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心のありか3
しおりを挟むすると、冬至が口を開いた。
「貴様はわかっていないようだから教えてやるがな。桜庭が殴られたのはお前のせいだぞ、会長様。」
「は? ちょっ、冬至。違うって! それは、」
「貴様の親衛隊があのクソマリモにちょっかいをかけなかったらこんなことにはならなかった。貴様のせいだ。」
「冬至っ!」
いきなり何言ってるんだ。違うよ、違うだろ。
ただ俺が運動神経もろもろが悪かっただけで…。
「会長。違うから、ほんとに。俺がドジだっただけで。」
「だが、あのバ会長がちゃんと親衛隊を取り仕切れていればこうはならなかった。違うか?」
「いや、......でもそれは」
それは。
会長は、副会長たちの代わりに仕事をしてたんだ。目の行き届かないところぐらいあっただろう。それに親衛隊といったら、実質的にまとめているのは愛先輩の方だ。
会長に全部を求めるのは…。
それは、違う。
絶対に違う。
「桜庭。」
その時、ふと。
冬至の向こうから会長の声が聞こえた。低い訳でもなく、高い訳でもない会長の声。
どんな顔をしているんだろう。
そう思うも、無駄に背の高い冬至のせいでその表情は見えなくて。
「かいちょ、う。」
口から溢れた声は、小さく震えてしまう。
会長の声が耳をうつ。
「桜庭、悪かった。俺のせいで、」
え?
「ちょっ、......会長! 違うって! 俺はっ。」
思わず身体を乗り出して、大きな声で呼び止める。
なんだか。
なんだかすごく嫌な感じだ。
会長は俯いてこっちをみてくれない。
「もう生徒会室には来んな。お前がいたってなんも変わんねぇし。」
「ぇ、なに。」
「役にたたねぇって言ってんだ。そんぐらい分かれ。」
「ぁ、」
その声があまりにも冷たくて。
喉の奥がきゅう、と締まる。
え、なんで。どうして、そんなこと。
「かいちょうっ!」
足音が、聞こえた。
俺から遠ざかる足音が。
「かいちょ、
動かないと。動いて会長を追いかけないと。
会長のせいじゃないのに。俺がいけなかったのに。
ガラガラ、と開くドアの音。
それを聞きながらそう思うのに。
身体は全然動かなくて。
ーー拒絶された。
ただただ冬至の背中をみて、向こう側は見えなくて。
どうすることもできなくて。
どうしようっ、どうしよう。
心はすごく焦っているはずなのに、身体は全く動かない。
心臓が大きく音をたてて、俺の身体を押さえつける。
「桜庭。」
ぼんやりと俺を見下ろしてくる視線に気づく。
そろりと見上げて、その背中に拳をぶつけた。
くそ、いたい。
すごく、いたい。
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