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第一章 乙女ゲームに転生した転性者は純潔を守るためバッドエンドを目指す
46.イベント検証1
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ほとんどの客が帰り、酔っ払い共が宿泊施設に搬送された後、悪役令嬢改め、大親友のデボラ様が残っている事にアンジェリカは気が付いた。
アンジェリカ
「来て下さっていたのですね!」
デボラ
「えぇ、だって、推しのイベントスチル(ゲーム中に表示されるイラスト)は、生で全部見たいし...」
アンジェリカ
「有難うございます。イベントスチル目当てでも嬉しいです」
デボラ
「トゥルーハッピーエンドおめでとう」
アンジェリカ
「ん? トゥルー(真実の)ハッピーエンド?」
デボラ
「そうよ」
アンジェリカ
「ハーレムエンド的な奴ですか? まぁ、皆とは仲良くなったけど、ハーレムにはなってないですよ?」
デボラ
「あぁ、アンタ、ブレイデン様ルートの攻略はしたことなかったんだっけ?」
アンジェリカ
「攻略してないですけど、友情エンドとかがあるんですか?」
デボラ
「は? 何言ってるの? 結婚式まであげて、友情エンドもクソもないでしょ!?」
アンジェリカ
「け、結婚式!? だ、だ、だ、誰が!? 誰と!?」
デボラ
「ちょっと、大きな声で叫ばないでよ! アンタとブレイデン様に決まってるじゃない!」
アンジェリカ
「い、いつ!?」
デボラ
「さっきよ! どうなってるの!? こっちに来なさい! ゆっくり説明して! ここだと他人に聞かれる!」
アンジェリカは困惑して、混乱した。フィレンツェの伝統工芸のようなマーブル模様が頭の中を染めて行く。
誰もいないギルドアカデミーの中庭まで移動し、2人でベンチに腰掛けた。
アンジェリカ
「ちょっと、待って! さっきのは結婚式じゃなくて、騎士任命式だよ? そんでもって爵位授与式! デボラ様誤解してない?」
デボラ
「はぁ~? そんなわけないでしょ! 結婚証明書に皆で署名したじゃない!」
アンジェリカ
「え? あの書類は、達筆で読めなかったけど、ブレイデン君をホワイト家に迎え入れるための書類で...」
デボラ
「だから、それが結婚証明書でしょ!」
アンジェリカ
「ほえあ?」
デボラ
「私も署名したけど、あれは間違いなく結婚証明書って書いてあったわ!」
アンジェリカ
「デボラ様読めたの!? 凄い!」
デボラ
「凄い! じゃないわよ! 自分の結婚式に気が付かないっていったいどういう事よ!?」
アンジェリカ
「でも、領民の結婚式に何度も出たことあるけど、あんなんじゃなかったよ?」
デボラ
「当たり前でしょ! アンタは伯爵家の貴族なんだから! 平民のする結婚式と同じなわけないでしょ!」
アンジェリカ
「でも、愛とか誓ってないような?」
デボラ
「ブレイデン様が永遠を誓ってたじゃない! アンタも花を受け取って、認めるって言ってたでしょ!」
アンジェリカ
「えぇ、あれって騎士が主君に忠誠を誓うって意味じゃないの?」
デボラ
「愛する人と共にって言ってたし、杯の交換もしたでしょ!」
アンジェリカ
「あれは、ホワイト領民を愛してる的な...杯の交換は結婚式でもするけど、同盟結んだり、義兄弟の契りを結んだりするときにもするじゃん?」
デボラ
「ブレイデン様とキスもしてたでしょ!」
アンジェリカ
「あれは酒に酔っ払ったブレイデン君が、キス魔だっただけで...」
デボラ
「ブレイデン様はアンタ以外の他の誰ともキスしてないでしょ!?」
アンジェリカ
「いや、知らないし。ブレイデン君だけ見てる訳じゃないから」
デボラ
「見てなさいよ! 私はブレイデン様だけガン見してたわよ!」
アンジェリカ
「だって、式の主催者だよ? そういう訳にはいかないじゃん?」
デボラ
「式の主催者が何で、自分の結婚式に気が付かないで式を終了するのよ? マジ意味不明! 理解に苦しむんですけど!」
アンジェリカ
「え...じゃあ、俺、本当に結婚したの!?」
デボラ
「だから、そう言ってるでしょ!?」
アンジェリカは目眩がした。
今まで何のために懸命に頑張って来たんだ? 野郎なんかと結婚したくなかったからだ! それなのに、何故? こんなことに!?
デボラ
「ちょっと、嫌だ! アンタ、泣いてるの? どうして? 嬉しくないの?」
気が付くと、俺の頬に涙がつたっていた。
アンジェリカ
「ブ、ブレイデン君はデボラ様が好きだったはず...」
デボラ
「そんな訳ないでしょ! アンタのこと愛してるって言ってたじゃない!」
アンジェリカ
「俺のこと? デボラ様じゃなくて?」
デボラ
「少なくとも、私にはそう聞こえたけど?」
アンジェリカ
「そんな...もしかして、ゲームの強制力とかで、仮面夫婦バッドエンドになったのでは?」
デボラ
「もう! そんなことを心配してたの? 愛されている自信がないのね?」
アンジェリカ
「自信がないというか、何というか...」
デボラ
「いいわ! スチルコンプリート(イベント画像のコレクション完了)のために全てのハッピーエンドとバッドエンドをクリアした、ゲームマスターの私が、発生したイベントからアンタがどんなエンドになったのかを検証してあげる!」
アンジェリカ
「デボラ様! マジで女神! 有難う!」
アンジェリカ
「来て下さっていたのですね!」
デボラ
「えぇ、だって、推しのイベントスチル(ゲーム中に表示されるイラスト)は、生で全部見たいし...」
アンジェリカ
「有難うございます。イベントスチル目当てでも嬉しいです」
デボラ
「トゥルーハッピーエンドおめでとう」
アンジェリカ
「ん? トゥルー(真実の)ハッピーエンド?」
デボラ
「そうよ」
アンジェリカ
「ハーレムエンド的な奴ですか? まぁ、皆とは仲良くなったけど、ハーレムにはなってないですよ?」
デボラ
「あぁ、アンタ、ブレイデン様ルートの攻略はしたことなかったんだっけ?」
アンジェリカ
「攻略してないですけど、友情エンドとかがあるんですか?」
デボラ
「は? 何言ってるの? 結婚式まであげて、友情エンドもクソもないでしょ!?」
アンジェリカ
「け、結婚式!? だ、だ、だ、誰が!? 誰と!?」
デボラ
「ちょっと、大きな声で叫ばないでよ! アンタとブレイデン様に決まってるじゃない!」
アンジェリカ
「い、いつ!?」
デボラ
「さっきよ! どうなってるの!? こっちに来なさい! ゆっくり説明して! ここだと他人に聞かれる!」
アンジェリカは困惑して、混乱した。フィレンツェの伝統工芸のようなマーブル模様が頭の中を染めて行く。
誰もいないギルドアカデミーの中庭まで移動し、2人でベンチに腰掛けた。
アンジェリカ
「ちょっと、待って! さっきのは結婚式じゃなくて、騎士任命式だよ? そんでもって爵位授与式! デボラ様誤解してない?」
デボラ
「はぁ~? そんなわけないでしょ! 結婚証明書に皆で署名したじゃない!」
アンジェリカ
「え? あの書類は、達筆で読めなかったけど、ブレイデン君をホワイト家に迎え入れるための書類で...」
デボラ
「だから、それが結婚証明書でしょ!」
アンジェリカ
「ほえあ?」
デボラ
「私も署名したけど、あれは間違いなく結婚証明書って書いてあったわ!」
アンジェリカ
「デボラ様読めたの!? 凄い!」
デボラ
「凄い! じゃないわよ! 自分の結婚式に気が付かないっていったいどういう事よ!?」
アンジェリカ
「でも、領民の結婚式に何度も出たことあるけど、あんなんじゃなかったよ?」
デボラ
「当たり前でしょ! アンタは伯爵家の貴族なんだから! 平民のする結婚式と同じなわけないでしょ!」
アンジェリカ
「でも、愛とか誓ってないような?」
デボラ
「ブレイデン様が永遠を誓ってたじゃない! アンタも花を受け取って、認めるって言ってたでしょ!」
アンジェリカ
「えぇ、あれって騎士が主君に忠誠を誓うって意味じゃないの?」
デボラ
「愛する人と共にって言ってたし、杯の交換もしたでしょ!」
アンジェリカ
「あれは、ホワイト領民を愛してる的な...杯の交換は結婚式でもするけど、同盟結んだり、義兄弟の契りを結んだりするときにもするじゃん?」
デボラ
「ブレイデン様とキスもしてたでしょ!」
アンジェリカ
「あれは酒に酔っ払ったブレイデン君が、キス魔だっただけで...」
デボラ
「ブレイデン様はアンタ以外の他の誰ともキスしてないでしょ!?」
アンジェリカ
「いや、知らないし。ブレイデン君だけ見てる訳じゃないから」
デボラ
「見てなさいよ! 私はブレイデン様だけガン見してたわよ!」
アンジェリカ
「だって、式の主催者だよ? そういう訳にはいかないじゃん?」
デボラ
「式の主催者が何で、自分の結婚式に気が付かないで式を終了するのよ? マジ意味不明! 理解に苦しむんですけど!」
アンジェリカ
「え...じゃあ、俺、本当に結婚したの!?」
デボラ
「だから、そう言ってるでしょ!?」
アンジェリカは目眩がした。
今まで何のために懸命に頑張って来たんだ? 野郎なんかと結婚したくなかったからだ! それなのに、何故? こんなことに!?
デボラ
「ちょっと、嫌だ! アンタ、泣いてるの? どうして? 嬉しくないの?」
気が付くと、俺の頬に涙がつたっていた。
アンジェリカ
「ブ、ブレイデン君はデボラ様が好きだったはず...」
デボラ
「そんな訳ないでしょ! アンタのこと愛してるって言ってたじゃない!」
アンジェリカ
「俺のこと? デボラ様じゃなくて?」
デボラ
「少なくとも、私にはそう聞こえたけど?」
アンジェリカ
「そんな...もしかして、ゲームの強制力とかで、仮面夫婦バッドエンドになったのでは?」
デボラ
「もう! そんなことを心配してたの? 愛されている自信がないのね?」
アンジェリカ
「自信がないというか、何というか...」
デボラ
「いいわ! スチルコンプリート(イベント画像のコレクション完了)のために全てのハッピーエンドとバッドエンドをクリアした、ゲームマスターの私が、発生したイベントからアンタがどんなエンドになったのかを検証してあげる!」
アンジェリカ
「デボラ様! マジで女神! 有難う!」
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