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第三幕 学生期
203.白銀のトニー様5 ❤︎
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授業が終わり、教室を後にするとタイラとレオナルドが迎えに来た。
タイラ
「トニー様! 大丈夫でした?」
アントニオ
「はい。レベル5でも問題ないとカーチレ先生に言って頂きました」
レオナルド
「ダンスのことは心配していないよ。そうじゃなくて、誰かにイジメられたりしなかったかきいてるんだ」
アントニオ
「大丈夫でした。カレン様も一緒ですし、楽しく授業を受けられました。そちらはどうでした?」
タイラ
「俺がイジメられるわけないだろ?」
アントニオ
「ふふ、そうですね。楽しくダンスが勉強出来ました?」
タイラ
「ま、まぁまぁだったかな? なぁ?」
レオナルド
「...まぁ」
実は慣れない女性パートで散々だったが、2人ともプライドが邪魔して正直には答えなかった。
アントニオ
「タイラ様とレオもレベル5で一緒に勉強出来そうですか?」
タイラ
「そ、そうだな。考えておく」
レオナルド
「そのうちに」
リッカルド
「恐れながら! ちょっと違う意味でトニー様の防犯を強化した方が良いと思われますので、問題がないのでしたら、是非、レベル5のクラスを一緒に受講して頂いた方がよいと思います」
アントニオ
「違う意味?」
リッカルド
「今日は、その...ちょっと、お洒落をされ過ぎた様な気がします」
アントニオ
「あ、やはりそうですか? 少し華美にし過ぎて反感を買ってしまいました? 大して踊れない癖に、母上と同じ白銀の髪にしてきて生意気でしたよね? 次回からは焦茶のままで受けようと思います。レベル5のクラスは、漆黒の一族の方が多くいらっしゃったので、かえって地毛ではない銀髪は目立ってしまいましたので」
リッカルド
「トニー様には、そう感じられたのですか!? むしろ、女子生徒からストーカーされそうなレベルで、羨望の眼差しを向けられていましたが?」
アントニオ
「どうして、ジーンシャン家の身内は、すぐに、そういう勘違いをするのでしょうか? 実際には、私は嫌われているんですよ」
カレン
「そんなことありませんわ! とても、素敵ですのに!」
お姫様に褒められて、アントニオは照れてフニャっと笑顔になる。そんな顔も可愛いとカレンは思った。
アントニオ
「有難うございます。でも、カレン様も血が繋がっているから、私の容姿の醜さが気にならないだけですよ」
そう言って、今度は悲しそうな顔をした。そんなアントニオの姿もまた、女心をくすぐるものであった。
表情がコロコロと変わるアントニオの魅力に、すっかり取り憑かれたカレンの目には、もはやレオナルドは映っていなかった。
私がトニー様の側にいて、守って差し上げなくてわ!
カレン
「でも、ワタクシは、トニー様の魅力が広まり過ぎない方が嬉しいですわ。そのお陰でペアを組んで頂けましたもの!」
アントニオ
「嬉しいお言葉、有難うございます。」
光り輝くような笑顔をアントニオから向けられ、カレンも嬉しかった。
アントニオを気遣うカレンをみて、レオナルドはカレン王女に好感を持った。
カレン様は、トニーのことを哀れんでいるのではなく、本当に好意をもってペアを組んでくれたようだ。女子学生の多くは髪の色や身分を気にして、計算高く近付いて来るから苦手だが、カレン様のような優しい方は好感が持てる。トニーのペアでなければ、ダンスのペアをお願いしたかった。
________
王宮に帰ったカレンとタイラは、ジュン王太子やアンナ王太子妃、妹のエリカとディナーの席に着いた。
ジュン
「それで、その...どうだったんだね? ダンスの授業は?」
前日のディナーは、カレンが大変不機嫌だったので、今日はカレンのご機嫌を損ねないように、ジュン王太子は恐る恐る尋ねる。
カレン
「トニー様って、本当に素晴らしいわ! 待ち合わせ場所にも、ワタクシを待たせないようにと早く来て下さっていたし! ワタクシに恥をかかせないようにと、お洒落をしてきて下さって、凄く格好良かったの! 教室へ移動するときもエスコートして下さって! お姫様扱いというのかしら? 実際に姫ですけど。ダンスもお上手で、一年生だというのにレベル5でも十分な腕前でしたの! タイラよりも王子様のようでしたわ!」
ジュン
「そうか! それは良かった!」
カレン
「本当に殿下がへタレだったお陰で、トニー様とペアが組めて幸運でしたわ!」
ジュン
「うっ...そうか」
カレン
「トニー様とペアを組まなかった女子達の後悔している顔といったら、大変に愉快でしたわ! 御自分の見る目の無さを大いに反省されたことでしょう!」
タイラは、髪色が変わっただけで手のひらを返した様な態度をとる姉に、呆れていた。
タイラ
「自分だって、今日の朝まで交代しようとしていた癖に...」
独り言のようにボソボソ呟く。
カレン
「タイラさん? 何か仰いました? トニー様やレオ様に余計なことを言わないで頂戴ね! お優しいトニー様が傷付いてしまわれるでしょう?」
くそ! トニー様が傷付くから俺が言いつけられないことをいいことに、好き放題しやがって、姉上め!
アンナ王太子妃
「カレン、そんなにトニー様を気に入ったの? でも、焦茶なのでしょう?」
カレン
「普段は焦茶くらいじゃないと、女性が寄ってきて大変だから、焦茶でいいのですわ。ここぞという時だけ、お洒落して下されば!」
アンナ王太子妃
「そうなのですか? トニー様はそんなに格好が宜しいの?」
タイラ
「それはもう! めちゃくちゃ格好良いです!」
カレン
「勇者様と聖女様の良いところを足したみたいに格好いいわ!」
ジュン
「トニー様のかっこよさは、見た目だけではない。むしろ、その中身にある!」
エリカ
「そんなに格好良いのですか!?」
カレン
「えぇ! それはもう!」
エリカ
「では、私が結婚したいわ!」
「「「「え!?」」」」
エリカ
「だって、私も、もう10歳ですもの! 婚約者がいてもおかしくない歳でしょう?」
カレン
「え? で、でも、トニー様は私のダンスパートナーですし...」
エリカ
「お姉様は、ただのダンスパートナーでしょう? それにトニー様は12歳なのだから、17歳のお姉様が結婚相手では、お可哀想よ! 結婚相手は、若い方がいいに決まっていますわ!」
カレン
「な、なんですって!?」
エリカ
「ねぇ、殿下! トニー様が王都に残られるような理由が欲しいと仰っていたでしょう? 私と結婚すればいいと思いませんか?」
ジュン
「た、確かに!?」
カレン
「そ、そんな! 反対です!」
エリカ
「どうして?」
カレン
「結婚は年上からと決まっています!」
エリカ
「お姉様が婚約するのを待っていたら、私は行き遅れてしまいます! そんなに言うなら、さっさと隣国の王子と結婚して下さいませ!」
カレン
「いやよ! あんな茶髪の不細工!」
エリカ
「そんなことを言ったらトニー様も焦茶なのでしょう?」
カレン
「エリカはトニー様に会ったこともないのに、勝手なことを言わないで!」
アンナ王太子妃
「まぁ、まぁ、落ち着いて! そんなに素敵な方なら、私もお会いしたいし、1度、お茶会にお呼びしましょう? ジーンシャン家には13歳のレオナルド様も10歳のエドアルド様もいらっしゃいますし、皆様美男でいらっしゃるのでしょう? ジーンシャン家の皆様をお呼びしてお茶会という名のお見合いをしましょう! 殿下、宜しいでしょう? ジーンシャン家とより強い結びつきが出来るのは好ましいことですし!」
ジュン
「そうだな、陛下に相談してみよう」
タイラ
「えぇ~~!?」
タイラは、姉妹達の毒牙から、どうすればトニー様を守ることが出来るのか、思い悩む事となった。
タイラ
「トニー様! 大丈夫でした?」
アントニオ
「はい。レベル5でも問題ないとカーチレ先生に言って頂きました」
レオナルド
「ダンスのことは心配していないよ。そうじゃなくて、誰かにイジメられたりしなかったかきいてるんだ」
アントニオ
「大丈夫でした。カレン様も一緒ですし、楽しく授業を受けられました。そちらはどうでした?」
タイラ
「俺がイジメられるわけないだろ?」
アントニオ
「ふふ、そうですね。楽しくダンスが勉強出来ました?」
タイラ
「ま、まぁまぁだったかな? なぁ?」
レオナルド
「...まぁ」
実は慣れない女性パートで散々だったが、2人ともプライドが邪魔して正直には答えなかった。
アントニオ
「タイラ様とレオもレベル5で一緒に勉強出来そうですか?」
タイラ
「そ、そうだな。考えておく」
レオナルド
「そのうちに」
リッカルド
「恐れながら! ちょっと違う意味でトニー様の防犯を強化した方が良いと思われますので、問題がないのでしたら、是非、レベル5のクラスを一緒に受講して頂いた方がよいと思います」
アントニオ
「違う意味?」
リッカルド
「今日は、その...ちょっと、お洒落をされ過ぎた様な気がします」
アントニオ
「あ、やはりそうですか? 少し華美にし過ぎて反感を買ってしまいました? 大して踊れない癖に、母上と同じ白銀の髪にしてきて生意気でしたよね? 次回からは焦茶のままで受けようと思います。レベル5のクラスは、漆黒の一族の方が多くいらっしゃったので、かえって地毛ではない銀髪は目立ってしまいましたので」
リッカルド
「トニー様には、そう感じられたのですか!? むしろ、女子生徒からストーカーされそうなレベルで、羨望の眼差しを向けられていましたが?」
アントニオ
「どうして、ジーンシャン家の身内は、すぐに、そういう勘違いをするのでしょうか? 実際には、私は嫌われているんですよ」
カレン
「そんなことありませんわ! とても、素敵ですのに!」
お姫様に褒められて、アントニオは照れてフニャっと笑顔になる。そんな顔も可愛いとカレンは思った。
アントニオ
「有難うございます。でも、カレン様も血が繋がっているから、私の容姿の醜さが気にならないだけですよ」
そう言って、今度は悲しそうな顔をした。そんなアントニオの姿もまた、女心をくすぐるものであった。
表情がコロコロと変わるアントニオの魅力に、すっかり取り憑かれたカレンの目には、もはやレオナルドは映っていなかった。
私がトニー様の側にいて、守って差し上げなくてわ!
カレン
「でも、ワタクシは、トニー様の魅力が広まり過ぎない方が嬉しいですわ。そのお陰でペアを組んで頂けましたもの!」
アントニオ
「嬉しいお言葉、有難うございます。」
光り輝くような笑顔をアントニオから向けられ、カレンも嬉しかった。
アントニオを気遣うカレンをみて、レオナルドはカレン王女に好感を持った。
カレン様は、トニーのことを哀れんでいるのではなく、本当に好意をもってペアを組んでくれたようだ。女子学生の多くは髪の色や身分を気にして、計算高く近付いて来るから苦手だが、カレン様のような優しい方は好感が持てる。トニーのペアでなければ、ダンスのペアをお願いしたかった。
________
王宮に帰ったカレンとタイラは、ジュン王太子やアンナ王太子妃、妹のエリカとディナーの席に着いた。
ジュン
「それで、その...どうだったんだね? ダンスの授業は?」
