81 / 88
第三章 結婚してから乙女ゲームのヒロインである妻が愛してると言ってくれない
9.出来る男をアピールしてみる
しおりを挟む
デボラは詩集のページを次々とめくり、マジマジと眺めた。ジャケットのポッケに入る様な小さな本で、表紙にも、どのページにも、フルカラーのイラストがついている。
色鮮やかな花々、朝露の滴る草、豊かな雲が流れる青空、月がかかる星空、その間を飛ぶ銀色の蜜蜂。
詩に造詣の無い人でも挿絵だけで楽しめる本だ。貴婦人がファッションで持ち歩くのにも最適である。
こんな可愛い本を広げて、お茶をしていれば、紳士から声を掛けられる確率はグンと上がるだろう。
しかも、内容について男女で話し合えば、恋の駆け引きが出来てしまいそう。
挿絵を描いているのは?
詩集をひっくり返して名前を探す。
詩:ピーター・グリーン、絵:ブレイデン・B・ホワイトと書かれていた。
デボラ
「ブレイデン様が挿絵を!?」
ブレイデン
「はい。描かせて頂きました」
アンジェリカ
「ほわっ! そうなの!?」
ブレイデン
「昔(前世)は絵(マンガ)を描いて食べておりましたので」
アンジェリカ
「ふぅ~ん、そうなんだ。知らなかった」
デボラ
「ど、どうしてブレイデン様が挿絵を!?」
ブレイデン
「この詩集はギルドアカデミーで製作・販売している商品なんです」
ピーター
「シルバー公爵閣下にお金持ちになりなさいと、ご指示頂きまして、途方に暮れたワタクシメは、同じく平民出身のホワイト子爵にご相談申し上げたのです」
デボラ
「売れているの?」
ピーター
「売れております」
アンジェリカ
「売れているのでっす!」
ブレイデン
「大人気商品ですよ!」
周囲にいた人々は詩集に興味津々だった。もちろん、シャーリーンも。
ブレイデン様が挿絵を描いた詩集!? しかも、デボラ・シルバー公爵令嬢の婚約者が書いた詩集...き、気になる!
グリーン卿はブレイデン様と同じ平民上がりだと言っていたわ...それなのに、あの公爵閣下が結婚をお許しになった相手...ブレイデン様と組んで仕事が出来る人物...
もしかして、めちゃくちゃ優秀なの!? 天才...とか?
悔しい! 悔しい! 悔し~い!
あ、あの詩集...気になるけど、悔しいから、絶対に買ってやったりしないわ!
「あの、ちょっと拝見しても?」
「何て素敵な本!? これは何処で買えるのですか?」
ブレイデン
「有難うございます! 今日は持参しておりますので、すぐにでも購入は可能です。また、全国の商人ギルドでもお取り扱いがございますよ」
「買います!」
「ワタクシにも一つ売って頂けないかしら?」
「私には3冊! 娘達へのお土産に」
「私にも!」
詩集は次々に売れて行き、売れるたびにシャーリーンはヤキモキした。
そして、あっという間に完売した。
か、完売!? べ、別に! 欲しくなんてなかったんだから! ちょっと気になっただけよ! ちょっと...
ブレイデン
「ピンク伯爵夫人、お話したい事があるのですが、宜しいでしょうか?」
シャーリーン
「え!? も、もちろんですわ」
な、何かしら? も、もしかして...ワタクシを先程睨んでいたのはワタクシの事が好きだったからなの!?
シャーリーンの妄想は広がった。
妄想の中のブレイデン
『私が本当に愛しているのは、シャーリーンです。アンジェリカとは別れます! だから、貴女様も伯爵と別れて、私と結婚して下さい! 何処か遠い所で2人きりで暮らしましょう!』
シャーリーン
「何処へでもついて行きますわ」
ブレイデン
「では、あちらで」
色鮮やかな花々、朝露の滴る草、豊かな雲が流れる青空、月がかかる星空、その間を飛ぶ銀色の蜜蜂。
詩に造詣の無い人でも挿絵だけで楽しめる本だ。貴婦人がファッションで持ち歩くのにも最適である。
こんな可愛い本を広げて、お茶をしていれば、紳士から声を掛けられる確率はグンと上がるだろう。
しかも、内容について男女で話し合えば、恋の駆け引きが出来てしまいそう。
挿絵を描いているのは?
