Lara

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第三章 星光祭編 二学期の幕開けは騒動と共に

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エレベータに乗って一階に降りるボタンを押す。

「わんこは夏休み楽しめたか?」
「ん…どう、だろ。」
「ふーん」
「椿は?」
「あ?俺か?俺は…大体寮にいたんだが、暇なだけだったな。別にどっかに遊びに行ってもそんな頻繁に行くもんでもねぇし、そもそも学園の外に出るのも許可をいちいち取らなきゃいけねぇからな。めんどい」
「あ、はは、いつもどーりだね」
「まあな」

扉が開いて、エレベーターから出ると遅れてわんこも出てきた。こんな朝早くからでも外に出る人は出るのでホール中から視線が集まった。
運動にでも出ていたのかランニングウェアを着ているチワワがこっちを見てきゃいきゃいと騒いでいた。

周りに人もいるので切り替えて話す。

「それじゃあ、行こっかぁ~」
「ん」

校舎に着くと俺たちは体育館に向かう。ああ、始業式も面倒だな。なんでわざわざそんなのやらなきゃいけねぇんだよ。誰だ、そんなの始めたやつ。

もう既に準備は始まっているのか体育館の扉は開いていた。俺は中に飛び出して挨拶する。

「おっはぁ~☆やあやあ皆さん早いねぇ~」
「ええ、椿もですけどね…朝からテンション高いですね?」
「ふっふ~ん、それが僕だからねぇ~?」

嘘、残念ながらいつになく低いわこの野郎。
そして副会長は相変わらず張り付けたかのような笑みで。…いやでも、ちょっと軟化してる、か?
後からついてきたわんこも挨拶する。

「大樹おはよ…」
「おはようございます。薙刀も早いですね」
「大樹程じゃない…」
「ふふ、ちょっと眠そうですね。ここに来たからには準備を手伝ってもらいますよ。はい、起きてください」
「ん…」

てぇてぇだな。初日からこんな純度の高い萌えを見れるとは…やっぱここに入学してよかった…はぁー最高。

「それじゃあ、何処までやってるのかなぁ~?」
「まだ準備を始めたばかりですので…それならマイクをお願いします」
「あいあいさー」

ステージ裏の階段を上って放送室に入る。中には放送機具があり、壁には何十種類ものマイクが立てかけられていた。

「えーと、式用のマイクは~っと?」
「そこ、右から六番目」
「お~これかぁ、ありがと…って、え?」
「おはよーございます。会計様」
「わぁーおはよ、びっくりしたよぉいきなり後ろにいるんだもん☆」

そこにはぼっさぼさの髪のした長身の男が立っていた。顔も前髪が鼻の頭までかかっているのでわからない。いや誰?
というかこいつ、何者だ?俺が気づかないなんて、普通じゃねぇぞ?

「というか、誰?」
「あれー?わかりませんかー?僕ですよー僕」
「オレオレ詐欺ならぬぼくぼく詐欺は間に合ってま~す」
「んー、亜里 疾風あり はやてですー。放送委員の委員長をやってる」
「…………」

はあっ!?え、マジで?

そーですよーって言って前髪をピンでとめる。あ、すごく眠そうだけどイケメン。
こいつは亜里 疾風。放送委員委員長を務めていて普段はハイテンションな実況をやったりしている。そしてイケメン。顔もあって有名人なのだが…

「えー、テンション違いすぎな~い?あと見た目」
「あーそれでですかー僕、超低血圧なんですー見た目はー知らないでーす」
「そっかぁ~ソウナンダー」
「そーなんでーす」

ちょっとあり得ねぇ。
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