前日のディナーは、カレンが大変不機嫌だったので、今日はカレンのご機嫌を損ねないように、ジュン王太子は恐る恐る尋ねる。
カレン
「トニー様って、本当に素晴らしいわ! 待ち合わせ場所にも、ワタクシを待たせないようにと早く来て下さっていたし! ワタクシに恥をかかせないようにと、お洒落をしてきて下さって、凄く格好良かったの! 教室へ移動するときもエスコートして下さって! お姫様扱いというのかしら? 実際に姫ですけど。ダンスもお上手で、一年生だというのにレベル5でも十分な腕前でしたの! タイラよりも王子様のようでしたわ!」
ジュン
「そうか! それは良かった!」
カレン
「本当に殿下がへタレだったお陰で、トニー様とペアが組めて幸運でしたわ!」
ジュン
「うっ...そうか」
カレン
「トニー様とペアを組まなかった女子達の後悔している顔といったら、大変に愉快でしたわ! 御自分の見る目の無さを大いに反省されたことでしょう!」
タイラは、髪色が変わっただけで手のひらを返した様な態度をとる姉に、呆れていた。
タイラ
「自分だって、今日の朝まで交代しようとしていた癖に...」
独り言のようにボソボソ呟く。
カレン
「タイラさん? 何か仰いました? トニー様やレオ様に余計なことを言わないで頂戴ね! お優しいトニー様が傷付いてしまわれるでしょう?」
くそ! トニー様が傷付くから俺が言いつけられないことをいいことに、好き放題しやがって、姉上め!
アンナ王太子妃
「カレン、そんなにトニー様を気に入ったの? でも、焦茶なのでしょう?」
カレン
「普段は焦茶くらいじゃないと、女性が寄ってきて大変だから、焦茶でいいのですわ。ここぞという時だけ、お洒落して下されば!」
アンナ王太子妃
「そうなのですか? トニー様はそんなに格好が宜しいの?」
タイラ
「それはもう! めちゃくちゃ格好良いです!」
カレン
「勇者様と聖女様の良いところを足したみたいに格好いいわ!」
ジュン
「トニー様のかっこよさは、見た目だけではない。むしろ、その中身にある!」
エリカ
「そんなに格好良いのですか!?」
カレン
「えぇ! それはもう!」
エリカ
「では、私が結婚したいわ!」
「「「「え!?」」」」
エリカ
「だって、私も、もう10歳ですもの! 婚約者がいてもおかしくない歳でしょう?」
カレン
「え? で、でも、トニー様は私のダンスパートナーですし...」
エリカ
「お姉様は、ただのダンスパートナーでしょう? それにトニー様は12歳なのだから、17歳のお姉様が結婚相手では、お可哀想よ! 結婚相手は、若い方がいいに決まっていますわ!」
カレン
「な、なんですって!?」
エリカ
「ねぇ、殿下! トニー様が王都に残られるような理由が欲しいと仰っていたでしょう? 私と結婚すればいいと思いませんか?」
ジュン
「た、確かに!?」
カレン
「そ、そんな! 反対です!」
エリカ
「どうして?」
カレン
「結婚は年上からと決まっています!」
エリカ
「お姉様が婚約するのを待っていたら、私は行き遅れてしまいます! そんなに言うなら、さっさと隣国の王子と結婚して下さいませ!」
カレン
「いやよ! あんな茶髪の不細工!」
エリカ
「そんなことを言ったらトニー様も焦茶なのでしょう?」
カレン
「エリカはトニー様に会ったこともないのに、勝手なことを言わないで!」
アンナ王太子妃
「まぁ、まぁ、落ち着いて! そんなに素敵な方なら、私もお会いしたいし、1度、お茶会にお呼びしましょう? ジーンシャン家には13歳のレオナルド様も10歳のエドアルド様もいらっしゃいますし、皆様美男でいらっしゃるのでしょう? ジーンシャン家の皆様をお呼びしてお茶会という名のお見合いをしましょう! 殿下、宜しいでしょう? ジーンシャン家とより強い結びつきが出来るのは好ましいことですし!」
ジュン
「そうだな、陛下に相談してみよう」
タイラ
「えぇ~~!?」
タイラは、姉妹達の毒牙から、どうすればトニー様を守ることが出来るのか、思い悩む事となった。
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