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番外編(web版)
メディの恋~いつも見守ってくれていた私の騎士様~7
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コルタに「休日にはこれからも一緒に外出したい」と伝えてから、私は誘われるのも待つだけじゃなく、私からもコルタを誘うようになっていた。
休日の今日は私からコルタを誘って釣りに来ている。
ティアとお兄様も一緒に誘って。
私達がやって来たのは、王都の人達の間で釣り場として大人気の川だ。
川の流れは穏やかで、私達以外に釣り人で賑わっている。
家族連れもいるようで、子供達も楽しそうに釣りをしているみたい。
――どこで魚を釣ればいいのかな? ティア達の傍で釣った方がいいのかしら? 釣れているみたいだから、魚が多そうな気がするし。
ティア達と一緒に来たけど、私達は一緒に釣りをしていない。
ティアとお兄様、私とコルタの二組に分かれて、どちらが多く釣れるか競争をすることになったからだ。
負けた方が今日の夕食当番担当。
ティア達はもう釣りを開始しているけど、私とコルタはまだ場所が決まっていない。
魚釣りは何度もしたことがある。
でも、いつも場所はお兄様が探してくれていたので、私では釣れそうな場所がわからなかった。
「どうしよう……やっぱりティア達の方?」
私が首を傾げながら、ティアとお兄様が釣りをしている岩場を見る。
そこにはティアとお兄様がいて、ティアがちょうど魚を釣りあげていた。
釣りが初めてなティアをお兄様が魚から針を外したりフォローしている。
ティアが嬉しそうにお兄様に話しかけ、それをお兄様が楽しそうに笑っていた。
お兄様が幸せそうで、私も嬉しい。
すごくお似合いの二人だと思う。
「メディ」
ふと名を呼ばれたため、隣へと弾かれたように顔を向ければコルタが立っている。
手には二本の釣り竿やバケツを持っていた。
「場所は決まったか? 決まっていなかったら俺が決めても?」
「うん、お願いするね。私じゃ場所がわからなくて……」
「じゃあ、こっち」
そう言ってコルタが促してくれたのは、ティア達がいる場所とは反対側だった。
二人がいるところが結構釣れているので、魚がいそうだったから意外。
そのため、私はコルタへ尋ねる。
「ティア達の方じゃなくていいの?」
「問題ない。穴場はこっち。ただ、ちょっと大きな岩場があって歩きにくいかもしれない。平気か?」
「うん。大丈夫」
私は大きく頷いた。
+
+
+
コルタが連れて来てくれたのは、ティア達が釣りをしている場所の上流付近。
ティア達がいた場所は小さな石が比較的多かったけど、ここは大きな石がごろごろとしている。
釣りをしている人も数人だけで、本格的な釣り道具持参の人達ばかりだ。
「メディ、手を」
「ありがとう」
私がコルタの手を取れば、触れた指先から熱が伝う。
――あったかい。
私の手と違って大きくてゴツゴツとしている手は、剣だこができている。
日頃からの鍛錬をしている証だろう。
国や人々を守るために何度も危険な目にあった事だってあるはずだ。
どうか、怪我とかしないで無事でいて欲しい。
コルタの手を借りて、私は川傍の岩場に立った。
コルタが厚手の布を敷いてくれて、私達はそこに腰を落として釣りをすることに。
数分して私の釣り竿にわずかに引っ張られるような感触があった。
「あっ」
私は声を上げてゆっくり立ち上がると竿を引く。
だんだんと手に伝わる重さに顔が険しくなっていく。
釣れた事に対しては嬉しい。
でも、引きが強すぎる!
予想もしていない重さに対して、私はちょっと不安になってしまった。
私、一体何を釣ったの?
この引きの強さ、絶対普通の魚じゃない。
川の方へ引っ張られているため、足に力を入れてなんとか体勢を保とうとする。
けれども、ぐいぐいと強く引っ張られてしまっているので、逆に私が魚に釣られそうになってしまう。
「あっ」と声を上げた時にはがくりとバランスを崩しかけてしまったけど、私は体勢を崩すことはなかった。
それは、後ろから「大丈夫か?」という声と共に体を支えられたからだ。
休日の今日は私からコルタを誘って釣りに来ている。
ティアとお兄様も一緒に誘って。
私達がやって来たのは、王都の人達の間で釣り場として大人気の川だ。
川の流れは穏やかで、私達以外に釣り人で賑わっている。
家族連れもいるようで、子供達も楽しそうに釣りをしているみたい。
――どこで魚を釣ればいいのかな? ティア達の傍で釣った方がいいのかしら? 釣れているみたいだから、魚が多そうな気がするし。
ティア達と一緒に来たけど、私達は一緒に釣りをしていない。
ティアとお兄様、私とコルタの二組に分かれて、どちらが多く釣れるか競争をすることになったからだ。
負けた方が今日の夕食当番担当。
ティア達はもう釣りを開始しているけど、私とコルタはまだ場所が決まっていない。
魚釣りは何度もしたことがある。
でも、いつも場所はお兄様が探してくれていたので、私では釣れそうな場所がわからなかった。
「どうしよう……やっぱりティア達の方?」
私が首を傾げながら、ティアとお兄様が釣りをしている岩場を見る。
そこにはティアとお兄様がいて、ティアがちょうど魚を釣りあげていた。
釣りが初めてなティアをお兄様が魚から針を外したりフォローしている。
ティアが嬉しそうにお兄様に話しかけ、それをお兄様が楽しそうに笑っていた。
お兄様が幸せそうで、私も嬉しい。
すごくお似合いの二人だと思う。
「メディ」
ふと名を呼ばれたため、隣へと弾かれたように顔を向ければコルタが立っている。
手には二本の釣り竿やバケツを持っていた。
「場所は決まったか? 決まっていなかったら俺が決めても?」
「うん、お願いするね。私じゃ場所がわからなくて……」
「じゃあ、こっち」
そう言ってコルタが促してくれたのは、ティア達がいる場所とは反対側だった。
二人がいるところが結構釣れているので、魚がいそうだったから意外。
そのため、私はコルタへ尋ねる。
「ティア達の方じゃなくていいの?」
「問題ない。穴場はこっち。ただ、ちょっと大きな岩場があって歩きにくいかもしれない。平気か?」
「うん。大丈夫」
私は大きく頷いた。
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コルタが連れて来てくれたのは、ティア達が釣りをしている場所の上流付近。
ティア達がいた場所は小さな石が比較的多かったけど、ここは大きな石がごろごろとしている。
釣りをしている人も数人だけで、本格的な釣り道具持参の人達ばかりだ。
「メディ、手を」
「ありがとう」
私がコルタの手を取れば、触れた指先から熱が伝う。
――あったかい。
私の手と違って大きくてゴツゴツとしている手は、剣だこができている。
日頃からの鍛錬をしている証だろう。
国や人々を守るために何度も危険な目にあった事だってあるはずだ。
どうか、怪我とかしないで無事でいて欲しい。
コルタの手を借りて、私は川傍の岩場に立った。
コルタが厚手の布を敷いてくれて、私達はそこに腰を落として釣りをすることに。
数分して私の釣り竿にわずかに引っ張られるような感触があった。
「あっ」
私は声を上げてゆっくり立ち上がると竿を引く。
だんだんと手に伝わる重さに顔が険しくなっていく。
釣れた事に対しては嬉しい。
でも、引きが強すぎる!
予想もしていない重さに対して、私はちょっと不安になってしまった。
私、一体何を釣ったの?
この引きの強さ、絶対普通の魚じゃない。
川の方へ引っ張られているため、足に力を入れてなんとか体勢を保とうとする。
けれども、ぐいぐいと強く引っ張られてしまっているので、逆に私が魚に釣られそうになってしまう。
「あっ」と声を上げた時にはがくりとバランスを崩しかけてしまったけど、私は体勢を崩すことはなかった。
それは、後ろから「大丈夫か?」という声と共に体を支えられたからだ。
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