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第二章 ワタクシが妊娠!? ...子供の父親は誰なのです!?

16.無実の証明

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デボラ
「ちょ、ちょっと、ちょっと! どうして、そうなるのよ!? ブレイデン様は無実よ! 皆、剣をおさめなさい!」

アンジェリカ
「はわわ...そ、そんなつもりじゃ...!?」

ブレイデン
「ちょっと皆様! 落ち着いて! 本当に誤解なんです!」

ブラウン卿
「犯人は誰しも罪を否定するものだ! 観念しろ! そうではないと否定するならば、無実であるという証拠を提示しろ!」

ブレイデン
「そんな無茶苦茶な! していない事の証拠なんて存在しない!」

 ブレイデンはピーターを離し、両手をあげ、降参のポーズをとった。

 自由になったピーターはブレイデンからゆっくりと離れて、衛兵の間を抜けると、そのまま去って行こうとした。

 デボラは、そんなピーターの行動に激怒した。

 ワタクシがピンチだっていうのに自分だけ逃げようとするなんて! さっき、お慕い申し上げておりましたとか言ってなかった!?

 そっちが、その気なら、ワタクシにだって考えがあるわ! 今、ここで、手紙を燃やされた恨みを晴らしてやる!

デボラ
「子供の父親はそっちの元御者の男よ!」

 ピーターは振り返って、目を見開いた。口を大きく開け、その場に凍りついた。

 何故!? お嬢様が知っている!?

アンジェリカ
「そうです! そうです! 俺のブレイデン君は、夜は毎晩、俺と一緒に寝るし、ブレイデン君じゃありません! だぶん...」

 アンジェリカの言葉に、ブレイデンは顔を輝かせた。

ブレイデン
「アンジェリカ! 信じてくれたのですね! そうです! 愛しているのは君だけだ!」

 衛兵達は戸惑いつつも、そろそろとピーターに剣を向けた。

アンジェリカ
「良かった! って、えぇ~!! デボラ様が妊娠!? ど、ど、ど、どういうこと!?」

デボラ
「ちょっと、アンジェリカは黙ってなさい! アンタが喋るとややこしくなる!」

 デボラに怒られてアンジェリカは口を閉じた。そんなアンジェリカの元にブレイデンは駆け寄り抱きしめる。

ブレイデン
「アンジェリカ! 私の天使!」

 ギャラリーの街人から拍手と歓声が上がる。

「浮気じゃなかったんだって!」

「勇者さまが潔白で良かった!」

「それでこそ、ブレイデン・ホワイト!」

 そして、次第にギャラリーの関心はピーターに移る。

「あの痩せた男は誰なの?」

「子供の父親って言ってたわよ!」

「デボラ様が妊娠!? 嘘ぉ~!?」

 ピーターは変わらず固まっている。

ブラウン卿
「まさか、お前が!? 嘘だろ!?」

 護衛騎士のブラウン卿と御者のピーターは、長い間、一緒に仕事をして来た仲間である。ブラウン卿は剣を構えるのも忘れてピーターを凝視した。

 ピーターは口をパクパクして、パニックに陥っている。

 デボラは、普段飄々としているピーターが、慌てふためいている姿を見て、溜飲が下がった。

 フン! いい気味だわ! ワタクシの事を馬鹿にして、手紙を燃やすからこうなるのよ! ざまぁみろ!

 素直に謝ったら、『嘘よ~冗談でした!』って言って許してあげますわ!

デボラ
「最後のチャンスですわよ? ワタクシに何か言うべき事は?」
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