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3の章

78.なんだろう、逃げたい。

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やって来ました。

訓練場に。

やーだーやーだー、まだ死にたくないー。

朱雀すざく様、なんで庭と言っていたのに訓練場へ私たちは居るんでしょうか?」

『ふふふっ、それはね?』

「それは?」

朱雀すざく様は、じっくりと間を空けて答えた。

『人の子の力量を測るためよ!』

「ゔぇぇ‼︎私、まだ死にたく無いです!」

『大丈夫!大丈夫!私は、人化し尚且つ手は出さないから!』

「お願いしますよ~、私軽く死んじゃいますから~」

そんなやり取りをしていたら、急に朱雀すざく様が慌て始めた。

「どうされましたか?」

『あ、いや、このやり取りを魔王様に聞かれていて、めちゃくちゃ恐ろしい事を言われたの。なぜ、私たちのやり取りを態々魔王様が聞いてるの?』

あ~、魔王様カオルのヤツまた大事なことを態と言わなかったな。

「はぁ~、すみません。朱雀すざく様へ、魔王様が大事なことを伝えていないためです。」

『大事なこと?』

「はい。私、人の身ではありますが魔王様の婚約者なんです。魔正妃様の膝の上にいたのは、可愛がってもらっているからなんです。」

ここで、人化した朱雀すざく様が大慌てし始めた。

「嘘でしょーーーーー‼︎魔正妃様が可愛がる⁈魔王様の婚約者⁈どうして、始めに言ってくれなかったのー。私、もうすぐで再生出来ない程に消滅させられるところだったのよ!」

ひえぇ~‼︎(また、って付いてる)

深紅のウェーブがかったロングヘアのダイナマイトボディな迫力ある美女に、理不尽に叱られてるぅ~。

「だってぇ~、魔王様が先に言ってあると思ってましたし。話すタイミングなかったじゃ無いですかぁ~」

朱雀すざく様が、少し落ち着いてきた。

「あぁ!確かに、無かったわ。ゴメンねぇって、下級精霊たちが一斉に敵意を向けて来たんだけど⁈」

みんな~助けてくれようとしてるのね。

下級精霊ちゃんみんな、有り難う!私は、大丈夫だからコチラの方への敵意を抑えて欲しい。」

私の周りへ、下級精霊ちゃんたちがピッタリと寄り添って直ぐに離れた。

みんな、本当にありがとう!

「あと私の加護が、結構関係してますので鑑定で見て下さると助かります。」

そういうと、朱雀すざく様はすぐに詳細鑑定を私にかけた。

暫し朱雀すざく様がステータスを閲覧中、私は無の境地に。

「イヤァァァァァァァ⁉︎創造神様の愛し子様なんて聞いてないぃぃぃ!」

嗚呼、久々だわ。

朱雀すざく様、どうか落ち着いて下さい。」

私の発言に、膝をつく朱雀すざく

「この度の数々のご無礼、大変申し訳御座いません。何なりと、私へ罰をご命じ下さい。」

ひえぇぇぇ‼︎

「罰など、とんでもない!朱雀すざく様どうか、お立ちください。」

それでも、立ってくれない。

「私は、契約聖獣みなさんの力を少しだけ借りたいだけなのです。現在、家族サービス休暇中のフェンリルが居ない間、私の護衛をして頂きたく短期間でも側に居てほしいのです。」

膝をついたままの朱雀すざく様が、不思議そうに話す。

「契約聖獣が、家族サービス休暇?」

「私の契約聖獣は、基本自由にして貰ってます。しかし番が居る場合、繁殖期や家族の時間を大事にして貰いたいので、休暇制度をこの度設けました。」

朱雀すざく様が、驚きの表情をした。

「なんと!誠ですか⁈」

私は、正直に話す。

「はい。フェンリルと黒竜は、普段冒険者活動をしていて稼いだお金を私に渡してくれるんですが、私自身もお金を稼いでいるので渡されるお金が増えてしまい、聖獣貯金状態だったので休暇を期に幾分かを返金して、家族へ使ってもらう様にしました。」

またまた、不思議そうな顔をした朱雀すざく

「何故2体は、冒険者活動をしているのですか?彼らは、金に困っているのですか?」

即座に返答する。

「いいえ。実は、彼らの好物を購入するのにお金がいるのです。しかし、購入費用よりも多くお金を渡してくるので、聖獣貯金となってる現状です。」

これまで質問攻めをしていた朱雀すざく様が、キラキラ輝く目を私へと向けてきたよ!

なんだろう、逃げたい。

「素晴らしい‼︎私は、今までこんな方に出会ったことが無い!人族は皆、己が中心で聖獣など魔獣と同じ扱いで不遇を敷いてきた。なのに、目の前の方は不遇を強いようとせず大事にしてくれる。」

おおっ、めちゃ熱く語られているけどそんな立派な人間では無いんだけどなぁ

尚続く、キラキラ輝くお目目とお褒めの言葉。

正直、居心地が悪いよ。

主人様あるじさま、是非私と正式に契約を結んで下さい!」

嗚呼~、逃げたかった~。
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