12 / 88
第一章 乙女ゲームに転生した転性者は純潔を守るためバッドエンドを目指す
12.晩餐会イベント1
しおりを挟む
ゲームでは晩餐会の席は好感度の高いキャラの隣になる。当然、俺の席はデボラ様の隣のはず...
しかし、席順表ではデボラ様の席は離れていた。
あ、そうか、女性同士は隣合わないんだった(汗)。ん? ん~!? 何だ!? この席順は??
アンジェリカの席は、国王夫妻や宰相閣下夫妻、騎士長夫妻が座る席に囲まれており、右隣には本日の主役と言ってもいい勇者様ブレイデン・ブラックが座っている。
俺のパパンやママンはもちろん、デボラ様は遥か遠くの席である。
ブレイデン
「またお会いしましたね」
ブレイデンがお辞儀するので、アンジェリカも慌ててお辞儀した。
アンジェリカ
「せ、せ、先日は失礼致しました!」
慌ててお辞儀したものだから、デボラ様にお借りしたショールが肩からずり落ちた。
俺がショールを拾おうとすると、目にも止まらぬ速さで仮面君がショールを拾い上げ、俺をショールでグルグル巻きにしてくる。
アンジェリカ
「おわ! あ、有難う!?」
仮面君の顔は真っ赤で、その視線は明後日の方向にそらされていた。
ブレイデン
「今後はサイズの合っていない服は着ない方が宜しいかと...」
アンジェリカ
「はい? ...でも...社交用のドレスはこれしか持っておりませんので...」
ブレイデン
「そ、そうですか...ですが...その...」
何だ? この男!? しつこいぞ! そりゃ、サイズ合ってない服はみっともないのかもしれないが、仮にも女の服をけなすなんて礼儀がなってない! 確かに、デボラ様にも注意されたけど! デボラ様は俺の事を心配してだな!
アンジェリカ
「ご助言有難うございます。善処致します」
アンジェリカは満面の笑みで言い切ると、会話を断ち切るように着席した。
くそ~、今日はコイツの隣の席か...気不味いにも程がある!
間も無く、国王夫妻が会場入りしアンジェリカの向かいの席に着席した。
はぁ~、何でよりによって陛下の真前なんだよ!? ここってVIP席じゃないの? めっちゃ、圧が凄いんだけど!
食事は始まったが、せっかく久しぶりのご馳走なのに緊張で全然味が分からないぞ!?
国王
「アンジェリカ嬢、式典などで遠くから挨拶することはあったが、会話するのは初めてだね」
アンジェリカ
「はわわ、は、はい!」
何故か、国王陛下が俺を値踏みするような鋭い視線で見つめてくる。圧に耐えられず、視線をそらしてみたら、王妃様も、宰相様も、騎士長様までが、自分に鋭い視線を送ってきている!? な、何故だ!?
王妃
「素敵なドレスを着ていらっしゃるのね? どうして、今日はそのドレスを選ばれたのかしら?」
お! 王妃様! 安物のドレスなのに御世辞でも褒めて下さるなんて、何て優しいんだ!
アンジェリカ
「あ、有難うございます! このドレスはワタクシの一張羅なのです! 褒めて下さって嬉しいです! えへへ...」
王妃
「そ、そう...。そんなに高価なドレスを着ていらっしゃらなくても、もう少し体系にあったドレスでもよろしかったかもしれませんわね」
アンジェリカ
「そうですよね。この日のために懸命にダイエットをしたらサイズが合わなくなってしまいまして...それに、他のドレスはないのです。あとは全部、仕事着ですので。」
王妃
「他のドレスがない? 伯爵令嬢なのに!?」
アンジェリカ
「はい。皆様、ご存知かもしれませんが、我が伯爵家は大変貧乏でして...申し訳ありません。高貴な皆様が集まる晩餐会を軽んじているわけではないのです」
ブルー侯爵(宰相)
「ドレス1枚の予算を組めない程、ホワイト領は困窮しているのですか!? 財政破綻しているという報告は受けておりませんが? 何故、もっと早く破綻申請をして補助を受けなかったのです! そこまでして爵位の返還を拒むとは情け無い! 領民の事を少しはお考えになったらどうです!?」
わ、わぁ~! めっちゃ責められてる! え? 俺が悪いの? 生まれた時から貧乏だったよ? 今まで頑張ってきたつもりだけど? 爵位を返還しろって言われてる?
しかし、席順表ではデボラ様の席は離れていた。
あ、そうか、女性同士は隣合わないんだった(汗)。ん? ん~!? 何だ!? この席順は??