詩集をひっくり返して名前を探す。
詩:ピーター・グリーン、絵:ブレイデン・B・ホワイトと書かれていた。
デボラ
「ブレイデン様が挿絵を!?」
ブレイデン
「はい。描かせて頂きました」
アンジェリカ
「ほわっ! そうなの!?」
ブレイデン
「昔(前世)は絵(マンガ)を描いて食べておりましたので」
アンジェリカ
「ふぅ~ん、そうなんだ。知らなかった」
デボラ
「ど、どうしてブレイデン様が挿絵を!?」
ブレイデン
「この詩集はギルドアカデミーで製作・販売している商品なんです」
ピーター
「シルバー公爵閣下にお金持ちになりなさいと、ご指示頂きまして、途方に暮れたワタクシメは、同じく平民出身のホワイト子爵にご相談申し上げたのです」
デボラ
「売れているの?」
ピーター
「売れております」
アンジェリカ
「売れているのでっす!」
ブレイデン
「大人気商品ですよ!」
周囲にいた人々は詩集に興味津々だった。もちろん、シャーリーンも。
ブレイデン様が挿絵を描いた詩集!? しかも、デボラ・シルバー公爵令嬢の婚約者が書いた詩集...き、気になる!
グリーン卿はブレイデン様と同じ平民上がりだと言っていたわ...それなのに、あの公爵閣下が結婚をお許しになった相手...ブレイデン様と組んで仕事が出来る人物...
もしかして、めちゃくちゃ優秀なの!? 天才...とか?
悔しい! 悔しい! 悔し~い!
あ、あの詩集...気になるけど、悔しいから、絶対に買ってやったりしないわ!
「あの、ちょっと拝見しても?」
「何て素敵な本!? これは何処で買えるのですか?」
ブレイデン
「有難うございます! 今日は持参しておりますので、すぐにでも購入は可能です。また、全国の商人ギルドでもお取り扱いがございますよ」
「買います!」
「ワタクシにも一つ売って頂けないかしら?」
「私には3冊! 娘達へのお土産に」
「私にも!」
詩集は次々に売れて行き、売れるたびにシャーリーンはヤキモキした。
そして、あっという間に完売した。
か、完売!? べ、別に! 欲しくなんてなかったんだから! ちょっと気になっただけよ! ちょっと...
ブレイデン
「ピンク伯爵夫人、お話したい事があるのですが、宜しいでしょうか?」
シャーリーン
「え!? も、もちろんですわ」
な、何かしら? も、もしかして...ワタクシを先程睨んでいたのはワタクシの事が好きだったからなの!?
シャーリーンの妄想は広がった。
妄想の中のブレイデン
『私が本当に愛しているのは、シャーリーンです。アンジェリカとは別れます! だから、貴女様も伯爵と別れて、私と結婚して下さい! 何処か遠い所で2人きりで暮らしましょう!』
シャーリーン
「何処へでもついて行きますわ」
ブレイデン
「では、あちらで」
0
お気に入りに追加
746
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
糞ゲーと言われた乙女ゲームの悪役令嬢(末席)に生まれ変わったようですが、私は断罪されずに済みました。
メカ喜楽直人
ファンタジー
物心ついた時にはヴァリは前世の記憶を持っていることに気が付いていた。国の名前や自身の家名がちょっとダジャレっぽいなとは思っていたものの特に記憶にあるでなし、中央貴族とは縁もなく、のんきに田舎暮らしを満喫していた。
だが、領地を襲った大嵐により背負った借金のカタとして、准男爵家の嫡男と婚約することになる。
──その時、ようやく気が付いたのだ。自分が神絵師の無駄遣いとして有名なキング・オブ・糞ゲー(乙女ゲーム部門)の世界に生まれ変わっていたことを。
しかも私、ヒロインがもの凄い物好きだったら悪役令嬢になっちゃうんですけど?!
