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第二幕 幼少期
43.お忍び領内視察
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ジーンシャン領の冬は厳しい。
雪が降り積もり、辺り一面が雪景色となり、気温は零下までさがる。頭の血管が寒さで切れないように、外出時には帽子が必須になるほどだ。
そんな季節に差し掛かった頃、領地統治の授業を担当するセルゲイ・ガラノフ先生(57歳)は、アントニオに街のお忍び視察を提案してきた。
ガラノフ先生は、40歳までジーンシャン魔導騎士団で騎士をした後、大臣となった人物で、55歳で定年を迎えた後は、領内の学校で政治学を教えている。
夏の能力鑑定後から始まったガラノフ先生の領地統治の授業は、それまでずっと座学だった。領民の登録、税収、魔導騎士団や文官や召使い達の給与、誰に何を頼めるかといった命令の下し方、逆に誰がどんなお願いをしてくるか、公式行事で領主がする仕事などを教わっていた。
セルゲイ
「領民に顔が割れていない今うちに、領民側からみた、ありのままのジーンシャン領を見て回りましょう」
そう言って、アントニオの頭に帽子を被せた。
グリエルモ
「私も昔、街にお忍びで視察に行った時は、帽子を被れるこの季節に行ったんだよ。私の髪は一般的な金髪の色と違って、ジーンシャン家特有の金属的なキラキラした金髪だからね。質素な服に着替えても、すぐにジーンシャン家の者だとわかってしまう。そこで、すっぽり髪を隠せる帽子を被っていても不自然ではない、この季節を狙って視察に行っていた。
平民に変装して街を見て回ると、領民が領主に対して何を望んでいるのかがよく分かる。
トニーの髪の色も、ジーンシャン領ではとくに珍しいからね。念のため、変装して行きなさい。ユニコーン騎兵達がヤンとの決闘の話をあちらこちらで話しているせいで、街にもトニーの噂が広がっているようだし」
アントニオ
「なぜ、ジーンシャンでは焦茶が珍しいのですか? 王都でも珍しいみたいでしたが?」
グリエルモ
「ここは他の地域より魔素が濃いからね。焦茶や漆黒の髪の人達は、魔素に負けて具合が悪くなってしまうことが多いんだよ。
王都では貧民街に行くと焦茶の髪の人は結構いるし、王都より南の国では珍しい髪色ではないんだ」
アントニオ
「そうなんですね! 南の国か...行ってみたいな」
グリエルモ
「南は治安があまり良くないから、行くなら、大人になってからだよ」
アントニオ
「はい。分かりました!」
グリエルモ
「私は顔が割れているから、街の視察には一緒に行けない。気を付けて行くんだよ?」
セルゲイ
「呼び名も変えて行きましょう。継承無しでアントンと呼ばせて頂きますが、宜しいですか?」
アントニオ
「はい。アントンで大丈夫です」
メアリー
「本当に護衛を付けなくて大丈夫?」
グリエルモ
「街では魔導騎士団のメンバーは有名人だ。そのメンバーが護衛についたら、領主の息子と名乗っているようなものだから、かえって目立って危険だ」
セルゲイ
「年老いても、魔法の腕は落ちておりません。私にお任せ下さい」
メアリー
「分かりました。宜しく頼みます」
アントニオは、安価で街の子供に人気がある鼠色の庶民的なコート、ベージュのムートンブーツ、先程被せてもらった紫色の耳当て付きのニット帽を着込んだ。
ガラノフ先生に連れられて、アントニオは生まれて初めて街へと繰り出すこととなる。
ジーンシャン城は城下町よりも少し高い丘の上にあり、広い敷地を有している。
城下町も城壁に囲まれているが、丘の上にある城の周りにも、さらに城壁があり、二重で敵の侵略を防げるようになっているのだ。
丘の上の城内には、アントニオ達が暮らす屋敷の他に、兵士や召使いが住む宿舎、魔導騎士団の訓練場、飛竜やユニコーンの厩舎などがある。中々の広さがあり、アントニオは森や山へ行く以外は、城内で暮らしていた。
城門から出るのは初めてだ!
空間移動魔法や飛竜を使って、外出したことはあるが、普通に城門から出るのは初めてだったのだ。
アントニオとセルゲイが屋敷を出て、ゲートハウスになっている城門に差し掛かると、関所の検問で兵士が通行許可証の提示を求めて来た。
兵士
「ガラノフ様、先程いらしたばかりですのに、もう、お帰りですか?」
セルゲイ
「今日はこの子に街を見せたら、また戻って来る」
セルゲイは統治の講師として渡されている通行許可証と、臨時で発行された通行許可証の二枚を兵士に見せる。
臨時の通行許可証には『セルゲイ・ガラノフに同伴する子供の通行を許可する。 ジーンシャン辺境伯領主グリエルモ・ジーンシャン』と記載されている。
兵士
「お孫さんですか?」
セルゲイ
「いや、知人から預かった子だ」
そう言われて、キョロキョロしている子供の顔を兵士はまじまじと見つめた。
何処かで見たような...
アントニオと目が合って笑い掛けられると、見覚えのあるその顔に、兵士の心臓は跳ね上がった。
兵士
「あ! トニー様! これは、失礼致しました! どうぞお通り下さい!」
気が付いた兵士が慌てて姿勢を正し敬礼すると、周りにいた他の兵士達も姿勢を正し敬礼した。
アントニオ
「有難うございます。でも、今日は平民のアントンとして城下町に行くのです。内緒にして下さいね」
兵士
「は、はい! もちろんであります!」
変装していても流石に、城内の兵士にはバレるか。
バレてガッカリする反面、自分に気が付いてもらえて嬉しいアントニオだった。
セルゲイに手を引かれ、城門をくぐり抜け、城下町へとのびる斜面を降って行く。
風はそんなに強くないが、早朝ということもあって、防寒具を着込んでいても、なかなかの寒さである。雪は降っていないが、空が薄い雲で覆われている。
坂を下りきった所に、また関所がある。関所を守る兵士達とまた、先程と同じようなやり取りを繰り返して、ようやく城下町へと入ることが出来た。
関所を出たところは、大きな広場になっており、今は何もないが、待ち合わせをする人や、立ち話をする人など、それなりの人で賑わっている。
この広場は、お祭りや市場が開催される日は、仮設の店舗が立ち並んで、人々でごった返すらしい。
セルゲイ
「国民の平均月収は約12万イェ二。1日の食費は単身者であっても1,000イェ二以下で済ませるのが一般的です。今日はアントンも、1日の食費を1,000イェ二以下に抑えて下さい。下層の領民が一家族で1日の食事を1,000イェ二以下に抑えている事を考えると、そんなに難しくはないでしょう?」
アントニオ
「はい! 先生」
前世で貧民だったアントニオは自信たっぷりに答えた。
セルゲイ
「まずは、朝御飯を食べてみましょう」
アントニオは、お金を使うのも初めてだ。楽器店での支払いはバルドとリンがしてくれたので、まだ自力で買い物をしたことがなかった。
ドキドキしながら、広場に面したカフェの看板メニューを覗き込む。
『コーヒー 120イェ二
紅茶 120イェ二
リンゴジュース 100イェ二
薬草ハーブティー 290イェ二
ワイン 200イェ二
ビール 170イェ二
ミックスサンドイッチ 180イェ二
魔牛サンドイッチ 320イェ二
本日のパスタ340イェ二』
1日で1,000イェ二ということは、朝昼晩とお茶の時間を考えると、一回の食事は250イェ二以下に抑えなくてはいけない。ディナーは高くなると予想されるから、朝御飯はもっと抑えないと、後でお金が足りなくなってしまう。
アントニオ
「高いですね...」
セルゲイ
「この広場に面したお店は、他の場所よりも高い店が多い。高給取りの魔導騎士団が利用するからです。そもそも、平民はあまり朝から外食をしませんからね」
さっきは難しくないような事を言っていたけど、難しい問題じゃないか!
アントニオは、どうやって1日のやり繰りをすればいいのか分からず、頭を悩ませた。
いつも涼しい顔で難しい問題を解くアントニオが悩んでいる。そんな姿をみて、ガラノフ先生は大変に機嫌を良くした。
この子も人の子であったのだ!
アントニオはそんな先生の様子を見て、この人、凄いドSだな、と思うのであった。
アントニオ
「広場から離れたカフェやパン屋さんなら、もっと安く買えますか?」
セルゲイ
「そうですね。ですが、パン屋には食べる場所がありませんから、外で食べる事になりますし、暖かい物は食べられません」
アントニオ
「では、安いカフェに行きたいです」
セルゲイ
「この広場は城壁の外へ出る正門とつながっていますが、この大通りに面しているお店は、高い店が多いのです。安い店を探すのでしたら、大通りを外れた裏通りか、城壁の外に行くと良いでしょう」
最近は、戦後の復興も進み、ジーンシャン領の人口が増えている。ジーンシャン領は、他の地域よりも魔素が濃いことで、良質な薬草や魔石(魔法属性を宿した石)、魔獣のジビエ(狩猟肉)や毛皮が手に入る。
資源が豊富であるため、仕事も豊富だ。
魔石が充実している事で、魔石を使った魔道具の生産が盛んであり、ライト、水洗トイレやお風呂、ホットカーペットにエアコン、キッチン、掃除機といった、家電ならぬ生活魔道具が安価で手に入る。
何より、強力な魔導騎士団と憲兵がいるため、治安がいい。
寒くて、王都から遠いというデメリットはあるが、魔王軍の進軍がない今、ジーンシャン領は住み心地の良い豊かな場所であるのだ。
その為、移民が増え、城壁内に住めなかった人々は城壁の外に街を作り住むようになった。
セルゲイ
「城壁の外は多少治安が悪くなりますが、物価はかなり安いですよ」
アントニオ
「では、朝御飯は城壁内の裏通りで食べて、昼食は城壁外のお店で食べたいです」
セルゲイ
「分かりました。参りましょうか」
雪が降り積もり、辺り一面が雪景色となり、気温は零下までさがる。頭の血管が寒さで切れないように、外出時には帽子が必須になるほどだ。
そんな季節に差し掛かった頃、領地統治の授業を担当するセルゲイ・ガラノフ先生(57歳)は、アントニオに街のお忍び視察を提案してきた。
ガラノフ先生は、40歳までジーンシャン魔導騎士団で騎士をした後、大臣となった人物で、55歳で定年を迎えた後は、領内の学校で政治学を教えている。
夏の能力鑑定後から始まったガラノフ先生の領地統治の授業は、それまでずっと座学だった。領民の登録、税収、魔導騎士団や文官や召使い達の給与、誰に何を頼めるかといった命令の下し方、逆に誰がどんなお願いをしてくるか、公式行事で領主がする仕事などを教わっていた。
セルゲイ
「領民に顔が割れていない今うちに、領民側からみた、ありのままのジーンシャン領を見て回りましょう」
そう言って、アントニオの頭に帽子を被せた。
グリエルモ
「私も昔、街にお忍びで視察に行った時は、帽子を被れるこの季節に行ったんだよ。私の髪は一般的な金髪の色と違って、ジーンシャン家特有の金属的なキラキラした金髪だからね。質素な服に着替えても、すぐにジーンシャン家の者だとわかってしまう。そこで、すっぽり髪を隠せる帽子を被っていても不自然ではない、この季節を狙って視察に行っていた。
