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1章 異世界突入編
第16話 14日後
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琉海がこの村で世話になって一四日が過ぎた。
生活にも慣れて、村の住人からの警戒は薄れてきた。
挨拶を交わすぐらいには打ち解けている。
「じゃあ、今日も一日がんばりますか」
アンリが洗濯物の入った籠を持って干場に持っていく。
琉海も一緒に洗濯物を運んだ。
干場で洗濯物を干していると遠くから何かの音が聞こえた気がした。
「ん? なんか来る?」
琉海は村の入り口に視線を向ける。
一四日間この村で生活していた中で聞いたことのない音だった。
「どうしたの?」
入り口を気にする琉海にアンリが声をかけた。
この干場から入り口まではそれなりに距離がある。
この遠さだと聞き取りづらいのかもしれない。
次第に大きくなってくるドタドタと騒がしい音が近づいていた。
そして、数十秒すると――
「これって……!?」
アンリは表情を険しくして入口に視線を向けた。
ジッと視線を固定した状態で数秒――アンリは洗濯物を放り出し、駆け出した。
あまりの変化に琉海もアンリを追う。
アンリが向かったのはヤンばあの家。
「おばあちゃん! いる?」
アンリが玄関の扉を開け大声で呼ぶ。
「なんだい。騒々しいね」
「おばあちゃん、奴らが来たかもしれない!」
アンリの言葉でヤンばあの目が鋭くなる。
「それは本当かい?」
「わからないけど、馬の足音が聞こえた。もう、すぐそこまで来てると思う」
「わかった。儂が様子を見て来る。アンリは琉海と逃げられるように準備をしておくのじゃ」
「おばあちゃん……」
心配そうにヤンばあを見るアンリ。
「わかったら、さっさと支度をしなされ!」
手を振って急かす。
ヤンばあの声に強い威圧感があった。
その声で肩をびくッとさせたアンリは頷いて家の中に入っていく。
ヤンばあは普段と変わらない足取りで家を出ようとする。
「勝手なことかもしれんが、アンリのこと、頼んだぞ」
琉海とすれ違う瞬間、ヤンばあはそう言い残して家を出ていった。
「何がどうなっているんだ?」
状況に置いてかれている琉海はそう呟くことしかできなかった。
生活にも慣れて、村の住人からの警戒は薄れてきた。
挨拶を交わすぐらいには打ち解けている。
「じゃあ、今日も一日がんばりますか」
アンリが洗濯物の入った籠を持って干場に持っていく。
琉海も一緒に洗濯物を運んだ。
干場で洗濯物を干していると遠くから何かの音が聞こえた気がした。
「ん? なんか来る?」
琉海は村の入り口に視線を向ける。
一四日間この村で生活していた中で聞いたことのない音だった。
「どうしたの?」
入り口を気にする琉海にアンリが声をかけた。
この干場から入り口まではそれなりに距離がある。
この遠さだと聞き取りづらいのかもしれない。
次第に大きくなってくるドタドタと騒がしい音が近づいていた。
そして、数十秒すると――
「これって……!?」
アンリは表情を険しくして入口に視線を向けた。
ジッと視線を固定した状態で数秒――アンリは洗濯物を放り出し、駆け出した。
あまりの変化に琉海もアンリを追う。
アンリが向かったのはヤンばあの家。
「おばあちゃん! いる?」
アンリが玄関の扉を開け大声で呼ぶ。
「なんだい。騒々しいね」
「おばあちゃん、奴らが来たかもしれない!」
アンリの言葉でヤンばあの目が鋭くなる。
「それは本当かい?」
「わからないけど、馬の足音が聞こえた。もう、すぐそこまで来てると思う」
「わかった。儂が様子を見て来る。アンリは琉海と逃げられるように準備をしておくのじゃ」
「おばあちゃん……」
心配そうにヤンばあを見るアンリ。
「わかったら、さっさと支度をしなされ!」
手を振って急かす。
ヤンばあの声に強い威圧感があった。
その声で肩をびくッとさせたアンリは頷いて家の中に入っていく。
ヤンばあは普段と変わらない足取りで家を出ようとする。
「勝手なことかもしれんが、アンリのこと、頼んだぞ」
琉海とすれ違う瞬間、ヤンばあはそう言い残して家を出ていった。
「何がどうなっているんだ?」
状況に置いてかれている琉海はそう呟くことしかできなかった。
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