堕天の皇帝

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最終決戦編

弟とお兄ちゃん

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「死にに来たなんて言うなよ。司令官。」
「わざわざこんなとこに来るなんて、
 死にに来てるようなもんだろ。」
「だが、司令官の方もだろ?」
「俺は元から死ぬ気なんてねぇよ。」
「嘘つくなよ。司令官。」
「…ッ。」
「元からわかってたんだよ。Rebellionの皆はな。
 司令官の体がずっと前から悪かったことを。
 今も倒れそうなんだろ?司令官。」
「…あぁ。そうだな。その通りだよ。
 だけどな。海斗。」
「なんだよ。司令官。」
「あそこにいるのは俺の兄。西宮裕太だ。」
「は?確か死んだんじゃなかったっけ?」
「あぁ。そうだ。俺の兄は死んだ。
 そして、あっちにいるのは姉だ。
 2人とも死んだ人間なんだ。」
「なのになんでだよ。」
「あぁ。死人をクローンで生き返らしてまで
 利用してきてるんだよ。
 俺はそれが許せねぇんだ。
 だから、俺がやる必要があるんだ。
 だが、俺に今そんなことを言う余裕が無い。
 それでだ。海斗。手を貸してくれねぇか。」
海斗は少しだけ笑う。
「…あぁ。いいよ。司令官。」
「なら行くぞ。海斗!!」
「おう!!」

「はぁやっと話し合いが終わったのか。翔太。
 退屈だったぞ。」
「もう退屈なんて思えねぇよ。」
「ならいくぜ!!」
海斗は風爆を使い、裕太に距離を詰める。
そして、ガンブレードを振るう。と思っていた。
また風爆を使い、無理やりガンブレードの
軌道を変える。
あれは俺でも反応ができるかわからねぇな。
だが、裕太はそれを防ぐ。
俺は一瞬できたと思われる裕太の隙を突く。
「がら空きだぞ!!」
俺はブレードを振り下げるが、
裕太は回し蹴りで海斗を蹴り飛ばし、
俺のブレードをかわす。
俺は徒手戦闘を試みる。
裕太もそれに応えて徒手での戦闘をする。
だが、やはり決め手にかける。
裕太には余力は残っているようだ。
合間合間に突然距離を詰め攻めてくる海斗の
攻撃すらもいなす。
俺は埒が明かないと思い1度手を止め裕太に話しかける。

「なぁ。裕太。お前はほんとに裕太なのか?」
「何を当たり前のことを聞くんだ。翔太。
 見た目からわかるだろ。」
「いや。違う。お前に聞いてるんじゃない。」
「は?何を言ってるんだ?翔太。」
「お前の中にいるかもしれない。
 裕太に話しかけてるんだ。」
「俺の中の俺?なんのことだ?」
「なぁ。裕太。お前と戦ってたらわかるんだよ。
 俺に致命傷を与えるなんてお前なら楽勝だろ?
 なのに致命傷の攻撃を与えられるタイミングでは
 一切攻撃を仕掛けることがなかったんだ。
 なぁ。裕太。いるんだろ?」
「そんな存在はいないさ。翔太。
 わかっているだろ?
 俺がお前の兄だよ。」
「何を言ってるんだよ。お前が俺と話す時の
 一人称はだろ?
 なぁ。いい加減目を覚ませよ。兄さん。」
「いくら呼びかけても無駄だ。翔太。
 俺の中に西宮裕太はいない。」

 だが、俺の目の前にいる西宮裕太は
突如として苦しみ始める。
そして、左目を黄色に光らす。
辺りが1面光り輝く。
俺が次に目を開けた時には1人の金髪の女がいた。
あれが裕太の固有能力なのか?
カイザーアイには固有能力がある。
俺と愛美には皇帝の継承がある。
裕太のあれはなんなんだ。
俺が訳の分からないと言った様子でその場を見る。
「マスター。なぜ生きているのですか。」
「ははっ。アーサー。久しぶりだな。」
金髪の女性は裕太を抱きしめる。
「ほんとに死んだと思ってましたよ。」
「残念だな。アーサー。俺は死んださ。」
「ですがマスターは今この場にいるじゃないですか。」
「あぁ。そうだな。死んだ人間なのにな。
 なぁ。アーサー。俺を殺せ。」
「なっ…。」
「おい!!裕太なのか!!」
「アーサー。早く殺せ。
 今あいつの顔を見ると俺は躊躇してしまう。
 だから。頼む。アーサー。」
「マスター。わかりました。
 私はマスターの命令に逆らえませんので。」
金髪の女性は持っていた黄金に輝く剣を持ち上げる。

「ありがとう。アーサー。
 そして、翔太。
 またお前を苦しめたな。
 俺はお兄ちゃん失格だ。」

黄金の剣は振り下げられた。
そして、金髪の女性も黄金の粒子と共に消え去った。



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