?成長してすっかり大人の仲間入りだね。」
「ええ、アリシア嬢とディフィーマ侯爵家との婚約が決まり、迷惑になっては…と訪問を控えておりました。」
「そうか、気を遣ってくれていたんだね。ありがとう。そういえば君が婚約したと言う話は聞いていないが、お相手はいるのかい?」
和かに世間話をし始めるが、ファインは居住いを正すと
「カナディナ伯爵、伯爵夫人。実は聞いていただきたいお願いがございまして訪問いたしました。」
改まったファインに両親も表情を変えた。父が先を促すと
「アリシア嬢と結婚させてください。アリシアには卒業後すぐに結婚し、式はその後の翡翠の月で承諾は得ております。」
「「「えっ!」」」
両親と私の声が被る。
ファインは私を見てなぜ一緒に驚いていると言うけれど、ちょっと待って。あれはファインの結婚の話で相手は……。
そういえば誰か聞いてない。
けれど、プロポーズは受けてない。
そう言うと、ファインは顔を赤らめて「ダンスの時に好きだ。と伝えた。その後、結婚式の話もした。それをアリシアは拒否らなかった。」と言う。
あの蕩るような愛情ダダ漏れな顔は私に向けてのものだったの?
理解すると嬉しくて恥ずかしくて真っ赤になった。
ファインが怖いくらい真剣な顔で私に向き合い、
「アリシア。幼い頃からずっと好きだったんだ。お互い一人っ子だったからずっと気持ちを抑えていたし、諦めようとしていた。
でも、君に弟が産まれて諦めなくて良いんだ。婚約を申し込もう。
そう思っている間に声変わりが始まって、ガラガラの声が恥ずかしくてそれが治ってから婚約を申し込むつもりだったんだ。だが、その間にアリシアと侯爵家の婚約が成立してしまった。
すごく落ち込んで学園でもアリシアの姿を見ないようにしていた。だけど、やっぱり諦めきれずにいたんだ。
そしたら婚約破棄だろう。浮かれて二度と取られないようにと焦っていた。
改めて、アリシア・カナディナ嬢。貴女を愛してます。俺と結婚してください。」
嬉しくて嬉しくて、涙が邪魔をしてファインの顔が見えない。はい。と返事したいのに声にならない。コクコクと頷くと、大きくて暖かい身体に包まれた。
大きな手が優しく頬を撫ぜる。そっと顎をあげられたと同時にファインの顔が近づいてくる。
すると、コホン。という父のわざとらしい咳でこの場に2人だけでなかったことに気がついた。
恥ずかしすぎて離れようとしたが、ファインの腕の中から逃げられなかった。
「まあ、仲が良いのは良いが、娘の男親の前ではそれ以上は辞めて欲しいね。君も娘を持ってからわかるようになるだろうがね。」
苦笑している両親。
ファインと顔を見合わせて笑ってしまった。
ああ、幸せ。優しい家族。そして大好きな人。ファインの腕の中から見上げると優しい若葉の大好きな翠の瞳と目が合う。気がつくと「好き」と呟いていた。
囲われていた腕に力が入ったと思うとファインが「あー。もうっ。叔父さん見逃して!」と叫ぶとチュッと頬に口づけられた。
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
あの後ファインと婚約を結び、学園を卒業すると同時に婚姻届を提出してグリード家で夫婦として暮らし始めた。
そしてよく晴れた翡翠の月の今日。グルード領にある小さな教会で結婚式を挙げた。
幸せいっぱいな私の隣には大好きな旦那様。愛情いっぱいの若葉色の瞳で私を見て微笑んでくれている。
そして、まだ膨らんでいない私のお腹の中には愛する旦那様との子供。
私、とっても幸せです。
理不尽な婚約破棄には婚約破棄返しを!お勧めします。
ホールは壁側には芸術部門の展示で絵画や彫刻などの作品が飾られていたり、ダンスホールでダンスができたり、テーブルと椅子が置かれている歓談があったり、各々が自由に過ごせるようになっている。
学園長から開始の挨拶が終わり、各自が好きなコーナーへと移動しようとしていたその時、ある男女が寄り添うようにして壇上に姿を現した。そして男性が声高に叫ぶ。
「アリシア・カナディナ。お前との婚約は破棄だ。」
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壇上で叫んでる男性は私の婚約者だ。
私アリシアはカナディナ伯爵家の長子。2年制のこの学園の2年で今年卒業だ。
一方、婚約者はディフィーマ侯爵家の嫡子のアグリアーノ。2年で同じく卒業する。
