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3 聞く耳を持たない攻略者達

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そしてとうとう今日。
高位貴族の令息たちが強引に私を引き連れて食堂で各々の婚約者達に婚約破棄を突きつけております。

「アンジェリカ。君達がルチアに対してイジメをしていたのは知っている。そんな性格の悪い女性が婚約者だなんて耐えられない。君とは婚約破棄する。」
「ナターシャ。僕も君とは婚約破棄だ。」

僕も僕も、と続く。

「ヘンリー殿下。そして皆様。落ち着いてくださいませ。私は誰からもいじめられていません。」

焦りそう言うが、やはり今日も私の言うことを聞いてくださらない。

「ルチア。君はなんて健気なんだ。こいつらの事は気にしなくて良い。本当のことを言っても大丈夫だ。僕達が守ってあげるから。」

ほら本当の事を言っても信じてくださらない。自分達に都合のいいように解釈されてしまう。
本当の事です。と何度言っても同じだ。もう何を言っても私の言葉なんて信じてもらえない。悲しくて目が潤んでしまう。

「お前達が高圧的にしているせいですっかり怯えてしまい本当の事を言えなくなっているではないか。」

殿下達の態度に泣きたくなっている私を見て誤解した殿下達は見当違いにもそれを令嬢達に突きつける。

ああ、やはりこうなってしまうのね。
私の立場では殿下達を諫める事はできない。誤解されてしまわないように言動と行動には気を付けていたのに…。
こんな事なら私に政略的でもいいから婚約者がいれば良かったと思わなくもない。
自分の意思でどうすることもできなくて泣くだけしかできない私に聞こえてきたのは

「ルチア・コンコルド嬢。
彼女たちからのイジメは本当にあったのか。そして貴女の本当の気持ちを立場を気にせずはっきりとおっしゃってください。
家格のことなど気にしないで。ここは学園です。ここでの発言は生徒会長としての私が全責任を負います。」
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