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第三幕 学生期
91.テーブルナプキンの戦い ♣︎
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ヤンと一緒に寮に戻ると、すぐに階段をあがってアントニオの部屋へと入った。
幸い、誰に会うこともなく、部屋に入れた。
あの騒ぎの後で、今日、人に会うのはなんだか恥ずかしい。
ヤンが、食事のメニューを注文してくれて、一緒に食事をとったのだが、話題はもっぱら黄金のバイコーンのことだった。
ヤン
「どうやって探したら、あんな魔獣が手に入るのですか!?」
アントニオ
「友人が探して来てくれたんだよ。」
ヤン
「一体どんな御友人なんですか!? 御友人はどうやってあの魔獣を見つけられたのです?」
アントニオ
「友人は私の音楽仲間です。...詳しい事はわかりませんが、友人のそのまた友人にいっぱい訊いて探してくれたらしいです。」
ヤン
「人脈ですか...真似出来ないですね。」
アントニオ
「今日会った、あのユニコーンも良い子じゃないですか!」
ヤン
「そうですけど、もっと鍛えて強くなったら、魔力の高いユニコーンにも拒絶されなくなるので、学校を卒業したら、より強いユニコーンに乗り換えたいです。」
アントニオ
「そうなんですか。なら、乗り換える時期がきたら友人に頼んでみましょう。」
ヤン
「いいんですか! 有難うございます!」
アントニオ
「でも、あんまり期待しないで下さいね。もしかしたら、見つけられないかもしれないし...」
ヤン
「はい! ダメでも大丈夫です。頼んで頂けるだけで嬉しいです。」
今後しばらく、朝と晩の食事は、すべてお任せ予約にして、部屋で食べることにした。ヤンを通じて食堂に連絡してもらう。
ヤン
「今後、誰かに何か言われたり、無視されたりしたら、遠慮せずに、必ず私に頼ってください! 頼りなく思われるかもしれませんが、騎乗バトルの試験ではいつも1番ですし、攻撃魔法はいつも3位以内、剣術も戦士科の5人を除けば1番ですから。きっとお役に立ってみせます! だから...一人で悩まないで下さい。」
アントニオ
「有難うございます。」
そんなような事を話して食事が終わると、ヤンに帰ってもらった。
静かになった部屋に、アントニオはルドとリンを呼び出して、今日あった事を報告する。心配ごとが取り敢えずは解決したっぽいこと、校舎を見学したことを話した。
バルド
「よかったな。」
バルドは頭を撫でてきた。
精神的には、俺の方が年上なのに、バルドはいつまでも俺を子供扱いをする! アントニオとしての年齢も、もう、12歳なのに、どうしたものか?
でも、前世は子供らしく甘えられない環境だったから、その時の分も甘えてもいいのだろうか?
ついでに、リンにも頭を撫でてもらったのだが、馬臭いと言われた。
アントニオ
「明日の朝は学校の教科書に目を通すから、その後、お昼に街に繰り出そう! そして普通のレストランで食事をする。食後に街をみて、夕食までには部屋に帰るっていうのでいい?」
バルド
「あぁ、それでいい。」
リン
「俺も!」
バルド
「ところで、ルーフバルコニーに空中庭園を作ってもいいか? 窓から見える風景が殺風景で気に入らない。」
アントニオ
「いいよ! そういえば、ルドってガーデニングとか、家庭菜園が好きだよな?」
バルド
「そうでもないが、生きる為に環境を整えることは必要な事だ。」
リン
「じゃあ、俺もリビングのインテリアとか改造していいか?」
アントニオ
「いいよ! でも、実用性重視でね!」
バルド
「金ピカにするなよ! 目が痛くなるから。」
リン
「俺だって住むところはナチュラル派だ!」
アントニオ
「ウッディーな感じならいいけど、ストーンな感じにはしないで!」
リン
「お前ら、俺を何だと思っているんだ!」
アントニオ
「だって、岩と同化して暮らしてたし…」
リン
「あれは生きる為に仕方なくだ! 俺の趣味ってわけじゃない! 生きるのは大変なんだ。これだからお坊っちゃまは。なぁ? ルドなら分かるだろ?」
バルド
「そうだな。エストは、生きることの大変さが、イマイチ分かっていない。」
アントニオ
「えぇ~? 分かってるよ。...多分。前世も結構大変だっし。」
リン
「エストの前世って、生きてる間に一度も戦争が無かったっていう平和な国だろ?」
アントニオ
「そ、そうだけど。」
バルド
「殺人事件にも関わったことがないって言っていた平和な前世のことだな。」
アントニオ
「そうだけど! でも...命の大切さは知ってるよ?」
バルド
「命の大切さを知っていることと、命を守る術(すべ)を知っていることは違う。暴力行為にあってもお前は基本的にやられっぱなしだろ?」
アントニオ
