最弱能力者が最凶の組織に狙われる？！

最弱の能力者

 この世界は能力者が覇権を握る。
能力が良ければ金持ちにもなれる。
能力があれば科学の常識を覆せる。
この世界の能力はそれほど重宝され、
それは時に人々を絶望へとたたき落とす。
一般人と能力者が入り交じる世界に
無能力者は生きることすら困難になった。
そんな中。僕は能力者だ。
だけど、僕の人生は決まっている。
そう。最強。
男子なら誰でも憧れるものだろう。
僕は最強の鍵職人になる。

 僕の名前は大塚空。
僕の能力は鍵を生成する能力。
そんな弱い能力は合鍵などを一瞬で
生成するくらいしか活用方法がなかった。
そんな僕の今の職業は鍵職人である。
僕にお似合いの仕事だ。
正直に言ってしまうと僕自身無能力者と
あまり変わりのない生活を送っている。
2年前までは能力者専門学校へと通っていた。

 能力者専門学校とはその名の通り能力者のみを
集めた学校である。
能力者が誰一人として犯罪を犯さないようにする為の
学校だった。
僕はそこの学生だった。
過去形なのである。
僕はそこで虐められた。
様々な罵声。暴力。お金も何円もとられたっけ。
僕はそんなとこで生きてる心地はしなかったし、
お金もなかったせいでほぼ生きていなかった。
そのため、僕は学生という身分を捨てて、
鍵職人になった。
正直、働いている方があの時の地獄に比べるとマシだ。
僕はこんな平凡な生活をして人生を全うするのだと
そう思っていた。

 そんなとある日。
いつも通りテレビをつけお客様を待つ。
ボーッとしているとテレビの画面が突然変わる。
砂嵐が流れ始める。
「なんだ？壊れたのか？」
僕はテレビのリモコンを付けたり切ったりする。
だが、画面は砂嵐のまま変わらなかった。
どこのチャンネルもつかない。
仕方なくスマホをつつこうとしたが、
スマホすら反応はなかった。
そして、砂嵐が消え始めて、7人の人影が見え始める。

「我々の名はシュヴァルツ。」

 僕はその名を聞いて身を震わせた。
「シュヴァルツ。」
今の世にこの名を聞いてないものなどいない。
1年前。突然名を挙げたテロリスト集団である。
シュヴァルツが行った行為は残虐非道である。
例えば、片っ端から目に付く能力者を
全員殺害を行ったり、
人間を欺き騙し、世界を混乱に陥れた。
そんなシュヴァルツが何故また名を挙げた？
僕にそんな思考が駆け巡る。
そして次の瞬間。僕は自分の耳を疑った。

「大塚空。という鍵職人を探す。
　逃げられると思うなよ。」