白と黒

第４６話：世界の修正

ところで、ギルドの受付嬢の服はそれで完成なの？
「そうですね、サイズもぴったりですし問題なさそうです」
安藤の代わりに美蘭さんが答える。
「じゃあ、それの支払いも済ませましょう」
そう言って再びカードを渡す。
「これ、７８０００円ですけど・・・一括でよろしいですね？」
まあ、安藤にはこれから役に立ってもらうからそれくらいなんてことないわ。

「先輩、いいんすか？わーい！」
安藤がにっこにこの笑顔だ。いつもこんなならかわいいのに・・・
「そんなわけで、美蘭さん冒険者服の方もお願いするっす！」
私が受付嬢の服を買ってあげたから予算が余ったのね。

じゃあ、あたしの家に戻るけど、ほかに何か買い忘れとかある？
「もともとそんなにたくさん買えるほどの予算はないので・・・」
それもそうか、じゃあ帰るわよ？

安藤も引き連れて駅の方へ戻る。
実際には駅前にある駐車場へ移動している。
「これ、もしかして先輩の車ですか？」
そうよ？安藤は電車で来たんだっけ？
「先輩、免許あったんですね・・・」
もちろんよ。見た目通りのお子様じゃないんだから。

「私はどこに座れば？」
安藤って運転出来る？
「免許取ってからは一度も運転してないっす・・・」
ああ、これはダメだわ。
「順番で今度は私が助手席です」
有無を言わさずに佳乃が助手席に座る。
「じゃあ、黒音はマスターの後ろ」
残った助手席の後ろに安藤が座った。
「この席はずっと先輩の顔が見えるんですね！最高です！」
何気ない安藤の一言で車内が険悪になる。

「ところでいったい何があったのですか？」
誰への質問？
「異世界のリーゼちゃんから救助信号が届いたんです」

リーゼロッテ：「たっけて」

「ほら、かわいくないですか？」
救助信号にかわいさは不要だと思う。むしろもっと事件の詳細を知りたい。
あれだけじゃ何が何やらさっぱりだし。
だから、ログとかエラーメッセージは見ただけで状況がわかるようにしろと言ってるのに・・・
せめてエラーコードくらい入れておけと言いたい。

「ところで、異世界ってどうやって行くんですか？」
異世界というか、ゲームの世界なんだけどね。どちらかというと仮想世界？
でも、リーゼロッテは現実世界に干渉して私の身体を作り替えたんだよね・・・
それともあの世界とは別の世界？

うぅーうぅーうぅー！

「そこの白い軽自動車停まりなさい！」
まただよ・・・
「子供が運転しちゃダメだろ！」
私はしぶしぶ免許を見せる。
「あれ？本物！？しかも年上！？」
警官が免許を照合する。もちろん本物だから問題なく照合される。
「すみません、何も問題ありません・・・」
当然だ。速度も守ってるし、シートベルトもしている。あおり運転なんかもしていない。
本来なら、警察に止められるいわれはない。

さて、どうにか駐車場に到着。
ここからは歩いてすぐだ。むしろマンションに入ってからの方が時間が長いかもしれない。
エレベーターが１階に待機していたのですぐに乗れた。

「おじゃまします」
とりあえず、私の作業部屋ね。佳乃、お茶の用意お願い。
「先輩の部屋・・・」
作業部屋だからＰＣしかないわよ？
「先輩、狭いっす・・・でも部屋中に先輩の香りが充満して・・・」
頭がお花畑な安藤はほっといて、サーバーが何かエラーメッセージを出してないかな？

「うわー大量にエラーが出てるっすね・・・」
でも内容は全部同じね。
『ストレージの空き容量が不足しています』
ほんとだ。ほぼほぼ空っぽじゃない。こりゃエラーも出まくりなはずよ。

ああ、この前サーバーの構成をシュリンクしたときね。
すると犯人は私か・・・ごめんリーゼロッテ。あんたの設定のままなら大丈夫だったのに・・・
ストレージを拡張して、自動拡張オプションも設定する。
これでストレージエラーにはならないはず。
しばらくは様子見かな？
他のエラーは無いかしら？
大量のエラーログをいちいち確認してられないので、適当に思いつくキーワードで検索。
大丈夫だ。エラーは全部ストレージの容量不足だった。

念のため、エラーがまだ出ていないサーバーの設定も見直しておこう。
ああ、やっぱりストレージが最低容量になってる。修正しておこう。
これで全部大丈夫かな？