98 / 249
第三幕 学生期
96.汚部屋の清掃
しおりを挟む
扉が開くと、汗臭いというか、もはや獣臭い? 野生的な香りが漂ってきた。
玄関口には泥のついたブーツや革靴が放置されており、部屋の中も鞄がいくつか壁際の床に落ちている。
机の上は綺麗だったが、4脚ある椅子の背には、洗っていないと思われる服が重ねられており、椅子には、本やタオル、武器などが積み上がっている。
インテリアは、家具の色がバラバラだ。テーブルは明るい木目なのに、椅子がダークブラウン。本棚もベッドも全部バラバラの色だった。青い絨毯とカーテンはいいのだが、黄色と紫の波模様の掛け布団カバー、変な幾何学模様のカラフルな枕が気になる。
なんか、あったものを適当に入れました感が半端ない。
ハンス
「相変わらずの絶妙なインテリア(笑)」
カール
「やっぱり、ヤンの部屋の方が汚いじゃないか(笑)」
ヤン
「いつもは、お前の部屋の方が汚いだろ!」
アントニオ
「.........。」
ヤン
「あの...アントニオ様?」
アントニオ
「ヤン...多少、散らかっているのは良いですが、不衛生なのは駄目です。掃除機は何処ですか? ヤンは靴の泥を落として、靴を磨いて下さい。」
アントニオは、窓を開けて、部屋に風を通し、洗濯物を大きめの袋に詰め始めた。
ヤン
「あ! 洗濯物は俺が自分で!」
アントニオ
「ヤンはまず、その靴をなんとかして下さい!」
獣臭は確実にブーツからするものだろう。
ハンス
「私が掃除機をかけますね!」
アントニオ
「すみません。ハンス先輩、お願い出来ますか?」
ハンス
「お任せください!」
カール
「私も何か手伝えますか?」
アントニオ
「有難うございます! では、本を本棚に戻して頂けますか?」
カール
「任せてください!」
アントニオ
「私は、洗濯物を洗濯室に持って行きます。」
ヤン
「申し訳ありません!!!」
アントニオは大量の洗濯物を持って、洗濯室へ向かった。
ヤンは、アントニオの足音が遠ざかったのを聞いて、立ち上がった。
ヤン
「......今のうちに!」
ヤンはベッドの下からエロ本を取り出すと、ベランダに出て火をつけた。
ハンス
「危なかったな?」
ハンスは笑っている。
カール
「燃やしちゃうのかよ!」
ヤン
「お前だって執事に見つかったらヤヴァイだろ?」
カール
「ま、まぁな。」
ハンス
「そう、見つかってめっちゃ怒られてたんだよな?」
ヤン
「怒られるだけならいいが、アントニオ様に見つかって、聖女様に報告でもされたら、殺されかねない!」
_____
洗濯室に入ると、今日も受付のお兄さんとディーデリックが話し込んでいる様子だった。アントニオに気が付き挨拶する。
受付
「やぁ! トニー坊や! 今日は凄い量だね。」
ディーデリック
「今晩は、トニー。」
アントニオ
「今晩は! これは、ヤン・ツヴァインツィガーの洗濯物です。今、ヤンの部屋を掃除していまして。」
受付
「ツヴァインツィガー家の坊ちゃんの部屋も掃除しているのですか? 大変ですね。」
アントニオ
「そうなんですよ! 同郷の者として、不衛生なお部屋を見逃す事は出来ないのです。」
ディーデリック
「命令されたわけではないのですか?」
アントニオ
「はい。むしろ、ヤンは私を部屋に入れないようにしていたのです。汚い部屋を見られたくなくて。これは、あやしいと思って、割と強引に踏み込みました。思った通り、散らかっていて、洗ってない洗濯物を溜め込んでいたので持って来たんです。ヤン本人は、今は靴を磨いています。」
ヤン・ツヴァインツィガーといえば、誉れ高きユニコーン騎兵長キール・ツヴァインツィガーの息子だ。王族のタイラ様に並ぶ実力者だと聞く。そんな人物に小言が言えるのか。
ディーデリック
「ジーンシャンの従者になると、上の者にも小言を言えないと務まらないのか?」
ディーデリックは、トニーが身分上のヤンに対して小言を言っているという意味で言ったが、アントニオは、ヤンが身分上の自分に対して部屋に入れないようにしたり、色々な注意をしてくる事を言っているのだと思った。
アントニオ
「そうですね。従者の方が強い発言権を持つこともあります。ジーンシャンの屋敷で1番発言が強いのは女中頭のマリッサですし。」
ディーデリック
「勇者様や聖女様よりですか?」
アントニオ
「そうです。聖女が闇の帝王になって暴走して困った時は、マリッサが止めてくれます。」
受付
「聖女様が闇の帝王になるってどういうことだ!?」
アントニオは、メアリーがどんな時に闇の帝王になるのかを思い出してみると、実は、いつも自分の事を思ってしていてくれたことに気が付いた。
アントニオ
「私が具合が悪い時に出掛けようとしたり、イジメられそうになった時などに、怒ってくれたのですが、その時に、闇属性のオーラが全開になるので、闇の帝王と私が呼んでいるだけです。別に怪物に変身するわけじゃないですよ?」
受付
「なんだ、やっぱり優しいお方なんじゃねぇか!」
アントニオ
「まぁ、そうですね。」
今まで、アントニオには、メアリーに対して優しいというイメージをあまり持っていなかったが、受付さんの言う通り、本当の意味で優しい母親なのかもしれないと思い直した。そして、とても懐かしくて、会いたいような、気持ちになるのだった。
アントニオ
「あ! いけない! お部屋の片付けの途中でした!」
受付
「アントニオ様の洗濯物はどうする?」
アントニオ
「また、取りに来ます!」
慌ただしく去っていくアントニオを眺め、ディーデリックは自分の中に芽生え始めた、嫉妬の感情に戸惑っていた。
トニーは自分と同じように忌み嫌われる髪色に生まれた。そして、貴族の奉公人として仕え、努力と才能によって王立学校に入学した同志であるはずだ。
ディーデリックは、男爵家の貴族達にこき使われるのが嫌で嫌で仕方がなかった。だから、言いつけられる仕事をこなすだけで、自分から相手の事を考えて仕事をするなどという、思い遣りのある行動などはとったことはなかった。
具合が悪ければ休みたいし、そんな時の仕事は手を抜いていた。仕事を休まないことで怒られるなんてあり得ない。まして、やらなくていい掃除を、自ら提案して、仕事をするなどという発想は無かったのである。
世の中の奴等は、言われた仕事すら満足に出来ない奴ばかりで、言われた仕事をこなす事が出来る自分は、特別に優れているのだとばかり思い込んでいた。
だが、主人からしてみれば、不便を感じて命令する前に、すべて仕事を片付けてくれる従者がいれば、不便を感じることすらなく生活できる。
なるほど、大貴族達に気に入られるだけの事はある。品の良い物腰、人懐こい性格、思い遣りがあり、頼まれる前に仕事をこなす有能さ。
トニーが、どれだけ魔法が使えて、どれ程戦闘能力があるのかは分からない。しかし、トニーこそが、本当の意味で、優れた才能の持ち主ではないのか? 赤毛よりも嫌われて、差別され、不遇であるはずの焦茶のトニーに、自分は足元にも及ばないのではないか?
自分は今まで、身分上の相手の立場を羨むことはあっても、内心では、無能な奴等だと見下していた。
ディーデリックは、生まれて初めて、自分よりも不遇であるはずの相手に嫉妬したのであった。
そして、自分がトニーに見下される事を想像して、怖くなった。
__________
ヤンは汚れていた靴をピカピカに磨きながら、激しく後悔をしていた。なぜ、日頃から自分の部屋を綺麗にしておかなかったのかと。
主(あるじ)に自分の洗濯物を片付けさせるなんて従者失格だ!
