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番外編 ざまぁ
ロベルト
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学園卒業後、ロベルトは公爵位と邸をもらい王宮から出て外交官として働いていた。
外交で訪れた国の伯爵家の夜会に参加していた。 伯爵に紹介された娘は少しソフィーリアに似ていた。ロベルトはソフィーリアにまだ少しの未練があるのだろう令嬢方との恋愛になかなか進まない。
その娘に酒を勧められるままに飲み気がつけば寝台の隣で令嬢が寝ていた。
シーツには破瓜の印があった。記憶がないが酔って手を出したのだろう。
翌朝には伯爵を交えての話し合いの上、責任を取る形で結婚する事になった。閨を共にしており妊娠の可能性があることから式は挙げずに結婚はすぐにすることとなった。あの一夜で実をなしたのか妻は妊娠していた。
あれから子供も月足らずだが無事生まれて娘と親子3人の生活が続いている。
結婚後産まれた娘が自分に似ていない事が気になったが妻から亡くなった母方の祖母によく似ているから先祖返りだ。稀にそういう子もいると言われて納得していた。
だがその真相を今日初めて知った。
「お久しぶりです。お呼びに応じて国から参りました。それにしてもこの国の王子と結婚しているなんてあの頃は信じられませんでしたわ」
「うふふ。そうね。私も信じられないわ。あの頃はロッドと結婚しようとしていたのですもの。でも、父の反対で困っていたの。だって妊娠していたんですもの。
夜会でロベルトを酔い潰して裸にしてベッドに運んだの。ロッドとの情事の残るシーツに豚の血を散らしたベッドにね。ロベルトはすっかり信じてしまい無事結婚に漕ぎ着けたの。
で、あなたに来てもらったのは密かにロッドを探して連れて来て欲しいの」
「ロッドを探してどうなさるおつもりですか?お嬢…いえ、奥様」
「ロッドに側であの子の成長を見てもらいたいの。本当の父親なんですもの。そのために住み込みで私の側で働いて欲しいの。私つきの執事でも侍従でも良いわ。ロベルトは仕事で邸にほとんどいないからわからないわ」
久しぶりの仕事休みに妻を観劇に誘おうと思って訪れた部屋の前で聞こえたその会話はその後の行動を覚えていないくらいショックだった。
深い愛情はなくとも穏やかに暮らしていきたかったのだが……無理そうだ。
その後、彼女の国に近い国境付近に小さな邸を購入し、彼女と離縁し彼女と娘を追いやった。後継は親戚筋から貰うと宣言して。
俺は離婚をしたが娘の養育費として彼女へと毎月仕送りをしている。
元妻は仕送りのお金で元恋人と娘の親子3人で裕福に暮らしている。噂では元妻にもう1人子供が産まれたそうだ。
そして人の少なくなった邸で考える。
俺は一体どこで間違えたのか?
ソフィーリアの事を真剣に知ろうとしないでアリエッタの上部だけに惹かれたのが間違いだった。
弟のレノンはソフィーリアと結婚した。しばらくは人前に出さないほど溺愛していると噂だった。子が産まれてから漸くソフィーリアを夜会に連れて出るようになった。連れてきてもソフィーリアから離れることはないとの噂だ。
ソフィーリアは清楚さも失わず人妻となり色気も兼ね備えていると評判だ。知的で会話もマナーも完璧。レノンと相思相愛なのもあって国内の令嬢の憧れの的になっている。
俺には仕事しかない。仕事に逃げるしかない。
身分を隠して通っている街の食堂の女将さんはそんな俺をなにかと気にかけてくれる。
知り合いに気の毒な娘さんがいるそうだ。酷い目にあったから幸せになってほしい。俺ならその娘さんを幸せにできる。その人と所帯を持ったらどうかと言ってくれている。
俺もそろそろ幸せになっても良いだろうか?
外交で訪れた国の伯爵家の夜会に参加していた。 伯爵に紹介された娘は少しソフィーリアに似ていた。ロベルトはソフィーリアにまだ少しの未練があるのだろう令嬢方との恋愛になかなか進まない。
その娘に酒を勧められるままに飲み気がつけば寝台の隣で令嬢が寝ていた。
シーツには破瓜の印があった。記憶がないが酔って手を出したのだろう。
翌朝には伯爵を交えての話し合いの上、責任を取る形で結婚する事になった。閨を共にしており妊娠の可能性があることから式は挙げずに結婚はすぐにすることとなった。あの一夜で実をなしたのか妻は妊娠していた。
あれから子供も月足らずだが無事生まれて娘と親子3人の生活が続いている。
結婚後産まれた娘が自分に似ていない事が気になったが妻から亡くなった母方の祖母によく似ているから先祖返りだ。稀にそういう子もいると言われて納得していた。
だがその真相を今日初めて知った。
「お久しぶりです。お呼びに応じて国から参りました。それにしてもこの国の王子と結婚しているなんてあの頃は信じられませんでしたわ」
「うふふ。そうね。私も信じられないわ。あの頃はロッドと結婚しようとしていたのですもの。でも、父の反対で困っていたの。だって妊娠していたんですもの。
夜会でロベルトを酔い潰して裸にしてベッドに運んだの。ロッドとの情事の残るシーツに豚の血を散らしたベッドにね。ロベルトはすっかり信じてしまい無事結婚に漕ぎ着けたの。
で、あなたに来てもらったのは密かにロッドを探して連れて来て欲しいの」
「ロッドを探してどうなさるおつもりですか?お嬢…いえ、奥様」
「ロッドに側であの子の成長を見てもらいたいの。本当の父親なんですもの。そのために住み込みで私の側で働いて欲しいの。私つきの執事でも侍従でも良いわ。ロベルトは仕事で邸にほとんどいないからわからないわ」
久しぶりの仕事休みに妻を観劇に誘おうと思って訪れた部屋の前で聞こえたその会話はその後の行動を覚えていないくらいショックだった。
深い愛情はなくとも穏やかに暮らしていきたかったのだが……無理そうだ。
その後、彼女の国に近い国境付近に小さな邸を購入し、彼女と離縁し彼女と娘を追いやった。後継は親戚筋から貰うと宣言して。
俺は離婚をしたが娘の養育費として彼女へと毎月仕送りをしている。
元妻は仕送りのお金で元恋人と娘の親子3人で裕福に暮らしている。噂では元妻にもう1人子供が産まれたそうだ。
そして人の少なくなった邸で考える。
俺は一体どこで間違えたのか?
ソフィーリアの事を真剣に知ろうとしないでアリエッタの上部だけに惹かれたのが間違いだった。
弟のレノンはソフィーリアと結婚した。しばらくは人前に出さないほど溺愛していると噂だった。子が産まれてから漸くソフィーリアを夜会に連れて出るようになった。連れてきてもソフィーリアから離れることはないとの噂だ。
ソフィーリアは清楚さも失わず人妻となり色気も兼ね備えていると評判だ。知的で会話もマナーも完璧。レノンと相思相愛なのもあって国内の令嬢の憧れの的になっている。
俺には仕事しかない。仕事に逃げるしかない。
身分を隠して通っている街の食堂の女将さんはそんな俺をなにかと気にかけてくれる。
知り合いに気の毒な娘さんがいるそうだ。酷い目にあったから幸せになってほしい。俺ならその娘さんを幸せにできる。その人と所帯を持ったらどうかと言ってくれている。
俺もそろそろ幸せになっても良いだろうか?
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