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外神 諫埜の独夜 1 ※第12部終盤のお話し

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外神 諫埜は孤独を愛する色々なアクシデント?に見舞われ《アタラクシア》にやって来た日本人だった…。
今夜も今夜とて静かな森の夜を楽しむ、焚き火のはぜる音何処か遠くで聴こえる生物の音…枯れ木を焚き火に放り適当に木を削ったコップで乾燥させた茶葉淹れた茶を飲む。
外神にとって心地の良い時間だ、食べ物は解体した鳥を串に刺して炙った物を齧り、町で貰った固くいパンを食べる、少食の彼にはこれで充分だった。
解体して出た羽はしまい、内臓は適度に焼いて葉に乗せて離れた場所に置いて置けば自然と消える。
骨は焚き火の上の鍋に水と煮てスープの出汁にする、食べたいとかお腹空いたとか、日本にいた時に食べていたあれが食べたいとかいう気持ちが一切無い彼だが奪った命は使い切るという心構え位はある。
「静か…いいね」
日本にいた時は、無職、無趣味、友人0、所謂陰キャに属する彼でも独りなら関係ない、現在冒険者兼商人、趣味有り、友人僅か、陰キャになった彼にとって途轍もない進歩だった。
無表情、無口、何を考えているかさっぱりわからないと言われる彼、少なすぎる日本から持ち込んだ所持品の中の唯一の食べ物の飴(何故か食べても朝には元に戻っている)を口に頬る、苺飴…この飴も美味しいが自分で作った飴も美味しいと思う、忘れない内に数少ない所持品の手帳を出してペンで日記めいたものを書く、なんとなく始めた物だ、1日の締めくくりが欲しいと思った結果だった。
『今日は森を歩いた、鳥を捕まえて食べた』
いや、日記にすらならない一行を書き手帳をしまう。
今日も良く動いた、できた出汁を歪なガラス瓶に入れて鍋を水で洗い浄化魔法で綺麗にして、風呂にしようとテントを出して作った風呂と色々あって作ってもらったベッドをテントに置き、外にも風呂に湯を水魔法と火魔法で張り薬草を入れ、手作りしたグリセリンハーブ石鹸を外に並べておく。
シャンプーが欲しい所だが、石鹸とハチミツにリンス代わりに酸味のある果汁をお湯に入れればなんとかなると妥協する所は妥協しつつ、彼もテントで薬草風呂に入る、気持ちがいい。
長風呂なので途中温くなる湯を温め、衣類を最後に洗い湯を火魔法で蒸発させ衣類を風魔法で乾かし浄化魔法を掛ければ臭いの心配もない。
パジャマに着替えてベッドに入り、ゴロゴロして適当に眠る、彼は何処までも静かに生活していると本人は思い込んでいた…。

目が覚めてテントから出れば、風呂と石鹸を使った形跡に葉っぱの上には瑞々しい果物が置かれている、きっと離れた場所に置いた焼いた内臓は綺麗に無いだろう、彼は石鹸も残り少ないし、薬草も次の町で売りたいし採取もしたい、飴も砂糖があるから作りたいしとやりたいことを思い浮かべ、朝食に昨日の出汁を収納から出し、ハーブと岩塩を混ぜた物を入れて飲みつつ水洗いした果物を齧る、少し離れた先で巨大な何かが動く気配を感じ微かに笑みを浮かべる。
「今日は朝から楽しくなりますね」
彼の最大の《アタラクシア》での楽しみ、早速そちらへと向かった…。

 では、またお会いしましょう 外神 諫埜でした        
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