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第一章 乙女ゲームに転生した転性者は純潔を守るためバッドエンドを目指す

33.悪役令嬢断罪イベント

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 デボラが腕を振り上げ、二発目の平手打ちを繰り出そうとした、その時、控え室の扉が開いた。

 光のような速さでブレイデンが飛び出し、アンジェリカを抱き寄せ、デボラの放った一撃はブレイデンの腕に直撃した。

デボラ
「あ!」

リチャード
「何をしている!?」

 少し遅れて王子達3人も、控え室に入って来る。

デボラ
「ち、違う! これは違うのです!」

ミカエル
「公爵令嬢ともあろう貴女が、立場の弱い伯爵令嬢を陰でイジメていたなんて、世間に知れたら公爵家の名誉が地に落ちますよ!?」

デボラ
「誤解です! ワタクシはただ!」

ジョージ
「あぁ~、悪いんだけど、少し聞こえてたんだよね。」

デボラ
「ど、どこから!?」

ジョージ
「金輪際、ブレイデン様に近付かないでとか、なんとか...」

アンジェリカ
「え!? そこから!?」

デボラ
「ですから! 違うんですの!」

リチャード
「何が違うんだ? ブレイデン・ブラックの事が好きで、邪魔なアンジェリカ嬢を排除しようとしていたのだろう!?」

デボラ
「い、いえ、それは...」

 アンジェリカはデボラを哀れに思った。

 うわぁ~、ゲームの悪役令嬢断罪イベントみたいになってる! 可哀想...フラれたばっかりで俺も傷心中だけど、惚れた弱みだ。デボラ様をお助けしよう!

アンジェリカ
「誤解なのです! デボラ様は、ブレイデン君の提案するプロジェクトの利権を、ワタクシが独り占めしようとしていると勘違いされたのです! デボラ様はブレイデン君がワタクシに騙されていると誤解されていたので、ブレイデン君のために怒っていらっしゃったのです!」

デボラ
「!?」

リチャード
「アンジェリカ嬢が利権を独り占めに?」

ブレイデン
「そんなことは有り得ません! あのプロジェクトは直接的に利益が出るプロジェクトではありませんので!」

デボラ
「そ、そうなのですね...ワタクシったら、勘違いしてしまって申し訳ありません。つい、カッとなってしまって...」

アンジェリカ
「分かって下されば良いのですわ! オホホホホ...さ! 仲直りしましょ! はい! 握手!」

 アンジェリカはブレイデンの腕の中から抜け出すと、デボラの手を握ってシェイクした。

アンジェリカ
「仲直りもした事ですし! 今日は飲んで楽しく踊り明かしましょう!」

ブレイデン
「お酒は程々にして下さいね」

アンジェリカ
「分かってるって!」

リチャード
「仲が良いんだな...」

アンジェリカ
「何と言っても相棒ですから! ね?」

 アンジェリカがブレイデンに同意を求めると、ブレイデンは今まで見た事もないような眩い笑顔で笑った。

ブレイデン
「はい!」

 うわっ! 眩しい! イケメンの笑顔って凄い! 中身が男の俺でも一瞬ドキッとしたわ! デボラ様が惚れるわけだ!
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