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二章 穢れの少女
戦闘開始
しおりを挟む————ドバアァァァン!!!!
「「「———!!」」」
突如、爆発音が響き渡り出入り口の扉が爆破された。
「———全員動くなッ!!!我々はエルフ軍特魔部隊である!裏オークションの主催者並びに会員の者は即刻連行させて貰う!!」
爆破された出入り口から武装した軍がゾロゾロと突入し、一人の軍人が声を荒げたのだ
——!!おいおいエルフ軍特魔部隊だと‥‥‥?
随分とかっこいいデザインじゃないかっ!黒の防魔ベストに下半身はスラッとした軍服。このデザインを少し真似たらもっと良い服になりそうだ
後に検討しておこうではないか!
それよりも問題なのは——
「な、なんで軍の奴らがここにッ!!?」
「もう終わった‥‥」
「なぜだ?!私は貴族だぞ?!!こんな、こんなとこで‥‥」
「ちくしょー!!誰が密告しやがった?!」
会員達が次々に取り押さえられて行く中で、少し引っ掛かることがある。
主催者があのエルフの事について『今日で最後』と言っていた。
そして観客達は初耳だったかの様な反応を示している。
なのに、あのジジイは主催者が発表する前に言い当てていた‥‥‥‥
—————!!
「なあ、ジジイお前もしかして‥‥‥‥」
———『動くな』———
さっきまでベロベロに酔っていた姿は錯覚だったかの様に今のジジイは平然と立っていた。そして、俺たちにいつでも魔法を放てる態勢をとっている。
「悪いな、あんちゃん。一応仕事でね‥‥そんであんちゃん『プラート』じゃないだろ?プラートは俺にオークションの情報を流してくれていた野郎でな、あんちゃんを最初に会った時から気づいていたよ」
男はそう言い、自軍の方へと歩みを進めると突入してきた軍人達が一斉にジジイに向かって敬礼した。
「お怪我はありませんか!?”隊長”!」
「全く‥‥隊長自ら潜入任務なんてどうかしてますよ!?」
「ガッハッハッハ!!すまないな!お前ら!ウィッ結果なんとかなったろ?」
「ちょっと隊長!!酔ってるじゃないですか!」
軍人達の方へと視線を移すと部下達は酔った隊長を優しく介抱している。
クソッあのジジイが隊長だったとは運が悪かった
(———それになんなんだ、これは)
俺とファシーノは軽蔑の目でその”隊長”とやらを見ていた
「おっと、そんな視線で見ないでくれ。———コホンッあーそれより会員の奴らと主催者は捕まえたか?」
「ハッ!会員の者は目の前の二人以外は全員捕えました。しかし、主催者の”ピピストには逃げられてしまい、数名を追跡に回しました」
「そうか‥‥そうそう自己紹介がまだだったな!俺は”ファルコ・グリージョ”!
エルフ軍特魔部隊所属にして隊長をやっている!ついでに階級はSSランクだ!」
フェルコと名乗るエルフの男は気高く高笑いながら俺たちの方へと視線を移す
そんなおかしな様子を見ていた俺とファシーノは少し拍子抜けしてしまった。
しかし相手はあのSSランク。油断は禁物だ‥‥
「こちらも名乗らせて貰おう、俺は『ネロ』だ。まさか、あの酔っ払いジジイが特魔部隊の隊長だったとは恐れ入った」
「ガッハッハ!ネロか!変装する人が悪かったなあ‥‥まあ、これも運の尽きだ。大人しく捕まってくれや?」
そう言うとファルコは腰に据えていた短剣を抜き構える
しかし、戦闘が始まる前にこいつらに聞いておきたい事がある
「一つ質問する、あの檻に入れられている”エルフ”はどうするつもりだ?」
俺はファルコに鋭い視線を送り問い出した
「ああ、気乗りしないがあのエルフには死んで貰う。悪いが上からの命だ。このまま地獄の様な生活が続くなら死んだ方が楽ってもんよ。せめてもの慈悲だ」
ファルコの表情は哀れみを帯びている事から本当に気乗りしない様子
この男は他のエルフとは違い話ができるタイプなのだろう
惜しい人材だ‥‥
「そうか‥‥ならば俺がその地獄とやらを終わらせ、奪うまでっ!」
「ガッハッハ!奪うのならこのファルコ・グリージョを超えて行け!!」
その言葉を最後に両者は激しくぶつかり戦闘が始まった———
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