卒業の1年後に結婚する。予定だ。
裕福なカナディナ伯爵家に財政的に傾きかけたディフィーマ侯爵家から婚約の申し込みがあった。融資目的な政略結婚が前提だ。
ディフィーマ侯爵家から婚約の打診が来る前は隣の領地のグルード子爵家のファインと同い年で幼い頃から仲も良かった。その頃はまだ弟も生まれておらずお互いが家を継ぐことから彼との婚姻は諦めていた。だが、弟が産まれたことにより婚約を意識し始めた頃に格上の侯爵家からの申し込みがあり、ディフィーマ侯爵家と婚約が整った。
婚約が決まってからはファインとも距離を取り必要以上に近づかないようにした。そしてアグリアーノ様を好きになる、好きになれなくても寄り添いあえる関係になろうと努力した。
婚約が決まってからカナディナ家からの融資で生活レベルが変わると周りの人々の反応も変わり、アグリアーノ様を貧乏だと侮り遠巻きにしていた人達が取り入ろうとしてチヤホヤと持ち上げてくるのだ。今までの反動だろうか、アグリアーノ様はそれを何も考えず喜んで受け入れていた。
それに対して私が口出しすると、「うるさい、伯爵令嬢如きが俺に口出しするな。」と怒鳴られてしまった。
「侯爵家として社交は伯爵家のお前では無理だ。俺が社交をする。これはただの遊びではない。」
社交だと言いきりお金を湯水のごとく使い好きに遊び回っていた。
そんな人を好きになれるはずもなく、寄り添いあうという理想も打ち砕かれた。
それからは交流も会話も必要最低しかなく婚約者だと思えないような仲だった。
そうしてこの婚約破棄宣言だ。
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「婚約破棄ですか?理由をお聞かせいただいてもよろしいでしょうか?」
婚約破棄など私的な事に公の場で皆様の行動を止めてまでする事でないと婚約者に伝えて場所を移動しようとしたが、自分に非があるからだろう。大勢の前でお前の非を明らかにしてやるから謝罪しろ。と騒ぎ立てるので、学園長がこの場で事を明らかにすることを許可した。
アグリアーノ様は悔しがったり泣き喚いたりを想像していたのだろう。冷静な私に腹立たしそうだ。
「先ほどのやり取りでわかるようにお前は感情がない冷たい女だ。婚約者に捨てられそうになっているにも関わらず涙の一つも見せない可愛げがない女だから愛される要素がない。
それに人の顔を見ると口うるさく文句ばかり言う。
1番は俺の愛するベッキーに嫉妬して虐めをしているらしいな。
愛想もない性格も悪いなんて侯爵家の俺の婚約者に相応しくない。だから婚約破棄だ。そして俺はこの愛らしくて優しく身分も釣り合うベッキー・ハルテンス侯爵令嬢と婚約する。」
ベッキーはアグリアーノに抱きつき頬を染め見上げて「嬉しい。アグ、愛してるわ」と言い、その姿に満更でもないアグリアーノは「俺も愛してるよ」と抱きしめ返しておでこに口づけた。
婚約破棄宣言しただけでまだ、正式に婚約破棄が成立していないのにこんな大勢の前で公開浮気ですか?あり得ない。こんな人が婚約者だなんて恥ずかしい。
周りは2人に対して侮蔑の視線を向けているが2人の世界に入ってる2人はわかっていない。
「端的に申し上げます。
婚約の破棄には合意しますが、婚約破棄はこちらからさせていただきます。勿論慰謝料も請求します。」
「なっ!やはり金に汚い。可愛げのない奴め。」
「お黙りください。」
まだぶつぶつと俺は侯爵家なんだぞ。と反論しようとする婚約者を黙らせて続きを口にする。
「理由は貴方が申告されたようにそちらの女性との浮気です。
それと、貴方のことを好きではありませんので嫉妬するなんてありえません。」
「ふふん、自分が愛されなかったから、強がりか?」
女性は全て自分を好きになると思っているのだろう。人目を引く整った外見と高い身分だから仕方がないのかもしれないが、成人を迎えるこの年になったのだからそろそろ周りが見えていてもおかしくないのに、やはりいまだに甘やかされているようだ。
「貴方の思い込みはどうでも良いです。
私はこの婚約は最初から反対でした。勿論、家族もです。
しかも我が家からの融資ありきの政略結婚です。我が家に利はありません。お断りしようとしたのですが、侯爵家から圧力をかけられて逆らうことができませんでした。
それならばと、契約書を作成いたしました。覚えていらっしゃいますか?
