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第一章

11.「.....疲れた。」

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「最後は火か。」

 マリの火のイメージは異世界モノで「想像したのは理科の実験のガスバーナーでうんたらかんたら.....」の青い炎。単純といえば単純だが、そりゃあ憧れは有ったので試さない訳もなく。

「よし、できた。」

 上手く出来た事で思わず声を上げると自分たちの魔法に夢中だったリンとジンの二人が声に反応してマリを見る。マリの手から揺らめく青い炎を見て二人は歓声を上げる。

「青い炎だー!」

「すごーい。初めて見たー!」

 目を輝かせてみてくる二人にどう反応を返せばいいか分からず黙って魔法の発動をやめる。そして、例の如く通知音が頭に鳴り響き、


~~~~~
マーリ=ユズリ(マリ=ユズキリー) 17歳 女 獣人
レベル3
スキル
・『アイテムボックス』
・『鑑定』、『隠蔽』、『偽装』
・『水魔法』、『土魔法』
・『火魔法』〈NEW〉
・『算術』
特殊スキル
・言語理解
・不老不死
・ラツリューンの加護

レベルが3に上がりました。
新たに『火魔法』を習得しました。

~~~~~

「今回はレベルもか。まあ、上がった所で何かを実感している訳でも無いんだが。」

 独り言の様にぼやくがマリは今日は一人じゃなかった事を改めて思い出すと二人に目を向ける。が、その心配は杞憂で終わった。

「僕たちの『ステータス』にさっきの追加されてるねー!」

「やったね!」

 二人もそれぞれ『ステータス』を確認していた。この世界では『ステータス』は広く知れ渡っている事を知ったがマリには疑問があった。

「なあ、」

「「マーリさん、何でしょうか?」」

「『ステータス』ってのは何処で教えてもらったんだ?」

「「?」」

 リンとジンの二人はお互いに顔を見合わせ首を傾げ悩んでいる。その反応にマリは疑問を持ち問い質そうとする前に二人は戸惑いながらも答えた。

「元から?」

「知ってた?」

「何で疑問系で返すんだ。」

「だって、」

「わたしたちにもよく分からないから、です。」

 その二人の反応からマリは一つの推測に至り口に出す。

「もしかして、だが。物心ついた時には知っていた?」

「「多分!」」

 それがこの世界の常識なのだろうと思いながらもまだ不明な点も多い事で少し頭を悩ませる。しかし、マリがこの世界で話しやすい相手が全てを知っているであろう存在が近くにいるのを思い出し、この場では考えるのを一旦中止した。勿論全てを答えられる訳ではないみたいのも知っているのだが問題を先送りにした。

「今の質問はあまり気にしないでくれ。それよりも魔法をもう少しやろうか。」

「「はーい!」」

 マリはその後二人に見られても大丈夫な魔法にしようと思いなるべく派手じゃ無い様なのを考えて選択して発動していった。その成果が、

「やっとちゃんとした『土魔法』が発動出来たぞ!」

 最初の習得が砂を出せた事がマリ的には気に入らなかったらしく主要な3つが手に入ったというのに『土魔法』に拘り続け漸く満足のいく結果が出せた事で思わずガッツポーズして喜んでしまった。リンとジンがその行動を見て拍手をしてくれたことで恥ずかしくなり咳払いを一回して話を逸らしにかかる。

「ところで、リンとジンはその後どうだ?」

「あれから他の試そうと思ったんですけど、」

「駄目でしたー。」

「何か使いたい魔法でもあったのか?」

 その質問に二人同時に元気よく答えた。

「「光!!」」

「? ひ、光?」

 先に説明した色の理論から行けば別に光、即ち白色に当たるだろうそれは発動が不可能という訳では無いだろうが最初から試すような魔法でも無い様な気がしたのでマリはどうしてそれを使いたいと思ったのか聞く事にした。

「どうして、光なんだ?」

「暗いとこでもピカピカできるー。」

「おうちにはそういうの置いてないのー。」

 要は『狐の憩い場』の宿の中には無いと言いたいのだろうがマリは首を傾げた。宿には光が灯る魔法道具マジックアイテムが有った事を思い出す。勿論宿の中の食堂だけでなく客室の一つづつには有るので疑問に思い尋ねた。

「宿にはあるだろう?」

「部屋には無いんですー。」

「だから、夜は暗いのー。」

 マリはそれを聞いて「成程。」と納得した。魔法道具マジックアイテムは消耗品だから使い切ったら補充しなけらばならない。それを客室だけでなく自分の子供の為にも準備できるかと言ったら難しいだろう。何せ魔法道具マジックアイテムは安くはないのだから。設置してもその後のメンテナンスが必要だったりと経費がかさんでしまうのが目に見えている。

「そういう理由で使いたいのは分かったが、光は多分最初から上手く発動できるものでもないと思うけどな。」

 「そうなのー?」と二人で声を合わせて明らかにしょんぼりし始めた。とは言えマリは後で知る事なのだが『光魔法』はある神聖国が管理しているので一般で使える人なんて滅多にいない。『光魔法』には広い可能性が眠っていて上手く訓練して発展していけばどうやら『回復魔法』とやらも使える様になるとかという。「そりゃあ秘匿にするよな。」と納得したらしい。が、この時マリは既に『光魔法』も『回復魔法』も使える状態だったというのは先の事。

「さて、暗くなる前に帰るか。私はギルドに寄ってから宿に戻るから二人は先に戻っててくれ。」

 街の大通りを歩くように注意をしてから別れるとマリは溜息を吐きながらギルドへ向かった。

「.....疲れた。」

 ギルドに着いて貯めていた薬草を納品し、報酬金を受け取った後マリは何気なしにギルド内を見て回るとある依頼に目が留まる。それは”Ⅱ”と記されている一つランクが上の依頼だった。内容は、

「.....奴隷、か。」

【依頼内容】
 -今現在街に来ている奴隷商の調査-

  法により奴隷が認められているが逸脱した行為が無いか、法に乗っ取った手段を取っているかを調査してほしい。

 報酬金貨5枚。


「報酬金高っ。」

 この世界で、奴隷は合法らしい。勿論法に乗っ取っていればの話だが。どうせどこぞのお貴族様が奴隷を手に入れるのに合法か下調べがしたいとかそんなところだろうと結論付けて見ているとその依頼を手に取りカウンターに持って行くパーティーがいた。マリは元からそんなに興味が無かったので直ぐに些末な事として忘れた。

 が、後日同依頼が張られ特殊依頼という枠であること、報酬金がさらに高くなって掲示板に貼られているのを目撃したマリは疑問に持ち興味本位で依頼を受けてしまったのだった。




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