平民に変装して街を見て回ると、領民が領主に対して何を望んでいるのかがよく分かる。
トニーの髪の色も、ジーンシャン領ではとくに珍しいからね。念のため、変装して行きなさい。ユニコーン騎兵達がヤンとの決闘の話をあちらこちらで話しているせいで、街にもトニーの噂が広がっているようだし」
アントニオ
「なぜ、ジーンシャンでは焦茶が珍しいのですか? 王都でも珍しいみたいでしたが?」
グリエルモ
「ここは他の地域より魔素が濃いからね。焦茶や漆黒の髪の人達は、魔素に負けて具合が悪くなってしまうことが多いんだよ。
王都では貧民街に行くと焦茶の髪の人は結構いるし、王都より南の国では珍しい髪色ではないんだ」
アントニオ
「そうなんですね! 南の国か...行ってみたいな」
グリエルモ
「南は治安があまり良くないから、行くなら、大人になってからだよ」
アントニオ
「はい。分かりました!」
グリエルモ
「私は顔が割れているから、街の視察には一緒に行けない。気を付けて行くんだよ?」
セルゲイ
「呼び名も変えて行きましょう。継承無しでアントンと呼ばせて頂きますが、宜しいですか?」
アントニオ
「はい。アントンで大丈夫です」
メアリー
「本当に護衛を付けなくて大丈夫?」
グリエルモ
「街では魔導騎士団のメンバーは有名人だ。そのメンバーが護衛についたら、領主の息子と名乗っているようなものだから、かえって目立って危険だ」
セルゲイ
「年老いても、魔法の腕は落ちておりません。私にお任せ下さい」
メアリー
「分かりました。宜しく頼みます」
アントニオは、安価で街の子供に人気がある鼠色の庶民的なコート、ベージュのムートンブーツ、先程被せてもらった紫色の耳当て付きのニット帽を着込んだ。
ガラノフ先生に連れられて、アントニオは生まれて初めて街へと繰り出すこととなる。
ジーンシャン城は城下町よりも少し高い丘の上にあり、広い敷地を有している。
城下町も城壁に囲まれているが、丘の上にある城の周りにも、さらに城壁があり、二重で敵の侵略を防げるようになっているのだ。
丘の上の城内には、アントニオ達が暮らす屋敷の他に、兵士や召使いが住む宿舎、魔導騎士団の訓練場、飛竜やユニコーンの厩舎などがある。中々の広さがあり、アントニオは森や山へ行く以外は、城内で暮らしていた。
城門から出るのは初めてだ!
空間移動魔法や飛竜を使って、外出したことはあるが、普通に城門から出るのは初めてだったのだ。
アントニオとセルゲイが屋敷を出て、ゲートハウスになっている城門に差し掛かると、関所の検問で兵士が通行許可証の提示を求めて来た。
兵士
「ガラノフ様、先程いらしたばかりですのに、もう、お帰りですか?」
セルゲイ
「今日はこの子に街を見せたら、また戻って来る」
セルゲイは統治の講師として渡されている通行許可証と、臨時で発行された通行許可証の二枚を兵士に見せる。
臨時の通行許可証には『セルゲイ・ガラノフに同伴する子供の通行を許可する。 ジーンシャン辺境伯領主グリエルモ・ジーンシャン』と記載されている。
兵士
「お孫さんですか?」
セルゲイ
「いや、知人から預かった子だ」
そう言われて、キョロキョロしている子供の顔を兵士はまじまじと見つめた。
何処かで見たような...
アントニオと目が合って笑い掛けられると、見覚えのあるその顔に、兵士の心臓は跳ね上がった。
兵士
「あ! トニー様! これは、失礼致しました! どうぞお通り下さい!」
気が付いた兵士が慌てて姿勢を正し敬礼すると、周りにいた他の兵士達も姿勢を正し敬礼した。
アントニオ
「有難うございます。でも、今日は平民のアントンとして城下町に行くのです。内緒にして下さいね」
兵士
「は、はい! もちろんであります!」
変装していても流石に、城内の兵士にはバレるか。
バレてガッカリする反面、自分に気が付いてもらえて嬉しいアントニオだった。
セルゲイに手を引かれ、城門をくぐり抜け、城下町へとのびる斜面を降って行く。
風はそんなに強くないが、早朝ということもあって、防寒具を着込んでいても、なかなかの寒さである。雪は降っていないが、空が薄い雲で覆われている。
坂を下りきった所に、また関所がある。関所を守る兵士達とまた、先程と同じようなやり取りを繰り返して、ようやく城下町へと入ることが出来た。
関所を出たところは、大きな広場になっており、今は何もないが、待ち合わせをする人や、立ち話をする人など、それなりの人で賑わっている。
この広場は、お祭りや市場が開催される日は、仮設の店舗が立ち並んで、人々でごった返すらしい。
セルゲイ
「国民の平均月収は約12万イェ二。1日の食費は単身者であっても1,000イェ二以下で済ませるのが一般的です。今日はアントンも、1日の食費を1,000イェ二以下に抑えて下さい。下層の領民が一家族で1日の食事を1,000イェ二以下に抑えている事を考えると、そんなに難しくはないでしょう?」
アントニオ
「はい! 先生」
前世で貧民だったアントニオは自信たっぷりに答えた。
セルゲイ
「まずは、朝御飯を食べてみましょう」
アントニオは、お金を使うのも初めてだ。楽器店での支払いはバルドとリンがしてくれたので、まだ自力で買い物をしたことがなかった。
ドキドキしながら、広場に面したカフェの看板メニューを覗き込む。
『コーヒー 120イェ二
紅茶 120イェ二
リンゴジュース 100イェ二
薬草ハーブティー 290イェ二
ワイン 200イェ二
ビール 170イェ二
ミックスサンドイッチ 180イェ二
魔牛サンドイッチ 320イェ二
本日のパスタ340イェ二』
1日で1,000イェ二ということは、朝昼晩とお茶の時間を考えると、一回の食事は250イェ二以下に抑えなくてはいけない。ディナーは高くなると予想されるから、朝御飯はもっと抑えないと、後でお金が足りなくなってしまう。
アントニオ
「高いですね...」
セルゲイ
「この広場に面したお店は、他の場所よりも高い店が多い。高給取りの魔導騎士団が利用するからです。そもそも、平民はあまり朝から外食をしませんからね」
さっきは難しくないような事を言っていたけど、難しい問題じゃないか!
アントニオは、どうやって1日のやり繰りをすればいいのか分からず、頭を悩ませた。
いつも涼しい顔で難しい問題を解くアントニオが悩んでいる。そんな姿をみて、ガラノフ先生は大変に機嫌を良くした。
この子も人の子であったのだ!
アントニオはそんな先生の様子を見て、この人、凄いドSだな、と思うのであった。
アントニオ
「広場から離れたカフェやパン屋さんなら、もっと安く買えますか?」
セルゲイ
「そうですね。ですが、パン屋には食べる場所がありませんから、外で食べる事になりますし、暖かい物は食べられません」
アントニオ
「では、安いカフェに行きたいです」
セルゲイ
「この広場は城壁の外へ出る正門とつながっていますが、この大通りに面しているお店は、高い店が多いのです。安い店を探すのでしたら、大通りを外れた裏通りか、城壁の外に行くと良いでしょう」
最近は、戦後の復興も進み、ジーンシャン領の人口が増えている。ジーンシャン領は、他の地域よりも魔素が濃いことで、良質な薬草や魔石(魔法属性を宿した石)、魔獣のジビエ(狩猟肉)や毛皮が手に入る。
資源が豊富であるため、仕事も豊富だ。
魔石が充実している事で、魔石を使った魔道具の生産が盛んであり、ライト、水洗トイレやお風呂、ホットカーペットにエアコン、キッチン、掃除機といった、家電ならぬ生活魔道具が安価で手に入る。
何より、強力な魔導騎士団と憲兵がいるため、治安がいい。
寒くて、王都から遠いというデメリットはあるが、魔王軍の進軍がない今、ジーンシャン領は住み心地の良い豊かな場所であるのだ。
その為、移民が増え、城壁内に住めなかった人々は城壁の外に街を作り住むようになった。
セルゲイ
「城壁の外は多少治安が悪くなりますが、物価はかなり安いですよ」
アントニオ
「では、朝御飯は城壁内の裏通りで食べて、昼食は城壁外のお店で食べたいです」
セルゲイ
「分かりました。参りましょうか」
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