堕天の皇帝

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最終決戦編

現実逃避

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 私たちは大量のクローンが司令官の
元へと行かないように足止めをする。
この隣の女。シャーロットと言ったか。
やはり強かった。
1度手合せをしたのだが、その時も強いと思った。
数秒先の未来を予測し攻撃をする。
打撃と斬撃を不規則なリズムで放つため、
とても防ぎにくい攻撃の仕方だ。
そして、私の背中を守ってくれている少女は
私と同じガンカタ使いだ。
司令官とは何かと縁があるのだろう。
司令官の隣に立った時にこの女は笑っていた。
死ぬかもしれないこの状況を楽しんでいた。
私よりかは洗礼のされていないガンカタなのだが、
魔術ブーストのおかげで、
ありえないとこからの攻撃すら躱し、
人間の出せる速度とは思えない速さで
カウンターを入れる。
所謂カウンタータイプのガンカタだった。
そうして私たちが殲滅していた間。
上空に1人の飛翔している人間が見えた。
「ミュ、ミュラー!!司令官はこの先か?」
「えぇ。そうよ。ってか助けなさいよ!!」
「やだよ。司令官の方がピンチだろうしね。」
そうして私たちの頭上を1式風爆で、
越えて行ってしまった。
「あいつ。絶対ぶちのめしてやる。」

 俺たちはバベルの塔を駆け上がる。
かなり上がった。その間には敵は
配置されていなかった。
だが、俺たちが次の扉へと手をかけた時に感じた。
2つの気配。
「ははっ。某ゾンビゲームならアイテムとか
 弾薬が配置されてるんだろうな。」
「ボス戦とでも言いたいのかい?」
「まぁ中ボスなんだろうな。」
「そんな馬鹿なこと言ってないで行くわよ。」
そうして、俺たちは扉を開ける。
「なっ…。」
俺は目を疑ってしまった。

「翔太。久しぶりだな。」
「翔太君。早く家に帰るよ。」
「おいおい。流石にこれはねぇよ。」
「翔太。あそこにいるのってまさか。」
「あぁ。そのまさかだよ。
 なんで生きてるんだ。愛美。裕太。」

「その言い草はないだろ。翔太。
 俺たちは生きてるさ。
 そして、お前だけなんだぞ?」
「何がだよ。」
「家族でまだ翔太君だけが揃っていないんだよ。
 だから、ほら。お家に帰るよ。」
そういい手を差し伸べてくる愛美。
だが、愛美と裕太の目に光はなかった。
あの時に愛美も裕太も死んだ。
そんなこと俺が1番わかっていた。
だけど、この手を取りたくなってしまう。
また愛美たちと過ごせるならと思う。
「ほんとバカじゃないの。翔太!!」
パチンっという音がこの辺りをこだまする。
「貴方の覚悟はそんなもんだったの?
 貴方が守れなかったものを
 貴方の大切な人を利用されてるってことを
 すぐに理解しなさいよ。ばか!!」
「…ッ。ちっ。あぁわかってるさ。
 昔と立場が逆になっちまったな。
 ありがとうな。結衣。」
俺はブレードを構える。
「結衣。そこまで言うなら手伝ってくれるよな?」
「はぁ。ちゃんと給料は出してよね。」
「そんな金の亡者みたいなこと言うなよ。
 和樹。お前は力の温存をしていろ。
 ここは俺と結衣が受け持つ。」
「はぁ。そっちの方がありがたいよ。
 まぁ君たちが窮地に陥った時にでも、
 僕が手を貸すよ。」
「それで頼む。じゃあ行くぞ。結衣。」
「りょーかい!!」

 俺は裕太へと距離を詰める。
「翔太。久しぶりの戦いだな。
 俺も容赦はしないぞ。
 成長した姿を見せてくれ!!」
「無駄口叩いてる暇があったら、
 ちゃっちゃと構えやがれ。
 ラディーレン。」
俺は姿を消して背後をとると
同時にブレードを振り下げる。
裕太は何の気なしに体をかたむけそれを回避。
そして、最適解とも言えるほどの速さで
俺のみぞに蹴りを入れる。
だが、俺は地面に手をつけ1回転。
そして、蹴りをかわすと同時に俺は
かかと落としをする。
だが、裕太の手により防御を取られ、
俺の足は掴まれる。
次に瞬きをした頃には俺はぶん投げられていた。
5mほど飛ばされた後に、
俺は裕太の姿が消えてることを確認する。
俺は直感で裕太の位置を探る。上か。
そう思い俺は地面にブレードを突き立て急停止。
素早くホルスターからべレッタを引き抜き、発砲する。
それをかわされるのが、距離取る事には成功した。
だが、やはり進展はなかった。
昔、裕太にボコボコにされたのだが、
その時に比べたらまだ戦えている。
そんな中。体力がつきかける。
そんな時だった。

「おいおい。司令官。交代だ。
 今の司令官は俺でも倒せそうだぜ?」
「ちっ。なんでわざわざ死にに来るんだよ。海斗。」




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