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譲れない時間と 1
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私の集中が乱されました。かと思うと、どこからか漂ってきた黒い煙のようなものが、魔法陣を描いていた私の人差し指の先から、吸い込まれるようにして侵入してきました。
「―――!?」
私はぞっと全身から脂汗を噴き出しました。
黒い煙の正体が理解できたわけではありませんでした。けれど本能が訴えている。――これは危険なものだ、と。
目の前ではジュレーヌ皇女がまだ襲われています。皇女様は身軽に避けていましたが、限界があるはずです。
止めないと。魔法陣を発動させないと。
でも。
「ひっ……」
私は悲鳴を上げました。体の中に何かが入り込んでくる。大いなる波が。これは――魔力!
私の魔力が、それに反応して大きく荒れました。体を侵し始めた魔力から逃げるように。混ざり合うのを拒絶するように!
描いていた魔法陣が消え去りました。私の両手から煙が立ちました。いつぞやと同じ、血の色の煙――
「トキネ! 駄目、魔力の暴走よ!」
「……っ、……!」
グロリア様の声に必死でうなずいて返します。魔力を暴走させない訓練ならあれほどやってきました。落ち着いて呼吸をして、自分の魔力の流れを感じて、その流れを整えて――
なのに。
「どうして……っ!?」
魔力が思い通りになってくれない。侵入してきた他人の魔力が無理やり私の魔力を犯し、蹂躙していく。
この魔力は誰のもの――!?
私はたまらず膝をつき、頭を抱えました。
逃げだそうとした魔力が膨大に体外へと膨れあがり、
「きゃあああっ!」
広がった私の魔力に当てられて、グロリア様が、ルルシーラ王女が、そしてジュレーヌ皇女とそれを襲っていた男までもが、全員吹き飛ばされました。バルコニーの手すりに体を叩きつけられ、皆ぐったりと崩れ落ちていきます。
視界の片隅に、くくと笑うローブの男がいました。その男から立ち昇る黒い黒い蛇のようにのたくる煙。
――イディアス!
イディアスがつかつか私に歩み寄ってきます。そして私の首をガッと掴みました。
「く……るし……」
「あいにくだが今回貴様の魔力は私が抑えている。アーレンには届かんぞ」
うめく私を無視したイディアスの目は、フードの陰でも分かるほどにらんらんと輝いていました。
――もう様なんてつけていられない。この事態はこの男が起こしたことだと、私はとっさに察しました。
「貴様の魔力はもらう……! さすれば薬もできよう、大人しく力を寄越せ……!」
私の体外へ出た魔力がイディアスの体に吸い込まれていくのが分かります。
そして、体内の魔力も。イディアスの魔力に犯され弱った私の魔力が、奪われようとしている――
一度は倒れたグロリア様が立ち上がり、イディアスに組み付きました。
「やめて! トキネを放して! ――誰か!」
すぐに、一人の男性が姿を現しました。「イディアス!」と声を上げてやってきたのは国王陛下の弟、ロンバルディア公!
「貴様何をしている! 狙うのは皇女だと話しておいただろう!」
なに? 何の話をしているの?
息ができず苦しさに途絶えそうになる意識をかき集めて、私はその会話を聞きました。
イディアスはうるさそうに、
「公爵。あいにくですが私が忠誠を誓っているのはあなたではない」
「う……そ、そうよ叔父様。イディアス、そのままやってしまいなさい……!」
苦しげな息でそれでもイディアスに命じるのはルルシーラ王女。
今回は火傷は負わせなかったのでしょうか? みんなは無事……? ジュレーヌ皇女様は? ああ。
しかしイディアスは心底面倒くさそうな声で、
「わがままな王女ごときめが。貴様のような女に大切な薬をやるものか――」
低く、陰鬱に囁かれた言葉は、たぶん私にしか聞こえなかったでしょう。
イディアスは王家に忠誠を誓っているのではなかった……?
だとしたら、彼はいったい誰のために薬を作ろうとしているの?
「う……」
それ以上考えるには酸素が足りませんでした。私は喘ぎながら、それでも指先を空中に躍らせました。
「なに……? まだ魔法が使えるだと……?」
「………」
アーレン様に教えてもらった、もうひとつの魔法。
小さな小さな魔法陣。描くなりパンと弾けて消えました。
イディアスがせせら笑うのが聞こえました。
「ふん。力尽きたか」
そして私の魔力を奪う作業に没頭する――
私は目を閉じました。大丈夫、魔法陣は発動した。
あれはアーレン様が教えてくれた緊急時用の魔法。そして、
ぴく、とアーレンは反応した。
(トキネの魔法……緊急事態を報せるための)
とても小さく簡単な魔法陣だが、それを発動させたらどこにいようともアーレンに伝わる、そんな魔法だ。
「ヴェレッタ! トキネに何をした……!」
アーレンはヴェレッタをベッドへ押し倒す。両腕を押さえ込み、彼女の動きを封じる。
ヴェレッタの全身からは青紫色の魔力が立ち昇っていた。
ほほほほ、とヴェレッタは楽しげに笑った。笑うたび、部屋の装飾具があちこちで破壊された。
今、ヴェレッタの精神状態は非常に危険なところにある。魔力の暴発は間近、綱渡りだ。
彼女は魔力を体外に溢れさせるだけでは飽き足らず、必ず何かを破壊して回る。夫と喧嘩しただけで王宮を破壊したその力はだてではない。
アーレンの心臓が焦りで大きく波打つ。トキネ。トキネは無事なのか。
あの緊急用の魔法は、トキネが魔法を使った位置をも報せる能力がある。そこは太陽の間から繋がるバルコニーだった。なぜそんなところにいるのだ? 人疲れして新鮮な空気でも求めに行ったのか。
いや――今はそんな細かいことを考えている場合ではない。
トキネが危機に瀕している。それだけが重要だ。アーレンはヴェレッタをにらみつけた。
「トキネに何をした! 言え!」
「ずいぶんとご執心ねえ……もうすぐあの子は終わりだというのに」
「……っ!」
アーレンは激昂した。今度は彼の魔力によって、近くにあった陶器の像が破裂し、壁にかかっていた絵画がガタンと落ちて折れた。
もはやこの部屋はひどいありさまだ。次に壊れるのはこのベッドかもしれない。
アーレンは必死に自分をなだめすかした。落ち着け。冷静になれ。トキネを助けるために。
しかしこの部屋から太陽の間のバルコニーへは遠すぎた。
「………」
「アーレン?」
アーレンはヴェレッタの両腕を押さえ込んだまま、静かにヴェレッタの唇に唇を重ねた。
ヴェレッタはうっとりした表情で目を閉じる。
しかし――
次には形相を変えた。その男を惑わす妖艶な美貌を、山姥のような表情へと。
キスをされたまま、アーレンの拘束を解こうと暴れようとする。しかしそこは男と女、アーレンのほうがはるかに力が強かった。アーレンはヴェレッタの唇に噛みつき傷をつけ、そして顔を離した。
ヴェレッタが唇から血を流しながら吠える。
「アーレン! お前……っ!」
「俺の魔力だけでは足りなそうなんでな」
アーレンはにやりと笑った。それは焦りを表に出すまいという、無理やりの顔だった。
「利用させてもらうぞ。お前の膨大な魔力、すべて」
「アーレン!」
力を、奪い取る。その方法は二種類ある。相手の魔力を暴走させ、溢れさせてそれを吸い取る方法。そして口づけや……その他深く触れ合うことで、相手の魔力を吸い取る方法。
そして一度きっかけさえ作ってしまえば、魔力はひたすら奪われていくだけだ。奪う側がやめない限り、とまらない。
「よくもトキネを……」
アーレンはヴェレッタの片腕を解放し、代わりにその首を絞めた。
ヴェレッタの呼吸が乱れた。魔力を奪われながら、彼女はひたすらに力を失っていく。
代わりにアーレンの魔力が膨れあがり、部屋中に金色の輝きが満ちた。ヴェレッタの魔力を奪ったことで、彼の魔力が無尽蔵に膨らんでいく。部屋中にある小物を破壊しながら。ベッドのシーツを焼きながら。
「―――!?」
私はぞっと全身から脂汗を噴き出しました。
黒い煙の正体が理解できたわけではありませんでした。けれど本能が訴えている。――これは危険なものだ、と。
目の前ではジュレーヌ皇女がまだ襲われています。皇女様は身軽に避けていましたが、限界があるはずです。
止めないと。魔法陣を発動させないと。
でも。
「ひっ……」
私は悲鳴を上げました。体の中に何かが入り込んでくる。大いなる波が。これは――魔力!
私の魔力が、それに反応して大きく荒れました。体を侵し始めた魔力から逃げるように。混ざり合うのを拒絶するように!
描いていた魔法陣が消え去りました。私の両手から煙が立ちました。いつぞやと同じ、血の色の煙――
「トキネ! 駄目、魔力の暴走よ!」
「……っ、……!」
グロリア様の声に必死でうなずいて返します。魔力を暴走させない訓練ならあれほどやってきました。落ち着いて呼吸をして、自分の魔力の流れを感じて、その流れを整えて――
なのに。
「どうして……っ!?」
魔力が思い通りになってくれない。侵入してきた他人の魔力が無理やり私の魔力を犯し、蹂躙していく。
この魔力は誰のもの――!?
私はたまらず膝をつき、頭を抱えました。
逃げだそうとした魔力が膨大に体外へと膨れあがり、
「きゃあああっ!」
広がった私の魔力に当てられて、グロリア様が、ルルシーラ王女が、そしてジュレーヌ皇女とそれを襲っていた男までもが、全員吹き飛ばされました。バルコニーの手すりに体を叩きつけられ、皆ぐったりと崩れ落ちていきます。
視界の片隅に、くくと笑うローブの男がいました。その男から立ち昇る黒い黒い蛇のようにのたくる煙。
――イディアス!
イディアスがつかつか私に歩み寄ってきます。そして私の首をガッと掴みました。
「く……るし……」
「あいにくだが今回貴様の魔力は私が抑えている。アーレンには届かんぞ」
うめく私を無視したイディアスの目は、フードの陰でも分かるほどにらんらんと輝いていました。
――もう様なんてつけていられない。この事態はこの男が起こしたことだと、私はとっさに察しました。
「貴様の魔力はもらう……! さすれば薬もできよう、大人しく力を寄越せ……!」
私の体外へ出た魔力がイディアスの体に吸い込まれていくのが分かります。
そして、体内の魔力も。イディアスの魔力に犯され弱った私の魔力が、奪われようとしている――
一度は倒れたグロリア様が立ち上がり、イディアスに組み付きました。
「やめて! トキネを放して! ――誰か!」
すぐに、一人の男性が姿を現しました。「イディアス!」と声を上げてやってきたのは国王陛下の弟、ロンバルディア公!
「貴様何をしている! 狙うのは皇女だと話しておいただろう!」
なに? 何の話をしているの?
息ができず苦しさに途絶えそうになる意識をかき集めて、私はその会話を聞きました。
イディアスはうるさそうに、
「公爵。あいにくですが私が忠誠を誓っているのはあなたではない」
「う……そ、そうよ叔父様。イディアス、そのままやってしまいなさい……!」
苦しげな息でそれでもイディアスに命じるのはルルシーラ王女。
今回は火傷は負わせなかったのでしょうか? みんなは無事……? ジュレーヌ皇女様は? ああ。
しかしイディアスは心底面倒くさそうな声で、
「わがままな王女ごときめが。貴様のような女に大切な薬をやるものか――」
低く、陰鬱に囁かれた言葉は、たぶん私にしか聞こえなかったでしょう。
イディアスは王家に忠誠を誓っているのではなかった……?
だとしたら、彼はいったい誰のために薬を作ろうとしているの?
「う……」
それ以上考えるには酸素が足りませんでした。私は喘ぎながら、それでも指先を空中に躍らせました。
「なに……? まだ魔法が使えるだと……?」
「………」
アーレン様に教えてもらった、もうひとつの魔法。
小さな小さな魔法陣。描くなりパンと弾けて消えました。
イディアスがせせら笑うのが聞こえました。
「ふん。力尽きたか」
そして私の魔力を奪う作業に没頭する――
私は目を閉じました。大丈夫、魔法陣は発動した。
あれはアーレン様が教えてくれた緊急時用の魔法。そして、
ぴく、とアーレンは反応した。
(トキネの魔法……緊急事態を報せるための)
とても小さく簡単な魔法陣だが、それを発動させたらどこにいようともアーレンに伝わる、そんな魔法だ。
「ヴェレッタ! トキネに何をした……!」
アーレンはヴェレッタをベッドへ押し倒す。両腕を押さえ込み、彼女の動きを封じる。
ヴェレッタの全身からは青紫色の魔力が立ち昇っていた。
ほほほほ、とヴェレッタは楽しげに笑った。笑うたび、部屋の装飾具があちこちで破壊された。
今、ヴェレッタの精神状態は非常に危険なところにある。魔力の暴発は間近、綱渡りだ。
彼女は魔力を体外に溢れさせるだけでは飽き足らず、必ず何かを破壊して回る。夫と喧嘩しただけで王宮を破壊したその力はだてではない。
アーレンの心臓が焦りで大きく波打つ。トキネ。トキネは無事なのか。
あの緊急用の魔法は、トキネが魔法を使った位置をも報せる能力がある。そこは太陽の間から繋がるバルコニーだった。なぜそんなところにいるのだ? 人疲れして新鮮な空気でも求めに行ったのか。
いや――今はそんな細かいことを考えている場合ではない。
トキネが危機に瀕している。それだけが重要だ。アーレンはヴェレッタをにらみつけた。
「トキネに何をした! 言え!」
「ずいぶんとご執心ねえ……もうすぐあの子は終わりだというのに」
「……っ!」
アーレンは激昂した。今度は彼の魔力によって、近くにあった陶器の像が破裂し、壁にかかっていた絵画がガタンと落ちて折れた。
もはやこの部屋はひどいありさまだ。次に壊れるのはこのベッドかもしれない。
アーレンは必死に自分をなだめすかした。落ち着け。冷静になれ。トキネを助けるために。
しかしこの部屋から太陽の間のバルコニーへは遠すぎた。
「………」
「アーレン?」
アーレンはヴェレッタの両腕を押さえ込んだまま、静かにヴェレッタの唇に唇を重ねた。
ヴェレッタはうっとりした表情で目を閉じる。
しかし――
次には形相を変えた。その男を惑わす妖艶な美貌を、山姥のような表情へと。
キスをされたまま、アーレンの拘束を解こうと暴れようとする。しかしそこは男と女、アーレンのほうがはるかに力が強かった。アーレンはヴェレッタの唇に噛みつき傷をつけ、そして顔を離した。
ヴェレッタが唇から血を流しながら吠える。
「アーレン! お前……っ!」
「俺の魔力だけでは足りなそうなんでな」
アーレンはにやりと笑った。それは焦りを表に出すまいという、無理やりの顔だった。
「利用させてもらうぞ。お前の膨大な魔力、すべて」
「アーレン!」
力を、奪い取る。その方法は二種類ある。相手の魔力を暴走させ、溢れさせてそれを吸い取る方法。そして口づけや……その他深く触れ合うことで、相手の魔力を吸い取る方法。
そして一度きっかけさえ作ってしまえば、魔力はひたすら奪われていくだけだ。奪う側がやめない限り、とまらない。
「よくもトキネを……」
アーレンはヴェレッタの片腕を解放し、代わりにその首を絞めた。
ヴェレッタの呼吸が乱れた。魔力を奪われながら、彼女はひたすらに力を失っていく。
代わりにアーレンの魔力が膨れあがり、部屋中に金色の輝きが満ちた。ヴェレッタの魔力を奪ったことで、彼の魔力が無尽蔵に膨らんでいく。部屋中にある小物を破壊しながら。ベッドのシーツを焼きながら。
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