「うっ......そうですね。じゃあ、生きるために適したお部屋をお願いします。」
リン
「ふむ! 分かればよろしい! まぁ、落ち込むなよ。エストは寝室の内装を好きにしていいからさ! それで、完成したら、誰の改造が1番いいか他の奴らに選んでもらおうぜ!」
バルド
「改造勝負だな? いいだろう、受けてたとう!」
アントニオ
「わっはっはっはっは! この俺に勝とうだなんて、いい度胸だ! かかってくるがいい! インテリア雑誌を熟読していた、この俺が相手だ!」
そう言って、アントニオはスプーンを手に取りフェンシングのような剣さばきを披露する。
それを見たリンが、テーブルナプキンを風魔法で操り、アントニオの方に飛ばす。
アントニオはスプーンでナプキンを払いのける。
払いのけたナプキンがバルド方へ飛んでいったが、バルドは得意技の反射魔法でアントニオのところへ弾き返す。
アントニオは、またカッコイイ感じのスプーンさばきで、リンの方に打ち返した。
そうしたら、またまた、リンが風魔法でアントニオの方に戻すので、アントニオはナプキンを顔面で受けて、堪らず叫ぶ。
アントニオ
「ブフッ! ...二人掛かりで魔法を使うとは卑怯だぞ!」
バルドとリンが大笑いするので、アントニオも一瞬吹き出して笑うが、わざと怒ったフリをして口を膨らました。
アントニオ
「もう、怒ったぞ! 2人を踊りの刑に処す!」
アントニオの瞳が虹色に輝いて細められ、思いっきり口角が上がって、不敵な笑みを浮かべる。
フンパーディンクのオペラ「ヘンゼルとグレーテル」より“踊りましょうよ!”
アントニオ
「♪Bruderchen komm tanz mit mir...♪」
(兄弟! 私と一緒に踊ろうよ! あっちへ行って、こっちへ行って、クルッと回るだけだよ♪)
アントニオが歌いながら踊ってみせると、2人も強制的に同じ踊りを踊らされる。
少しずつはやくなる歌とステップ!
最後はバレエで習った回転技、フェッテ・アン・トゥールナンを連続でキメると、ルドとリンは目を回してギブアップした。
アントニオ
「どうだ! 参ったか!」
バルド
「参った!」
リン
「参った!」
アントニオ
「うむ! 宜しい! 許してやろう!」
だが、アントニオも息があがって肩で息をしている状態で、汗びっしょりである。
もう、疲れたし、お風呂に入って寝よう。
だが、パジャマやタオルを用意しようと、チェストを覗くと、着替えの残量が少ないことに気が付いた。
洗濯室に行かないと!
幸い、誰に会うこともなく、部屋に入れた。
あの騒ぎの後で、今日、人に会うのはなんだか恥ずかしい。
ヤンが、食事のメニューを注文してくれて、一緒に食事をとったのだが、話題はもっぱら黄金のバイコーンのことだった。
ヤン
「どうやって探したら、あんな魔獣が手に入るのですか!?」
アントニオ
「友人が探して来てくれたんだよ。」
ヤン
「一体どんな御友人なんですか!? 御友人はどうやってあの魔獣を見つけられたのです?」
アントニオ
「友人は私の音楽仲間です。...詳しい事はわかりませんが、友人のそのまた友人にいっぱい訊いて探してくれたらしいです。」
ヤン
「人脈ですか...真似出来ないですね。」
アントニオ
「今日会った、あのユニコーンも良い子じゃないですか!」
ヤン
「そうですけど、もっと鍛えて強くなったら、魔力の高いユニコーンにも拒絶されなくなるので、学校を卒業したら、より強いユニコーンに乗り換えたいです。」
アントニオ
「そうなんですか。なら、乗り換える時期がきたら友人に頼んでみましょう。」
ヤン
「いいんですか! 有難うございます!」
アントニオ
「でも、あんまり期待しないで下さいね。もしかしたら、見つけられないかもしれないし...」
ヤン
「はい! ダメでも大丈夫です。頼んで頂けるだけで嬉しいです。」
今後しばらく、朝と晩の食事は、すべてお任せ予約にして、部屋で食べることにした。ヤンを通じて食堂に連絡してもらう。
ヤン
「今後、誰かに何か言われたり、無視されたりしたら、遠慮せずに、必ず私に頼ってください! 頼りなく思われるかもしれませんが、騎乗バトルの試験ではいつも1番ですし、攻撃魔法はいつも3位以内、剣術も戦士科の5人を除けば1番ですから。きっとお役に立ってみせます! だから...一人で悩まないで下さい。」
アントニオ
「有難うございます。」
そんなような事を話して食事が終わると、ヤンに帰ってもらった。
静かになった部屋に、アントニオはルドとリンを呼び出して、今日あった事を報告する。心配ごとが取り敢えずは解決したっぽいこと、校舎を見学したことを話した。
バルド
「よかったな。」
バルドは頭を撫でてきた。
精神的には、俺の方が年上なのに、バルドはいつまでも俺を子供扱いをする! アントニオとしての年齢も、もう、12歳なのに、どうしたものか?
