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俺たちの背後にあらわれたドラウグティフェリが言う。
「黒虹鉄鋼は確かに最強の鉱石だが、奴は手当り次第に継ぎ接ぎで身に纏っているだけだ。弱点は奴の左のこめかみ部分だ。そこをドワーフだけが持つ技術で鉱物の呼吸を読んで杭を打ち込めば、必ず穴を開けることができる」
その言葉にレミーが返す。
「そうか!黒虹鉄鋼の装甲に穴が開いてピグナタイトが露出すれば、ピグナタイトは情報の塊!そこにティモシーさんの精神破壊で破壊できますよ!」
「なるほどね、ところでドラウグティフェリ」とシェリルが言う。
「あなた、人間が嫌いなんじゃなかったの?」
地面に視線を落としてドラウグティフェリが絞り出すように言う。
「人間は…今も嫌いさ。だが、お前たちは………別だ」
その言葉を聞いてシェリルが微笑む。
「なら、やることは決まったわね。私とレミーがここから左に展開してアイツの右半身に注意を集めるわ。シシリーはドラウグティフェリを連れて瞬間移動で左側頭部付近に飛んでちょうだい。バーグルーラはティモシーを結界で守って。アイツに穴が空いたら、あなたの出番よ。ティモシー」
その微笑みは相変わらず氷の女帝そのものであったが、俺を見つめるその眼差しにはどこか、あたたかいものが感じられた。
「わかった。とどめは任せてくれ」
俺が頷くと、シェリルがシャッ!と飛び立ち、レミーも左に駆け出して結界から離れた。
シシリーはドラウグティフェリの巨体を抱え、浮かび上がった。
俺は精神感応を発動させる。
<みんな、ここからは連携が重要だ。俺が全員の思念をリンクさせる>
<了解です!タイミングをあわせましょう!>
<わかったわ>
<OK!レミーとシェリルの攻撃にあわせてアタシたちも飛ぶよっ!>
<ふふ、我をただの盾に使うとはな>
<こ、声が…頭の中に…>
俺はドラウグティフェリに念を押す。
<ドラウグティフェリさん、頼みますよ!>
<あ、ああ、わかった。任せてくれ>
シェリルの影が巨大な鉱物の魔物の右腕に斬撃を浴びせる。
魔物は右腕を振り回すがシェリルの影は右腕から付かず離れず斬り続け、無数の金属音が響き渡る。
レミーが魔光斉射砲をパララララララッと放ちながらシェリルの影が飛び回る魔物の右半身側に駆けていく。
魔物が左腕を振り、レミーに大きな岩石を飛ばす。
「障壁護符!」
2枚のカードを投げて地面に突き刺す。光の壁が立ち昇り、衝突した岩石が粉々に砕かれる。
「これで少しは大人しくなるかしら…遥かなる氷原の女神よ、その息吹ですべてを凍りつかせてしまえ…氷晶凍結!」
飛び回りながら詠唱を完了させたシェリルの影から冷気が振りまかれ、鉱物の魔物の本体ではなく、その足元の岩石を凍りつかせる。
魔物は構わずに岩石を飛ばそうと氷の塊となった地面を叩きつけるが、氷は強く固まっているようで先ほどまでのような量の岩石は飛ばない。
「ナイスですシェリルさん!魔光爆炎砲!」
レミーが魔物の頭上に大砲を放つ。
白く輝く炎は天井に直撃し、魔物に大量の土砂を降らす。
魔物にダメージはないが降り注ぐ土砂と粉塵で視界を奪われ、両腕を振り回して暴れている。
「行くよ!」
シシリーがドラウグティフェリを抱えたまま目の前から消える。
瞬間、シシリーとドラウグティフェリは魔物の頭上、左側頭部付近の中空にあらわれる。
<<<<今だ!>>>>
俺、シェリル、レミー、シシリーの思念の声が揃う。
「うおぉぉぉぉぉおぉおぉぉっ!!!!」
シシリーの手から離れ魔物の左こめかみに向けて飛び降りながらドラウグティフェリが杭を突き付けハンマーを振るう。
ガキィンッ!
甲高い金属音が響き、魔物のこめかみから真っ黒で虹色に輝く鉱物が飛び散る。
<ガアぁァァああァァァっ!>
頭を抱えて暴れる魔物の思念の声が響いてくる。
こめかみに露出したピンク色の鉱物。あれがピグナタイトか。
「くらえ!精神破壊!」
俺は露出したピグナタイトに全力で魔力を送り込む。
大量のジャンク情報。
奴の情報の許容量をオーバーさせてやる。
<ギギャあァぁアァァああァァっぁああァァァァあアッ!!!!>
俺はさらに魔力を送り込む。
――鉱石を叩く音。工事風景。市場の賑わい。家族の笑顔。祭り。落盤事故。酒場の騒乱。鉱石を叩く音。諍い。家族の笑顔。話し合い。鉱石を叩く音。
奪われたドワーフたちの様々な感情や記憶の一部が流れ込む。
脳が焼け付くような痛み。
それを押し留めてもっと強く魔力を送り込む。
「それ以上はダメだよティモシー!」
シシリーの声。いや大丈夫まだ行ける。
「やめて!」
「もういいですよ!!!」
シェリルとレミーの声。いやよくないだろ。
「すまん!!!俺たちを助けてくれ!!!!!」
ドラウグティフェリの声。
わかってるよだから最初から任せろって言ったろ!
魔力をさらに高める。
まだだ。
まだ足りない。
苦しみ悶えるピグナタイトの魔物。
ぐぎぎぎぎ…と魔力を高める俺。
あと一歩、あともうひと踏ん張り。
そこで。
<我も力を貸そう>
バーグルーラの思念波が俺の魔力に加わりそこで一気に増大する。
――喧嘩。鉱石を叩く音。淡い恋心。鍛冶工房。土砂崩れ。触れ合う手と手。鉱石を叩く音。結婚式。市場の賑わい。鉱石を叩く音。生まれたばかりの子供。鉱石を叩く音。
<ガグアァぁァァアアッァッァアァァアッっぁッァァァっぁっぁアッ!!!!!>
巨大な鉱物の魔物は頭を抱えたまま絶叫し、一瞬その動きを止め、次の瞬間こめかみから全身にヒビが走りその割れ目から強い光を放ち、バキィンッ!と音を立てて粉々に崩れた。
「黒虹鉄鋼は確かに最強の鉱石だが、奴は手当り次第に継ぎ接ぎで身に纏っているだけだ。弱点は奴の左のこめかみ部分だ。そこをドワーフだけが持つ技術で鉱物の呼吸を読んで杭を打ち込めば、必ず穴を開けることができる」
その言葉にレミーが返す。
「そうか!黒虹鉄鋼の装甲に穴が開いてピグナタイトが露出すれば、ピグナタイトは情報の塊!そこにティモシーさんの精神破壊で破壊できますよ!」
「なるほどね、ところでドラウグティフェリ」とシェリルが言う。
「あなた、人間が嫌いなんじゃなかったの?」
地面に視線を落としてドラウグティフェリが絞り出すように言う。
「人間は…今も嫌いさ。だが、お前たちは………別だ」
その言葉を聞いてシェリルが微笑む。
「なら、やることは決まったわね。私とレミーがここから左に展開してアイツの右半身に注意を集めるわ。シシリーはドラウグティフェリを連れて瞬間移動で左側頭部付近に飛んでちょうだい。バーグルーラはティモシーを結界で守って。アイツに穴が空いたら、あなたの出番よ。ティモシー」
その微笑みは相変わらず氷の女帝そのものであったが、俺を見つめるその眼差しにはどこか、あたたかいものが感じられた。
「わかった。とどめは任せてくれ」
俺が頷くと、シェリルがシャッ!と飛び立ち、レミーも左に駆け出して結界から離れた。
シシリーはドラウグティフェリの巨体を抱え、浮かび上がった。
俺は精神感応を発動させる。
<みんな、ここからは連携が重要だ。俺が全員の思念をリンクさせる>
<了解です!タイミングをあわせましょう!>
<わかったわ>
<OK!レミーとシェリルの攻撃にあわせてアタシたちも飛ぶよっ!>
<ふふ、我をただの盾に使うとはな>
<こ、声が…頭の中に…>
俺はドラウグティフェリに念を押す。
<ドラウグティフェリさん、頼みますよ!>
<あ、ああ、わかった。任せてくれ>
シェリルの影が巨大な鉱物の魔物の右腕に斬撃を浴びせる。
魔物は右腕を振り回すがシェリルの影は右腕から付かず離れず斬り続け、無数の金属音が響き渡る。
レミーが魔光斉射砲をパララララララッと放ちながらシェリルの影が飛び回る魔物の右半身側に駆けていく。
魔物が左腕を振り、レミーに大きな岩石を飛ばす。
「障壁護符!」
2枚のカードを投げて地面に突き刺す。光の壁が立ち昇り、衝突した岩石が粉々に砕かれる。
「これで少しは大人しくなるかしら…遥かなる氷原の女神よ、その息吹ですべてを凍りつかせてしまえ…氷晶凍結!」
飛び回りながら詠唱を完了させたシェリルの影から冷気が振りまかれ、鉱物の魔物の本体ではなく、その足元の岩石を凍りつかせる。
魔物は構わずに岩石を飛ばそうと氷の塊となった地面を叩きつけるが、氷は強く固まっているようで先ほどまでのような量の岩石は飛ばない。
「ナイスですシェリルさん!魔光爆炎砲!」
レミーが魔物の頭上に大砲を放つ。
白く輝く炎は天井に直撃し、魔物に大量の土砂を降らす。
魔物にダメージはないが降り注ぐ土砂と粉塵で視界を奪われ、両腕を振り回して暴れている。
「行くよ!」
シシリーがドラウグティフェリを抱えたまま目の前から消える。
瞬間、シシリーとドラウグティフェリは魔物の頭上、左側頭部付近の中空にあらわれる。
<<<<今だ!>>>>
俺、シェリル、レミー、シシリーの思念の声が揃う。
「うおぉぉぉぉぉおぉおぉぉっ!!!!」
シシリーの手から離れ魔物の左こめかみに向けて飛び降りながらドラウグティフェリが杭を突き付けハンマーを振るう。
ガキィンッ!
甲高い金属音が響き、魔物のこめかみから真っ黒で虹色に輝く鉱物が飛び散る。
<ガアぁァァああァァァっ!>
頭を抱えて暴れる魔物の思念の声が響いてくる。
こめかみに露出したピンク色の鉱物。あれがピグナタイトか。
「くらえ!精神破壊!」
俺は露出したピグナタイトに全力で魔力を送り込む。
大量のジャンク情報。
奴の情報の許容量をオーバーさせてやる。
<ギギャあァぁアァァああァァっぁああァァァァあアッ!!!!>
俺はさらに魔力を送り込む。
――鉱石を叩く音。工事風景。市場の賑わい。家族の笑顔。祭り。落盤事故。酒場の騒乱。鉱石を叩く音。諍い。家族の笑顔。話し合い。鉱石を叩く音。
奪われたドワーフたちの様々な感情や記憶の一部が流れ込む。
脳が焼け付くような痛み。
それを押し留めてもっと強く魔力を送り込む。
「それ以上はダメだよティモシー!」
シシリーの声。いや大丈夫まだ行ける。
「やめて!」
「もういいですよ!!!」
シェリルとレミーの声。いやよくないだろ。
「すまん!!!俺たちを助けてくれ!!!!!」
ドラウグティフェリの声。
わかってるよだから最初から任せろって言ったろ!
魔力をさらに高める。
まだだ。
まだ足りない。
苦しみ悶えるピグナタイトの魔物。
ぐぎぎぎぎ…と魔力を高める俺。
あと一歩、あともうひと踏ん張り。
そこで。
<我も力を貸そう>
バーグルーラの思念波が俺の魔力に加わりそこで一気に増大する。
――喧嘩。鉱石を叩く音。淡い恋心。鍛冶工房。土砂崩れ。触れ合う手と手。鉱石を叩く音。結婚式。市場の賑わい。鉱石を叩く音。生まれたばかりの子供。鉱石を叩く音。
<ガグアァぁァァアアッァッァアァァアッっぁッァァァっぁっぁアッ!!!!!>
巨大な鉱物の魔物は頭を抱えたまま絶叫し、一瞬その動きを止め、次の瞬間こめかみから全身にヒビが走りその割れ目から強い光を放ち、バキィンッ!と音を立てて粉々に崩れた。
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