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オリギナ魔法学校
第九話 学校の調査へ
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「一体、一体何なのですか! 校長! あの子供は!」
「あれだけの魔法力、見たことが無い! 人間ではありませんね!」
「是非、彼にはゲート魔法の限界の証明を――」
「そんなモノより、魔力結晶の実在証明を! 彼なら出来る!」
シュンカ校長が夜も遅くに教員に囲まれて質問攻めに遭っている。その内容はカテイナに関してのことだが、生徒の安全が少しも出てこない。出てくるのは魔法への探求心から来る知識欲だけだ。
確かに彼は人間ではあり得ない出力の魔法が使える。それは、今まで出来なかった魔法実験ができるということ。机上の空論だった理論が試せるとあれば目の色を変えてもおかしくは無い。だがそれでもオリギナ人の議論は魔法が中心であるところは異常である。
シュンカ自身も生徒の安全そっちのけで「彼は私のものです」とか言っているあたり知識欲に狂っている様に見える。
オリギナ魔法学校の夜の会合の結論は”彼に手を出さないこと”と決まった。しかし、それ以上は全ての議論が紛糾し(主に彼にやってもらう魔法実験の順番で)それ以上の結論がでなかったのである。
……
クラウディアのベッドに腰を下ろす。ちょっとご飯を食べてくるだけで大騒ぎだ。今度はクラウディアに持ってくるように言っておこう。
はあ、それにしてもクラウディアはまだ学校なのか? 何をやっているんだ?
しばらく待っていたら、ドアの外が騒がしくなった。
この部屋に入るのは数名の生徒が見ている。……ああ、なるほど、それでクラウディアが呼ばれたのか。外の声を少し拾ってみるか。
「マジで!? 子供が私の部屋に入ったの!?」
「マジよ。それもさっき校庭で花火みたいな魔法を打ち上げた奴。ヤバすぎて誰も手が出せなかったのよ」
「出さなくて正解だよ! あのクソガキまだ私の――」
「聞こえてんぞ!! クラウディア!!」
我慢できずに怒鳴ったら声がぴしゃりと止まった。
ギィっとドアが開いてクラウディアが入ってくる。
「お前は俺をクソガキなんて呼びやがって」
「君だってお母さんのことを”クソ鬼ババァ”とか言ってたでしょ。それに私の事は”年増”だっけ?」
クソッ……女に口出しすると二倍以上になって跳ね返ってきやがる。口で戦うのは得策じゃないな。勝てない戦いに躍り出るほど俺は馬鹿では無い。
「わかった。その話は無しだ」
「それならいいよ」
クラウディアは部屋に備え付けの椅子に座る。
「で? 何で私の部屋に侵入したのかな?」
「この学校に入学するためだ。俺は学校について調べたからな。裏口入学ってものがあるのを知っている。お前ならわかるだろう? 頭はよかったよな?」
期待を目に宿して見てみれば、クラウディアは目を覆っている。
「……知らない。あのねぇ、裏口入学ってそんなこと知っているわけ無いでしょう? 私にはその方法は必要なかったし、必要なかったから調べなかったの!」
「何だと! だったら俺はどうやって入学したらいいんだ!」
「それこそ知らないよ」
折角クラウディアをこんな時間まで待っていたのに、何の役にも立たない。大体お前が遅い所為でこんなにも時間を無駄にしてしまった。
「大体お前は何をやっていたんだ! お前が早く戻ってくればこんな騒ぎも腹が減ることも無かったのに!」
「ふつーに部活やって、勉強してたらもっと遅くなってるよ! 君が来たって言うから大急ぎで戻ってきたの! 君が騒ぎを起こしたせいで部活が中断したんだからね!」
この回答にキョトンとする。俺ならもうご飯を食べて、疲れていたら寝ている時間でもある。一日朝から騒いでいたら間違いなくこの時間帯はおねむの時間だ。
「まだ寝ないのか!?」
「君、変なところでお子様なんだね」
「夜は寝るものだろう?」
「それはそうだけど、私はもう少し勉強をして、体を鍛えてからにしたい」
「そうか……お前はまだ頑張るのか、俺はもう眠い……。
なあ、明日一日お前にくっついて居ていいか? 一日どのぐらい頑張らなくちゃいけないのかを知っておきたい」
これは俺としては当然の疑問だ。毎日こんなに遅くまで頑張るのか? 好き勝手に昼寝とお休みが出来なければ倒れてしまう。クラウディアがここでどんな生活を送っているのか把握しておかなければいけない。
「明日、丸一日……当然授業中も?」
コクリと頷く。「大人しくしているぞ」と言葉も添える。
クラウディアは悩んでいるようだ。むしろ困っているって言うのが正解か。
「一日くっついて居てどうするの?」
「ちゃんと確認しておかないと。お昼寝タイムとか、どのくらい頑張らなくちゃいけないのかとか。それがわかったらもう一度入学するか考える」
「……先に言っておくとお昼休みはあるけど、お昼寝タイムは無いよ」
クラウディアと一緒にドラフトで生活していたときのことを思い出す。仕事では一日頑張れば一日休めた。ちゃんと休憩日があったのだ。それが、毎日頑張ることになったら大変な事態だ。多分一ヶ月もたないだろう。
「一回、校長先生に確認していい?」
「いいぞ、俺も一緒に行く」
クラウディアが「そうだね。君も一緒の方がいいね」と言って、部屋を出た。
ガチャリと開けたドアの外に生徒が群がっていた。
「盗み聞きか!? 貴様ら!」
俺のお願いを聞かれた。顔が真っ赤になって思わず感情が高ぶる。前に出ようとしたら肩をつかまれた。
「まって待って、カテイナちゃん。落ち着いて深呼吸、ほら息を吸って、はいて」
「こ、こいつら俺の大切な相談事を聞こうとしてたんだぞ!」
「私が部屋にサイレンスをかけ忘れたからだよ。ごめんね」
「お前のせいじゃない。聞こうとしたこいつらが悪いんだ!」
このやり取りの最中、ほとんどの生徒が離れていった。
「ここの生徒は私の友達だし、秘密のおしゃべりを聞かれたぐらいでお仕置きしてたら友達が居なくなっちゃうよ!」
「俺の大事な相談なのに……」
「ちゃんと校長には話してあげるから、ね? 我慢して」
この言葉でしぶしぶ校長室に向かう。クラウディアの手にひかれて再び校舎の七階に進んだ。
「あれだけの魔法力、見たことが無い! 人間ではありませんね!」
「是非、彼にはゲート魔法の限界の証明を――」
「そんなモノより、魔力結晶の実在証明を! 彼なら出来る!」
シュンカ校長が夜も遅くに教員に囲まれて質問攻めに遭っている。その内容はカテイナに関してのことだが、生徒の安全が少しも出てこない。出てくるのは魔法への探求心から来る知識欲だけだ。
確かに彼は人間ではあり得ない出力の魔法が使える。それは、今まで出来なかった魔法実験ができるということ。机上の空論だった理論が試せるとあれば目の色を変えてもおかしくは無い。だがそれでもオリギナ人の議論は魔法が中心であるところは異常である。
シュンカ自身も生徒の安全そっちのけで「彼は私のものです」とか言っているあたり知識欲に狂っている様に見える。
オリギナ魔法学校の夜の会合の結論は”彼に手を出さないこと”と決まった。しかし、それ以上は全ての議論が紛糾し(主に彼にやってもらう魔法実験の順番で)それ以上の結論がでなかったのである。
……
クラウディアのベッドに腰を下ろす。ちょっとご飯を食べてくるだけで大騒ぎだ。今度はクラウディアに持ってくるように言っておこう。
はあ、それにしてもクラウディアはまだ学校なのか? 何をやっているんだ?
しばらく待っていたら、ドアの外が騒がしくなった。
この部屋に入るのは数名の生徒が見ている。……ああ、なるほど、それでクラウディアが呼ばれたのか。外の声を少し拾ってみるか。
「マジで!? 子供が私の部屋に入ったの!?」
「マジよ。それもさっき校庭で花火みたいな魔法を打ち上げた奴。ヤバすぎて誰も手が出せなかったのよ」
「出さなくて正解だよ! あのクソガキまだ私の――」
「聞こえてんぞ!! クラウディア!!」
我慢できずに怒鳴ったら声がぴしゃりと止まった。
ギィっとドアが開いてクラウディアが入ってくる。
「お前は俺をクソガキなんて呼びやがって」
「君だってお母さんのことを”クソ鬼ババァ”とか言ってたでしょ。それに私の事は”年増”だっけ?」
クソッ……女に口出しすると二倍以上になって跳ね返ってきやがる。口で戦うのは得策じゃないな。勝てない戦いに躍り出るほど俺は馬鹿では無い。
「わかった。その話は無しだ」
「それならいいよ」
クラウディアは部屋に備え付けの椅子に座る。
「で? 何で私の部屋に侵入したのかな?」
「この学校に入学するためだ。俺は学校について調べたからな。裏口入学ってものがあるのを知っている。お前ならわかるだろう? 頭はよかったよな?」
期待を目に宿して見てみれば、クラウディアは目を覆っている。
「……知らない。あのねぇ、裏口入学ってそんなこと知っているわけ無いでしょう? 私にはその方法は必要なかったし、必要なかったから調べなかったの!」
「何だと! だったら俺はどうやって入学したらいいんだ!」
「それこそ知らないよ」
折角クラウディアをこんな時間まで待っていたのに、何の役にも立たない。大体お前が遅い所為でこんなにも時間を無駄にしてしまった。
「大体お前は何をやっていたんだ! お前が早く戻ってくればこんな騒ぎも腹が減ることも無かったのに!」
「ふつーに部活やって、勉強してたらもっと遅くなってるよ! 君が来たって言うから大急ぎで戻ってきたの! 君が騒ぎを起こしたせいで部活が中断したんだからね!」
この回答にキョトンとする。俺ならもうご飯を食べて、疲れていたら寝ている時間でもある。一日朝から騒いでいたら間違いなくこの時間帯はおねむの時間だ。
「まだ寝ないのか!?」
「君、変なところでお子様なんだね」
「夜は寝るものだろう?」
「それはそうだけど、私はもう少し勉強をして、体を鍛えてからにしたい」
「そうか……お前はまだ頑張るのか、俺はもう眠い……。
なあ、明日一日お前にくっついて居ていいか? 一日どのぐらい頑張らなくちゃいけないのかを知っておきたい」
これは俺としては当然の疑問だ。毎日こんなに遅くまで頑張るのか? 好き勝手に昼寝とお休みが出来なければ倒れてしまう。クラウディアがここでどんな生活を送っているのか把握しておかなければいけない。
「明日、丸一日……当然授業中も?」
コクリと頷く。「大人しくしているぞ」と言葉も添える。
クラウディアは悩んでいるようだ。むしろ困っているって言うのが正解か。
「一日くっついて居てどうするの?」
「ちゃんと確認しておかないと。お昼寝タイムとか、どのくらい頑張らなくちゃいけないのかとか。それがわかったらもう一度入学するか考える」
「……先に言っておくとお昼休みはあるけど、お昼寝タイムは無いよ」
クラウディアと一緒にドラフトで生活していたときのことを思い出す。仕事では一日頑張れば一日休めた。ちゃんと休憩日があったのだ。それが、毎日頑張ることになったら大変な事態だ。多分一ヶ月もたないだろう。
「一回、校長先生に確認していい?」
「いいぞ、俺も一緒に行く」
クラウディアが「そうだね。君も一緒の方がいいね」と言って、部屋を出た。
ガチャリと開けたドアの外に生徒が群がっていた。
「盗み聞きか!? 貴様ら!」
俺のお願いを聞かれた。顔が真っ赤になって思わず感情が高ぶる。前に出ようとしたら肩をつかまれた。
「まって待って、カテイナちゃん。落ち着いて深呼吸、ほら息を吸って、はいて」
「こ、こいつら俺の大切な相談事を聞こうとしてたんだぞ!」
「私が部屋にサイレンスをかけ忘れたからだよ。ごめんね」
「お前のせいじゃない。聞こうとしたこいつらが悪いんだ!」
このやり取りの最中、ほとんどの生徒が離れていった。
「ここの生徒は私の友達だし、秘密のおしゃべりを聞かれたぐらいでお仕置きしてたら友達が居なくなっちゃうよ!」
「俺の大事な相談なのに……」
「ちゃんと校長には話してあげるから、ね? 我慢して」
この言葉でしぶしぶ校長室に向かう。クラウディアの手にひかれて再び校舎の七階に進んだ。
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