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2の章

57.土下座

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さらに、1週間が経った。

私は今、王城の謁見の間で国王陛下から土下座で謝罪されるというカオスに遭遇している。

私がヘルプな視線を周りに送るも、遠くで王妃殿下も土下座してるし出席している貴族の方々は、視線を逸らし止めに入ってくれない。

お祖父様は、私の横に居てくれている。

だけど、そのお祖父様は両陛下の行動にフリーズして当分は動けないだろう。

これは、もう収拾がつかない。

もう、ヤケだ!どうせ千里眼で見てるはずだから呼びつけてやろう!

魔王様カオル!今すぐ来て、これをどうにかして!」

その瞬間、私の斜め前に魔王様降臨!

「悪かったよ~。ついつい、楽しんじゃった⭐︎あとは、俺にお任せ有れ!」

あっ、1番駄目な人選だったかな?

周りの皆さんが、見事に阿鼻叫喚。中には逃げ出そうと、扉に向かう方々で押し合いになってる。

魔正妃様イライザ様~、助けて下さ~い!」

言った途端に、魔王様の頭を叩いく人物登場イライザ様

「馬鹿者!だから言っただろう、ローレンちゃんが狙われてるからサッサと片付けよと。こっちの国に、出張る羽目になってしまったわ。」

魔王様の後頭部をグーパンチで殴った後、流れるように私を抱きしめながら文句を言う魔正妃様イライザ様

「痛いなぁ~イライザもっと手加減してよ。それから、俺の婚約者を独り占めしないでくれる?可愛いからって、すぐにそうやって独占するんだから~」

ぷぅ~と、膨れっ面をする魔王様

対して、余裕綽々な魔正妃様

そして、逃げ惑っていた人々はどうしていいのか迷い固まっているので、仕方なしに私が発言する。

「あの~、私の襲撃事件の沙汰はどうされますか?まだ、王太子も私もこの通り生きてますから国が焦土にはならないと思いますが。」

私の言葉を聞き、魔王両陛下は巫山戯るのをやめて国王両陛下へと話し始めた。

「おう、久しいなアクセル=マターとルナ=マターよ。君達の爺さんたちと、会合で最後に会ったとき以来だな。まだ、君達が5歳くらいだったからなぁ。」

「あの後、すぐに会合もしなくなってずっと音沙汰がなかったからねぇ~。季節の挨拶代わりに、手紙なりなんなりくれても良かったのに、この間の事件までなぁ~んにもなかったよね。」

両陛下は、只々魔王様の言葉を正座で聞き何も反論出来ずにいた。

「しかも、自分の息子が配下の者共とくだらない悪さをしていることを気付かないとは嘆かわしい。して、前回忠告したにも関わらず配下の者共の勝手を許し、我が婚約者を狙う輩を野放しにした罪は大きいぞ。」

ここで、国王陛下が口を開いた

「魔王陛下、この度は我が身の至らなさ故に起きた事を心より深くお詫び申し上げますと共に、今回の襲撃者並びに関係者を我が手で直接討ち取り、その首を魔王陛下へ捧げ従順の意を示しとう御座います。」

しかし、魔王様は首を横に振った。

「その必要はない。もう既に我がしもべたちが実行犯並びに関係者一族を特定し俺の命令を待っている状態だ」

国王陛下は、眼を大きく開いて驚愕の表情をしている。

「あとは、此処に居る当主の首を刎ねて一族に届けた後、残りの後継あとつぎたちの首を刎ねるのみだ。なぁ、そこに居るもの達よ。」

魔王様が扉付近にいる貴族の塊に向かって笑顔で話した。

「モラン伯爵・ワイヤー辺境伯爵・ウール伯爵・トーイン子爵・ラーマン子爵・サウル男爵・ノーツ男爵、お前らコッポラ男爵家に恥をかかされたとか活躍して妬ましいって馬鹿な理由で、俺の婚約者を狙いやがった。」

名前を呼ばれた貴族たちは、言い訳をしようとした瞬間に魔王様から真顔で最後の言葉が放たれた。

「死ね。」

その瞬間、名前が上がった家の当主たちの首が血飛沫とともに宙を舞う。

そしてどこからやって来たのか、王国の影の皆さんがすかさず首をキャッチして魔王様の前に並べた。すっかり、魔王様の配下だね。

ほかの周りにいた貴族たちは、腰を抜かしその場にへたり込んだ。

ここで、いつの間にか復活していたお祖父様が話し始めた。

「サウルとノーツは、ワシの亡くなった友人たちの家だ。次代の息子達とはとんと音沙汰が無かったが、ここにきて妬まれていたとはのう。」

そう寂しげに言ったお祖父様の目には、薄らと涙が浮かんでいた。

私はというと、実の父親に命を狙われていたのは知っていた。そして、初めて顔を見た日にお別れかと思っただけだった。
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