14 / 16
解釈次第
しおりを挟む
「ごめんね、アーシェ。大丈夫かい?」
心の声が降ってきた。
耳からの刺激を追って、シンの汗と土埃が混じった匂いを認識する。
「ん。とりあえず生きてる」
現実が戻って来る。
自分の五感が、自分自身に戻って来る。
手の指先、足の指先を通って背筋を登り、首筋を上がり、脳内まで自分のものであることを認識する。
詰めていた息を細く吐き出すと、閉じていた目を開けた。
シンが隣りにいる。
覗き込んでくる顔は、純粋にアーシェのことを心配している。
さりげない立ち位置で周囲からアーシェを遮っている。
「無理してないかい?」
黄金を溶かした色の髪を撫でようとして、シンは自分の手が汚れいていることに気づき、手を止めた。
アーシェはその手に自分から頭を擦り付け、自分から撫でてもらうように頭を揺らした。
「汚れるよ」
シンが少し笑いながらいう。
「汚れたら、洗ってくれんだろ?」
上目遣いにおねだりすると、アーシェが『帰ってきた』確信が持てたのか、シンの表情が晴れた。
「いい子にするなら、洗ってあげる」
「じゃ、大丈夫だ。俺は今世紀最高のいい子だから」
「自己肯定感が高すぎるよ……」
シンはアーシェの髪を雑に混ぜると、最後に剥製の額を指でつついてから手を離した。
「いや、世界の真実だし」
いい募るアーシェをシンが軽くいなす。
「で? この小さな頭にいる『黄金さん』は、なんていったの?」
「毎回思うけど、なんだよ『黄金さん』って。小人さんかよ」
「『ちいさいおっさん』よりよくない?」
「いや、逆に『ちいさなおっさん』ってなに?」
「さぁ? 姉さん達がいうにいは、『妙齢の女性の心の奥底に潜んでいて、時折その行動と言動を支配する存在』らしいよ?」
「なにそれ、こわっ」
くだらない話をしてるうちに、アーシェの心もほどけていく。
もしかしたら自分はすでに自分ではなく、『黄金』の演算結果をただ外界に吐き出すための装置かもしれないという恐怖がある。
それを直接シンに告げたことはない。
それでも、この優しい親友で、恋人で、アーシェにとってありとあらゆる感情を作り出す存在は、アーシェに寄り添ってくれる。
この稀な存在に出会えたこと、そして傍にいてもらえていることで、自分に与えられた幸運の85%を消費している、とアーシェは思っている。
ちなみに後の15%は、シンとの結婚と共白髪の分である。
「で? 『黄金さん』はなんだって?」
「ん。こんなこといってきた」
アーシェはシンの手を取って、手のひらに指で『惑星上の生物の殲滅』と書いた。
シンが認識して、わずかに目を開く。
画面に打ち込めば、痕跡が残るかもしれないし、口に出せば音が拾われる可能性も、口の動きを読まれる可能性もある。
形に残すのは論外。
シンは書かれた言葉を飲み込むように目を閉じると、口を開いた。
「理由はなんだろうね? たとえば、この星で風土病でも起こって、それが広がるのを防ぐため、とか?」
「それなら『こんなワクチン作っとけ』とかいいそうだけどな。そのほうがウチが儲かる」
『シリル家の粋』という『黄金』はシリル家の利と繁栄のための答えを出す。
そこに一般社会の常識はなく、倫理観もない。
「そうだね。それにしても『殲滅』って穏やかじゃないね。何か知られたくないことでもあるのかな」
「それこそ訳わかんねーよ。だいたい俺達がこのド田舎惑星に飛ばされたのだって、ウチが関わってたかもしれないしなー。もう疑い出せばきりがねーよ」
「いくら君の家でも、宇宙軍の人事にまで口を出せるの?」
流石にそれはないだろう、とシンは思ったがそうでもないらしい。
「直接人事コンピュータにハッキングしなくても、それを使う人間に恣意をも持たせればいいだろ?
別に『この惑星に飛ばせ』っていうんじゃなくて、例えば決める奴に俺達に対する悪意を持たせとく。候補の中から最悪のを選んでやろう、って思わせといて行かせたい先をリストの最低にしておく、とかな」
シンは感心してしまった。
「なるほどね。弱みを握っていうことをきかせていると、裏切られるリスクもあるからね。自主的に選んだように誘導するわけだ」
「ま、手段のひとつ。んなことばっか考えてる奴らなんだよ。ウチは」
アーシェがうんざりと肩を竦める。
「そんな家の中で、君みたいに思ったことを傍若無人に口に出す性格が出来上がったのが不思議」
「あぁ? 喧嘩売ってる? ちょうどいい運動だから買うけど?」
シンが笑った。
「ほらね? こんな素直ないいコがよく育ったね?」
「……褒められてる? けなされてる?」
「褒めてる褒めてる」
「……二回続けていうのは、本心じゃないっぽい」
拗ねた目で見え下てくるアーシェに、シンは穏やかに微笑んで答えた。
「褒めてるんだよ。ほら、これで三回目」
納得いかない顔をしながらも、アーシェは話を戻した。
「ま、べつに『最適解』が出たからって、お俺達にその通りにしなきゃいけない義理なんかないしな。放置」
いいきってアーシェは立ち上がった。机の上の端末を閉じる。
「いいのかい?」
「内容知ってるの俺達だけだし。シンがどーっしてもやりたいっていうならやる?」
「私のことをどんなサイコだと思ってる?」
遺憾の意を示すため、シンがアーシェに肩をぶつけた。
「えー。もしかしたら、まだ知らない新たな一面があるかもしれないじゃん?」
アーシェも肩をぶつけ返す。
「あ、そう」
「ちなみに、体だけいうと、お前の体で俺の知らないところはないって断言できる。性感帯も」
ニヤリと笑っても、アーシェの美貌は美しさを逸脱しない。
そのことに苛ついたシンが、足を払ってやろうとしてが、軽快なステップで避けられた。
「んでも、よりお互いを知るのは大事だと思うのですよ、テクラダ特務少佐殿」
「急にどうされたんですか? シリル特務少佐殿」
同列ではつける必要もない敬称をつけてふざけ合う。
「とりあえず、部屋戻って髪洗って」
肩に擦り付けられる黄金色の柔らかい髪を、シンはまだ汚れている手でかき混ぜた。
「いったよね? いい子にしてたらって」
「いい子だぜ? オトモダチと仲良くするのはいい子だろ?」
確信犯の美しい笑み。
シンはため息を付くと、足早に歩き出した。
「え? ちょっ」
一歩置いていかれたアーシェが声を上げる。
「ほら。部屋に帰るんだろう? 私は訓練の報告書を出さなくちゃんらないから、いい子で部屋で待ってるんだよ?」
そのまま歩き去るシンの背中に向けて、アーシェは叫んだ。
「いい子で待ってるからなー。早く帰ってきてーっ」
大きく手を降って、背の背中を見送る。
事情を知らない周囲の兵たちが、ぎょっとアーシェを見るが、知ったことではない。
シンの背中は揺るがなかったが、肩越しに小さく手を振り返してくれた。
これは部屋でいい子で待っていなくてはならない。
アーシェも足早にその場を去った。
……数分後。
アーシェの注文通りの激甘ココアを持ったファーニャウが、その場で呆然と佇んでいたという。
心の声が降ってきた。
耳からの刺激を追って、シンの汗と土埃が混じった匂いを認識する。
「ん。とりあえず生きてる」
現実が戻って来る。
自分の五感が、自分自身に戻って来る。
手の指先、足の指先を通って背筋を登り、首筋を上がり、脳内まで自分のものであることを認識する。
詰めていた息を細く吐き出すと、閉じていた目を開けた。
シンが隣りにいる。
覗き込んでくる顔は、純粋にアーシェのことを心配している。
さりげない立ち位置で周囲からアーシェを遮っている。
「無理してないかい?」
黄金を溶かした色の髪を撫でようとして、シンは自分の手が汚れいていることに気づき、手を止めた。
アーシェはその手に自分から頭を擦り付け、自分から撫でてもらうように頭を揺らした。
「汚れるよ」
シンが少し笑いながらいう。
「汚れたら、洗ってくれんだろ?」
上目遣いにおねだりすると、アーシェが『帰ってきた』確信が持てたのか、シンの表情が晴れた。
「いい子にするなら、洗ってあげる」
「じゃ、大丈夫だ。俺は今世紀最高のいい子だから」
「自己肯定感が高すぎるよ……」
シンはアーシェの髪を雑に混ぜると、最後に剥製の額を指でつついてから手を離した。
「いや、世界の真実だし」
いい募るアーシェをシンが軽くいなす。
「で? この小さな頭にいる『黄金さん』は、なんていったの?」
「毎回思うけど、なんだよ『黄金さん』って。小人さんかよ」
「『ちいさいおっさん』よりよくない?」
「いや、逆に『ちいさなおっさん』ってなに?」
「さぁ? 姉さん達がいうにいは、『妙齢の女性の心の奥底に潜んでいて、時折その行動と言動を支配する存在』らしいよ?」
「なにそれ、こわっ」
くだらない話をしてるうちに、アーシェの心もほどけていく。
もしかしたら自分はすでに自分ではなく、『黄金』の演算結果をただ外界に吐き出すための装置かもしれないという恐怖がある。
それを直接シンに告げたことはない。
それでも、この優しい親友で、恋人で、アーシェにとってありとあらゆる感情を作り出す存在は、アーシェに寄り添ってくれる。
この稀な存在に出会えたこと、そして傍にいてもらえていることで、自分に与えられた幸運の85%を消費している、とアーシェは思っている。
ちなみに後の15%は、シンとの結婚と共白髪の分である。
「で? 『黄金さん』はなんだって?」
「ん。こんなこといってきた」
アーシェはシンの手を取って、手のひらに指で『惑星上の生物の殲滅』と書いた。
シンが認識して、わずかに目を開く。
画面に打ち込めば、痕跡が残るかもしれないし、口に出せば音が拾われる可能性も、口の動きを読まれる可能性もある。
形に残すのは論外。
シンは書かれた言葉を飲み込むように目を閉じると、口を開いた。
「理由はなんだろうね? たとえば、この星で風土病でも起こって、それが広がるのを防ぐため、とか?」
「それなら『こんなワクチン作っとけ』とかいいそうだけどな。そのほうがウチが儲かる」
『シリル家の粋』という『黄金』はシリル家の利と繁栄のための答えを出す。
そこに一般社会の常識はなく、倫理観もない。
「そうだね。それにしても『殲滅』って穏やかじゃないね。何か知られたくないことでもあるのかな」
「それこそ訳わかんねーよ。だいたい俺達がこのド田舎惑星に飛ばされたのだって、ウチが関わってたかもしれないしなー。もう疑い出せばきりがねーよ」
「いくら君の家でも、宇宙軍の人事にまで口を出せるの?」
流石にそれはないだろう、とシンは思ったがそうでもないらしい。
「直接人事コンピュータにハッキングしなくても、それを使う人間に恣意をも持たせればいいだろ?
別に『この惑星に飛ばせ』っていうんじゃなくて、例えば決める奴に俺達に対する悪意を持たせとく。候補の中から最悪のを選んでやろう、って思わせといて行かせたい先をリストの最低にしておく、とかな」
シンは感心してしまった。
「なるほどね。弱みを握っていうことをきかせていると、裏切られるリスクもあるからね。自主的に選んだように誘導するわけだ」
「ま、手段のひとつ。んなことばっか考えてる奴らなんだよ。ウチは」
アーシェがうんざりと肩を竦める。
「そんな家の中で、君みたいに思ったことを傍若無人に口に出す性格が出来上がったのが不思議」
「あぁ? 喧嘩売ってる? ちょうどいい運動だから買うけど?」
シンが笑った。
「ほらね? こんな素直ないいコがよく育ったね?」
「……褒められてる? けなされてる?」
「褒めてる褒めてる」
「……二回続けていうのは、本心じゃないっぽい」
拗ねた目で見え下てくるアーシェに、シンは穏やかに微笑んで答えた。
「褒めてるんだよ。ほら、これで三回目」
納得いかない顔をしながらも、アーシェは話を戻した。
「ま、べつに『最適解』が出たからって、お俺達にその通りにしなきゃいけない義理なんかないしな。放置」
いいきってアーシェは立ち上がった。机の上の端末を閉じる。
「いいのかい?」
「内容知ってるの俺達だけだし。シンがどーっしてもやりたいっていうならやる?」
「私のことをどんなサイコだと思ってる?」
遺憾の意を示すため、シンがアーシェに肩をぶつけた。
「えー。もしかしたら、まだ知らない新たな一面があるかもしれないじゃん?」
アーシェも肩をぶつけ返す。
「あ、そう」
「ちなみに、体だけいうと、お前の体で俺の知らないところはないって断言できる。性感帯も」
ニヤリと笑っても、アーシェの美貌は美しさを逸脱しない。
そのことに苛ついたシンが、足を払ってやろうとしてが、軽快なステップで避けられた。
「んでも、よりお互いを知るのは大事だと思うのですよ、テクラダ特務少佐殿」
「急にどうされたんですか? シリル特務少佐殿」
同列ではつける必要もない敬称をつけてふざけ合う。
「とりあえず、部屋戻って髪洗って」
肩に擦り付けられる黄金色の柔らかい髪を、シンはまだ汚れている手でかき混ぜた。
「いったよね? いい子にしてたらって」
「いい子だぜ? オトモダチと仲良くするのはいい子だろ?」
確信犯の美しい笑み。
シンはため息を付くと、足早に歩き出した。
「え? ちょっ」
一歩置いていかれたアーシェが声を上げる。
「ほら。部屋に帰るんだろう? 私は訓練の報告書を出さなくちゃんらないから、いい子で部屋で待ってるんだよ?」
そのまま歩き去るシンの背中に向けて、アーシェは叫んだ。
「いい子で待ってるからなー。早く帰ってきてーっ」
大きく手を降って、背の背中を見送る。
事情を知らない周囲の兵たちが、ぎょっとアーシェを見るが、知ったことではない。
シンの背中は揺るがなかったが、肩越しに小さく手を振り返してくれた。
これは部屋でいい子で待っていなくてはならない。
アーシェも足早にその場を去った。
……数分後。
アーシェの注文通りの激甘ココアを持ったファーニャウが、その場で呆然と佇んでいたという。
10
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
【R18】奴隷に堕ちた騎士
蒼い月
BL
気持ちはR25くらい。妖精族の騎士の美青年が①野盗に捕らえられて調教され②闇オークションにかけられて輪姦され③落札したご主人様に毎日めちゃくちゃに犯され④奴隷品評会で他の奴隷たちの特殊プレイを尻目に乱交し⑤縁あって一緒に自由の身になった両性具有の奴隷少年とよしよし百合セックスをしながらそっと暮らす話。9割は愛のないスケベですが、1割は救済用ラブ。サブヒロインは主人公とくっ付くまで大分可哀想な感じなので、地雷の気配を感じた方は読み飛ばしてください。
※主人公は9割突っ込まれてアンアン言わされる側ですが、終盤1割は突っ込む側なので、攻守逆転が苦手な方はご注意ください。
誤字報告は近況ボードにお願いします。無理やり何となくハピエンですが、不幸な方が抜けたり萌えたりする方は3章くらいまでをおススメします。
※無事に完結しました!
