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3章 ルダマン帝国編
第164話 近くの町にて・・・
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森を抜ける頃、琉海はリーリアに気になることを聞いた。
「さっき、マルティアさんと話していたエルフの里とエルフの村ってなんだ?」
「エルフの里は私たちみたいなハイエルフが多く住んでいる場所よ。人間で言う都市みたいなところ。私と師匠もそこの出身よ。そして、エルフの村は至る所に点在している少数のエルフが住んでいる場所のこと。大体は森に住んでいるわ。ルダマン帝国内の森にもエルフの村があるから、そこに私が伝達しに行くのよ」
「なるほど……でも、なんでエルフの里には行きたくなかったんだ?」
里帰りできるのは嬉しいことだと思う。
特に琉海は帰る方法が見つかっていない現状は余計にそう思ってしまう。
「それは……」
リーリアは言い淀むが、ため息を吐いた後――
「両親が結婚しろってうるさいからよ」
エルフも早く結婚しろと急かされるようだ。
琉海たちが反応に困っていると思ったのか、リーリアは発狂した。
「ああーもう、だから言いたくないのよ。別に結婚なんてしなくてもいいでしょ!」
「あ、ああ、そう思うよ」
突然、頭を掻きむしってこちらを睨んで来たリーリアの気迫に負けて琉海は頷いた。
それからも雑談をして進むと森を抜け、道となっている場所に出た。
そのまま、道なりに進むと町が見えてくる。
町に着くころには日が昇り、朝を迎えていた。
町の門にはすでに列ができており、リーリアも最後尾に並びんだ。
琉海たちもそれに倣った。
順番が進んでいくと琉海たちの後ろにも列ができてくる。
すると、後方が騒がしくなった。
「あれって……」
「はじめて見た……」
「おい、マジかよ……」
「こんな辺境の町に……」
後ろから順に気づき、片膝を突いて頭を垂れる。
リーリアもそれに気づて片膝を突こうとしたが、琉海とエアリスが平然と立っていたため、慌てて二人の頭を伏せさせた。
「何するのよ!」
エアリスが後ろからリーリアに頭を掴まれて怒るけど、リーリアは丁寧に対応する余裕がなかったようで、扱いが御座なりになる。
「喋らないで! 今はジッとしてて!」
リーリアの小さい声は、切羽詰まっているのは感じられた。
エアリスも感じたのか大人しくなった。
琉海三人の前を騎馬隊が通る。
琉海には馬の脚しか見えなかった。
だが、どんな人間が通ったのか気になり、通り過ぎたあとに顔を上げた。
瞬間、馬上の一人が振り返った。
それに気づき、琉海はすぐに顔を伏せる。
(あぶなかった……)
結局よく見ることはできなかった。
「さっき、マルティアさんと話していたエルフの里とエルフの村ってなんだ?」
「エルフの里は私たちみたいなハイエルフが多く住んでいる場所よ。人間で言う都市みたいなところ。私と師匠もそこの出身よ。そして、エルフの村は至る所に点在している少数のエルフが住んでいる場所のこと。大体は森に住んでいるわ。ルダマン帝国内の森にもエルフの村があるから、そこに私が伝達しに行くのよ」
「なるほど……でも、なんでエルフの里には行きたくなかったんだ?」
里帰りできるのは嬉しいことだと思う。
特に琉海は帰る方法が見つかっていない現状は余計にそう思ってしまう。
「それは……」
リーリアは言い淀むが、ため息を吐いた後――
「両親が結婚しろってうるさいからよ」
エルフも早く結婚しろと急かされるようだ。
琉海たちが反応に困っていると思ったのか、リーリアは発狂した。
「ああーもう、だから言いたくないのよ。別に結婚なんてしなくてもいいでしょ!」
「あ、ああ、そう思うよ」
突然、頭を掻きむしってこちらを睨んで来たリーリアの気迫に負けて琉海は頷いた。
それからも雑談をして進むと森を抜け、道となっている場所に出た。
そのまま、道なりに進むと町が見えてくる。
町に着くころには日が昇り、朝を迎えていた。
町の門にはすでに列ができており、リーリアも最後尾に並びんだ。
琉海たちもそれに倣った。
順番が進んでいくと琉海たちの後ろにも列ができてくる。
すると、後方が騒がしくなった。
「あれって……」
「はじめて見た……」
「おい、マジかよ……」
「こんな辺境の町に……」
後ろから順に気づき、片膝を突いて頭を垂れる。
リーリアもそれに気づて片膝を突こうとしたが、琉海とエアリスが平然と立っていたため、慌てて二人の頭を伏せさせた。
「何するのよ!」
エアリスが後ろからリーリアに頭を掴まれて怒るけど、リーリアは丁寧に対応する余裕がなかったようで、扱いが御座なりになる。
「喋らないで! 今はジッとしてて!」
リーリアの小さい声は、切羽詰まっているのは感じられた。
エアリスも感じたのか大人しくなった。
琉海三人の前を騎馬隊が通る。
琉海には馬の脚しか見えなかった。
だが、どんな人間が通ったのか気になり、通り過ぎたあとに顔を上げた。
瞬間、馬上の一人が振り返った。
それに気づき、琉海はすぐに顔を伏せる。
(あぶなかった……)
結局よく見ることはできなかった。
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