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二章 穢れの少女

蒼髪のエルフ

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「「———!?」」

———俺は一瞬本当にエルフかと疑った。この瞳に映るエルフが自分の知っているエルフとは全く違かったからだ。エルフの象徴とも言える長耳、その片方の耳が半分無くなっていた。切り落とされたのだろう片耳はどの様な扱いを受けて来たかを物語っている。さらに痩せ細った手足に課せられた枷。身体中にある痣。万が一にも逃げられぬように足の腱も切られている

「——ッ!なんて‥‥可哀想な姿なの‥‥」

ファシーノは怒りを殺し、殺気を抑えてはいるがその瞳には憎悪が宿っていた。
同じ境遇、はたまたそれ以上の環境を受けている彼女に同情したのだろう。
さらに俺を最もエルフと否定してしまった要因がもう一つある

「———髪が蒼だと?」

そう、彼女の髪は蒼かったのだ。空のような深い蒼。それは第三者から見ればとても綺麗な色で羨む色をしている。しかしエルフとなると真逆の反応である。

「あらあら、なんて醜いのかしら」

「容姿も汚らしいわぁ」

「ほほほ、酒が進みますな~」

VIPな観客たちはゲスな笑みを浮かべ酒を啜っている。反吐が出そうだっ

「———どうです!?皆さん!いつ見ても変わらぬ醜くい容姿!!しかし残念ながら我々の都合により、今宵が最後の晩酌になってしまいます。会員の皆様におきましては多大なるご迷惑をおかけします事をお許しくださいませ。では!最後の晩酌、心ゆくままにお楽しみください!」

そう言い残し司会者は壇上を降りていく。観客は今日の収穫の良し悪しを話す者、目の前のエルフを見て酒を啜る者、そしてそれらを眺め憎悪の目を観客に向ける者、様々いる。

そして俺の隣で憎悪の目を開場中に向けているファシーノを手で止める

「落ち着け、ファシーノ」

「止めないでください、一瞬でここの屑共を葬ってきます」

「安心しろ。俺も少し苛立っている」

「‥‥どうするつもり?」

ファシーノがどうするのか聞いてきたがファシーノはあのエルフを助けあわよくば仲間‥‥と考えているはずだ。‥‥なんかすごく上目遣いで『助けないの?』と訴えてきている

(———ああ、俺も同じ考えだ)

「ファシーノ、今回の目的は仲間、協力者を探す事だったな?」

「はい‥‥」

俺は檻に閉じ込められているエルフに人差し指を向ける。

「———見つけたぞ。このオークションが終わり次第強奪する。それまで耐えろ」

「はいっ‥‥‥」

ファシーノはやる気満々でオークションが閉演するのを待っている。
俺はというとさっきからジジイがずっと隣で絡んできているので対処していたとこだ。ジジイを対処しながらひたすら『その時』を待っていた。
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