でも、前世は子供らしく甘えられない環境だったから、その時の分も甘えてもいいのだろうか?
ついでに、リンにも頭を撫でてもらったのだが、馬臭いと言われた。
アントニオ
「明日の朝は学校の教科書に目を通すから、その後、お昼に街に繰り出そう! そして普通のレストランで食事をする。食後に街をみて、夕食までには部屋に帰るっていうのでいい?」
バルド
「あぁ、それでいい。」
リン
「俺も!」
バルド
「ところで、ルーフバルコニーに空中庭園を作ってもいいか? 窓から見える風景が殺風景で気に入らない。」
アントニオ
「いいよ! そういえば、ルドってガーデニングとか、家庭菜園が好きだよな?」
バルド
「そうでもないが、生きる為に環境を整えることは必要な事だ。」
リン
「じゃあ、俺もリビングのインテリアとか改造していいか?」
アントニオ
「いいよ! でも、実用性重視でね!」
バルド
「金ピカにするなよ! 目が痛くなるから。」
リン
「俺だって住むところはナチュラル派だ!」
アントニオ
「ウッディーな感じならいいけど、ストーンな感じにはしないで!」
リン
「お前ら、俺を何だと思っているんだ!」
アントニオ
「だって、岩と同化して暮らしてたし…」
リン
「あれは生きる為に仕方なくだ! 俺の趣味ってわけじゃない! 生きるのは大変なんだ。これだからお坊っちゃまは。なぁ? ルドなら分かるだろ?」
バルド
「そうだな。エストは、生きることの大変さが、イマイチ分かっていない。」
アントニオ
「えぇ~? 分かってるよ。...多分。前世も結構大変だっし。」
リン
「エストの前世って、生きてる間に一度も戦争が無かったっていう平和な国だろ?」
アントニオ
「そ、そうだけど。」
バルド
「殺人事件にも関わったことがないって言っていた平和な前世のことだな。」
アントニオ
「そうだけど! でも...命の大切さは知ってるよ?」
バルド
「命の大切さを知っていることと、命を守る術(すべ)を知っていることは違う。暴力行為にあってもお前は基本的にやられっぱなしだろ?」
アントニオ
「うっ......そうですね。じゃあ、生きるために適したお部屋をお願いします。」
リン
「ふむ! 分かればよろしい! まぁ、落ち込むなよ。エストは寝室の内装を好きにしていいからさ! それで、完成したら、誰の改造が1番いいか他の奴らに選んでもらおうぜ!」
バルド
「改造勝負だな? いいだろう、受けてたとう!」
アントニオ
「わっはっはっはっは! この俺に勝とうだなんて、いい度胸だ! かかってくるがいい! インテリア雑誌を熟読していた、この俺が相手だ!」
そう言って、アントニオはスプーンを手に取りフェンシングのような剣さばきを披露する。
それを見たリンが、テーブルナプキンを風魔法で操り、アントニオの方に飛ばす。
アントニオはスプーンでナプキンを払いのける。
払いのけたナプキンがバルド方へ飛んでいったが、バルドは得意技の反射魔法でアントニオのところへ弾き返す。
アントニオは、またカッコイイ感じのスプーンさばきで、リンの方に打ち返した。
そうしたら、またまた、リンが風魔法でアントニオの方に戻すので、アントニオはナプキンを顔面で受けて、堪らず叫ぶ。
アントニオ
「ブフッ! ...二人掛かりで魔法を使うとは卑怯だぞ!」
バルドとリンが大笑いするので、アントニオも一瞬吹き出して笑うが、わざと怒ったフリをして口を膨らました。
アントニオ
「もう、怒ったぞ! 2人を踊りの刑に処す!」
アントニオの瞳が虹色に輝いて細められ、思いっきり口角が上がって、不敵な笑みを浮かべる。
フンパーディンクのオペラ「ヘンゼルとグレーテル」より“踊りましょうよ!”
アントニオ
「♪Bruderchen komm tanz mit mir...♪」
(兄弟! 私と一緒に踊ろうよ! あっちへ行って、こっちへ行って、クルッと回るだけだよ♪)
アントニオが歌いながら踊ってみせると、2人も強制的に同じ踊りを踊らされる。
少しずつはやくなる歌とステップ!
最後はバレエで習った回転技、フェッテ・アン・トゥールナンを連続でキメると、ルドとリンは目を回してギブアップした。
アントニオ
「どうだ! 参ったか!」
バルド
「参った!」
リン
「参った!」
アントニオ
「うむ! 宜しい! 許してやろう!」
だが、アントニオも息があがって肩で息をしている状態で、汗びっしょりである。
もう、疲れたし、お風呂に入って寝よう。
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