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夢
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「ん......。」
ねむい。
瞼を閉じていても、強い日差しが眼をやいているのがわかる。昨日は深夜に目が覚めてから、よいよ眠ることができなかった。
それだけ、あの時みたあの夢が、俺の精神に影響を及ぼしているということなのだろうか。
ーー信じられないものを見た。
今の心境から言うと、その言葉が一番しっくりくるかもしれない。
「あー。だるいなぁ。」
徐々に騒がしくなっていく寮内の様子に耳を澄ましながら、そう呟いてしまう。
だが、そうぼやいてみたところで、俺の過ごすべき日常が変わらないことも知っている。
特別、何か不満があるわけではないこの日常。
適度に、丁寧に。
手を抜いて生きる人生は、俺に合っているようで悪くない。
そう、悪くないのだ。
***
「おはようございます。桜庭副委員長。」
「あっ、おはようございます。副委員長。」
「うん、おはよー。今日も頑張ろう。」
特別棟にある風紀室へ向かう道のりでかけられる挨拶に手を振りつつ、足を動かす。
今年の4月から名前の後につけられるようになった役職名にびみょーな気持ちになるも、仕方ない。
現風紀委員長に無理やり名前を出されたわけだけど、最後の最後にそれを承諾したのは俺自身なのだから。
やらなくてはしょうがないというやつだ。
つい先日、春を越したばかりの気候は、まだ少し肌寒い。やや余るカーディガンの袖口をぎゅっと握りしめ辺りを見回すと、日差しに映える園芸部の働きがみえる。きれいだなあ。
左手にみえる物置部屋を横切ると、みなれた青い扉がみえる。
背後から吹く追い風に背を押されるように、いつも通り中に入ろうと銀のドアのぶに手をかけ、回すが。
「あれ。」開かない。
もう一度回す。
「なんでだろ。鍵かかってる。」
普段、こんなことがないだけに、今の状況に微妙に驚きながら、手を離す。
ドアにつけられているガラスの傍から中を伺えば、確かな灯りを感じられた。
ねむい。
瞼を閉じていても、強い日差しが眼をやいているのがわかる。昨日は深夜に目が覚めてから、よいよ眠ることができなかった。
それだけ、あの時みたあの夢が、俺の精神に影響を及ぼしているということなのだろうか。
ーー信じられないものを見た。
今の心境から言うと、その言葉が一番しっくりくるかもしれない。
「あー。だるいなぁ。」
徐々に騒がしくなっていく寮内の様子に耳を澄ましながら、そう呟いてしまう。
だが、そうぼやいてみたところで、俺の過ごすべき日常が変わらないことも知っている。
特別、何か不満があるわけではないこの日常。
適度に、丁寧に。
手を抜いて生きる人生は、俺に合っているようで悪くない。
そう、悪くないのだ。
***
「おはようございます。桜庭副委員長。」
「あっ、おはようございます。副委員長。」
「うん、おはよー。今日も頑張ろう。」
特別棟にある風紀室へ向かう道のりでかけられる挨拶に手を振りつつ、足を動かす。
今年の4月から名前の後につけられるようになった役職名にびみょーな気持ちになるも、仕方ない。
現風紀委員長に無理やり名前を出されたわけだけど、最後の最後にそれを承諾したのは俺自身なのだから。
やらなくてはしょうがないというやつだ。
つい先日、春を越したばかりの気候は、まだ少し肌寒い。やや余るカーディガンの袖口をぎゅっと握りしめ辺りを見回すと、日差しに映える園芸部の働きがみえる。きれいだなあ。
左手にみえる物置部屋を横切ると、みなれた青い扉がみえる。
背後から吹く追い風に背を押されるように、いつも通り中に入ろうと銀のドアのぶに手をかけ、回すが。
「あれ。」開かない。
もう一度回す。
「なんでだろ。鍵かかってる。」
普段、こんなことがないだけに、今の状況に微妙に驚きながら、手を離す。
ドアにつけられているガラスの傍から中を伺えば、確かな灯りを感じられた。
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