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彼を取り戻すために
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「さあ、蠢け戦慄け白の花よ、先ずはお前たちからだ」
溢れてくる白は花に変わり宙に舞う。ああ、憎たらしい。幸せに笑っている者共が、普遍的に生ける者たちがっ!
俺の感情が伝わって花は彼らに迫っていく。でも、無理だろうな。
何故なら…………
『ふん、この程度で勝てるとでも?』
神龍がいるから。
指一本動かさずに風を操作して花をかき散らした。
わかっているさ、それが叶うことはないと。
だけど、このままやれば…………
「椿っ!」
それは一番新しい俺の名前。ごめんな?龍……腹刺しちゃって。ああ、なんでお前たちは来てしまったんだ。これが嫌だから誰にも、何も言わずに戻ってきたというのに。
最も混乱した状態である今ではどうしても理性が感情を留めることができない。
俺の本当の名前はそれではないんだ。
だから俺はそれがない事にされたのを恨んで憎んで泣き喚く。
「Non」
今まで力を最低限にしか使っていなかった。だから教団もこれが俺の力の全てと勘違いしたのだろう。
だけど違う、これしか使っていなかったのはこれ以上の力には変化があったから。
全ての記憶が手の下に戻ってしまった。
全てがどうでもよくなってしまった。
だから、もう使っちゃおっか。
「『White Bird』
粉雪のように舞っていた花が集まってきて俺の周囲に渦巻き始める。
「「何をっ……!?」」
「…………つば、き」
次第に力が高まり俺の胸の内へと入っていき
俺が望む形へ作り変えていく。
カチリという音が聞こえ、何かが昇華したのを感じた。
「ッ……っ…………ぁああっ!」
体の内を渦巻く力が高まり、外に出ていこうとするのを止めずに放出。背中から痛みが走り何かが突き抜けた。体が軽くなり顔にかかる髪もさらに柔らかく変わった。
『……ほう』
「「なっ…………」」
「そ、れは……」
「翼…………?」
更なる檻から解放された。
ちらりと後ろを見てみると白い羽が見える。翼…………これか、動かせるし触ってみると感触がある。これが俺の傾向か。
羽ばたいてみると明らかに無理があるというのに体が浮いた。
「あは、あはははは」
気分が高揚する。今まで朧気だったものが鮮明に見える。飛べる、放たれる。
「羽よ」
翼から羽が抜け、カカカッと地面に突き刺さった。
白は浄化、翼は攻撃……わかりやすい力じゃないか?
俺は翼を完全に広げて彼らに向けた。
『効かぬな』
「っ…………!」
「これは、当たらなくても怖いですね」
「「すっご…………」」
「ッ、」
どれも神龍に防がれる。やっぱり無理か。わかっていたが、辛いものだ。
溢れてくる白は花に変わり宙に舞う。ああ、憎たらしい。幸せに笑っている者共が、普遍的に生ける者たちがっ!
俺の感情が伝わって花は彼らに迫っていく。でも、無理だろうな。
何故なら…………
『ふん、この程度で勝てるとでも?』
神龍がいるから。
指一本動かさずに風を操作して花をかき散らした。
わかっているさ、それが叶うことはないと。
だけど、このままやれば…………
「椿っ!」
それは一番新しい俺の名前。ごめんな?龍……腹刺しちゃって。ああ、なんでお前たちは来てしまったんだ。これが嫌だから誰にも、何も言わずに戻ってきたというのに。
最も混乱した状態である今ではどうしても理性が感情を留めることができない。
俺の本当の名前はそれではないんだ。
だから俺はそれがない事にされたのを恨んで憎んで泣き喚く。
「Non」
今まで力を最低限にしか使っていなかった。だから教団もこれが俺の力の全てと勘違いしたのだろう。
だけど違う、これしか使っていなかったのはこれ以上の力には変化があったから。
全ての記憶が手の下に戻ってしまった。
全てがどうでもよくなってしまった。
だから、もう使っちゃおっか。
「『White Bird』
粉雪のように舞っていた花が集まってきて俺の周囲に渦巻き始める。
「「何をっ……!?」」
「…………つば、き」
次第に力が高まり俺の胸の内へと入っていき
俺が望む形へ作り変えていく。
カチリという音が聞こえ、何かが昇華したのを感じた。
「ッ……っ…………ぁああっ!」
体の内を渦巻く力が高まり、外に出ていこうとするのを止めずに放出。背中から痛みが走り何かが突き抜けた。体が軽くなり顔にかかる髪もさらに柔らかく変わった。
『……ほう』
「「なっ…………」」
「そ、れは……」
「翼…………?」
更なる檻から解放された。
ちらりと後ろを見てみると白い羽が見える。翼…………これか、動かせるし触ってみると感触がある。これが俺の傾向か。
羽ばたいてみると明らかに無理があるというのに体が浮いた。
「あは、あはははは」
気分が高揚する。今まで朧気だったものが鮮明に見える。飛べる、放たれる。
「羽よ」
翼から羽が抜け、カカカッと地面に突き刺さった。
白は浄化、翼は攻撃……わかりやすい力じゃないか?
俺は翼を完全に広げて彼らに向けた。
『効かぬな』
「っ…………!」
「これは、当たらなくても怖いですね」
「「すっご…………」」
「ッ、」
どれも神龍に防がれる。やっぱり無理か。わかっていたが、辛いものだ。
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