アントニオ
「戻りました! お部屋のお掃除はどうですか?」
ヤン
「アントニオ様、申し訳ありません! あとは自分で致しますので、もう、お風呂に入ってお休み下さい!」
そう言って、アントニオを部屋の外に押し出そうとしたのだが、悪い事というのは重なるものである。
靴磨き中の手を拭かずに、そうしたものだから、アントニオのお気に入りのセーターに靴のクリームがついてしまった。
ヤン
「あ......」
ハンスとカールも、ヤンと一緒に青ざめた。
アントニオ
「ん? どうしたのですか? 洗濯物くらい気にしなくていいですよ? 私が洗うわけじゃないですし?」
アントニオはまだ、気が付いていない。
ヤンは慌てて土下座した。
ヤン
「申し訳ございません!」
アントニオ
「え? え? 本当にどうしたの?」
ヤン
「お召し物に汚れが...」
鏡の前に移動して姿をチェックしたアントニオは、セーターに靴のクリームのシミを発見し、「あ゙!」と声を漏らした。
子犬のように小さくなるヤンを見て、アントニオが溜息を漏らす。
ハンスもカールも、アントニオが激怒し、ヤンに酷い罰が与えられる事を想像して震え上がった。
そうでなくとも、何十万イェ二するような、お召し物の弁償を言い渡されるはずだ。
アントニオ
「もぉ~! ヤン。作業中に他の物に触っちゃ駄目ですよ!だから、お部屋が汚れるのです。まぁ、私の服で良かったけど、ハンス先輩やカール先輩相手には絶対にしないで下さいね!」
ヤン
「はい。申し訳ありません。どんな罰でも受けます! そして、弁償を!」
アントニオ
「ん~? では、罰として、今度私の部屋の掃除を手伝って下さい。弁償は不要です。シミ抜きして、落ちなければ、刺繍をすれば着れますから、心配しなくて大丈夫です。」
ヤン
「え? そんなことで宜しいのですか?」
アントニオ
「私が命じた仕事中のトラブルは、私の責任なのです。本来なら罰など不要ですが...まぁ、せっかくなので頼らせて下さい。」
ヤン
「はい!」
そんな優しい罰を与えるアントニオをみて、ハンスとカールは、ジーンシャン魔導騎士団に入りたいと、本気で思うようになった。
玄関口には泥のついたブーツや革靴が放置されており、部屋の中も鞄がいくつか壁際の床に落ちている。
机の上は綺麗だったが、4脚ある椅子の背には、洗っていないと思われる服が重ねられており、椅子には、本やタオル、武器などが積み上がっている。
インテリアは、家具の色がバラバラだ。テーブルは明るい木目なのに、椅子がダークブラウン。本棚もベッドも全部バラバラの色だった。青い絨毯とカーテンはいいのだが、黄色と紫の波模様の掛け布団カバー、変な幾何学模様のカラフルな枕が気になる。
なんか、あったものを適当に入れました感が半端ない。
ハンス
「相変わらずの絶妙なインテリア(笑)」
カール
「やっぱり、ヤンの部屋の方が汚いじゃないか(笑)」
ヤン
「いつもは、お前の部屋の方が汚いだろ!」
アントニオ
「.........。」
ヤン
「あの...アントニオ様?」
アントニオ
「ヤン...多少、散らかっているのは良いですが、不衛生なのは駄目です。掃除機は何処ですか? ヤンは靴の泥を落として、靴を磨いて下さい。」
アントニオは、窓を開けて、部屋に風を通し、洗濯物を大きめの袋に詰め始めた。
ヤン
「あ! 洗濯物は俺が自分で!」
アントニオ
「ヤンはまず、その靴をなんとかして下さい!」
獣臭は確実にブーツからするものだろう。
ハンス
「私が掃除機をかけますね!」
アントニオ
「すみません。ハンス先輩、お願い出来ますか?」
ハンス
「お任せください!」
カール
「私も何か手伝えますか?」
アントニオ
「有難うございます! では、本を本棚に戻して頂けますか?」
カール
「任せてください!」
アントニオ
「私は、洗濯物を洗濯室に持って行きます。」
ヤン
「申し訳ありません!!!」
アントニオは大量の洗濯物を持って、洗濯室へ向かった。
ヤンは、アントニオの足音が遠ざかったのを聞いて、立ち上がった。
ヤン
「......今のうちに!」
ヤンはベッドの下からエロ本を取り出すと、ベランダに出て火をつけた。
ハンス
「危なかったな?」
ハンスは笑っている。
カール
「燃やしちゃうのかよ!」
ヤン
「お前だって執事に見つかったらヤヴァイだろ?」
カール
「ま、まぁな。」
ハンス
「そう、見つかってめっちゃ怒られてたんだよな?」
ヤン
「怒られるだけならいいが、アントニオ様に見つかって、聖女様に報告でもされたら、殺されかねない!」
_____
洗濯室に入ると、今日も受付のお兄さんとディーデリックが話し込んでいる様子だった。アントニオに気が付き挨拶する。
受付
「やぁ! トニー坊や! 今日は凄い量だね。」
ディーデリック
「今晩は、トニー。」
アントニオ
「今晩は! これは、ヤン・ツヴァインツィガーの洗濯物です。今、ヤンの部屋を掃除していまして。」
受付
「ツヴァインツィガー家の坊ちゃんの部屋も掃除しているのですか? 大変ですね。」
アントニオ
「そうなんですよ! 同郷の者として、不衛生なお部屋を見逃す事は出来ないのです。」
ディーデリック
「命令されたわけではないのですか?」
アントニオ
「はい。むしろ、ヤンは私を部屋に入れないようにしていたのです。汚い部屋を見られたくなくて。これは、あやしいと思って、割と強引に踏み込みました。思った通り、散らかっていて、洗ってない洗濯物を溜め込んでいたので持って来たんです。ヤン本人は、今は靴を磨いています。」
ヤン・ツヴァインツィガーといえば、誉れ高きユニコーン騎兵長キール・ツヴァインツィガーの息子だ。王族のタイラ様に並ぶ実力者だと聞く。そんな人物に小言が言えるのか。
ディーデリック
「ジーンシャンの従者になると、上の者にも小言を言えないと務まらないのか?」
ディーデリックは、トニーが身分上のヤンに対して小言を言っているという意味で言ったが、アントニオは、ヤンが身分上の自分に対して部屋に入れないようにしたり、色々な注意をしてくる事を言っているのだと思った。
アントニオ
「そうですね。従者の方が強い発言権を持つこともあります。ジーンシャンの屋敷で1番発言が強いのは女中頭のマリッサですし。」
ディーデリック
「勇者様や聖女様よりですか?」
アントニオ
「そうです。聖女が闇の帝王になって暴走して困った時は、マリッサが止めてくれます。」
受付
「聖女様が闇の帝王になるってどういうことだ!?」
アントニオは、メアリーがどんな時に闇の帝王になるのかを思い出してみると、実は、いつも自分の事を思ってしていてくれたことに気が付いた。
アントニオ
「私が具合が悪い時に出掛けようとしたり、イジメられそうになった時などに、怒ってくれたのですが、その時に、闇属性のオーラが全開になるので、闇の帝王と私が呼んでいるだけです。別に怪物に変身するわけじゃないですよ?」
受付
「なんだ、やっぱり優しいお方なんじゃねぇか!」
アントニオ
「まぁ、そうですね。」
今まで、アントニオには、メアリーに対して優しいというイメージをあまり持っていなかったが、受付さんの言う通り、本当の意味で優しい母親なのかもしれないと思い直した。そして、とても懐かしくて、会いたいような、気持ちになるのだった。
アントニオ
「あ! いけない! お部屋の片付けの途中でした!」
受付
「アントニオ様の洗濯物はどうする?」
アントニオ
「また、取りに来ます!」
慌ただしく去っていくアントニオを眺め、ディーデリックは自分の中に芽生え始めた、嫉妬の感情に戸惑っていた。
トニーは自分と同じように忌み嫌われる髪色に生まれた。そして、貴族の奉公人として仕え、努力と才能によって王立学校に入学した同志であるはずだ。
ディーデリックは、男爵家の貴族達にこき使われるのが嫌で嫌で仕方がなかった。だから、言いつけられる仕事をこなすだけで、自分から相手の事を考えて仕事をするなどという、思い遣りのある行動などはとったことはなかった。
具合が悪ければ休みたいし、そんな時の仕事は手を抜いていた。仕事を休まないことで怒られるなんてあり得ない。まして、やらなくていい掃除を、自ら提案して、仕事をするなどという発想は無かったのである。
世の中の奴等は、言われた仕事すら満足に出来ない奴ばかりで、言われた仕事をこなす事が出来る自分は、特別に優れているのだとばかり思い込んでいた。
だが、主人からしてみれば、不便を感じて命令する前に、すべて仕事を片付けてくれる従者がいれば、不便を感じることすらなく生活できる。
なるほど、大貴族達に気に入られるだけの事はある。品の良い物腰、人懐こい性格、思い遣りがあり、頼まれる前に仕事をこなす有能さ。
トニーが、どれだけ魔法が使えて、どれ程戦闘能力があるのかは分からない。しかし、トニーこそが、本当の意味で、優れた才能の持ち主ではないのか? 赤毛よりも嫌われて、差別され、不遇であるはずの焦茶のトニーに、自分は足元にも及ばないのではないか?
自分は今まで、身分上の相手の立場を羨むことはあっても、内心では、無能な奴等だと見下していた。
ディーデリックは、生まれて初めて、自分よりも不遇であるはずの相手に嫉妬したのであった。
そして、自分がトニーに見下される事を想像して、怖くなった。
__________
ヤンは汚れていた靴をピカピカに磨きながら、激しく後悔をしていた。なぜ、日頃から自分の部屋を綺麗にしておかなかったのかと。
主(あるじ)に自分の洗濯物を片付けさせるなんて従者失格だ!
アントニオ
「戻りました! お部屋のお掃除はどうですか?」
ヤン
「アントニオ様、申し訳ありません! あとは自分で致しますので、もう、お風呂に入ってお休み下さい!」
そう言って、アントニオを部屋の外に押し出そうとしたのだが、悪い事というのは重なるものである。
靴磨き中の手を拭かずに、そうしたものだから、アントニオのお気に入りのセーターに靴のクリームがついてしまった。
ヤン
「あ......」
ハンスとカールも、ヤンと一緒に青ざめた。
アントニオ
「ん? どうしたのですか? 洗濯物くらい気にしなくていいですよ? 私が洗うわけじゃないですし?」
アントニオはまだ、気が付いていない。
ヤンは慌てて土下座した。
ヤン
「申し訳ございません!」
アントニオ
「え? え? 本当にどうしたの?」
ヤン
「お召し物に汚れが...」
鏡の前に移動して姿をチェックしたアントニオは、セーターに靴のクリームのシミを発見し、「あ゙!」と声を漏らした。
子犬のように小さくなるヤンを見て、アントニオが溜息を漏らす。
ハンスもカールも、アントニオが激怒し、ヤンに酷い罰が与えられる事を想像して震え上がった。
そうでなくとも、何十万イェ二するような、お召し物の弁償を言い渡されるはずだ。
アントニオ
「もぉ~! ヤン。作業中に他の物に触っちゃ駄目ですよ!だから、お部屋が汚れるのです。まぁ、私の服で良かったけど、ハンス先輩やカール先輩相手には絶対にしないで下さいね!」
ヤン
「はい。申し訳ありません。どんな罰でも受けます! そして、弁償を!」
アントニオ
「ん~? では、罰として、今度私の部屋の掃除を手伝って下さい。弁償は不要です。シミ抜きして、落ちなければ、刺繍をすれば着れますから、心配しなくて大丈夫です。」
ヤン
「え? そんなことで宜しいのですか?」
アントニオ
「私が命じた仕事中のトラブルは、私の責任なのです。本来なら罰など不要ですが...まぁ、せっかくなので頼らせて下さい。」
ヤン
「はい!」
そんな優しい罰を与えるアントニオをみて、ハンスとカールは、ジーンシャン魔導騎士団に入りたいと、本気で思うようになった。
0
お気に入りに追加
208
あなたにおすすめの小説
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星河由乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2023年01月15日、連載完結しました。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました!
* 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。
嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜
𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。
だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。
「もっと早く癒せよ! このグズが!」
「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」
「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」
また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、
「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」
「チッ。あの能無しのせいで……」
頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。
もう我慢ならない!
聖女さんは、とうとう怒った。
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる