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1の章

26.手紙

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「ただいま、ホリーさん!」

「お帰りなさい。ローレンさん」

すぐに寮へ戻ってきた私。丁度、ホリーさんがダイニングにいた。

「ホリーさん、今話を聞いてもらってもいいですか?」

私は、少し真剣な顔でホリーさんに話しかけた。

「改まって、どうしたんですか?」

ホリーさん、いつも通りの無表情ですね。

「今もらいにいった、お小遣いの使い道を考えたくて」

「使い道?ですか。今、何か欲しいものとかあるんですか?」

ん~、欲しいものかぁ。何かあったかな~あまりの大金に浮き足だってしまったかな。寮生活だから、今は困ってないしご飯くらいかな。

「今のところ、食べ物以外には思いつきませんでした。」

「じゃあ急いで、何かに使わなくてもいいってことですよ。いつか困った時に、手元に余裕があれば安心ですよ。」

さすが、冷静なホリーさん!そうだよね、まだ学生だしこれから入り用になるんだもん。

「ありがとうホリーさん。ちょっと大金が舞い込んで、浮き足だってしまいました。」

「まぁ、そうなんですか?大金というと、オーガが余程の高値になったんですね。なら、尚更大事に保管しておいた方が安心です。」

ホリーさんの無表情が、神妙さを醸し出していた。

「そういえば、ローレンさんにお手紙が届いていました。お部屋の机の上に置かせてもらいました。すみません、お伝えするのが遅くなりました。」

「いえ、帰って早々にホリーさんへ相談事をした私が悪いんですよ。逆に、教えてくれてありがとう!」

そして、自室に戻り手紙を手に取ってみた。

「誰からかなぁ~。って、お祖父様からだ。」

なんだかんだと、お祖父様と会ってから2ヶ月半くらい経ってるんだなぁ。あっという間に月日が経っちゃった。

しかし、手紙なんてわざわざ送ってくるなんてどうしたのかな?

どれどれ、ふむふむ‥‥‥。

内容としては、お祖父様がハマり中のコーヒーが孫たちにバレて、さらに孫たちもハマりお祖父様の分まで横取りする始末だそう。なので、孫にバレずに追加が欲しいから、休日に遊びに来て欲しいということ。

はぁ~、自分の祖父が楽しみにしているものをよくもまぁ横取り出来たもんだねぇ~流石、伯父様の息子たち屑だね。

でも、何故に叱らない?あんな、筋骨隆々の強面頑固爺さんが怒ったら、普通ビビるでしょ。それとも、寝込んでる間に舐められちゃったかな?

仕方ない、お祖父様にはまだまだ元気でいてもらわなきゃいけないし、お祖父様孝行しましょうかね。

それじゃあ、外出届提出しないとねぇ。その前に、お祖父様に手紙の返事を出さなきゃ。

私は早々に、手紙と届出書を書き部屋を出て、事務室と教員室を目指し歩き出した。

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