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。
悪役令嬢によればこの世界は乙女ゲームの世界らしい
斯波
ファンタジー
ブラック企業を辞退した私が卒業後に手に入れたのは無職の称号だった。不服そうな親の目から逃れるべく、喫茶店でパート情報を探そうとしたが暴走トラックに轢かれて人生を終えた――かと思ったら村人達に恐れられ、軟禁されている10歳の少女に転生していた。どうやら少女の強大すぎる魔法は村人達の恐怖の対象となったらしい。村人の気持ちも分からなくはないが、二度目の人生を小屋での軟禁生活で終わらせるつもりは毛頭ないので、逃げることにした。だが私には強すぎるステータスと『ポイント交換システム』がある!拠点をテントに決め、日々魔物を狩りながら自由気ままな冒険者を続けてたのだが……。
※1.恋愛要素を含みますが、出てくるのが遅いのでご注意ください。
※2.『悪役令嬢に転生したので断罪エンドまでぐーたら過ごしたい 王子がスパルタとか聞いてないんですけど!?』と同じ世界観・時間軸のお話ですが、こちらだけでもお楽しみいただけます。
うちの娘が悪役令嬢って、どういうことですか?
プラネットプラント
ファンタジー
全寮制の高等教育機関で行われている卒業式で、ある令嬢が糾弾されていた。そこに令嬢の父親が割り込んできて・・・。乙女ゲームの強制力に抗う令嬢の父親(前世、彼女いない歴=年齢のフリーター)と従者(身内には優しい鬼畜)と異母兄(当て馬/噛ませ犬な攻略対象)。2016.09.08 07:00に完結します。
小説家になろうでも公開している短編集です。
おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます
ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。
そして前世の私は…
ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。
サロン勤めで拘束時間は長く、休みもなかなか取れずに働きに働いた結果。
貯金残高はビックリするほど貯まってたけど、使う時間もないまま転生してた。
そして通勤の電車の中で暇つぶしに、ちょろーっとだけ遊んでいた乙女ゲームの世界に転生したっぽい?
あんまり内容覚えてないけど…
悪役令嬢がムチムチしてたのだけは許せなかった!
さぁ、お嬢様。
私のゴットハンドを堪能してくださいませ?
********************
初投稿です。
転生侍女シリーズ第一弾。
短編全4話で、投稿予約済みです。
乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う
ひなクラゲ
ファンタジー
ここは乙女ゲームの世界
悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…
主人公と王子の幸せそうな笑顔で…
でも転生者であるモブは思う
きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…
モブ系悪役令嬢は人助けに忙しい(完結)
優摘
ファンタジー
※プロローグ以降の各話に題名をつけて、加筆、減筆、修正をしています。(’23.9.11)
<内容紹介>
ある日目覚めた「私」は、自分が乙女ゲームの意地悪で傲慢な悪役令嬢アリアナになっている事に気付いて愕然とする。
しかもアリアナは第一部のモブ系悪役令嬢!。悪役なのに魔力がゼロの最弱キャラだ。
このままではゲームの第一部で婚約者のディーンに断罪され、学園卒業後にロリコン親父と結婚させられてしまう!
「私」はロリコン回避の為にヒロインや婚約者、乙女ゲームの他の攻略対象と関わらないようにするが、なぜかうまく行かない。
しかもこの乙女ゲームは、未知の第3部まであり、先が読めない事ばかり。
意地悪で傲慢な悪役令嬢から、お人よしで要領の悪い公爵令嬢になったアリアナは、頭脳だけを武器にロリコンから逃げる為に奮闘する。
だけど、アリアナの身体の中にはゲームの知識を持つ「私」以外に本物の「アリアナ」が存在するみたい。
さらに自分と同じ世界の前世を持つ、登場人物も現れる。
しかも超がつく鈍感な「私」は周りからのラブに全く気付かない。
そして「私」とその登場人物がゲーム通りの動きをしないせいか、どんどんストーリーが変化していって・・・。
一年以上かかりましたがようやく完結しました。
また番外編を書きたいと思ってます。
カクヨムさんで加筆修正したものを、少しずつアップしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる