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053 共同墓地
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俺たちは司祭の先導で地下の共同墓地へと向かう薄暗い階段を降りている。
明かりは司祭が持つカンテラだけ。
カツーン、カツーンと司祭の硬い靴底が、石造りの階段に音を響かせている。
超怖い。
もうこの、いつおばけが出てくるかわかりませんよというこの感じ、怖すぎて俺は今すぐ帰りたい。
帰りたいが、言い出せる雰囲気ではない。
その原因はシシリーにある。
ギャップ。
いつも明るく元気で、何といっても古代機械から1000年ぶりに出てきた時の第一声が「おっはよーっ!」であったほどの天真爛漫さを誇るシシリーが、いつになく真剣なのだ。
普段真剣じゃないシシリーが真剣になっているそのギャップによって、この場の真剣度はこれ以上ないほど高まっており、そんな中でもし俺が「墓地が怖いから帰りたい」などと言い出した場合、全員からものすごい剣幕で叱られるに決まっている。
故に俺は何も言い出せず、「墓地怖い」と「叱られたくない」の板挟みになり、震える脚を無理やりに動かし、行きたくもない墓地に向かって階段を降りている。
「昔は時々、エルフの里にダークエルフが出たんだよ」
またシシリーが真剣なトーンで言い出した。
「む、昔?昔とは一体…?」
ミミアもまた、場の真剣度をさらに高めるような返答をする。
「昔は、昔だよ…」
シシリーは、はぐらかすように曖昧に答えた。
なぜ、はぐらかす。
どこか思うところあってのことかもしれないが、そのはぐらかしが、場の空気をより真剣なほうに真剣なほうに持っていっているので本当にやめてほしい。
<シシリーは1000年以上、古代機械の中で眠っていたのだ>
はぐらかすシシリーに代わり、バーグルーラがミミアの疑問に答えた。
「な、なんと!それではシシリー、あなたは『約束の地』に至る前のエルフの生き残りだと!?」
ミミアの驚きの声が地下に向かう狭く長い階段でこだまする。
シシリーは黙って頷いてから、重い口を開く。
「この約束の地に来る前、アタシたちエルフは今で言うカーライルの近くの森の奥深くに住んでいたんだ。その時にダークエルフは時々、やっぱり地下の墓地に出てきた」
階段はまだ続いている。
カツーン…、カツーン…。
司祭の靴音が響く。
「ダークエルフが出ると、大人のエルフたちが集まって、みんなで協力して退治してたんだ。まずは空間魔術の空間隔絶を使ってダークエルフが逃げられないように閉じ込める。でもダークエルフは人の感情を支配して操るから、みんなで思念共有をして心を守る。それで、みんなで魔力を高めて消滅を発動して、ダークエルフを亜空間に消し去ってしまうのが、ダークエルフの倒し方なんだ」
司祭の持つカンテラに照らされ、階段の終わりが見えてきた。シシリーが続ける。
「今は強いエルフの大人たちはいないけど、みんなの心を守るのは、ティモシーにお願いできるよね?」
「ヒェイ!」
急にこちらを振り向いたシシリーの真剣な表情と、何より地下の墓地に向かっているのだという恐怖から、返事をしようとした俺の口から「ヒェイ!」という声が出た。
ヒェイ。そんな返事はない。
「墓地に入ったら、アタシが最初に空間隔絶を使うよ。それから消滅のために魔力を高める。アタシ一人でも、時間をかければできると思う」
シシリーが話している間に辿り着いた階下の狭い空間、司祭の前には今にも崩れそうな木の扉がある。その向こうが共同墓地なのだろう。
「…こちらです」
司祭がカンテラを高く掲げ、ギィィィィッと軋む音を響かせながら扉を開けた。
司祭に先導されながら扉の向こうの空間へと歩みを進め、「あとそれから」とシシリーが振り返って言う。
「ダークエルフは死体に精神を宿らせて襲わせてくるから、そのゾンビたちはみんなで戦って抑えて欲しいんだ」
ゾンビ。
帰りたい。
…………………………………………
「まだ、奴はあらわれていないようですね…」
そう言って司祭が共同墓地の壁のところどころにある窪みの蝋燭に火を灯してまわると、その空間の全貌が薄っすらと照らされた。
空間は幅が10メートル、奥行きが30メートルくらいだろうか。
天井は低く圧迫感があり、本当はもっと広いかもしれない。
何かがカビたような湿った空気が漂う。
地面は石畳ではなく土がむき出しになっている。
墓標のようなものはなく、ただの土の盛り上がりが、奥まで整然と並んでいた。
それほど広くない空間だがその数は10や20ではきかない。かなりの数だ。
シシリーは空間魔術の空間隔絶をかけるためだろう。
光の粉をふりまきながら、共同墓地の隅から隅へと飛び回っている。
「共同墓地にしては狭いのね」
シェリルが冷静にそう言った。
「はい、エルフはなかなか死にませんから。ここに眠っているのも、かつてこの『約束の地』に至るまでの旅路で命を落とした先人たちばかりです」
司祭がそう答えながら俺たちがいる墓地の入り口の方まで戻ってきた。
「それにしても、司祭さんとミミアさんもそうですが、この里の人は女性ばかりなんですね」
レミーはそう言って興味深そうに周囲を見回している。
その言葉にミミアは不思議そうな顔をする。
「そもそもエルフに男はいないぞ?」
レミーが振り返って驚く。
「え?じゃあどうやって子供を産むんですか!?」
ミミアが少し困惑したように答える。
「どうって…普通に産むだけだが。そもそも私は里から出たことがないので、人間には男女というものがあり、私たちは人間で言うところの女の姿に見えるのだという話を聞いたことしかない」
レミーが目を丸くして何やら感心した様子を見せている。
「雌雄同体なのか単為生殖なのか…いずれにしても興味深い事実ですね」
ミミアは首をひねり、「そうか?私たちには普通なのだがな」などと呟いている。
俺は、この状況でよくそんな関係ないことを興味深く思えるなぁ…と思う。
なんせここは墓地なのだ。
それも地下の薄暗い墓地。
一刻も早く帰りたい。
なのにみんなが足並みを揃えて一歩一歩、墓地の中央に近付いていくものだから、俺は入り口から動きたくなかったが一人取り残されるのも嫌なので、恐る恐るついていく。
歩きながらいつの間にかシェリルの左腕の袖を掴んでいた。
それに気付いたのだろう、シェリルがこちらを振り返る。
「…怖いの?」
俺は声もなく、うんうんと頷く。
それを見てシェリルが「ふふっ」と微笑む。
「大丈夫よ。私が守るわ」
ちょうど俺たちが墓地の中央あたりに着いた頃、シシリーが戻ってきて「終わったよ」と言った。
みれば墓地の壁や天井が薄い光の膜で覆われているように見える。
「これで空間隔絶が完成したよ。今日はダークエルフはここから出られない」
…………………………………………
共同墓地の中央でしばらく待っていると、レミーが周囲を見回しながら言った。
「それにしても、出ませんねぇ。ダークエルフ」
確かに、もう墓地に着いてからけっこうな時間が過ぎている。
といっても恐怖で時間の感覚がないが。
俺はみんなを見回しながら恐る恐る確認する。
「ね、ねえ…もしかしたらさ、今日は出ないんじゃない?出ない日、今日は出ない日なんじゃないの?」
「いや、奴が出なかった日はこれまで1日もないな」
「い、1日も!?俺がラノアールで働いてた時だって月に1日か2日は休んでたよ!?」
「そんな、仕事じゃないんですから」
「いやだって、ダークエルフだって休むこともあるでしょ!?なんか、そろそろ寒くなってきたからコートでも買いに行こうかしら、とかさ」
「街で働く女子じゃないんですから」
「じゃ、じゃあほら、もう出ちゃって女王様のところに行っちゃったとかは!?」
「それもないな、奴が出る時間が先ほど我々が来た時間より早かったことはない」
「そ、そんなんわかんないじゃん!今日は早く行って早く帰ろうって日もあるでしょ!」
「ない」
「なんでそんな言い切れるのさ!早く帰ってゆっくりゴハン作りたい日だってあるでしょ!」
「だからなんで働く女子みたいな感じで言うんですか」
「だ、だってダークエルフだってさ」
「何をしに来た」
突然、背後から響いた低く重い声に振り返ると、尖った耳に冷たく鋭い目。
銀色の長い髪に、まるで夜の闇のような黒い肌。
ダークエルフだ。
会話の途中で出てくんなよ。
明かりは司祭が持つカンテラだけ。
カツーン、カツーンと司祭の硬い靴底が、石造りの階段に音を響かせている。
超怖い。
もうこの、いつおばけが出てくるかわかりませんよというこの感じ、怖すぎて俺は今すぐ帰りたい。
帰りたいが、言い出せる雰囲気ではない。
その原因はシシリーにある。
ギャップ。
いつも明るく元気で、何といっても古代機械から1000年ぶりに出てきた時の第一声が「おっはよーっ!」であったほどの天真爛漫さを誇るシシリーが、いつになく真剣なのだ。
普段真剣じゃないシシリーが真剣になっているそのギャップによって、この場の真剣度はこれ以上ないほど高まっており、そんな中でもし俺が「墓地が怖いから帰りたい」などと言い出した場合、全員からものすごい剣幕で叱られるに決まっている。
故に俺は何も言い出せず、「墓地怖い」と「叱られたくない」の板挟みになり、震える脚を無理やりに動かし、行きたくもない墓地に向かって階段を降りている。
「昔は時々、エルフの里にダークエルフが出たんだよ」
またシシリーが真剣なトーンで言い出した。
「む、昔?昔とは一体…?」
ミミアもまた、場の真剣度をさらに高めるような返答をする。
「昔は、昔だよ…」
シシリーは、はぐらかすように曖昧に答えた。
なぜ、はぐらかす。
どこか思うところあってのことかもしれないが、そのはぐらかしが、場の空気をより真剣なほうに真剣なほうに持っていっているので本当にやめてほしい。
<シシリーは1000年以上、古代機械の中で眠っていたのだ>
はぐらかすシシリーに代わり、バーグルーラがミミアの疑問に答えた。
「な、なんと!それではシシリー、あなたは『約束の地』に至る前のエルフの生き残りだと!?」
ミミアの驚きの声が地下に向かう狭く長い階段でこだまする。
シシリーは黙って頷いてから、重い口を開く。
「この約束の地に来る前、アタシたちエルフは今で言うカーライルの近くの森の奥深くに住んでいたんだ。その時にダークエルフは時々、やっぱり地下の墓地に出てきた」
階段はまだ続いている。
カツーン…、カツーン…。
司祭の靴音が響く。
「ダークエルフが出ると、大人のエルフたちが集まって、みんなで協力して退治してたんだ。まずは空間魔術の空間隔絶を使ってダークエルフが逃げられないように閉じ込める。でもダークエルフは人の感情を支配して操るから、みんなで思念共有をして心を守る。それで、みんなで魔力を高めて消滅を発動して、ダークエルフを亜空間に消し去ってしまうのが、ダークエルフの倒し方なんだ」
司祭の持つカンテラに照らされ、階段の終わりが見えてきた。シシリーが続ける。
「今は強いエルフの大人たちはいないけど、みんなの心を守るのは、ティモシーにお願いできるよね?」
「ヒェイ!」
急にこちらを振り向いたシシリーの真剣な表情と、何より地下の墓地に向かっているのだという恐怖から、返事をしようとした俺の口から「ヒェイ!」という声が出た。
ヒェイ。そんな返事はない。
「墓地に入ったら、アタシが最初に空間隔絶を使うよ。それから消滅のために魔力を高める。アタシ一人でも、時間をかければできると思う」
シシリーが話している間に辿り着いた階下の狭い空間、司祭の前には今にも崩れそうな木の扉がある。その向こうが共同墓地なのだろう。
「…こちらです」
司祭がカンテラを高く掲げ、ギィィィィッと軋む音を響かせながら扉を開けた。
司祭に先導されながら扉の向こうの空間へと歩みを進め、「あとそれから」とシシリーが振り返って言う。
「ダークエルフは死体に精神を宿らせて襲わせてくるから、そのゾンビたちはみんなで戦って抑えて欲しいんだ」
ゾンビ。
帰りたい。
…………………………………………
「まだ、奴はあらわれていないようですね…」
そう言って司祭が共同墓地の壁のところどころにある窪みの蝋燭に火を灯してまわると、その空間の全貌が薄っすらと照らされた。
空間は幅が10メートル、奥行きが30メートルくらいだろうか。
天井は低く圧迫感があり、本当はもっと広いかもしれない。
何かがカビたような湿った空気が漂う。
地面は石畳ではなく土がむき出しになっている。
墓標のようなものはなく、ただの土の盛り上がりが、奥まで整然と並んでいた。
それほど広くない空間だがその数は10や20ではきかない。かなりの数だ。
シシリーは空間魔術の空間隔絶をかけるためだろう。
光の粉をふりまきながら、共同墓地の隅から隅へと飛び回っている。
「共同墓地にしては狭いのね」
シェリルが冷静にそう言った。
「はい、エルフはなかなか死にませんから。ここに眠っているのも、かつてこの『約束の地』に至るまでの旅路で命を落とした先人たちばかりです」
司祭がそう答えながら俺たちがいる墓地の入り口の方まで戻ってきた。
「それにしても、司祭さんとミミアさんもそうですが、この里の人は女性ばかりなんですね」
レミーはそう言って興味深そうに周囲を見回している。
その言葉にミミアは不思議そうな顔をする。
「そもそもエルフに男はいないぞ?」
レミーが振り返って驚く。
「え?じゃあどうやって子供を産むんですか!?」
ミミアが少し困惑したように答える。
「どうって…普通に産むだけだが。そもそも私は里から出たことがないので、人間には男女というものがあり、私たちは人間で言うところの女の姿に見えるのだという話を聞いたことしかない」
レミーが目を丸くして何やら感心した様子を見せている。
「雌雄同体なのか単為生殖なのか…いずれにしても興味深い事実ですね」
ミミアは首をひねり、「そうか?私たちには普通なのだがな」などと呟いている。
俺は、この状況でよくそんな関係ないことを興味深く思えるなぁ…と思う。
なんせここは墓地なのだ。
それも地下の薄暗い墓地。
一刻も早く帰りたい。
なのにみんなが足並みを揃えて一歩一歩、墓地の中央に近付いていくものだから、俺は入り口から動きたくなかったが一人取り残されるのも嫌なので、恐る恐るついていく。
歩きながらいつの間にかシェリルの左腕の袖を掴んでいた。
それに気付いたのだろう、シェリルがこちらを振り返る。
「…怖いの?」
俺は声もなく、うんうんと頷く。
それを見てシェリルが「ふふっ」と微笑む。
「大丈夫よ。私が守るわ」
ちょうど俺たちが墓地の中央あたりに着いた頃、シシリーが戻ってきて「終わったよ」と言った。
みれば墓地の壁や天井が薄い光の膜で覆われているように見える。
「これで空間隔絶が完成したよ。今日はダークエルフはここから出られない」
…………………………………………
共同墓地の中央でしばらく待っていると、レミーが周囲を見回しながら言った。
「それにしても、出ませんねぇ。ダークエルフ」
確かに、もう墓地に着いてからけっこうな時間が過ぎている。
といっても恐怖で時間の感覚がないが。
俺はみんなを見回しながら恐る恐る確認する。
「ね、ねえ…もしかしたらさ、今日は出ないんじゃない?出ない日、今日は出ない日なんじゃないの?」
「いや、奴が出なかった日はこれまで1日もないな」
「い、1日も!?俺がラノアールで働いてた時だって月に1日か2日は休んでたよ!?」
「そんな、仕事じゃないんですから」
「いやだって、ダークエルフだって休むこともあるでしょ!?なんか、そろそろ寒くなってきたからコートでも買いに行こうかしら、とかさ」
「街で働く女子じゃないんですから」
「じゃ、じゃあほら、もう出ちゃって女王様のところに行っちゃったとかは!?」
「それもないな、奴が出る時間が先ほど我々が来た時間より早かったことはない」
「そ、そんなんわかんないじゃん!今日は早く行って早く帰ろうって日もあるでしょ!」
「ない」
「なんでそんな言い切れるのさ!早く帰ってゆっくりゴハン作りたい日だってあるでしょ!」
「だからなんで働く女子みたいな感じで言うんですか」
「だ、だってダークエルフだってさ」
「何をしに来た」
突然、背後から響いた低く重い声に振り返ると、尖った耳に冷たく鋭い目。
銀色の長い髪に、まるで夜の闇のような黒い肌。
ダークエルフだ。
会話の途中で出てくんなよ。
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