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Regained Memories
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蠱毒を実行した後は日常のルーティンも変わった。
「……寒い」
前より増えた布団。常に暖房をつけ、温かい……熱いまでいく食事をとる。
保温性の高い服を着ていつもの綺麗な人に連れられて部屋を出る。
前までは一日中部屋に閉じこもるばかりだったけど今はそんな余韻も見せずに寝て食事をとるだけの場所に変化している。
部屋を出て次に行くのはこじんまりとした社がある場所。そこは白神を祀っている場所なんだとか。その社だけは元の木の色が出ている。
俺は木造の…中に入り奥に鎮座されている水晶へと歩く。その水晶は、前に……赤の血花を飲まされる前に触ったあの水晶だ。普段はここに置かれているらしい。滅多に見ることもできないんだとされている。見ることができるのは教団……つい最近知ったばかりだが【白の祝福】の中でも一握りの上層部でしか見ることができない。
例外は……『白の愛子』候補の子供たちだけらしい。これも最近知ったことだが、『白の愛子』候補を狙って攫ったらしい。特殊な白神に関わりのある道具で『白の愛子』候補に近づくとそれが反応するのだとか。
僕もそれが反応したから攫われたんだと、知った。
綺麗な人を社の前に待機させて僕だけが水晶の前に立つ。これは神器なんだとか。ただの水晶だけど、確かに僕はその水晶の中に渦巻く高密度の力を感じる。
これは
祈りだ
社の前で祈願することでその祈りがこの水晶の中に飛んでいく。そうして貯まった祈りを完成した僕が毎朝受け取りに来る。
信仰は神を高めさせる。
僕は……まだ自覚はないけれど、神になった…らしい。僕は人間なのに、って言いたかったけど、どうしても言い返すことができなかった。
と言っても、まだ神の域には到底到達できていないというのはわかる。神擬き…神人…亜神?とでも言ったほうが正しい気がする。
水晶に手を当てて力を吸い取る。水晶が光を上げ反応する。
僕が白神として完成したからか、信者の祈りも強くなったと聞いている。確かに、日を追うごとに中に入っている力もより高純度になっているのがわかる。この力が僕を亜神から神へと昇華させようとするのだ。
だから、僕は最低限の分しか手に取ることをしない。
今でも十分に神へと手は届かないながらも、格を一つ、二つを軽く超えることができる力が水晶には毎日補充されている。
けれど僕は…………なりたくない。だから、いつかなるのは、なるしかないのはわかってはいるがそれを遠くに引き延ばす。
そんな簡単にお前たちの思い通りになるとは思うな。
お前たちは僕の父さんを殺した。
お前たちは僕の母さんを殺した。
お前たちは僕の友達を殺した。
理由は、それで十分だと思わない?僕は諦めた、けれど決して許したわけではない。
僕は、世界が、憎い。
「……寒い」
前より増えた布団。常に暖房をつけ、温かい……熱いまでいく食事をとる。
保温性の高い服を着ていつもの綺麗な人に連れられて部屋を出る。
前までは一日中部屋に閉じこもるばかりだったけど今はそんな余韻も見せずに寝て食事をとるだけの場所に変化している。
部屋を出て次に行くのはこじんまりとした社がある場所。そこは白神を祀っている場所なんだとか。その社だけは元の木の色が出ている。
俺は木造の…中に入り奥に鎮座されている水晶へと歩く。その水晶は、前に……赤の血花を飲まされる前に触ったあの水晶だ。普段はここに置かれているらしい。滅多に見ることもできないんだとされている。見ることができるのは教団……つい最近知ったばかりだが【白の祝福】の中でも一握りの上層部でしか見ることができない。
例外は……『白の愛子』候補の子供たちだけらしい。これも最近知ったことだが、『白の愛子』候補を狙って攫ったらしい。特殊な白神に関わりのある道具で『白の愛子』候補に近づくとそれが反応するのだとか。
僕もそれが反応したから攫われたんだと、知った。
綺麗な人を社の前に待機させて僕だけが水晶の前に立つ。これは神器なんだとか。ただの水晶だけど、確かに僕はその水晶の中に渦巻く高密度の力を感じる。
これは
祈りだ
社の前で祈願することでその祈りがこの水晶の中に飛んでいく。そうして貯まった祈りを完成した僕が毎朝受け取りに来る。
信仰は神を高めさせる。
僕は……まだ自覚はないけれど、神になった…らしい。僕は人間なのに、って言いたかったけど、どうしても言い返すことができなかった。
と言っても、まだ神の域には到底到達できていないというのはわかる。神擬き…神人…亜神?とでも言ったほうが正しい気がする。
水晶に手を当てて力を吸い取る。水晶が光を上げ反応する。
僕が白神として完成したからか、信者の祈りも強くなったと聞いている。確かに、日を追うごとに中に入っている力もより高純度になっているのがわかる。この力が僕を亜神から神へと昇華させようとするのだ。
だから、僕は最低限の分しか手に取ることをしない。
今でも十分に神へと手は届かないながらも、格を一つ、二つを軽く超えることができる力が水晶には毎日補充されている。
けれど僕は…………なりたくない。だから、いつかなるのは、なるしかないのはわかってはいるがそれを遠くに引き延ばす。
そんな簡単にお前たちの思い通りになるとは思うな。
お前たちは僕の父さんを殺した。
お前たちは僕の母さんを殺した。
お前たちは僕の友達を殺した。
理由は、それで十分だと思わない?僕は諦めた、けれど決して許したわけではない。
僕は、世界が、憎い。
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