婚姻までに私と貴方、もしくは各々の家が不利になるような言動、行動を取った場合は婚約を破棄し加害側が慰謝料を払う。それが侯爵家ならそれまで援助していた融資額を全額返還する。我が家ならばそれまでの融資金の返還を求めない。
お互いの当主と当事者の私と貴方もサインしておりますよ。お忘れですか?」
「お、覚えているに決まっているだろう。
それならそちらが慰謝料を払う立場だろう。虐めなんて悪質なことをしていたのだから。
そうだ。虐められていたベッキーにも慰謝料を払ってもらうからな。」
契約書の事をすっかり忘れていた婚約者は青い顔をしながら話し始めたが、何を勘違いしたのか勢いづいて浮気相手に慰謝料を払えと言い出す。
「ハルテンス嬢、貴女とは初めてお目にかかります。それなのに私から虐めを受けていたとはおかしな話ですね。どのような虐めを受けておられたのですか?貴女を虐めていたのは本当に私ですか?どなたかと間違われておりませんか?」
カッとなったアドリアーノが「お前に決まっている。」と言い、ベッキーは頬を赤らめて潤んだ瞳でうっとりとアドリアーノを見上げる。
話が進まないので「本人にお聞きしているのです。」と。先を進めるとようやく彼女が口を開いた。
「虐めは周りから悪口を言われたり、お茶会に呼んでも来てもくださらないし、お茶会に行きたいと言っても呼んでくれる事もなく仲間はずれにされてました。それをいつもアドが助けてくれてました。」
「では、虐めの相手を貴女もアドリアーノ様もご覧になっているのですね。その方はどなたですか?」
言い出しにくいのかモジモジするばかりで名前を口にしようとしない。
アドリアーノを見ると観念したのかクラスの女生徒だと言った。
「それのどこが私が虐めをしたと言われるのでしょうか?」
2人は気不味そうにしながら「何度も俺には婚約者がいるから近づくな。と言ってきていたからお前の指示しかないだろう。」
呆れてしまった。私がしたというのはただの思い込み。いじめの内容も悪口ではなくマナー違反を注意しているだけ。仲間はずれというのも注意しても聞かないので呆れて距離を取られたのだろう。
周りも2人を残念な物を見るような顔をしている。
「お聞かせいただいた内容から貴方のおっしゃる虐めはただの注意です。それを聞き入れない彼女は距離を取られただけですわ。
それとその話に私はいっさい関わっておりません。
周りから何度も注意を受けておられたということは、婚約者がいるとわかっていたにも関わらず婚約を解消する事なくお二人は恋仲になられた。という事で、この婚約破棄は貴方の有責になります。
ハルテンス子爵令嬢も婚約者のいる男性だとわかってお付き合いされていたのですから慰謝料を払っていただきます。」
「えっ。そんな……。私はただアドが好きなだけ。婚約破棄するなんて知らなかったの。」
「婚約者がいる事を知りながら、公の場であるここに彼に寄り添うようにして来られたのですからその覚悟があったとみなされます。それに婚約破棄するしないに関わらず、交際していた事実がありますよね。
婚約破棄と慰謝料はそれぞれの家に連絡いたします。」
2人は真っ青になり口々に「違う。やっぱり婚約破棄はしない。」「そんなつもりはなかったの。」「別れるから許して。」だとか言い訳を口にするがもう無かったことにはできない。
おそらくアグリアーノは私の家との婚約を破棄して今後はハルテンス侯爵家から融資を受ければ良いと考えたのだろう。
ディフィーマ侯爵家はカナディナ伯爵家からの融資で侯爵家として生活できているが、事業が上向きになっているとはいえない。まだまだ融資は継続的に必要だ。
ハルテンス侯爵家にしてみたら同じ侯爵家のディフィーマ家に融資する旨味はない。
それに加えてこれまでの融資の返済と慰謝料を肩代わりなんて絶対しないはずだ。
アグリアーノにはこれまでの融資の返還と慰謝料は頭になかったらしい。
ベッキーも愛する人と結ばれると言うこと以外何も考えてなかったのだろう。急に慰謝料を請求すると言われて別れを切り出すなんて、本当にアグリアーノを愛していたのだろうか?
「婚約破棄はわたしが証人になろう。この件はこれで終わりだ。そろそろ本来のパーティを始める。」
ずっと静観されていた学園長による再開の合図でパーティは再開された。
アグリアーノとベッキーはコソコソと会場から姿を消した。
周りの皆さんが痛ましいものを見るような目で見てくる。
このパーティは学園の行事の一環だし、私に非はないので彼らのように逃げたくない。
だが、先ほどのやり取りで疲れてしまって壁の花になろうとしていた。その目の前にずっと距離を置いていた幼馴染みのファインがいた。ファインは私をダンスに誘った。
婚約破棄したばかりだが、もう誰にも気兼ねせず会話やダンスが出来る。嬉しくて誘いを受けてホールへと進む。
久々に至近距離で見るファイン。好きだった若葉のような翠の瞳に吸い込まれそうだ。
「婚約破棄、おめでとう。で良かったのか?」
「うふふ。ありがとう。婚約破棄できて嬉しいわ。あのまま婚姻を結んでいたら、すぐに愛人を連れて来ていたでしょうね。結婚までいかずに破棄できて本当に良かったわ。」
「でも、アリシアは彼のこと好きだったのだろう?婚約当初、あいつのために色々としていただろう。」
労るようでいて探るように聞いてくるファインの真っ直ぐな瞳にドキドキする。
「あの頃からアグリアーノ様のことは好きではなかったわ。
あの頃は結婚後寄り添い合える関係になりたかったから色々と頑張っていたわね。
けれど、すぐその思いも拒否されてすっかり諦めていたわ。
そ、それよりファインはどうなの?好きな人とか……」
「式は後からでいいから卒業後すぐに結婚したいと思っている。好きなんだ。二度と奪われることのないように少しでも早く自分のものにしておきたい。」
アグリアーノとの婚約期間中はファインや他の男性から距離をとっていたから彼にそんなにも想う人がいたなんて知らなかった。
しかも結婚式を後回しにしてでもすぐに手に入れたいほど好きだなんて……。
婚約者を思い浮かべているのだろうか、こちらをまっすぐ見ている彼は真剣で、今まで見たこともない恋する瞳だ。
アグリアーノから婚約破棄だと言われても何も感じなかった胸がズキズキ痛む。ファインの他の女性を思っているその表情を見たくなくてそっと視線を逸らす。
「式は後ですぐに結婚なんてアリシアは嫌か?」
ファインに求められてるのが私なら「嫌ではないわ。それほど求められてるのは嬉しいと思うわ。」と答えてから、ファインは一般論を聞いているだけで、これは私のことではなかった。
彼に結婚を考える人がいることにショックを受けた。
アグリアーノと婚約破棄してファインと恋仲になれるなんて思ってもいなかったけれど、一時の夢を見るくらいはしたかった。婚約破棄の傷心と偽って引き篭もろうか。
「式は翡翠の月頃が良いと思うんだが、アリシアはいつが良い?」
私の落ち込みに気づけないファインは嬉しそうに話しかけている。
翡翠の月は天気も良く暖かくなり色んな花が咲き始める新緑の季節。花嫁が1番綺麗に見えると人気だ。
「そうね。翡翠の月の結婚は季節的にも素晴らしいものになるでしょうね。」
青空の下での結婚式。花婿の正装をしたファインとその横で幸せそうに微笑んでる花嫁。それを側で祝わなければならないの?そう考えるだけで涙が出てきそうだ。翡翠の月まで後半年ほどだ。それまでにこの気持ちを抑えて笑顔で祝えるようになっているかしら?
「女性の衣装の事はわからないけれど、今から用意したとして翡翠の月なら準備は大丈夫なんだろう?」
瞳は潤み鼻がツンとした。視線を合わさず
「そうね。お式の日取りが決まったら教えてね。」
そう言うとタイミングよく曲が終わった。
これ以上聞きたくなくてさっと離れようとした。でも、それはファインに手を握られて阻止された。
「アリシア。まだ話したいことがあるんだ。」
思ったより必死になって引き止められた。
ファインには他に恋人のことを話せる人が周りにいないのだろうか?自分は特別なんだ。と浮かれる反面、お前のことなんてなんとも思っていないと恋心をズタズタにされている気がした。
婚約破棄宣言をしたからといってまだ正式に破棄されたわけではないので軽はずみな行動はしたくないと断った。
ファインはそれじゃ、婚約破棄が成立してから伯爵家を訪問すると離れていった。
ファインは何を話すつもりだろう?ファインの婚約者の相談かしら?ああ、やだな。会いたくない。ファインの口から他の女性のことなんて聞きたくない。
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学園のパーティはアグリアーノがやらかした事もあり、例年より早目に終わった。
邸に帰りつき父カナディナ伯爵に学園であったことを話をした。父は怒り、翌日にディフィーマ侯爵家へ訪問し、かなりごねられたが、学園長が証人になってくださった事もあり、アグリアーノ有責で婚約破棄が成立した。
自室のベッドでアリシアはぼーっとする。好きになれない婚約者との婚約を破棄できてスッキリとした。
だが、どこで知ったのか明日訪問するとファインから連絡があった。ファインの事を考えると憂鬱になる。
そして眠れない夜が明けた。
きてほしくない時だけ時間は早く流れるようで、ファインがやって来た。
今日訪問すると連絡があり、両親も久しぶりにファインに会いたいと揃って出迎えている。
「カナディナ伯爵、伯爵夫人。アリシア嬢。訪問を受けていただきありがとうございます。」
久々に会うファインに両親は嬉しそうだ。
「ファイン君、久しぶりだね。最後に会ったのは学園に入る前だったかな?成長してすっかり大人の仲間入りだね。」
「ええ、アリシア嬢とディフィーマ侯爵家との婚約が決まり、迷惑になっては…と訪問を控えておりました。」
「そうか、気を遣ってくれていたんだね。ありがとう。そういえば君が婚約したと言う話は聞いていないが、お相手はいるのかい?」
和かに世間話をし始めるが、ファインは居住いを正すと
「カナディナ伯爵、伯爵夫人。実は聞いていただきたいお願いがございまして訪問いたしました。」
改まったファインに両親も表情を変えた。父が先を促すと
「アリシア嬢と結婚させてください。アリシアには卒業後すぐに結婚し、式はその後の翡翠の月で承諾は得ております。」
「「「えっ!」」」
両親と私の声が被る。
ファインは私を見てなぜ一緒に驚いていると言うけれど、ちょっと待って。あれはファインの結婚の話で相手は……。
そういえば誰か聞いてない。
けれど、プロポーズは受けてない。
そう言うと、ファインは顔を赤らめて「ダンスの時に好きだ。と伝えた。その後、結婚式の話もした。それをアリシアは拒否らなかった。」と言う。
あの蕩るような愛情ダダ漏れな顔は私に向けてのものだったの?
理解すると嬉しくて恥ずかしくて真っ赤になった。
ファインが怖いくらい真剣な顔で私に向き合い、
「アリシア。幼い頃からずっと好きだったんだ。お互い一人っ子だったからずっと気持ちを抑えていたし、諦めようとしていた。
でも、君に弟が産まれて諦めなくて良いんだ。婚約を申し込もう。
そう思っている間に声変わりが始まって、ガラガラの声が恥ずかしくてそれが治ってから婚約を申し込むつもりだったんだ。だが、その間にアリシアと侯爵家の婚約が成立してしまった。
すごく落ち込んで学園でもアリシアの姿を見ないようにしていた。だけど、やっぱり諦めきれずにいたんだ。
そしたら婚約破棄だろう。浮かれて二度と取られないようにと焦っていた。
改めて、アリシア・カナディナ嬢。貴女を愛してます。俺と結婚してください。」
嬉しくて嬉しくて、涙が邪魔をしてファインの顔が見えない。はい。と返事したいのに声にならない。コクコクと頷くと、大きくて暖かい身体に包まれた。
大きな手が優しく頬を撫ぜる。そっと顎をあげられたと同時にファインの顔が近づいてくる。
すると、コホン。という父のわざとらしい咳でこの場に2人だけでなかったことに気がついた。
恥ずかしすぎて離れようとしたが、ファインの腕の中から逃げられなかった。
「まあ、仲が良いのは良いが、娘の男親の前ではそれ以上は辞めて欲しいね。君も娘を持ってからわかるようになるだろうがね。」
苦笑している両親。
ファインと顔を見合わせて笑ってしまった。
ああ、幸せ。優しい家族。そして大好きな人。ファインの腕の中から見上げると優しい若葉の大好きな翠の瞳と目が合う。気がつくと「好き」と呟いていた。
囲われていた腕に力が入ったと思うとファインが「あー。もうっ。叔父さん見逃して!」と叫ぶとチュッと頬に口づけられた。
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
あの後ファインと婚約を結び、学園を卒業すると同時に婚姻届を提出してグリード家で夫婦として暮らし始めた。
そしてよく晴れた翡翠の月の今日。グルード領にある小さな教会で結婚式を挙げた。
幸せいっぱいな私の隣には大好きな旦那様。愛情いっぱいの若葉色の瞳で私を見て微笑んでくれている。
そして、まだ膨らんでいない私のお腹の中には愛する旦那様との子供。
私、とっても幸せです。
理不尽な婚約破棄には婚約破棄返しを!お勧めします。
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