35 / 73
35
しおりを挟む
ガルボ公爵は、エミリアといなくなったクリスチナを心配して探していた。すると、テラスにいるエミリアを発見する。
娘を苦しめたエミリア嬢に一言言ってやる!
テラスに出て声をかける。
「エミリア嬢、本当に舞踏会に参加するとは、随分と強靭な精神をもっているんだね? 誤解を解くと言っていたようだが、ちゃんと出来ているのかね?」
ガルボ公爵の嫌味な言い方に、エミリアはカチンときた。
「やっだぁ~、怖い顔しなくても、もう、バッチリ誤解を解きましたって! クリスチナ様にも、ちゃんとお伝えしておきましたよ! 私はヴィル王子とクリスチナ様の間を取り持つために頑張ってただけで、何でもないんですよって! それより、婚約破棄のこと、クリスチナ様に言ってなかったんですね?」
ガルボ公爵はギクっとした。
そういえば、クリスチナに内緒にしていたままだった!
「婚約破棄しちゃってた事を知って、クリスチナ様はめっちゃショックを受けてましたよ! 愛する2人を引き離すなんて、公爵様って野暮なんですねぇ~?」
エミリアはフンッと鼻を鳴らした。
「無礼だぞ! 私は娘の幸せのために、父親として当然のことをしたまでだ!」
「クリスチナ様の幸せ? クリスチナ様は婚約破棄したってきいただけで倒れるほどショックを受けてたのに?」
「娘が倒れた!?」
「そうです! ヴィルヘルム殿下は求婚しないで離れて行ってしまったし、クリスチナ様は失恋しちゃったってことですよね? それって誰の所為なんだろ?」
ガルボ公爵は青ざめた。
クリスチナは婚約破棄したくないと、あんなに自分にお願いしていた。毎日、殿下に気に入られようと努力していた事も知っている。
それなのに、婚約破棄をしたのは他ならない自分である。
ガルボ公爵は、罪悪感で胸が詰まるのに、喪失感で体の力が抜けるような思いがした。
「クリスチナ様ってば可哀想! 泣いていらしたのよ?」
「クリスチナが泣いていた!?」
子供の頃から、涙など見せなかったあの子が!?
「そうですよ! それで、クリスチナ様が泣きながら私に仲を取り持って欲しいって言ってました...何せ、私はヴィル王子の友達でしょ? そういったことには結構自信があるんです! 私だったら、クリスチナ様の力になれると思うんですけど...」
エミリアはガルボ公爵に意味深な目を向けた。
「何が言いたい?」
「私がクリスチナ様の幸せをお手伝いしたら、私の幸せの手伝いをして下さったりするのかなぁ~? って思いまして」
「手伝いとは何だ!?」
「簡単な事です! 結婚相手に良い男性を紹介して下さい!」
ガルボ公爵はグッと奥歯を噛み締めた。
こんな頭の悪そうな平民の女に、頼らなくてはいけないのか!? しかし...臣下の癖に生意気な事を言って王子に婚約破棄を突き付けた自分が、再び婚約して欲しいと頼んでも、承諾してくれるか分からない。
ヴィルヘルム殿下と結婚出来なければ、クリスチナは今日集まっていた、あの男達の中から結婚相手を選ばなくてはならないというのか!?
「分かった。ただし、成功したらだ! いいな!?」
「もちろんです!」
エミリアはとびきりの笑顔を作った。
だって、あの2人、両思いだし、ほっといても大丈夫なくらいだわ。それに、ダメ押しの私の作戦は完璧なのよ!
娘を苦しめたエミリア嬢に一言言ってやる!
テラスに出て声をかける。
「エミリア嬢、本当に舞踏会に参加するとは、随分と強靭な精神をもっているんだね? 誤解を解くと言っていたようだが、ちゃんと出来ているのかね?」
ガルボ公爵の嫌味な言い方に、エミリアはカチンときた。
「やっだぁ~、怖い顔しなくても、もう、バッチリ誤解を解きましたって! クリスチナ様にも、ちゃんとお伝えしておきましたよ! 私はヴィル王子とクリスチナ様の間を取り持つために頑張ってただけで、何でもないんですよって! それより、婚約破棄のこと、クリスチナ様に言ってなかったんですね?」
ガルボ公爵はギクっとした。
そういえば、クリスチナに内緒にしていたままだった!
「婚約破棄しちゃってた事を知って、クリスチナ様はめっちゃショックを受けてましたよ! 愛する2人を引き離すなんて、公爵様って野暮なんですねぇ~?」
エミリアはフンッと鼻を鳴らした。
「無礼だぞ! 私は娘の幸せのために、父親として当然のことをしたまでだ!」
「クリスチナ様の幸せ? クリスチナ様は婚約破棄したってきいただけで倒れるほどショックを受けてたのに?」
「娘が倒れた!?」
「そうです! ヴィルヘルム殿下は求婚しないで離れて行ってしまったし、クリスチナ様は失恋しちゃったってことですよね? それって誰の所為なんだろ?」
ガルボ公爵は青ざめた。
クリスチナは婚約破棄したくないと、あんなに自分にお願いしていた。毎日、殿下に気に入られようと努力していた事も知っている。
それなのに、婚約破棄をしたのは他ならない自分である。
ガルボ公爵は、罪悪感で胸が詰まるのに、喪失感で体の力が抜けるような思いがした。
「クリスチナ様ってば可哀想! 泣いていらしたのよ?」
「クリスチナが泣いていた!?」
子供の頃から、涙など見せなかったあの子が!?
「そうですよ! それで、クリスチナ様が泣きながら私に仲を取り持って欲しいって言ってました...何せ、私はヴィル王子の友達でしょ? そういったことには結構自信があるんです! 私だったら、クリスチナ様の力になれると思うんですけど...」
エミリアはガルボ公爵に意味深な目を向けた。
「何が言いたい?」
「私がクリスチナ様の幸せをお手伝いしたら、私の幸せの手伝いをして下さったりするのかなぁ~? って思いまして」
「手伝いとは何だ!?」
「簡単な事です! 結婚相手に良い男性を紹介して下さい!」
ガルボ公爵はグッと奥歯を噛み締めた。
こんな頭の悪そうな平民の女に、頼らなくてはいけないのか!? しかし...臣下の癖に生意気な事を言って王子に婚約破棄を突き付けた自分が、再び婚約して欲しいと頼んでも、承諾してくれるか分からない。
ヴィルヘルム殿下と結婚出来なければ、クリスチナは今日集まっていた、あの男達の中から結婚相手を選ばなくてはならないというのか!?
「分かった。ただし、成功したらだ! いいな!?」
「もちろんです!」
エミリアはとびきりの笑顔を作った。
だって、あの2人、両思いだし、ほっといても大丈夫なくらいだわ。それに、ダメ押しの私の作戦は完璧なのよ!
0
お気に入りに追加
549
あなたにおすすめの小説
心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。
木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。
そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。
ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。
そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。
こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。
【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜
橘しづき
恋愛
姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。
私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。
だが当日、姉は結婚式に来なかった。 パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。
「私が……蒼一さんと結婚します」
姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
伝える前に振られてしまった私の恋
メカ喜楽直人
恋愛
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。
そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる