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三章 月光の花魁

夜景と酒

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ヴァルネラはまだ飲み足りないらしく部屋でも飲むという

二人の美少女を担ぎ部屋に戻った俺たちは先に二人を寝かせた

「ハァ、お前はもっと自重したらどうだ、ヴァルネラ」

「何を言う主。この世界へ久々に来たのだから楽しまなくては‥‥」

俺とヴァルネラはベランダにあるテーブルにワインを置き、椅子に座った
俺は飲めないが雰囲気を嗜む

後ろでは二人が酒を飲んでしまい熟睡している


———ワインを一杯飲み干す程の時間が過ぎる
夜の街並みはとても綺麗で5階からの景色がまた程良く心を踊らす

ヴァルネラはグラスにワインを注ぎ、今度は上品に飲んでいる

「これは美味しい。ブドウの風味といい程よい酸味。この風景に合う」

妖艶な魅力を醸し出し、男共を魅了する存在感がグラスに口付けしている
そのグラスには口紅が残る

この顔貌を垣間見る事がどれほど幸福なことだろうか

国の貴族どもに有数の権力者が挙って彼女を欲しがるだろう

そしてその隣に居る俺は同性の憎き敵になるだろう‥‥

彼女はそれほどの美を兼ね備えている

そんな彼女がこちらを見詰めてくる

「———主はこれからどうするのだ?」

熱の篭った瞳で話しかけてくるヴァルネラ
俺は彼女の瞳に吸い込まれそうになるが必死に男の性を抑えた

「行き当たりばったりで考えながら進むしかないだろうな」

これまでそうだった様に、そしてこれからもそうなるだろうと思い答える

すると彼女ことヴァルネラが笑みを浮かべる

「それは無謀と同じではないか。いつか壁にぶつかってしまうぞ」

「その時はお前が助けてくれるだろう?」

ヴァルネラは面白半分で話していたが、俺の疑念を抱かない瞳にヴァルネラは虚を突かれた様子。すると俺に向かって艶笑した

「———そうか、そうだな‥‥ふふふ、お前は本当に面白い男だ‥‥レオン」

「そうだろう?俺といれば退屈の二文字は存在しない」

俺は椅子から腰を浮かしベランダの手すりに仁王立ちする

「それと少し出かけてくる」

そんな俺にヴァルネラは艶めいた声をかけてくる

「すぐに戻れ、我はここでワインを片手に座っていよう」

「ああ、すぐ戻る」

俺はベランダから向かいの宿の屋上に飛んだ
そのまま夜の街へと消えていく

そんな俺の背中をヴァルネラは物欲しそうに眺めていた
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