Lara

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Regained Memories

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僕は彼の腕の中で暴れる。

「ッ、落ち、着けっ!」
「あああああぁぁあああああっ!!!」

助けて助けて嫌だお父さんとお母さんに会いたいお外出たい友達と遊びたい笑って…………笑って、普通に生きたい。

「あああっ…………ぐすっ………けほ、コホッ…………」
「…………よしよし、辛かったな」

叫びすぎて喉を傷めてしまった。苦しい、どうして僕なの、なんで?人を切って、血を垂らして、花を咲かせて、魂が昇るのを見て、わらって、笑って、嗤って、哂って…………あれ、僕、笑ってたっけ……?

どうでもいいや

温かい彼の腕の中にすっぽりと填まる。この人といるとなんか落ち着く。さっきは荒れてしまったけど、彼に頭を撫ぜられてすぐにその衝動は鎮火した。

「…………ごめん、なさ、ぃ、ごめんなさ、っ」

彼が黙って僕を抱きしめてくれる。お母さんみたいに、優しく、あったかく。

辛い、僕はこの現状を諦めたけど、無表情で何も喋らないようにしたけど、まだ感情がなくなったわけではないんだ。
今日は十五人、切って花に変えた。僕より少し上ぐらいの子から、本当に三歳ぐらいの小さな子まで全部平等に切り捨てた。これから幸せに生きることができるはずだったのに、泣いて抵抗して、い、えに…かえ、して、って

ぼくもかえりたい…………

その気持ちが無くなりはしない。でも、帰れないだろうな…………家は残ってるかもしれない。だけど、お父さんとお母さんがいなくなった家は、家のように感じられないと思う。それに今の僕が帰っても髪が白くなってるし、親もいないから施設に引き取られるだろう。

「…………おうち、かえりたいな…」

また泣いてしまったからか、眠くなってきた。うとうとと船を漕いでしまう。嫌だな、明日なんか来てほしくない。

「ずっと、だきしめて、ほし……いな…………」

この時間がずっと続けばいいのに、寒い夜に身を縮めず、絶望の朝日を眺めず、悲観に暮れた社へ行かず、灼熱を感じる殺戮を感じず、息苦しく終わりの見えない毎日を続けなくていいのなら、どんなに幸せなことか。

美味しさを感じなくなってきた食事をし、ぼんやりと意識が残る睡眠を取り、自我が薄くなってくる恐怖を感じて

僕は毎日存在している。

ねぇ、貴方の名前は何て言うんですか。

僕は知らない。こんなにも生に満ちた彼の名前すらも。そして彼も知らないだろう、僕の名前を。

だって、白の教団からすれば人形の私に価値は有っても

ただのには価値がないのだから。だからこそ興味も湧かないし、伝える意味もない。

彼が知っているのは僕が白神と呼ばれていることだけ。

ごめんなさい、ごめんなさい

僕は後何回、何十回、何百回、何千回、この言葉を繰り返すことになるのだろうか。

救いなんてありやしないのに

僕は涙を流し続ける。


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