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ハーマ

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悪魔と情報屋

悪魔の秘事

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愛する家族と居場所を失い彼は光を失った………轟々と燃える炎を見ながら………


彼は幼い頃から孤独だった………

炎を見ると思い出すあの日のことを………全てを失い孤独になった日のことを………

死ぬことの出来ない身体を持て余し

彼は1人闇を歩く

光なき道をゆく

何世代もの世界を見………友を得ては失うの繰り返し

彼を知る者は彼を1人置いて逝く………彼の心に渦巻く轟々と燃える炎を知らず………

幾人もの友に先立たれとうとう友人を作ることをやめた彼に

強き光とその手を差し伸べたのは弟を失った悪魔と兄を失った天使だった………

彼は彼らに自分の持つ情報の全てを少しずつ明け渡した………そうして彼らもまた自分を置いて逝くのだと………

そう思っていた

しかし彼らはどんなに現状が地獄でも………情報屋のそばを離れなかった………

彼らもまた愛する人を失い生きる理由をなくしながら………運命によって死ぬことの出来ない身体を持て余していた………

愛する人を失った悪魔と天使

愛する家族と居場所を失った情報屋

同じ共通点を持つ2人に情報屋は少しずつ着実に心を開く………

いつしか彼は強き光と伸ばしてくれたその手を取り共に肩を並べて歩き出す

護り護られ愛し愛される………こんなにも幸せだったのはいつぶりだろうかと思いながら………

彼は愛しく誰よりも大切な強き光を持つ存在を手に入れた

彼は彼らのおかげでいつからか忘れてしまっていたその温もりと優しさを………失ったその居場所を得た


彼の心に渦巻いていたあの日の炎はもうなくなっていた


瑠海&ラミ視点(瑠海メイン)


失ったものは余りにも多い


その胸に秘める闇は深い

ラミ「お前  なんで俺を助けたんだ?」

瑠海  純粋にお前をただ助けたいと思った………それに理由なんてない………

瑠海「理由はない  ただ助けたいと思ったから助けた」

瑠海  それにお前………すごい苦しそうな顔をしてただろ………

ラミ「俺みたいなの助けてもなんにもならないぞ」

瑠海「別に見返り求めてるわけじゃなねぇから  つか体調まだ良くないのに仕事行くのか?」

ラミ「だいぶ和らいだ」

瑠海「人の忠告ほんと聞かねぇ奴だな  却下に決まってるだろ行かせるか」

瑠海  いつもの事ながらこの攻防戦はいつ終わりを迎えるんだろうか………

ラミ「なんでお前いつも俺が体調悪くなると家に閉じ込めようとするんだ?」

瑠海「前に出した時にろくなことにならなかったこと覚えてないのか?」

ラミ「覚えてるけどそれは俺の不注意だろ」

瑠海「お前体調悪くなると注意力が普段より落ちるの知らないのか?自分の身体だろ大事にしろよ」

両者引かない

ラミ「仕事しなきゃお前に家賃払えないだろ」

瑠海「だからいいって何度も言ってんだろ」

ラミ「お前のその頑固さどうにかしろよ  いずれろくなことにならないぞ」

瑠海「…………」

ラミ  あっ………やべ………

瑠海「………勝手に行けよ」

ラミの発言で地雷を踏んでしまい瑠海はその場から退いて部屋に入ってしまう

ラミ「はー………」

仲間「あっラミじゃん  久しぶりだな~体調どう?」

ラミ「まあまあだな………まだ本調子じゃない」

仲間「落ち込んでるけどなんかあったのか?」

ラミは情報屋が多くいるいつもの店に行き仲間と合流するが何分落ち込んでいる

ラミ「同居人の地雷踏んだ  暫く部屋から出てこないと思う」

仲間「あー………瑠海の地雷は発言によっては凄いからな」

ラミ「俺が言葉を選ばなかったのが悪いんだが………久しぶりに思いっきり地雷踏んじまった」

仲間「お前「ろくなことにならない」って言ったろ」

瑠海にとってその発言は………かなりの地雷であり踏んだ直後に関係が悪化することもあるレベル

仲間「それ以外に瑠海になんか言ったか?」

ラミ「地雷にならないことをいくつか」

仲間「時期に機嫌も直るとは思うが………多分2週間は無理だろうな」

ラミ「はー………」

珍しくラミがめちゃくちゃ落ち込んでいるので仲間たちも慰めることしかできない

ラミ  あいつにとって俺は………似た者同士に見えてるのかもしれない………

心を開ききらないラミでさえ瑠海のあの表情は「自分と同じだ」と思う………

ラミ  瑠海は弟を殺さなければならなかった………俺はそれを知ってたはずなのに………

自分は家族をその手にかけてはいないが失ったことに変わりはなくそれは瑠海も同じ

ラミ「俺………瑠海に助けて貰った恩があるのに………」

仲間「お前がそこまで落ち込むのかなり珍しいぞ」

ラミは昔………瑠海に助けられた過去がある………死にかけていたところを自宅に運び療養してくれたのだ

~ラミの過去~

ラミ「くっそ………しくった………」

ラミ  まさかヤってる最中に毒盛られるとか………油断大敵だな

依頼人から情報を渡す代わりにSEXを強要されたラミはそれに応じたが………毒を盛られたらしく手に入れたい情報を手に入れてから相手を殺し逃げた

ラミ「ゲホッゲホゲホ」

血を吐きながらラミは路地裏を歩き回る………実はろくな服を着ていないため大路地には出られない

ラミ「…………」

とうとう意識が薄れ倒れたラミは血を吐きながら歩いてくる誰かの足を見る………

ラミ「…………」

ラミは自分の目の前で止まった相手に自分が何を言ったのかは覚えていない………だが次に目が覚めた時にはブラックに統一された部屋で点滴を打たれている状態………何故か家の一室であろうその場所に医療機器が揃っていて………「カタン」という音が聞こえてそっちを向くと、そこには1人の黒で服を統一した青年の姿が………

瑠海『!目が覚めたのか』

たまたまラミの方を向いた瑠海が体調を確認しつつそう言う

ラミ『ここは………?』

瑠海『俺の家  丁度機器を置いてある部屋が空いてたからお前を入れた』

ラミ  酷く疲れきってる顔をしているな………

ラミ『疲れきってる顔をしているな』

瑠海『…………ちと疲れてるのは確かだ  つかまだ寝てろよ?お前身体の中に刃物入ってたからな』

ラミ『除去してくれたのか?』

瑠海『医師免許はあるし国からの許可も得てる』

つまり自宅で手術が可能ということ

瑠海『少し出る  寝ててくれ』

ラミ『分かった』

瑠海は仕事かなにかで部屋を出ていきラミも動けないのでそのまま目を閉じる

???『~~~~』

ラミは夢の中で誰かが泣いている声が聞こえて声のする方へ行く

???『兄さん………兄さん………!!』

ラミ「…………」

???『なんで………兄さんは何もしてないのに………双子と言うだけでなんで兄さんが………死ななきゃならないんだ………!!』

1人の白銀の髪と白い翼を持つ青年が純黒の髪と黒い翼を持つ青年を抱きしめて泣いていた………「兄さん」と呼び続けるその青年と死んだ青年の顔は同じ………双子であるのは明白で彼が兄を殺したことも明白だった………

