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最後の希望
望み
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クロード視点
クロード「…………」
クロード 「王政を終わらせてくれ」………か………
シューフェストのいた部屋から出て外に風を感じに行き、兄に言われた言葉を頭の中でリピートしていた
クロード 最後の望みが自らの死なんて………そこまで追い込まれていた証拠だ………
シューフェストは長い間精神的にも追い込まれていた………そんな中でクロードとミーファを守る為に、自ら悪役を買って出て心にも深い傷を受けてきた
クロード「…………」
クロード クマーガさんには許可を貰ってる………でも俺もやったことがない………
クロードはクロウドの兄 リューが眠る部屋に来て、冷たいリューの手を握って静かに意識を集中する………鈍い音と共にクロードが目を開けるとそこは真っ白な世界
クロード「成功………したのかな」
リュー「君は誰?」
クロード「アールシキールの息子 クロード 貴方の父であるクマーガさんの次男 クロウドの恋人」
リュー「クロウドの?」
白い世界にいたのは眠っているはずのリュー………クロードがやったのは意識のない人の意識の中に入ること………成功するか分からなかったが成功した
リュー「どうやってここに?」
クロード「全意識を集中させた」
リュー「凄いな………流石アールシキール様の息子だ」
リューはクロードとは会ったことが無い(他の人はある)
リュー「どうしてここに?」
クロード 予想外に少し幼い感じだな………寝てるからってのもあるんだろうけど
クロード「………近々シューフェストは処刑される 仮に処刑されなくても持病で死ぬ」
リュー「…………」
クロード「兄は死を望んだ そしてずっと貴方と会える日を待ち続けている ………可能なら処刑までに起きて欲しい そして兄と会って欲しい それを伝えに来た」
リュー「………善処する」
リューのその言葉を聞いてクロードは頷き、クロードはそのまま元の世界に戻る
ミーファ「………また寝てる」
クロード「そっとしといた方がいいよ 元々気を抜ける場所がなかったんだから」
ミーファ「気が抜けないから心配するのよ」
元の世界に戻るとミーファが城内の、外に出られる場所でシューフェストが寝ているのを心配していた
クロード 兄さんが元々寝ている時間が多いのは知ってたけど……前よりも悪化してる………
それも普通に寝ているのではなくうたた寝や居眠り、もしくは気絶しているということが本当に多いのだ
クロード「兄さん」
シューフェスト「?どうした?」
クロード「寝てただけか………」
シューフェスト「そうだけど………」
クロード 一瞬死んでるのかと思った………眠りが深いのは知ってたけど………
シューフェストは時々死んだのではないかと思うくらい、呼吸が止まっておりミーファが心配するのも無理はない
クロード「呼吸止まってたよ」
シューフェスト「まじか」
クロード「………笑い事じゃないからね 兄さん」
クロード 本人にその自覚がないからだけど………この調子じゃ処刑されずとも2ヶ月も持たないだろ………
兄の命が何故後2ヶ月しかないのかが分かりつつ………クロードはリューの意識が浮上しだしているのを感じた
クロード 起きようとしてる………間に合えばいいけど………
もし間に合わなくとも………処刑は実行されるが………少なくとも精神面でダメージが変わる
クロード「………後4日」
シューフェスト「優しいな 早めにしてくれたのか」
クロード「…………」
シューフェストはもう痛みから解放されたかった………終わることの無い痛みに………もう心が悲鳴をあげていた
クロード「………兄さん 来て」
クロードがそう言ってシューフェストを立たせある場所へ行く
シューフェスト「特殊な部屋だな 何の部屋だ?」
クロード「俺が個人的に作った俺専用の訓練室」
シューフェスト「広いな」
クロードが連れてきたのは自分専用の訓練室で、部屋自体が特殊加工であるためシューフェストに剣を投げる
シューフェスト「ちょっ?!……………あれ?持てる………?」
クロード「言っただろ 「俺専用の訓練室」だって 特殊加工でありとあらゆる傷や病をこの部屋では癒せる だから兄さんも痛みなく持てるだろ?」
シューフェスト「そう………だな 痛みも何も無いし………こうして剣を持てるんだ 本当なんだな」
シューフェストはそう言いながら剣を持ちながら嬉しそうな顔をする
シューフェスト「それで?俺を何故ここに?」
クロード「手合わせをしたい」
シューフェスト「いいよ」
クロード あっさりOK………
クロード「!!!!!」
クロードがあっさりとした返答に驚いている間に、シューフェストが間合いを詰め背後から攻撃を仕掛けてきた
シューフェスト「遅い 今ので3回は死んでるぞ」
クロード「いや………6回だよ」
クロード 瞬きをしている時点で3回………そして武器を構えるまでに2回………さらにわざと方向を変えてなければもう1回死んでた
シューフェスト「冷静な自己分析はいいが 折れるぞ」
クロード「グッ………」
シューフェストの一撃は信じられないくらい重く、クロードが足にかなりの力を入れて、漸く今たっている状態で反撃できない
「バギィン!!」
クロード「くっ」
シューフェスト「弱いなクロード そんなんじゃ国を守ることは出来ないぞ」
事実シューフェストが強すぎるのだ 13歳という若さで「最強」と呼ばれていた実力や、そこまで到達するまでにしてきた努力………そしてキャリアもシューフェストの方が圧倒的に上である
クロード「兄さんが強すぎるんだよ」
シューフェスト「武器変えながらそうこう言ってるうちに4回死んでるぞ」
クロード「くっ」
クロード 攻撃1つ1つが重すぎる………片手であそこまでの重さなら両手だったら軽く10回は死ぬ………
クマーガ「クロードが圧されているな」
アールシキール「13歳の若さで「最強」と呼ばれた騎士だ クロードではまだ手も足も及ばん」
クロウド「冷静ですね」
クロウ「兄さんあそこまで圧倒されることあるんだ………」
そしてクロードとシューフェストは手合わせに集中しすぎて、外で4人が手合わせを見ていたのを知らない………
~数時間後~
シューフェスト「………そろそろ出た方がいいんじゃないか?」
クロード「…………そうだね………」
完全に疲労困憊になってしまったクロードに、シューフェストが逆に気を使う
クロウド「クロード様、シューフェスト様 飲み物をどうぞ」
クロード「ありがとう」
シューフェスト「クロード お前開けられないだろ」
クロード つか上で見てたなこいつ
クロード「いや………兄さん腕痛むでしょ」
疲労困憊ではあるがクロードは気遣いができ、なんとか自分の力を使ってボトルのキャップを開ける
シューフェスト「っ………」
クロウド「大丈夫ですか?」
シューフェスト「平気」
シューフェストは訓練室を出れば腕の痛みがあるため、痛みと格闘しながらも水を飲む
クマーガ「クロード 圧倒されてたな」
そしてシューフェストを部屋に戻してから、私室に帰り着替えていたクロードの元に、クマーガがやってきてそんなことを言う
クロード「クマーガさん」
クマーガ「アーキの息子である君があそこまで圧倒されるなんて………想像していなかった」
クロード「………軽く30回は死んでますからね 詳しくすればさらに死んでる」
クロード 攻撃の重さと俊敏さに対応しきれなくて………防御するので精一杯だった………
クマーガ「………強かったのか?」
クロード「防御するので精一杯でした それでも兄は本気を出してはいない………本気を出したらこの世界の強豪達ですら白旗を上げますよ」
シューフェストの隠された実力をその身で体感したクロードは、少し悲しそうな顔でそうクマーガに言った
クロード「親からの暴力がなければ………きっと今よりも大きい大国を総べる騎士兼王になっていた」
クマーガ「…………」
クロード「………兄の目にもう俺達は映らない 死を望んだ 痛みからの開放を望んでる」
クロードは兄の目に何も映らなくなったのを見てしまった………手合わせ中ですらその瞳に自分が映ることは無かった………
クロード「兄の望みを叶えたい 本当の………心の底にあるほんの僅かな望みを………」
クロードは静かにそう言った………
~4日後~
クロード「…………」
シューフェスト「…………」
リューン「…………」
クロウド「…………」
クマーガ「…………」
クロウ「…………」
アールシキール「…………」
4日後 処刑の日になりクロードはシューフェストを外へ連れ出した
シューフェスト「見納めだな この国も」
クロードが処刑に選んだ場所………それはシューフェストがリューに想いを告げた場所であり………国全体を見られる高台だった
シューフェスト「父が統制していた頃はここまで良き国じゃなかった………富裕層と貧困層がくっきり別れていて………何度父を殺そうかと思ったことか………ミーファが生まれクロードがこの国に来た時………「チャンスだ」と思った………戦いばかりしてきたから統制力がなかった俺は………変わらないこの国が下の2人の力なら………変えられると思った………だから容赦なくミーファを叩き上げたし………お前が軍兵の信頼を得られるよう根回しした………そうすることでこの国は貧富の差がなくなった………多少嫌われるのは辛かったが………この国が良くなるのなら………お前達が強くなるのなら………それでも構わなかった………両腕に力を無くした分………どうかこの国が戦わずしても強い国になってくれることを………ずっと願ってきた」
シューフェストは悪役を買って出たのも………クロードを突き放したのも………この国が良くなって欲しいという………王として人として願ったからだった
シューフェスト「クロード」
クロード「…………」
シューフェスト「悪かった お前を突き放して」
クロード「!」
シューフェストからその言葉が発せられた瞬間………クロードは溢れんばかりの優しさと愛しさに包まれていた………隠し通すのが上手いシューフェストはずっと隠していたのだ………クロードへの愛情を………優しさを………
シューフェスト「リューン お前が俺を好きでないことは知ってたよ いつもどこか上の空なのも知ってた だけど………ずっと待っている人物とお前が似ていたんだ………顔も性格も………それで手を出してしまった………済まなかった」
リューン「…………」
リューンは何も言わずに涙を流していた………シューフェストの最も近くにいながら………何も気がつけなかったから………
シューフェスト「この国はいい国だ 王が駄目だっただけで………緑も動物達も………人も豊かだ」
リュー「お前が愛し護ろうとした国だ 豊かでないはずがない」
シューフェスト「?!」
クマーガ「リュー………?」
シューフェストは思わず後ろを向いた………そこには25年間も待ち続けた恋人 リューが昔と変わらぬ服装で立っていた
リュー「………クロード様にシューが処刑されることを聞いた 25年もの間………ずっと待たせていたのに結局こんな形で会うことなった」
シューフェスト「リュー………」
リュー「25年も待たせてすまない………さっき目が覚めた」
リューはシューフェストに近寄り優しく抱きしめた………シューフェストの身長は176cmで、リューの身長は185cm………リューの方が身長が高くシューフェストが腕の中に納まった
リュー「死を望んだことも聞いた お前が苦しんでいるのを知らないで………ずっと眠ってた」
シューフェスト「…………」
リュー「クロード様」
クロード「………ああ」
リューはクロードを呼んだ………それが何を意味するのかもわかっていたクロードは、静かにリューに小太刀を渡した
シューフェスト「お前がやってくれるのか?」
リュー「俺にも責任はある お前だけに背負わせたりはしない」
シューフェスト「そうか」
シューフェストは優しく笑っていた………25年間も待ち続けた恋人にその人生を終わらせられるなら………むしろ本望とも言えるのだろう
リュー「必ず迎えに行く だからまた生まれてこい」
シューフェスト「その時はお前と同じ魔族がいいなぁ」
シューフェストはそう言いながらリューから少し離れ、両手を広げて「もう覚悟は出来てる」と言う
シューフェスト「愛してる リュー」
リュー「俺も愛してるよ シューフェスト」
その言葉を最後にリューはシューフェストの首の動脈を、持っていた小太刀で斬り大量の血飛沫を浴びながら、倒れそうになったシューフェストを抱きしめた
リュー「………っ………」
そして泣いていた………愛する人を自らの手で処刑し………シューフェストの人生の幕はリューの手によって下ろされた
シューフェストは愛する人の手で殺されることを望んだ………それがリューであれクロードであれ………その望みは叶えられた………
クロード「…………」
クロード 「王政を終わらせてくれ」………か………
シューフェストのいた部屋から出て外に風を感じに行き、兄に言われた言葉を頭の中でリピートしていた
クロード 最後の望みが自らの死なんて………そこまで追い込まれていた証拠だ………
シューフェストは長い間精神的にも追い込まれていた………そんな中でクロードとミーファを守る為に、自ら悪役を買って出て心にも深い傷を受けてきた
クロード「…………」
クロード クマーガさんには許可を貰ってる………でも俺もやったことがない………
クロードはクロウドの兄 リューが眠る部屋に来て、冷たいリューの手を握って静かに意識を集中する………鈍い音と共にクロードが目を開けるとそこは真っ白な世界
クロード「成功………したのかな」
リュー「君は誰?」
クロード「アールシキールの息子 クロード 貴方の父であるクマーガさんの次男 クロウドの恋人」
リュー「クロウドの?」
白い世界にいたのは眠っているはずのリュー………クロードがやったのは意識のない人の意識の中に入ること………成功するか分からなかったが成功した
リュー「どうやってここに?」
クロード「全意識を集中させた」
リュー「凄いな………流石アールシキール様の息子だ」
リューはクロードとは会ったことが無い(他の人はある)
リュー「どうしてここに?」
クロード 予想外に少し幼い感じだな………寝てるからってのもあるんだろうけど
クロード「………近々シューフェストは処刑される 仮に処刑されなくても持病で死ぬ」
リュー「…………」
クロード「兄は死を望んだ そしてずっと貴方と会える日を待ち続けている ………可能なら処刑までに起きて欲しい そして兄と会って欲しい それを伝えに来た」
リュー「………善処する」
リューのその言葉を聞いてクロードは頷き、クロードはそのまま元の世界に戻る
ミーファ「………また寝てる」
クロード「そっとしといた方がいいよ 元々気を抜ける場所がなかったんだから」
ミーファ「気が抜けないから心配するのよ」
元の世界に戻るとミーファが城内の、外に出られる場所でシューフェストが寝ているのを心配していた
クロード 兄さんが元々寝ている時間が多いのは知ってたけど……前よりも悪化してる………
それも普通に寝ているのではなくうたた寝や居眠り、もしくは気絶しているということが本当に多いのだ
クロード「兄さん」
シューフェスト「?どうした?」
クロード「寝てただけか………」
シューフェスト「そうだけど………」
クロード 一瞬死んでるのかと思った………眠りが深いのは知ってたけど………
シューフェストは時々死んだのではないかと思うくらい、呼吸が止まっておりミーファが心配するのも無理はない
クロード「呼吸止まってたよ」
シューフェスト「まじか」
クロード「………笑い事じゃないからね 兄さん」
クロード 本人にその自覚がないからだけど………この調子じゃ処刑されずとも2ヶ月も持たないだろ………
兄の命が何故後2ヶ月しかないのかが分かりつつ………クロードはリューの意識が浮上しだしているのを感じた
クロード 起きようとしてる………間に合えばいいけど………
もし間に合わなくとも………処刑は実行されるが………少なくとも精神面でダメージが変わる
クロード「………後4日」
シューフェスト「優しいな 早めにしてくれたのか」
クロード「…………」
シューフェストはもう痛みから解放されたかった………終わることの無い痛みに………もう心が悲鳴をあげていた
クロード「………兄さん 来て」
クロードがそう言ってシューフェストを立たせある場所へ行く
シューフェスト「特殊な部屋だな 何の部屋だ?」
クロード「俺が個人的に作った俺専用の訓練室」
シューフェスト「広いな」
クロードが連れてきたのは自分専用の訓練室で、部屋自体が特殊加工であるためシューフェストに剣を投げる
シューフェスト「ちょっ?!……………あれ?持てる………?」
クロード「言っただろ 「俺専用の訓練室」だって 特殊加工でありとあらゆる傷や病をこの部屋では癒せる だから兄さんも痛みなく持てるだろ?」
シューフェスト「そう………だな 痛みも何も無いし………こうして剣を持てるんだ 本当なんだな」