くまさんのマッサージ♡
はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。
2024.03.06
閲覧、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。
2024.03.10
完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m
今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。
2024.03.19
https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy
イベントページになります。
25日0時より開始です!
※補足
サークルスペースが確定いたしました。
一次創作2: え5
にて出展させていただいてます!
2024.10.28
11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。
2024.11.01
https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2
本日22時より、イベントが開催されます。
よろしければ遊びに来てください。
お嬢様の身代わりで冷酷公爵閣下とのお見合いに参加した僕だけど、公爵閣下は僕を離しません
八神紫音
BL
やりたい放題のわがままお嬢様。そんなお嬢様の付き人……いや、下僕をしている僕は、毎日お嬢様に虐げられる日々。
そんなお嬢様のために、旦那様は王族である公爵閣下との縁談を持ってくるが、それは初めから叶わない縁談。それに気付いたプライドの高いお嬢様は、振られるくらいなら、と僕に女装をしてお嬢様の代わりを果たすよう命令を下す。
期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています
ぽんちゃん
BL
病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。
謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。
五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。
剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。
加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。
そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。
次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。
一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。
妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。
我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。
こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。
同性婚が当たり前の世界。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。
魔力ゼロの無能オメガのはずが嫁ぎ先の氷狼騎士団長に執着溺愛されて逃げられません!
松原硝子
BL
これは魔法とバース性のある異世界でのおはなし――。
15歳の魔力&バース判定で、神官から「魔力のほとんどないオメガ」と言い渡されたエリス・ラムズデール。
その途端、それまで可愛がってくれた両親や兄弟から「無能」「家の恥」と罵られて使用人のように扱われ、虐げられる生活を送ることに。
そんな中、エリスが21歳を迎える年に隣国の軍事大国ベリンガム帝国のヴァンダービルト公爵家の令息とアイルズベリー王国のラムズデール家の婚姻の話が持ち上がる。
だがヴァンダービルト公爵家の令息レヴィはベリンガム帝国の軍事のトップにしてその冷酷さと恐ろしいほどの頭脳から常勝の氷の狼と恐れられる騎士団長。しかもレヴィは戦場や公的な場でも常に顔をマスクで覆っているため、「傷で顔が崩れている」「二目と見ることができないほど醜い」という恐ろしい噂の持ち主だった。
そんな恐ろしい相手に子どもを嫁がせるわけにはいかない。ラムズデール公爵夫妻は無能のオメガであるエリスを差し出すことに決める。
「自分の使い道があるなら嬉しい」と考え、婚姻を大人しく受け入れたエリスだが、ベリンガム帝国へ嫁ぐ1週間前に階段から転げ落ち、前世――23年前に大陸の大戦で命を落とした帝国の第五王子、アラン・ベリンガムとしての記憶――を取り戻す。
前世では戦いに明け暮れ、今世では虐げられて生きてきたエリスは前世の祖国で平和でのんびりした幸せな人生を手に入れることを目標にする。
だが結婚相手のレヴィには驚きの秘密があった――!?
「きみとの結婚は数年で解消する。俺には心に決めた人がいるから」
初めて顔を合わせた日にレヴィにそう言い渡されたエリスは彼の「心に決めた人」を知り、自分の正体を知られてはいけないと誓うのだが……!?
銀髪×碧眼(33歳)の超絶美形の執着騎士団長に気が強いけど鈍感なピンク髪×蜂蜜色の目(20歳)が執着されて溺愛されるお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる