12 / 34
第十二話 NM生成
しおりを挟む
次に試したのは〈武器生成+6〉だ。
これまではただ先端が尖っただけの棒しか作ることができなかったんだが、段階が一気に上がったことで、かなり色んな種類の武器を作ることができるようになった。
片手剣に両手剣、さらにデカい大剣。
斧に棍棒にモーニングスター。
大きさや形状を自由に指定できるようになったのだ。
しかも強度や切れ味が以前と段違いだ。
分かりやすいよう、前に作った武器との比較を〈鑑定+3〉で行ってみる。
青銅の槍
強度12 斬撃10 刺突15 打撃8
これが〈武器生成+1〉の頃に作った武器。
攻撃には斬撃、刺突、打撃の三属性がある。
一応、槍だから刺突が一番強い。
そして新しく作った槍だ。
鋼の槍
強度29 斬撃27 刺突46 打撃21
鋼製になっていて、強度や攻撃力の数値が大きく上がっている。
試しに色んな武器を生成してはみたが、オーガたちには〈剣技+3〉というスキルがある。
彼らには剣を持たせた方がいいだろう。
一方、ゴブリンたちには短剣だ。
身体の小さな彼らには、槍のように長い武器はかえって使いにくいのである。
「ん? 何か名称が違う剣ができたぞ?」
俺がオーガ用の鋼の剣を量産していると、ちょっと他のとは名前の違う剣ができた。
鋼の名剣
強度47 斬撃68 刺突41 打撃38
ちなみに、通常のやつはこれだ。
鋼の剣
強度31 斬撃49 刺突31 打撃24
「剣」が「名剣」になっているのである。
ちょっとした違いだが、攻撃力がかなり違う。
「そう言えば、〈魔物生成〉でも時々上位種族の魔物が生成されてたな」
普通ならオーガなのだが、たまにアークオーガという種族が交じっていたのだ。
どうやら〈武器生成〉でも同じようなことが起こるらしい。
「あ、言っている傍から、また違うのが生成されたぞ」
火の魔剣
強度52 斬撃69 刺突43 打撃40 火攻56
効果:炎球発射
「魔剣とな!?」
と言っても、ステータスは鋼の名剣と大差ない。
違うのは、火攻――恐らく火の属性攻撃だろう――というのが付いていることと、炎球発射という特殊効果があることだ。
刀身が赤く、美しいその剣を持って、俺は軽く振ってみた。
すると炎の塊が発射され、ダンジョンの壁に直撃した。
「いてぇっ……って、まぁ、本体には痛覚ないから痛くないんだけど、なんとなく」
にしても、かなりの威力だ。
ちょうどダンジョンにやって来た牙熊に使ってみたら、一撃で燃え尽くしてしまった。
「これ、かなり使えるな。よし、俺が持っておこう」
オーガたちが羨ましそうに見ていたが、これは俺のものだ。
〈食糧生成+6〉を試す。
またにょきにょきと木が生えてきた。
そして林檎のような実がなる。
以前よりも赤々としていて、より濃厚な魔力が込められているのを感じる。
どうやらこの実は、魔物たちにレベルアップを促すためのものらしい。
そしてレベルアップしていくと、魔物は時々進化することがある。
ゴブリンからアークゴブリンに。
アークゴブリンからオーガに。
オーガからアークオーガに。
ただ、進化系統が違うからか、アークゴブリンからオーガに進化する確率はかなり低いようだった。
俺は木を生やす専用の区画を設け、そこを食糧庫と名付けることにした。
「しかし、あんまり美味くないな……」
林檎もどきを齧ってみたが、味は林檎には到底、及ばなかった。
ちなみに俺自身(迷宮主の方)も林檎を食べることができる。
だがレベルアップはできないようだ。
この林檎自体、俺の一部のようなもんだし、それができたら永久機関になっちまうしな。
「まぁでもせっかく食えるんだし、味の方もちょっと改良を加えてみるか。あと、林檎以外のものが作れないかも試してみよう」
別にこの身体も食事を採る必要はないのだが、なぜか美味いものを喰いたいという欲求があるようだった。
〈NM生成+2〉。
これって、あれだよな。
ネームドモンスターだよな?