アンジェリカの席は、国王夫妻や宰相閣下夫妻、騎士長夫妻が座る席に囲まれており、右隣には本日の主役と言ってもいい勇者様ブレイデン・ブラックが座っている。
俺のパパンやママンはもちろん、デボラ様は遥か遠くの席である。
ブレイデン
「またお会いしましたね」
ブレイデンがお辞儀するので、アンジェリカも慌ててお辞儀した。
アンジェリカ
「せ、せ、先日は失礼致しました!」
慌ててお辞儀したものだから、デボラ様にお借りしたショールが肩からずり落ちた。
俺がショールを拾おうとすると、目にも止まらぬ速さで仮面君がショールを拾い上げ、俺をショールでグルグル巻きにしてくる。
アンジェリカ
「おわ! あ、有難う!?」
仮面君の顔は真っ赤で、その視線は明後日の方向にそらされていた。
ブレイデン
「今後はサイズの合っていない服は着ない方が宜しいかと...」
アンジェリカ
「はい? ...でも...社交用のドレスはこれしか持っておりませんので...」
ブレイデン
「そ、そうですか...ですが...その...」
何だ? この男!? しつこいぞ! そりゃ、サイズ合ってない服はみっともないのかもしれないが、仮にも女の服をけなすなんて礼儀がなってない! 確かに、デボラ様にも注意されたけど! デボラ様は俺の事を心配してだな!
アンジェリカ
「ご助言有難うございます。善処致します」
アンジェリカは満面の笑みで言い切ると、会話を断ち切るように着席した。
くそ~、今日はコイツの隣の席か...気不味いにも程がある!
間も無く、国王夫妻が会場入りしアンジェリカの向かいの席に着席した。
はぁ~、何でよりによって陛下の真前なんだよ!? ここってVIP席じゃないの? めっちゃ、圧が凄いんだけど!
食事は始まったが、せっかく久しぶりのご馳走なのに緊張で全然味が分からないぞ!?
国王
「アンジェリカ嬢、式典などで遠くから挨拶することはあったが、会話するのは初めてだね」
アンジェリカ
「はわわ、は、はい!」
何故か、国王陛下が俺を値踏みするような鋭い視線で見つめてくる。圧に耐えられず、視線をそらしてみたら、王妃様も、宰相様も、騎士長様までが、自分に鋭い視線を送ってきている!? な、何故だ!?
王妃
「素敵なドレスを着ていらっしゃるのね? どうして、今日はそのドレスを選ばれたのかしら?」
お! 王妃様! 安物のドレスなのに御世辞でも褒めて下さるなんて、何て優しいんだ!
アンジェリカ
「あ、有難うございます! このドレスはワタクシの一張羅なのです! 褒めて下さって嬉しいです! えへへ...」
王妃
「そ、そう...。そんなに高価なドレスを着ていらっしゃらなくても、もう少し体系にあったドレスでもよろしかったかもしれませんわね」
アンジェリカ
「そうですよね。この日のために懸命にダイエットをしたらサイズが合わなくなってしまいまして...それに、他のドレスはないのです。あとは全部、仕事着ですので。」
王妃
「他のドレスがない? 伯爵令嬢なのに!?」
アンジェリカ
「はい。皆様、ご存知かもしれませんが、我が伯爵家は大変貧乏でして...申し訳ありません。高貴な皆様が集まる晩餐会を軽んじているわけではないのです」
ブルー侯爵(宰相)
「ドレス1枚の予算を組めない程、ホワイト領は困窮しているのですか!? 財政破綻しているという報告は受けておりませんが? 何故、もっと早く破綻申請をして補助を受けなかったのです! そこまでして爵位の返還を拒むとは情け無い! 領民の事を少しはお考えになったらどうです!?」
わ、わぁ~! めっちゃ責められてる! え? 俺が悪いの? 生まれた時から貧乏だったよ? 今まで頑張ってきたつもりだけど? 爵位を返還しろって言われてる?
0
お気に入りに追加
746
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
糞ゲーと言われた乙女ゲームの悪役令嬢(末席)に生まれ変わったようですが、私は断罪されずに済みました。
メカ喜楽直人
ファンタジー
物心ついた時にはヴァリは前世の記憶を持っていることに気が付いていた。国の名前や自身の家名がちょっとダジャレっぽいなとは思っていたものの特に記憶にあるでなし、中央貴族とは縁もなく、のんきに田舎暮らしを満喫していた。
だが、領地を襲った大嵐により背負った借金のカタとして、准男爵家の嫡男と婚約することになる。
──その時、ようやく気が付いたのだ。自分が神絵師の無駄遣いとして有名なキング・オブ・糞ゲー(乙女ゲーム部門)の世界に生まれ変わっていたことを。
しかも私、ヒロインがもの凄い物好きだったら悪役令嬢になっちゃうんですけど?!
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。
悪役令嬢によればこの世界は乙女ゲームの世界らしい
斯波
ファンタジー
ブラック企業を辞退した私が卒業後に手に入れたのは無職の称号だった。不服そうな親の目から逃れるべく、喫茶店でパート情報を探そうとしたが暴走トラックに轢かれて人生を終えた――かと思ったら村人達に恐れられ、軟禁されている10歳の少女に転生していた。どうやら少女の強大すぎる魔法は村人達の恐怖の対象となったらしい。村人の気持ちも分からなくはないが、二度目の人生を小屋での軟禁生活で終わらせるつもりは毛頭ないので、逃げることにした。だが私には強すぎるステータスと『ポイント交換システム』がある!拠点をテントに決め、日々魔物を狩りながら自由気ままな冒険者を続けてたのだが……。
※1.恋愛要素を含みますが、出てくるのが遅いのでご注意ください。
※2.『悪役令嬢に転生したので断罪エンドまでぐーたら過ごしたい 王子がスパルタとか聞いてないんですけど!?』と同じ世界観・時間軸のお話ですが、こちらだけでもお楽しみいただけます。
うちの娘が悪役令嬢って、どういうことですか?
プラネットプラント
ファンタジー
全寮制の高等教育機関で行われている卒業式で、ある令嬢が糾弾されていた。そこに令嬢の父親が割り込んできて・・・。乙女ゲームの強制力に抗う令嬢の父親(前世、彼女いない歴=年齢のフリーター)と従者(身内には優しい鬼畜)と異母兄(当て馬/噛ませ犬な攻略対象)。2016.09.08 07:00に完結します。
小説家になろうでも公開している短編集です。
おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます
ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。
そして前世の私は…
ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。
サロン勤めで拘束時間は長く、休みもなかなか取れずに働きに働いた結果。
貯金残高はビックリするほど貯まってたけど、使う時間もないまま転生してた。
そして通勤の電車の中で暇つぶしに、ちょろーっとだけ遊んでいた乙女ゲームの世界に転生したっぽい?
あんまり内容覚えてないけど…
悪役令嬢がムチムチしてたのだけは許せなかった!
さぁ、お嬢様。
私のゴットハンドを堪能してくださいませ?
********************
初投稿です。
転生侍女シリーズ第一弾。
短編全4話で、投稿予約済みです。
乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う
ひなクラゲ
ファンタジー
ここは乙女ゲームの世界
悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…
主人公と王子の幸せそうな笑顔で…
でも転生者であるモブは思う
きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…
モブ系悪役令嬢は人助けに忙しい(完結)
優摘
ファンタジー
※プロローグ以降の各話に題名をつけて、加筆、減筆、修正をしています。(’23.9.11)
<内容紹介>
ある日目覚めた「私」は、自分が乙女ゲームの意地悪で傲慢な悪役令嬢アリアナになっている事に気付いて愕然とする。
しかもアリアナは第一部のモブ系悪役令嬢!。悪役なのに魔力がゼロの最弱キャラだ。
このままではゲームの第一部で婚約者のディーンに断罪され、学園卒業後にロリコン親父と結婚させられてしまう!
「私」はロリコン回避の為にヒロインや婚約者、乙女ゲームの他の攻略対象と関わらないようにするが、なぜかうまく行かない。
しかもこの乙女ゲームは、未知の第3部まであり、先が読めない事ばかり。
意地悪で傲慢な悪役令嬢から、お人よしで要領の悪い公爵令嬢になったアリアナは、頭脳だけを武器にロリコンから逃げる為に奮闘する。
だけど、アリアナの身体の中にはゲームの知識を持つ「私」以外に本物の「アリアナ」が存在するみたい。
さらに自分と同じ世界の前世を持つ、登場人物も現れる。
しかも超がつく鈍感な「私」は周りからのラブに全く気付かない。
そして「私」とその登場人物がゲーム通りの動きをしないせいか、どんどんストーリーが変化していって・・・。
一年以上かかりましたがようやく完結しました。
また番外編を書きたいと思ってます。
カクヨムさんで加筆修正したものを、少しずつアップしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる