堕天の皇帝

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復讐編

選抜戦

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 ゼロはその影を消した。
そして、それはスタートの合図だった。
俺の方に1本のレーザーが飛翔する。
色のない世界でそれを捕える。
俺は身をよじってかわす。
「まぁさすがに避けるよな。」
俺の前に白髪の男が現れる。
「ここに居るってことは
 カイザーアイ所持者ってことだよな?」
「あぁ。だがそれはお前もだよな?ギプス野郎。」
「こちとら怪我をしているんだ。
 お手柔らかに頼むぜ。」
「はっ。楽に死ねるように神に祈るがいい。」

 俺は牽制でべレッタを放つ。
奴は2つのガンブレードで銃弾を切り上げる。
まぁ同じ目を持つんだったらそうだよな。
「まだまだいくぜ?」
ガンブレードの先からまた同じように
レーザーが飛翔する。
やはりあそこから出てくるんだな。
俺はまたそれを色のない世界で捕える。
はずだった。
「...ッ。...あ…あぁ。」頭痛が俺を襲う。
俺はなんとか体を動かして回避する。
くっそ。やべぇ。
動体視力の強化すらできないとは。かなり不便だ。
いや、不便なんてもんじゃない。
今のこの戦場では死を意味するレベルだ。
「はぁ。これで終わりか。
 期待はずれだぜ。ギプス野郎が。」
俺にガンブレードが振り下げられる。
だが、一人の男がそれを受け止めた。

「これ以上争っても意味ないだろ。」
「誰だ。てめぇ。」
「ここに居るってことはそういうことだ。
 だが、この結界さえ破壊すれば
 俺たちは全員無事に帰れるはずだ。」
まず結界が貼られていたのか。
俺は頭痛がしながらもギリギリで意識を
途切れさせないようにする。
「はぁ。俺はな。別に生きるとか死ぬとかに
 固執してるわけじゃない。
 ただ強いヤツと戦えればそれでいいんだよ。
 それで俺はな。お前みたいな
 偽善者が1番嫌いなんだよ!!」
白髪の男は黒髪の大剣を持った男にガンブレードを
振りさげる。
「ちっ。やはりこうなってしまうのか。」
「まぁ全員集まったみたいだし。
 俺のとっておきを見せてやるよ。」
白髪の男がそう言うと威圧感が変わる。
嫌な予感がする。
「ひれ伏せ。ヘルシャフト。」
その言葉と同時に俺は黒い世界へと引きづりこまれた。

「やぁ。翔太くん。」
俺は声のした方向へと視線を飛ばす。
それはとても懐かしい声だった。
そして、俺はその声をずっと聞きたかった。
「久しぶりだね。翔太くん。」
「ま、愛美。」
そこには俺の姉がいた。
なぜだ。いやそんなこと考える必要は無い。
「ねぇさん!!」
俺は愛美に近づく、のだが。
「何近づいてるの?こっちに来ないで。」
「ね、ねぇさ、ん?」
「私は翔太のせいで死んだ。」
俺はその言葉を愛美からは聞きたくなかった。
「翔太が弱いから私は死んだ。
 私は生きれていたかもしれないのに。
 お前のせいで。私は死んだ。」
「や、やめてくれ。」
「翔太。」
そこには裕太がいた。
「ゆ、裕太。」
「俺の名を気安く呼ぶな。雑魚が。」
俺は息が詰まる。
「はぁ。なぜお前はそんなに弱い?
 お前みたいな弱者を助けるんじゃなかった。
 お前が油断さえしなければ。
 お前の判断が遅れたから。
 全く無駄死にだ。」
「や、やめろ。やめてくれ。頼む。」
「私はお前のせいで死んだ。」
「俺はお前が弱いせいで死んだ。」
「やめろー!!」
俺は深い深い闇の中へと沈む。
このまま意識を手放したい。
俺はそう決心して意識を落とそうとした。

「本当にそれでいいのかい?翔太。」
誰かの声がした。
「あんな言葉に騙されるなんてね。
 全く。そんな弱い子に育てた記憶はないぞ?
 まぁ私が翔太に愛情を注いだ時間は少ないからね。
 仕方ないっちゃ仕方ないのかしらね。」
そういうとその人はくすくすと笑っている。
「だ、れだ?」
「ふふっ。名乗ることはしないけど、
 まぁセクレートって呼んでね。」
「セク、レート?」
それは昔愛美が名乗った名前だった。
だが、愛美ではないだろう。
「まぁ考える暇なんてないか。
 翔太。あんな言葉に騙されるな。
 あんな言葉で騙されるのは
 少しはそう思っているってことだろ?
 それを今すぐに乗り越えろ。
 翔太なら絶対にいけるよ。頑張れ。」
俺はその人の暖かい言葉に助けられた。

「お前のせいで私は死んだ。」
「お前が弱いせいで俺は死んだ。」
「あ、あぁ。そうだな。」
「お前が私を助けなかったから。」
「お前が雑魚だったから。」
「俺は弱いさ。だけどな。」
俺はいつの間にか手に持っていた
M9べレッタを何も無い空間に構える。
「そんなことお前に言われなくても
 わかってんだよ!!」
俺は引き金を引く。
目の前の真っ暗な空間は突如として粉々に砕ける。
「お前には感謝する。
 改めて自分と向き合うことが出来た。」
「クックックッ。ハッハッハっ。
 そう来なくっちゃ面白くねぇ。
 存分にやり合おうじゃねぇか。ギプス野郎!!」
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