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どうして彼のことが気になるのだろうか?2(メディ視点)

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 ――レイ。


 私はソファに座りながらテーブルの上に置かれたフルーツや焼き菓子が入っている籠を眺めていた。
 どうして彼の事が気になるのだろうか。
 もしかして、来てくれただけで嬉しいと彼が言葉をかけてくれたので、私はプレッシャーから解放されたし、自分の存在を認めて貰えた気分になったからかもしれない。


『俺が守る』ってお兄様以外に初めて言われたせいか、強く私の心に残ってしまっているし。


 ――お兄様。私、レイの傍にいると心臓が忙しなくなってしまうんです。どうしたら良いでしょうか? 


 そう聞きたいけど、お兄様は傍には居ない。


 ティアに聞いたら変に思われてしまうなぁとぼんやりとしていると、「ただいまー!」という元気な声が後方の玄関から届いたので、私は弾かれたように傍に置いてある時計へと顔を向ける。
 ティアが外出してから一時間半くらい時間が経過していたようだ。


「夕食っ!」
 ぼうっとレイのことを考えていたせいで、まだ夕食を作っていなかったのを思い出す。


 立ち上がると振り返って玄関にいるティアの方を見れば、彼女の隣には紙袋を抱えた青年が立っていた。
 突然の来訪者に、私は部屋に逃げ込みたくなってしまう。
 レイよりも筋肉量が多そうなガタイの良い彼は、こちらをじっと見ている。


「メディ。紹介するよ。騎士団長のコルタ。レイガルド様の幼馴染なんだよ」
「レイの……?」
 レイの名を聞き、私は何故か鼓動が一度大きく跳ねた。



「あれ? レイもしかして挨拶に来たの?」
「あっ、うん。引っ越し祝いを持って……」
 その言葉に、ティアはコルタさんの方を見た。



「コルタの引っ越し祝いは?」
「引っ越し祝いって督促するもんじゃないだろ。夕食作りに来てやったじゃないか。お袋にテイクアウト頼んだら、休みなら作りに行けって言われてこき使われているんだぞ」
「ありがとう。私も手伝うよ」
「……いい。本当にいい。お前が手伝うと倍以上の時間がかかる」
「遠慮しなくてもいいよ」
「してねーし」
 二人は息があった会話をしている。仲が良いのかも。



「あの……私、料理出来るので手伝います」
「ん? なら、手伝って貰うか。材料は買って来てある」
「メディ、大丈夫?」
 ティアは私の方へと顔を向けて心配そうな表情を浮かべていたので、私は大丈夫だよという意味を込め大きく頷く。


 初対面の人で緊張も不安もあるけど、少しずつ変わりたい。
 ティアのように強くなり、フードなしで以前の様に人前に立ちたかった。


「あっ、そうだ! メディ、神官様がアルツナ薬学辞典について教えて下さるって」
「本当ですか? 良かったです」
 現代には残されてない薬学辞典を知ることが出来るなんて全く想像もしていなかった。

 色々吸収してもっと勉強したい。


 ファルマにティアが来てくれた時に、私は薬学辞典の話を聞き、反射的に扉を開けて廊下へと出てしまったんだけど、その行動力に一番驚いたのは自分だった。
 まさか、心の奥でまだ薬草学に対する情熱が残されていたなんて。



 本当に、ティアのお蔭だなぁって思う。
 彼女が私のことを誘ってくれなければ、私は一生気づなかったかもしれないから。







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