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ハーレム構成員の婚約者の彼女
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「貴女悔しくないのですか?貴女の婚約者様はまたあの令嬢とご一緒よ。先ほども彼女をエスコートして図書館へ行くのを見ましたわ。」
「彼女が学園に慣れていらっしゃらないから彼は親切に教えてさしあげてるだけですわ。生徒会の皆様はお優しいのですから。」
先ほど噂の令嬢を彼がエスコートするように図書館に案内していたのを遠目で見た。
彼女は最近この学園に転入してきた。最近、辺境伯の養子になった令嬢だ。元は平民だったとか隣国の貴族だとか噂は様々だ。この国の学園は決まった年齢になると貴族は必ず入学するから基本転入はない。
その為途中から編入してきて学園に慣れていない彼女のフォローを生徒会メンバーがしている。
そのことはもちろん彼から聞いている。
だが、周りの人間には転入してきた令嬢の美貌も相まって生徒会メンバー自ら彼女に侍る様に映っているだろう。
そんな中でも、わたくしは婚約者に会うといつもと変わらず笑顔でお伝えする。
「お会いできて嬉しいです。」
婚約者様は表情を変えず軽く頷くだけだ。会話もわたくしからがほとんどだが、無視されることもなく、視線をそらされることなく見つめてくれる。そんな彼のことが大好きだ。
「貴女は彼のことがお好きではないのですね。だって他の女性と一緒でも気にならないだなんて変ですわ。」
「どうしてそう思われるのか不思議ですわ。わたくしは彼のことをお慕いしております。そんな彼の側に他の女性がいるのが気にならないはずはありません。
ですが、彼から彼女の事はお聞きしております。なのでわたくしの余計な感情で彼を振り回したくありません。」
このところ彼は例の令嬢と2人で行動している。遠くに見かけるだけで会話をすることもなく寂しく感じている。彼を信じてはいるが嫉妬心は無くならない。
「その婚約者が心変わりをしていて自分に都合の良いように嘘をついているとは考えないの?」
「貴女はご自身の婚約者様を信じられないのですか?」
「ええ。だって家同士の結びつきのための婚約なのよ。貴女も同じでしょう?」
そういう彼女は生徒会のランスロット様の婚約者だ。
政略的な婚約で愛情などないのだろうか?
確かにわたくし達も政略のための婚約だ。
でも、彼は言葉や表現は苦手のようだが、誠実で優しかった。そんな彼にどんどん惹かれていった。形だけの婚約者では嫌だったので良好な関係になれるように努力した。
「わたくしも家同士の結びつきの婚約です。
ですが、家の事がなくても彼の事が大好きです。
それに…もし彼に好きな人ができたなら、わたくしに別れを伝えてからお付き合いされるはずです。
わたくしの好きになった方はそんな誠実な人です。」
「あら、あんなに冷たくされているのに。あの態度こそが答えではなくて?鈍感なの?それとも貴女は気づかないふりをしているの?そんなに彼を逃したくないのかしら。みっともない。」
無口な彼は周りの令嬢からクールでカッコいいと評判だ。
確かに会って話かけるが、挨拶を返してくださるだけであまり会話が弾まない。ただ、クールなだけなのか?それとも彼も周りと同じようにこの婚約を受け入れはしてもよく思ってないのかもしれないと思うことはある。それは政略結婚が多い今、わたくしだけに限ったことではないが、毎回彼と別れた後落ち込まずにはいられない。
「そんなことありません。確かに彼は素っ気ないです。それは辛いですし、傷つかない訳はありません。
でも彼の目はわたくしを拒絶していませんもの。わたくしはそれを信じてます。信じて…いたいのです。」
婚約者として凛として答えたいのに随分心が弱くなっていたようで気がつけば語尾が小さくなり震えていた。
彼女が苦虫を噛み潰したような表情でわたくしの後ろに視線を移した。何があるのかしら?そう思い振り返る。
目の前には男性の身体で、抱きしめられていた。今まで異性をこんなに近くに感じたことはなかったのでアタフタしてしまう。
「俺も君が好きだよ。」
聞き慣れた声だが、聞いたことのない甘さを含んでいた彼の声が耳元で囁かれた。嬉しい。だけど信じられない。涙腺が緩んでくる。彼を見たい。そう思い見上げると、嬉しそうな彼の顔が近づき触れるだけの口づけを繰り返された。どうして良いか分からず息を止めていたので息苦しくなり、彼にしなだれかかる。そんなわたくしを彼は嬉しそうな表情で見おろしていた。
彼もわたくしを好いていてくれたが、恥ずかしくてつい素っ気ない態度になっていたそうだ。
更に、その姿がクールでカッコいいと噂されていたのでその姿をわたくしが好いていると思っていたそうで改めることを悩んでいたが出来なかったらしい。
だが、わたくしが傷ついていると知った彼は周りの評価よりわたくしを優先して下さり好意を隠すことはなくなった。
「彼女が学園に慣れていらっしゃらないから彼は親切に教えてさしあげてるだけですわ。生徒会の皆様はお優しいのですから。」
先ほど噂の令嬢を彼がエスコートするように図書館に案内していたのを遠目で見た。
彼女は最近この学園に転入してきた。最近、辺境伯の養子になった令嬢だ。元は平民だったとか隣国の貴族だとか噂は様々だ。この国の学園は決まった年齢になると貴族は必ず入学するから基本転入はない。
その為途中から編入してきて学園に慣れていない彼女のフォローを生徒会メンバーがしている。
そのことはもちろん彼から聞いている。
だが、周りの人間には転入してきた令嬢の美貌も相まって生徒会メンバー自ら彼女に侍る様に映っているだろう。
そんな中でも、わたくしは婚約者に会うといつもと変わらず笑顔でお伝えする。
「お会いできて嬉しいです。」
婚約者様は表情を変えず軽く頷くだけだ。会話もわたくしからがほとんどだが、無視されることもなく、視線をそらされることなく見つめてくれる。そんな彼のことが大好きだ。
「貴女は彼のことがお好きではないのですね。だって他の女性と一緒でも気にならないだなんて変ですわ。」
「どうしてそう思われるのか不思議ですわ。わたくしは彼のことをお慕いしております。そんな彼の側に他の女性がいるのが気にならないはずはありません。
ですが、彼から彼女の事はお聞きしております。なのでわたくしの余計な感情で彼を振り回したくありません。」
このところ彼は例の令嬢と2人で行動している。遠くに見かけるだけで会話をすることもなく寂しく感じている。彼を信じてはいるが嫉妬心は無くならない。
「その婚約者が心変わりをしていて自分に都合の良いように嘘をついているとは考えないの?」
「貴女はご自身の婚約者様を信じられないのですか?」
「ええ。だって家同士の結びつきのための婚約なのよ。貴女も同じでしょう?」
そういう彼女は生徒会のランスロット様の婚約者だ。
政略的な婚約で愛情などないのだろうか?
確かにわたくし達も政略のための婚約だ。
でも、彼は言葉や表現は苦手のようだが、誠実で優しかった。そんな彼にどんどん惹かれていった。形だけの婚約者では嫌だったので良好な関係になれるように努力した。
「わたくしも家同士の結びつきの婚約です。
ですが、家の事がなくても彼の事が大好きです。
それに…もし彼に好きな人ができたなら、わたくしに別れを伝えてからお付き合いされるはずです。
わたくしの好きになった方はそんな誠実な人です。」
「あら、あんなに冷たくされているのに。あの態度こそが答えではなくて?鈍感なの?それとも貴女は気づかないふりをしているの?そんなに彼を逃したくないのかしら。みっともない。」
無口な彼は周りの令嬢からクールでカッコいいと評判だ。
確かに会って話かけるが、挨拶を返してくださるだけであまり会話が弾まない。ただ、クールなだけなのか?それとも彼も周りと同じようにこの婚約を受け入れはしてもよく思ってないのかもしれないと思うことはある。それは政略結婚が多い今、わたくしだけに限ったことではないが、毎回彼と別れた後落ち込まずにはいられない。
「そんなことありません。確かに彼は素っ気ないです。それは辛いですし、傷つかない訳はありません。
でも彼の目はわたくしを拒絶していませんもの。わたくしはそれを信じてます。信じて…いたいのです。」
婚約者として凛として答えたいのに随分心が弱くなっていたようで気がつけば語尾が小さくなり震えていた。
彼女が苦虫を噛み潰したような表情でわたくしの後ろに視線を移した。何があるのかしら?そう思い振り返る。
目の前には男性の身体で、抱きしめられていた。今まで異性をこんなに近くに感じたことはなかったのでアタフタしてしまう。
「俺も君が好きだよ。」
聞き慣れた声だが、聞いたことのない甘さを含んでいた彼の声が耳元で囁かれた。嬉しい。だけど信じられない。涙腺が緩んでくる。彼を見たい。そう思い見上げると、嬉しそうな彼の顔が近づき触れるだけの口づけを繰り返された。どうして良いか分からず息を止めていたので息苦しくなり、彼にしなだれかかる。そんなわたくしを彼は嬉しそうな表情で見おろしていた。
彼もわたくしを好いていてくれたが、恥ずかしくてつい素っ気ない態度になっていたそうだ。
更に、その姿がクールでカッコいいと噂されていたのでその姿をわたくしが好いていると思っていたそうで改めることを悩んでいたが出来なかったらしい。
だが、わたくしが傷ついていると知った彼は周りの評価よりわたくしを優先して下さり好意を隠すことはなくなった。
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