26 / 290
1章 異世界突入編
第26話 オリジン
しおりを挟む
「そういえば、あの武器を作れるのも精霊術なのか?」
「ええ、精霊術よ。あれは私のオリジン」
「オリジン?」
聞き慣れない言葉に琉海は首を傾げた。
「オリジンっていうのは、高位精霊が持つ特殊能力みたいなものよ。その精霊しか扱うことのできないオリジナルの精霊術なの。身体強化は精霊と契約すれば、誰でも使えるけど、創造は私と契約している人間――つまり、ルイにしか使うことができない精霊術なのよ」
エアリスは汎用精霊術とオリジンの違いを教えてくれた。
汎用精霊術は水、火、風、土、雷など、自然に存在するものを具象化し操ることができる。
オリジンの場合は、この世に存在しないものを作り出したり、催眠をかけたりと、その精霊独自の精霊術を持っているようだ。
「でも、高位精霊には滅多に会わないでしょうし、契約してなければ宝の持ち腐れのようなものだから気にしなくていいわよ」
「ああ、そうか。精霊術にはマナが必要だから、使うには人間と契約する必要があるのか」
「そういうこと。一番警戒しないといけないのは、精霊と契約している人間よ」
なるほどと琉海は頷く。
「話が逸れちゃったわね。話を戻すと、今のルイなら私のオリジン『創造』を使うことができると思うわよ。マナの生成を試してみて」
琉海はエアリスに従って、マナを生成する。
「マナの生成はできているわね。それじゃあ、何か物をイメージしてみて」
「なんでもいいのか?」
「複雑なものじゃなければね」
「そうだな……」
琉海はパッと思いついたものを想像する。
すると、マナが消えて手元が光る。
光は次第に形を成す。
この感覚ははじめて剣を生み出したときと同じだ。
形が固定されて姿を現した。
手に収まるのはイメージ通りのもの。
片刃の剣。
日本では戦国時代に使われた武器。
刀だ。
「へえ、見たことのない剣ね」
「刀っていう武器だよ」
琉海は軽く振ってみた。
「これってどのくらい持つんだ?」
「消費したマナによって違うわよ。さっきルイが使ったマナだと使わなければ、一〇年ぐらいは持つんじゃないかしら」
「じ、一〇年も……」
「そのままならね。でも、ルイが身体強化状態で使ったら数分持つかどうかじゃない」
なるほど、身体強化を使用しての戦闘となると、その状態で武器がどれだけ耐えられるかを考える必要があるのか。
「それと、人間は武器に魔力を通して属性を付与したりもしていたかしら……」
エアリスは昔を思い出すように顎に手を添える。
ただ、この技法は人間たちの手法のためエアリスは説明できないらしい。
「でも、別に必要ないかもしれないわね。私の『創造』で火を纏う剣や凍らせる剣ぐらいなら作れるから」
「なら、それも試してみるか」
エアリスにやり方を教わって試してみる。
創造するのは、炎を纏う剣。
琉海の手元に集められたマナは形を作ろうとする。
そして、現実世界に顕現する。
手には剣が収まっていた。
ただし、創造できたのはただ耐久力の高い剣だった。
振っても何も起こらない。
「あれ? なんでできないのよ」
エアリスは首を傾げた。
炎を纏う剣は創造できなかった。なら、森の結界を破壊したときの剣はどうだろうか。
「今の俺でも結界を破壊したときの剣を作ることはできないのか?」
「あれはかなり複雑なのよ。あの森に住む多くの低位精霊にも協力してもらったし。でも、簡単な単一の属性を付与させるぐらいなら私一人でもなんとかなるはずなんだけど……」
エアリスは「どうしてかしら」と悩んでいた。
まあ、できないことに時間を使うほど余裕もない。
アンリを助け出さなければならないのだから。
「エアリス、とりあえず教わるものは教わった。この村を出て、アンリを追いたいと思うんだけど」
「ええ、思ってたよりもだいぶ早いけど、大丈夫じゃない。魔物ぐらいなら、瞬殺できるでしょうし」
エアリスの言葉に内心冗談だろと思いつつも頷いた。
「ええ、精霊術よ。あれは私のオリジン」
「オリジン?」
聞き慣れない言葉に琉海は首を傾げた。
「オリジンっていうのは、高位精霊が持つ特殊能力みたいなものよ。その精霊しか扱うことのできないオリジナルの精霊術なの。身体強化は精霊と契約すれば、誰でも使えるけど、創造は私と契約している人間――つまり、ルイにしか使うことができない精霊術なのよ」
エアリスは汎用精霊術とオリジンの違いを教えてくれた。
汎用精霊術は水、火、風、土、雷など、自然に存在するものを具象化し操ることができる。
オリジンの場合は、この世に存在しないものを作り出したり、催眠をかけたりと、その精霊独自の精霊術を持っているようだ。
「でも、高位精霊には滅多に会わないでしょうし、契約してなければ宝の持ち腐れのようなものだから気にしなくていいわよ」
「ああ、そうか。精霊術にはマナが必要だから、使うには人間と契約する必要があるのか」
「そういうこと。一番警戒しないといけないのは、精霊と契約している人間よ」
なるほどと琉海は頷く。
「話が逸れちゃったわね。話を戻すと、今のルイなら私のオリジン『創造』を使うことができると思うわよ。マナの生成を試してみて」
琉海はエアリスに従って、マナを生成する。
「マナの生成はできているわね。それじゃあ、何か物をイメージしてみて」
「なんでもいいのか?」
「複雑なものじゃなければね」
「そうだな……」
琉海はパッと思いついたものを想像する。
すると、マナが消えて手元が光る。
光は次第に形を成す。
この感覚ははじめて剣を生み出したときと同じだ。
形が固定されて姿を現した。
手に収まるのはイメージ通りのもの。
片刃の剣。
日本では戦国時代に使われた武器。
刀だ。
「へえ、見たことのない剣ね」
「刀っていう武器だよ」
琉海は軽く振ってみた。
「これってどのくらい持つんだ?」
「消費したマナによって違うわよ。さっきルイが使ったマナだと使わなければ、一〇年ぐらいは持つんじゃないかしら」
「じ、一〇年も……」
「そのままならね。でも、ルイが身体強化状態で使ったら数分持つかどうかじゃない」
なるほど、身体強化を使用しての戦闘となると、その状態で武器がどれだけ耐えられるかを考える必要があるのか。
「それと、人間は武器に魔力を通して属性を付与したりもしていたかしら……」
エアリスは昔を思い出すように顎に手を添える。
ただ、この技法は人間たちの手法のためエアリスは説明できないらしい。
「でも、別に必要ないかもしれないわね。私の『創造』で火を纏う剣や凍らせる剣ぐらいなら作れるから」
「なら、それも試してみるか」
エアリスにやり方を教わって試してみる。
創造するのは、炎を纏う剣。
琉海の手元に集められたマナは形を作ろうとする。
そして、現実世界に顕現する。
手には剣が収まっていた。
ただし、創造できたのはただ耐久力の高い剣だった。
振っても何も起こらない。
「あれ? なんでできないのよ」
エアリスは首を傾げた。
炎を纏う剣は創造できなかった。なら、森の結界を破壊したときの剣はどうだろうか。
「今の俺でも結界を破壊したときの剣を作ることはできないのか?」
「あれはかなり複雑なのよ。あの森に住む多くの低位精霊にも協力してもらったし。でも、簡単な単一の属性を付与させるぐらいなら私一人でもなんとかなるはずなんだけど……」
エアリスは「どうしてかしら」と悩んでいた。
まあ、できないことに時間を使うほど余裕もない。
アンリを助け出さなければならないのだから。
「エアリス、とりあえず教わるものは教わった。この村を出て、アンリを追いたいと思うんだけど」
「ええ、思ってたよりもだいぶ早いけど、大丈夫じゃない。魔物ぐらいなら、瞬殺できるでしょうし」
エアリスの言葉に内心冗談だろと思いつつも頷いた。
57
お気に入りに追加
235
あなたにおすすめの小説
明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
異世界でお取り寄せ生活
マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。
突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。
貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。
意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。
貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!?
そんな感じの話です。
のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。
※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。
移転した俺は欲しい物が思えば手に入る能力でスローライフするという計画を立てる
みなと劉
ファンタジー
「世界広しといえども転移そうそう池にポチャンと落ちるのは俺くらいなもんよ!」
濡れた身体を池から出してこれからどうしようと思い
「あー、薪があればな」
と思ったら
薪が出てきた。
「はい?……火があればな」
薪に火がついた。
「うわ!?」
どういうことだ?
どうやら俺の能力は欲しいと思った事や願ったことが叶う能力の様だった。
これはいいと思い俺はこの能力を使ってスローライフを送る計画を立てるのであった。
転生したから思いっきりモノ作りしたいしたい!
ももがぶ
ファンタジー
猫たちと布団に入ったはずが、気がつけば異世界転生!
せっかくの異世界。好き放題に思いつくままモノ作りを極めたい!
魔法アリなら色んなことが出来るよね。
無自覚に好き勝手にモノを作り続けるお話です。
第一巻 2022年9月発売
第二巻 2023年4月下旬発売
第三巻 2023年9月下旬発売
※※※スピンオフ作品始めました※※※
おもちゃ作りが楽しすぎて!!! ~転生したから思いっきりモノ作りしたいしたい! 外伝~
クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~
はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。
俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。
ある日の昼休み……高校で事は起こった。
俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。
しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。
……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる