12 / 141
二章 穢れの少女
蒼髪のエルフ
しおりを挟む
「「———!?」」
———俺は一瞬本当にエルフかと疑った。この瞳に映るエルフが自分の知っているエルフとは全く違かったからだ。エルフの象徴とも言える長耳、その片方の耳が半分無くなっていた。切り落とされたのだろう片耳はどの様な扱いを受けて来たかを物語っている。さらに痩せ細った手足に課せられた枷。身体中にある痣。万が一にも逃げられぬように足の腱も切られている
「——ッ!なんて‥‥可哀想な姿なの‥‥」
ファシーノは怒りを殺し、殺気を抑えてはいるがその瞳には憎悪が宿っていた。
同じ境遇、はたまたそれ以上の環境を受けている彼女に同情したのだろう。
さらに俺を最もエルフと否定してしまった要因がもう一つある
「———髪が蒼だと?」
そう、彼女の髪は蒼かったのだ。空のような深い蒼。それは第三者から見ればとても綺麗な色で羨む色をしている。しかしエルフとなると真逆の反応である。
「あらあら、なんて醜いのかしら」
「容姿も汚らしいわぁ」
「ほほほ、酒が進みますな~」
VIPな観客たちはゲスな笑みを浮かべ酒を啜っている。反吐が出そうだっ
「———どうです!?皆さん!いつ見ても変わらぬ醜くい容姿!!しかし残念ながら我々の都合により、今宵が最後の晩酌になってしまいます。会員の皆様におきましては多大なるご迷惑をおかけします事をお許しくださいませ。では!最後の晩酌、心ゆくままにお楽しみください!」
そう言い残し司会者は壇上を降りていく。観客は今日の収穫の良し悪しを話す者、目の前のエルフを見て酒を啜る者、そしてそれらを眺め憎悪の目を観客に向ける者、様々いる。
そして俺の隣で憎悪の目を開場中に向けているファシーノを手で止める
「落ち着け、ファシーノ」
「止めないでください、一瞬でここの屑共を葬ってきます」
「安心しろ。俺も少し苛立っている」
「‥‥どうするつもり?」
ファシーノがどうするのか聞いてきたがファシーノはあのエルフを助けあわよくば仲間‥‥と考えているはずだ。‥‥なんかすごく上目遣いで『助けないの?』と訴えてきている
(———ああ、俺も同じ考えだ)
「ファシーノ、今回の目的は仲間、協力者を探す事だったな?」
「はい‥‥」
俺は檻に閉じ込められているエルフに人差し指を向ける。
「———見つけたぞ。このオークションが終わり次第強奪する。それまで耐えろ」
「はいっ‥‥‥」
ファシーノはやる気満々でオークションが閉演するのを待っている。
俺はというとさっきからジジイがずっと隣で絡んできているので対処していたとこだ。ジジイを対処しながらひたすら『その時』を待っていた。
———俺は一瞬本当にエルフかと疑った。この瞳に映るエルフが自分の知っているエルフとは全く違かったからだ。エルフの象徴とも言える長耳、その片方の耳が半分無くなっていた。切り落とされたのだろう片耳はどの様な扱いを受けて来たかを物語っている。さらに痩せ細った手足に課せられた枷。身体中にある痣。万が一にも逃げられぬように足の腱も切られている
「——ッ!なんて‥‥可哀想な姿なの‥‥」
ファシーノは怒りを殺し、殺気を抑えてはいるがその瞳には憎悪が宿っていた。
同じ境遇、はたまたそれ以上の環境を受けている彼女に同情したのだろう。
さらに俺を最もエルフと否定してしまった要因がもう一つある
「———髪が蒼だと?」
そう、彼女の髪は蒼かったのだ。空のような深い蒼。それは第三者から見ればとても綺麗な色で羨む色をしている。しかしエルフとなると真逆の反応である。
「あらあら、なんて醜いのかしら」
「容姿も汚らしいわぁ」
「ほほほ、酒が進みますな~」
VIPな観客たちはゲスな笑みを浮かべ酒を啜っている。反吐が出そうだっ
「———どうです!?皆さん!いつ見ても変わらぬ醜くい容姿!!しかし残念ながら我々の都合により、今宵が最後の晩酌になってしまいます。会員の皆様におきましては多大なるご迷惑をおかけします事をお許しくださいませ。では!最後の晩酌、心ゆくままにお楽しみください!」
そう言い残し司会者は壇上を降りていく。観客は今日の収穫の良し悪しを話す者、目の前のエルフを見て酒を啜る者、そしてそれらを眺め憎悪の目を観客に向ける者、様々いる。
そして俺の隣で憎悪の目を開場中に向けているファシーノを手で止める
「落ち着け、ファシーノ」
「止めないでください、一瞬でここの屑共を葬ってきます」
「安心しろ。俺も少し苛立っている」
「‥‥どうするつもり?」
ファシーノがどうするのか聞いてきたがファシーノはあのエルフを助けあわよくば仲間‥‥と考えているはずだ。‥‥なんかすごく上目遣いで『助けないの?』と訴えてきている
(———ああ、俺も同じ考えだ)
「ファシーノ、今回の目的は仲間、協力者を探す事だったな?」
「はい‥‥」
俺は檻に閉じ込められているエルフに人差し指を向ける。
「———見つけたぞ。このオークションが終わり次第強奪する。それまで耐えろ」
「はいっ‥‥‥」
ファシーノはやる気満々でオークションが閉演するのを待っている。
俺はというとさっきからジジイがずっと隣で絡んできているので対処していたとこだ。ジジイを対処しながらひたすら『その時』を待っていた。
0
お気に入りに追加
310
あなたにおすすめの小説
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生
西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。
彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。
精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。
晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。
死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。
「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」
晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
妹と歩く、異世界探訪記
東郷 珠
ファンタジー
ひょんなことから異世界を訪れた兄妹。
そんな兄妹を、数々の難題が襲う。
旅の中で増えていく仲間達。
戦い続ける兄妹は、世界を、仲間を守る事が出来るのか。
天才だけど何処か抜けてる、兄が大好きな妹ペスカ。
「お兄ちゃんを傷つけるやつは、私が絶対許さない!」
妹が大好きで、超過保護な兄冬也。
「兄ちゃんに任せろ。お前は絶対に俺が守るからな!」
どんなトラブルも、兄妹の力で乗り越えていく!
兄妹の愛溢れる冒険記がはじまる。
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる