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3章 ルダマン帝国編
第162話 偽装と撤収
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〝剣帝〟のエリ・ルブランシュは砦からザーガスの最後を見届けた。と言っても実際に視たのは副官のスレイカ・シブラウスだった。
一部始終漏らさず視ていた。
そして、最後にスレイカからもたらされた情報はザーガスの死だった。
最後の方は人間とは思えない威圧感をまき散らしていたとのこと。さらに、何かを飲んでいたことが報告された。
「何か飲んでいた?」
「はい。何かを飲んだ瞬間にザーガスの雰囲気が一気に変化し、獣のような動きに変わっていました」
エリは顎に手を当て深慮する。
「そういえば、帝国内でも突然、暴走した人間の話は出ていたはず」
「はい。様々な場所で突然狂暴化した事件はありましたけど……まさか!」
「無関係じゃないでしょうね」
エリ自身が見たわけではないので、断定はできない。
しかし、副官のスレイカが視たものは正確にエリに伝えられている。
現状、酷似箇所は多かった。
「帝国内の各所で起きた狂暴化の事件がどんなだったか正確な情報が欲しい。帝都に行く必要があるか」
帝都に行き、事件が起きた場所の情報を手に入れようと考えた。
「わかりました。では、この砦はどういたしましょうか」
エリは数瞬考え――
「ここは放棄。ここを切り盛りできるのが私たちだけになってしまった時点で想定外の状況だろう。それに帝国内が荒れている現状でスティルド王国と戦争をするのは得策じゃない」
「はい。では、帝国が関与した証拠は全て消し、賊が行ったように見せかけるようにいたします」
「ええ、それでお願い」
エリの考えを汲み取りスレイカは的確に行動をした。
砦内には〝剣帝〟の部隊以外に少数だが、ザーガスたちの兵士もいた。
彼らは状況を理解できていなかったため、森に攻め入った部隊が全滅したことを伝えた。
最初は信じない者ややり返しに行くと復讐心を燃やす者もいたが、、『撤退』が〝剣帝〟の命令だと言うと大人しく撤収作業に取り掛かった。
〝剣帝〟の配下たちが率先して命令を遂行したことで予定より早く撤収することになった。
後に定期連絡が来なかったことでスティルド王国は砦に兵を向かわせた。
そして、砦内が荒らされ、物品が全て取られた状態となっていた。
すぐにスティルド国王へ報告が上がり、調査がされたが、〝剣帝〟の配下が優秀だったからか、ルダマン帝国の仕業だという確証は得られなかった。
一部始終漏らさず視ていた。
そして、最後にスレイカからもたらされた情報はザーガスの死だった。
最後の方は人間とは思えない威圧感をまき散らしていたとのこと。さらに、何かを飲んでいたことが報告された。
「何か飲んでいた?」
「はい。何かを飲んだ瞬間にザーガスの雰囲気が一気に変化し、獣のような動きに変わっていました」
エリは顎に手を当て深慮する。
「そういえば、帝国内でも突然、暴走した人間の話は出ていたはず」
「はい。様々な場所で突然狂暴化した事件はありましたけど……まさか!」
「無関係じゃないでしょうね」
エリ自身が見たわけではないので、断定はできない。
しかし、副官のスレイカが視たものは正確にエリに伝えられている。
現状、酷似箇所は多かった。
「帝国内の各所で起きた狂暴化の事件がどんなだったか正確な情報が欲しい。帝都に行く必要があるか」
帝都に行き、事件が起きた場所の情報を手に入れようと考えた。
「わかりました。では、この砦はどういたしましょうか」
エリは数瞬考え――
「ここは放棄。ここを切り盛りできるのが私たちだけになってしまった時点で想定外の状況だろう。それに帝国内が荒れている現状でスティルド王国と戦争をするのは得策じゃない」
「はい。では、帝国が関与した証拠は全て消し、賊が行ったように見せかけるようにいたします」
「ええ、それでお願い」
エリの考えを汲み取りスレイカは的確に行動をした。
砦内には〝剣帝〟の部隊以外に少数だが、ザーガスたちの兵士もいた。
彼らは状況を理解できていなかったため、森に攻め入った部隊が全滅したことを伝えた。
最初は信じない者ややり返しに行くと復讐心を燃やす者もいたが、、『撤退』が〝剣帝〟の命令だと言うと大人しく撤収作業に取り掛かった。
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後に定期連絡が来なかったことでスティルド王国は砦に兵を向かわせた。
そして、砦内が荒らされ、物品が全て取られた状態となっていた。
すぐにスティルド国王へ報告が上がり、調査がされたが、〝剣帝〟の配下が優秀だったからか、ルダマン帝国の仕業だという確証は得られなかった。
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