???『………ほんと優しいよね兄さんは』

瑠海『お前が逞しすぎるだけだ  夏衣(かい)』

次に見た光景は瑠海が同じ顔の青年の顔の真横に刀を突き立てている姿………

夏衣『瑠海  ごめん』

瑠海『…………』

夏衣『先に逝くね』

瑠海『…………』

夏衣は瑠海にあるモノを渡してそう呟き目を閉じる………その顔に雫が落ちていると知らずに……

~現在~

ラミ「…………」

ラミは昔のことを思い出した……2回目に見た夢の内容は確かに瑠海とその弟の話………だがもう1人の兄弟とはまだ会ったことがない

ラミ「…………」

ラミは前に家に来た白銀の髪を持つ青年を思い出した………明らか人ではないであろう彼の名を聞くより先に部屋に戻された為知りたいと思う

ラミ「………一旦家帰る」

仲間「瑠海に謝りに行くのか?」

ラミ「それもある」

ラミは仲間と別れとりあえずで一旦家に帰る………勿論まだ昼間であるため瑠海は家にいるがリビングにはいない

ラミ「瑠海  ………悪かった………俺も頭に血が上ってたし言葉を選ばなかったのも事実だ………許してくれ」

瑠海の部屋の扉をノックしてラミが瑠海にそう言う………瑠海からの返事はないが部屋の鍵が空いた音がする

ラミ「ごめん」

瑠海「謝るくらいなら言うな」

ラミの言葉で機嫌こそ治らなくても部屋からは出てきてくれた

ラミ「瑠海  俺の情報収集の方法言えるか?」

瑠海「仲間内での情報共有と交渉だろ?」

ラミ「もう1つ………かなり不確かな情報源があるんだ  滅多にないんだが予知夢と呼ばれるそれで情報を得ることがある」

瑠海「確かに不確かだな」

ラミ  機嫌悪いから少し話聞く気ないな………

ラミ「俺は夢でお前が「夏衣」と呼んだ青年の顔の真横に刀を突き立てているところを見た  そして白銀の髪を持つ青年が純黒の髪を持つ青年を抱きしめて泣きながら「兄さん」と呼ぶ姿も」

瑠海「…………」

早々と本を読んでいた瑠海の手が止まる………瑠海にとってその話は言った通りで………ラミの顔を見て見透かすが事実だった

瑠海「………その予知夢  滅多にないんだよな?」

ラミ「前に見たのはもう数世紀前だ」

瑠海「…………ラミは何がしたいんだ?」

ラミ「海翔………だったか?彼と接触したい」

瑠海  海翔とか………

瑠海「お前日中基本家にいないだろ  いても夜だ」

ラミ「あー………」

瑠海「お前の情報網ならいる場所わかるんじゃないか?」

ラミ自身情報屋である以上情報量は多い

ラミ「頑張ってみるよ」

瑠海「ん」

ラミは瑠海に言って仲間の元に戻る………

瑠海「…………」

ラミ『助けて………玲惟(れい)………兄………さん………』

瑠海  あいつは自分の兄と俺を見間違えてた………多分本人はその事を覚えていないしきっと「知らない」

瑠海はラミを助けた時に言われた言葉を覚えていた………ラミには知られていないことを瑠海は知っている

瑠海  飛鳥(あすか)………いや  仁(じん)の兄  玲惟は生きていた………そして陸翔はその人を愛し1人残してしまった………玲惟は陸翔の死後に大掛かりな戦闘で重傷を負いそのまま戦地で死亡が確認された………それは俺だけが知っていればいい

瑠海は悪魔の力を使ってラミや情報屋からその事実を知られないようにしている………そうでもしなければ陸翔も玲惟もかつて得た名声を失う結果となるから………

瑠海  それはダメなんだ………いずれ俺やラミ、海翔には試練が立ちはだかる………その時までにラミを闇から救わなきゃならない

瑠海にとってラミは小さくも強い光を持っていた………しかしあまりにも背負ってきたものが大きく心を開ききれない状態が続いている

瑠海  そもそも俺1人の力じゃラミを救い出すのは不可能だ………海翔の力も必要になる………似た者同士手を差し伸べることは出来るが今はまだ駄目だ………少しずつ距離を縮めていくしか海翔に協力を仰げない………仁の闇は深すぎて2人で光を与えないといけない………かと言ってすぐにその光を手に取るかはまた別問題だが………第一仁の警戒心は誰よりも強いしすぐに心は開かない上に今まで友の死を何度も見てきたから………簡単に手を取るとは思えない………

あれこれ考えてはいるが瑠海は己らに立ちはだかる試練を、3人で超えなければならないことは知っている………


その胸の中に秘密を抱えながら………
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