シューフェストはそう言いながら剣を持ちながら嬉しそうな顔をする
シューフェスト「それで?俺を何故ここに?」
クロード「手合わせをしたい」
シューフェスト「いいよ」
クロード あっさりOK………
クロード「!!!!!」
クロードがあっさりとした返答に驚いている間に、シューフェストが間合いを詰め背後から攻撃を仕掛けてきた
シューフェスト「遅い 今ので3回は死んでるぞ」
クロード「いや………6回だよ」
クロード 瞬きをしている時点で3回………そして武器を構えるまでに2回………さらにわざと方向を変えてなければもう1回死んでた
シューフェスト「冷静な自己分析はいいが 折れるぞ」
クロード「グッ………」
シューフェストの一撃は信じられないくらい重く、クロードが足にかなりの力を入れて、漸く今たっている状態で反撃できない
「バギィン!!」
クロード「くっ」
シューフェスト「弱いなクロード そんなんじゃ国を守ることは出来ないぞ」
事実シューフェストが強すぎるのだ 13歳という若さで「最強」と呼ばれていた実力や、そこまで到達するまでにしてきた努力………そしてキャリアもシューフェストの方が圧倒的に上である
クロード「兄さんが強すぎるんだよ」
シューフェスト「武器変えながらそうこう言ってるうちに4回死んでるぞ」
クロード「くっ」
クロード 攻撃1つ1つが重すぎる………片手であそこまでの重さなら両手だったら軽く10回は死ぬ………
クマーガ「クロードが圧されているな」
アールシキール「13歳の若さで「最強」と呼ばれた騎士だ クロードではまだ手も足も及ばん」
クロウド「冷静ですね」
クロウ「兄さんあそこまで圧倒されることあるんだ………」
そしてクロードとシューフェストは手合わせに集中しすぎて、外で4人が手合わせを見ていたのを知らない………
~数時間後~
シューフェスト「………そろそろ出た方がいいんじゃないか?」
クロード「…………そうだね………」
完全に疲労困憊になってしまったクロードに、シューフェストが逆に気を使う
クロウド「クロード様、シューフェスト様 飲み物をどうぞ」
クロード「ありがとう」
シューフェスト「クロード お前開けられないだろ」
クロード つか上で見てたなこいつ
クロード「いや………兄さん腕痛むでしょ」
疲労困憊ではあるがクロードは気遣いができ、なんとか自分の力を使ってボトルのキャップを開ける
シューフェスト「っ………」
クロウド「大丈夫ですか?」
シューフェスト「平気」
シューフェストは訓練室を出れば腕の痛みがあるため、痛みと格闘しながらも水を飲む
クマーガ「クロード 圧倒されてたな」
そしてシューフェストを部屋に戻してから、私室に帰り着替えていたクロードの元に、クマーガがやってきてそんなことを言う
クロード「クマーガさん」
クマーガ「アーキの息子である君があそこまで圧倒されるなんて………想像していなかった」
クロード「………軽く30回は死んでますからね 詳しくすればさらに死んでる」
クロード 攻撃の重さと俊敏さに対応しきれなくて………防御するので精一杯だった………
クマーガ「………強かったのか?」
クロード「防御するので精一杯でした それでも兄は本気を出してはいない………本気を出したらこの世界の強豪達ですら白旗を上げますよ」
シューフェストの隠された実力をその身で体感したクロードは、少し悲しそうな顔でそうクマーガに言った
クロード「親からの暴力がなければ………きっと今よりも大きい大国を総べる騎士兼王になっていた」
クマーガ「…………」
クロード「………兄の目にもう俺達は映らない 死を望んだ 痛みからの開放を望んでる」
クロードは兄の目に何も映らなくなったのを見てしまった………手合わせ中ですらその瞳に自分が映ることは無かった………
クロード「兄の望みを叶えたい 本当の………心の底にあるほんの僅かな望みを………」
クロードは静かにそう言った………
~4日後~
クロード「…………」
シューフェスト「…………」
リューン「…………」
クロウド「…………」
クマーガ「…………」
クロウ「…………」
アールシキール「…………」
4日後 処刑の日になりクロードはシューフェストを外へ連れ出した
シューフェスト「見納めだな この国も」
クロードが処刑に選んだ場所………それはシューフェストがリューに想いを告げた場所であり………国全体を見られる高台だった
シューフェスト「父が統制していた頃はここまで良き国じゃなかった………富裕層と貧困層がくっきり別れていて………何度父を殺そうかと思ったことか………ミーファが生まれクロードがこの国に来た時………「チャンスだ」と思った………戦いばかりしてきたから統制力がなかった俺は………変わらないこの国が下の2人の力なら………変えられると思った………だから容赦なくミーファを叩き上げたし………お前が軍兵の信頼を得られるよう根回しした………そうすることでこの国は貧富の差がなくなった………多少嫌われるのは辛かったが………この国が良くなるのなら………お前達が強くなるのなら………それでも構わなかった………両腕に力を無くした分………どうかこの国が戦わずしても強い国になってくれることを………ずっと願ってきた」
シューフェストは悪役を買って出たのも………クロードを突き放したのも………この国が良くなって欲しいという………王として人として願ったからだった
シューフェスト「クロード」
クロード「…………」
シューフェスト「悪かった お前を突き放して」
クロード「!」
シューフェストからその言葉が発せられた瞬間………クロードは溢れんばかりの優しさと愛しさに包まれていた………隠し通すのが上手いシューフェストはずっと隠していたのだ………クロードへの愛情を………優しさを………
シューフェスト「リューン お前が俺を好きでないことは知ってたよ いつもどこか上の空なのも知ってた だけど………ずっと待っている人物とお前が似ていたんだ………顔も性格も………それで手を出してしまった………済まなかった」
リューン「…………」
リューンは何も言わずに涙を流していた………シューフェストの最も近くにいながら………何も気がつけなかったから………
シューフェスト「この国はいい国だ 王が駄目だっただけで………緑も動物達も………人も豊かだ」
リュー「お前が愛し護ろうとした国だ 豊かでないはずがない」
シューフェスト「?!」
クマーガ「リュー………?」
シューフェストは思わず後ろを向いた………そこには25年間も待ち続けた恋人 リューが昔と変わらぬ服装で立っていた
リュー「………クロード様にシューが処刑されることを聞いた 25年もの間………ずっと待たせていたのに結局こんな形で会うことなった」
シューフェスト「リュー………」
リュー「25年も待たせてすまない………さっき目が覚めた」
リューはシューフェストに近寄り優しく抱きしめた………シューフェストの身長は176cmで、リューの身長は185cm………リューの方が身長が高くシューフェストが腕の中に納まった
リュー「死を望んだことも聞いた お前が苦しんでいるのを知らないで………ずっと眠ってた」
シューフェスト「…………」
リュー「クロード様」
クロード「………ああ」
リューはクロードを呼んだ………それが何を意味するのかもわかっていたクロードは、静かにリューに小太刀を渡した
シューフェスト「お前がやってくれるのか?」
リュー「俺にも責任はある お前だけに背負わせたりはしない」
シューフェスト「そうか」
シューフェストは優しく笑っていた………25年間も待ち続けた恋人にその人生を終わらせられるなら………むしろ本望とも言えるのだろう
リュー「必ず迎えに行く だからまた生まれてこい」
シューフェスト「その時はお前と同じ魔族がいいなぁ」
シューフェストはそう言いながらリューから少し離れ、両手を広げて「もう覚悟は出来てる」と言う
シューフェスト「愛してる リュー」
リュー「俺も愛してるよ シューフェスト」
その言葉を最後にリューはシューフェストの首の動脈を、持っていた小太刀で斬り大量の血飛沫を浴びながら、倒れそうになったシューフェストを抱きしめた
リュー「………っ………」
そして泣いていた………愛する人を自らの手で処刑し………シューフェストの人生の幕はリューの手によって下ろされた
シューフェストは愛する人の手で殺されることを望んだ………それがリューであれクロードであれ………その望みは叶えられた………
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