何でこれだけ頭文字? 長いから?
まぁよく分からんが、名前付の魔物を生成することが可能らしい。
恐らく通常の魔物よりも強力なやつを生むことができるのだろう。
このダンジョンの戦力の要となり得る存在だ。
当然、手を抜くわけにはいかない。
「どんな魔物がいいか……」
実際には俺のイメージ通りの魔物が出る可能性は低いのだが、それでも経験上、強烈なイメージは、生まれてくる魔物の能力に一定の影響を及ぼすようだった。
俺は目を瞑り、イメージする。
しかしそのときなぜか俺の脳裏に浮かんだのは、前世の会社の同僚の顔だった。
神宮寺美緒。
この四月に入社したばかりの新人社員だ。
元気で人懐っこい性格で、俺のような冴えない先輩にも明るい笑顔で接してくれる。
『あれ? せんぱい、まだ会社に残ってたんですかー?』
『ほんと、お身体には気を付けてくださいね?』
『わたし、嫌ですよ? せんぱいが過労で倒れたりしたら』
残業で一人残っていた俺を心配して、よく声をかけてくれたっけな。
自分だってまだ仕事に慣れてなくて色々と大変だったろうに……。
ほんと、天使みたいな子だよな。美人だし。
ぶっちゃけ、俺は彼女に惚れていた。
だが入社直後にはもう会社のアイドルみたいな存在になっていたし、俺なんかが彼女に釣り合う訳もなく。
ただ影から彼女の頑張りを見守るだけだった。
次の瞬間だった。
ダンジョンの壁から女の子が生えてきた。
まるでテレビから出てくるサダコだが、しかしそんな悍ましい奴じゃない。
それは天使だった。
「美緒、ちゃん……?」
会社の後輩と瓜二つの少女が、ダンジョンに生れ落ちていた。
これまではただ先端が尖っただけの棒しか作ることができなかったんだが、段階が一気に上がったことで、かなり色んな種類の武器を作ることができるようになった。
片手剣に両手剣、さらにデカい大剣。
斧に棍棒にモーニングスター。
大きさや形状を自由に指定できるようになったのだ。
しかも強度や切れ味が以前と段違いだ。
分かりやすいよう、前に作った武器との比較を〈鑑定+3〉で行ってみる。
青銅の槍
強度12 斬撃10 刺突15 打撃8
これが〈武器生成+1〉の頃に作った武器。
攻撃には斬撃、刺突、打撃の三属性がある。
一応、槍だから刺突が一番強い。
そして新しく作った槍だ。
鋼の槍
強度29 斬撃27 刺突46 打撃21
鋼製になっていて、強度や攻撃力の数値が大きく上がっている。
試しに色んな武器を生成してはみたが、オーガたちには〈剣技+3〉というスキルがある。
彼らには剣を持たせた方がいいだろう。
一方、ゴブリンたちには短剣だ。
身体の小さな彼らには、槍のように長い武器はかえって使いにくいのである。
「ん? 何か名称が違う剣ができたぞ?」
俺がオーガ用の鋼の剣を量産していると、ちょっと他のとは名前の違う剣ができた。
鋼の名剣
強度47 斬撃68 刺突41 打撃38
ちなみに、通常のやつはこれだ。
鋼の剣
強度31 斬撃49 刺突31 打撃24
「剣」が「名剣」になっているのである。
ちょっとした違いだが、攻撃力がかなり違う。
「そう言えば、〈魔物生成〉でも時々上位種族の魔物が生成されてたな」
普通ならオーガなのだが、たまにアークオーガという種族が交じっていたのだ。
どうやら〈武器生成〉でも同じようなことが起こるらしい。
「あ、言っている傍から、また違うのが生成されたぞ」
火の魔剣
強度52 斬撃69 刺突43 打撃40 火攻56
効果:炎球発射
「魔剣とな!?」
と言っても、ステータスは鋼の名剣と大差ない。
違うのは、火攻――恐らく火の属性攻撃だろう――というのが付いていることと、炎球発射という特殊効果があることだ。
刀身が赤く、美しいその剣を持って、俺は軽く振ってみた。
すると炎の塊が発射され、ダンジョンの壁に直撃した。
「いてぇっ……って、まぁ、本体には痛覚ないから痛くないんだけど、なんとなく」
にしても、かなりの威力だ。
ちょうどダンジョンにやって来た牙熊に使ってみたら、一撃で燃え尽くしてしまった。
「これ、かなり使えるな。よし、俺が持っておこう」
オーガたちが羨ましそうに見ていたが、これは俺のものだ。
〈食糧生成+6〉を試す。
またにょきにょきと木が生えてきた。
そして林檎のような実がなる。
以前よりも赤々としていて、より濃厚な魔力が込められているのを感じる。
どうやらこの実は、魔物たちにレベルアップを促すためのものらしい。
そしてレベルアップしていくと、魔物は時々進化することがある。
ゴブリンからアークゴブリンに。
アークゴブリンからオーガに。
オーガからアークオーガに。
ただ、進化系統が違うからか、アークゴブリンからオーガに進化する確率はかなり低いようだった。
俺は木を生やす専用の区画を設け、そこを食糧庫と名付けることにした。
「しかし、あんまり美味くないな……」
林檎もどきを齧ってみたが、味は林檎には到底、及ばなかった。
ちなみに俺自身(迷宮主の方)も林檎を食べることができる。
だがレベルアップはできないようだ。
この林檎自体、俺の一部のようなもんだし、それができたら永久機関になっちまうしな。
「まぁでもせっかく食えるんだし、味の方もちょっと改良を加えてみるか。あと、林檎以外のものが作れないかも試してみよう」
別にこの身体も食事を採る必要はないのだが、なぜか美味いものを喰いたいという欲求があるようだった。
〈NM生成+2〉。
これって、あれだよな。
ネームドモンスターだよな?
何でこれだけ頭文字? 長いから?
まぁよく分からんが、名前付の魔物を生成することが可能らしい。
恐らく通常の魔物よりも強力なやつを生むことができるのだろう。
このダンジョンの戦力の要となり得る存在だ。
当然、手を抜くわけにはいかない。
「どんな魔物がいいか……」
実際には俺のイメージ通りの魔物が出る可能性は低いのだが、それでも経験上、強烈なイメージは、生まれてくる魔物の能力に一定の影響を及ぼすようだった。
俺は目を瞑り、イメージする。
しかしそのときなぜか俺の脳裏に浮かんだのは、前世の会社の同僚の顔だった。
神宮寺美緒。
この四月に入社したばかりの新人社員だ。
元気で人懐っこい性格で、俺のような冴えない先輩にも明るい笑顔で接してくれる。
『あれ? せんぱい、まだ会社に残ってたんですかー?』
『ほんと、お身体には気を付けてくださいね?』
『わたし、嫌ですよ? せんぱいが過労で倒れたりしたら』
残業で一人残っていた俺を心配して、よく声をかけてくれたっけな。
自分だってまだ仕事に慣れてなくて色々と大変だったろうに……。
ほんと、天使みたいな子だよな。美人だし。
ぶっちゃけ、俺は彼女に惚れていた。
だが入社直後にはもう会社のアイドルみたいな存在になっていたし、俺なんかが彼女に釣り合う訳もなく。
ただ影から彼女の頑張りを見守るだけだった。
次の瞬間だった。
ダンジョンの壁から女の子が生えてきた。
まるでテレビから出てくるサダコだが、しかしそんな悍ましい奴じゃない。
それは天使だった。
「美緒、ちゃん……?」
会社の後輩と瓜二つの少女が、ダンジョンに生れ落ちていた。
1
お気に入りに追加
207
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。
異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。
そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。
異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。
龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。
現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
ズボラ通販生活
ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
神様との賭けに勝ったので異世界で無双したいと思います。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。
突然足元に魔法陣が現れる。
そして、気付けば神様が異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
もっとスキルが欲しいと欲をかいた悠斗は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―――
※チートな主人公が異世界無双する話です。小説家になろう、ノベルバの方にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる