11 / 90
第1章
11 侯爵令嬢は墓地が怖い
しおりを挟む
やだやだ、もう、お墓で死体が蘇ってくるところなんて見たくもないしホントにお化け出てきたら私どう考えても泣いちゃうに決まってるし、ねえ、帰ろうよもう。とまごまごしている私を構うこともなくアルミラとローザはふわりと鉄の柵を飛び越えてお墓の敷地の中に入っていく。
アルミラはさておきローザまでよくこんな高い柵を飛び越えられるわねと柵の手前で立ち止まっている私に気付いてやっと二人は振り返り「どうかなさいましたの?」「さっさと来い」と声をかける。
「いや、ちょっとその、お墓、勝手に入っていいの?管理人さん、そうよ、管理人さんに怒られちゃうわよ。ダメなんでしょ、目立っちゃ」
そう言った私に「はは~ん」と言いながらローザが戻ってくる。
「リリアス様、お墓が怖いのでしょう?ご自分だってもう吸血鬼ですのに」
「…だ、だってそんな、吸血鬼になったからって急に苦手なものが平気になるわけないじゃない!大体、ローザは怖くないわけ?お化けとかゾンビとか」
「アンデッドが怖くて聖女なんかやってられませんわよ。度重なる討伐ですっかり慣れたものですわ」
鉄柵の向こうで自信満々に微笑むローザを見て、やっぱり私なんかじゃ婚約者を取られても仕方なかったのかな、なんてついつい思ってしまう。だからってジェラルドのバカは許さないけど。きっとしょんぼりしていた私の顔を見てだろう、ローザが鉄柵の隙間から白くて細い腕を伸ばして「ほら、わたくしが守って差し上げますから、一緒に行きましょう」と私の手を握ってくれた。あたたかい。
それでようやく私もお墓の敷地に入ることを決意して、でもこんな高い鉄柵飛び越えられるかな、最近お嬢様らしくということであんまり走ったり飛んだりしてなかったし、と少し躊躇したが、何歩か後ろに下がって助走をつけて力強くジャンプすると、鉄柵なんか悠々と飛び越えてローザどころかアルミラよりもずっと先、広い広いお墓の敷地のなんと真ん中あたりまで飛んで着地してしまう。
ひいぃぃぃ!ちょっと一人にしないで!
叫び出しそうなのをなんとか堪えて私は二人のいるところまで今度はもう少し弱めにもう一度ジャンプ。空中で《そういえば柵なんて影になってすり抜けちゃえばよかったわ》なんて気付いたせいか怖くて焦っていたせいか、着地を失敗してアルミラとローザの間でズルッと滑って尻餅をつく。
「何をやってるんだ貴様は…」
呆れ返ったアルミラの呟きが背後から聞こえてくるけど、もう、仕方ないでしょ。怖いものは怖いんだから。
******
「さあ、まずはやってみろ」
今度はちゃんと三人で墓地の真ん中あたりまで来るとアルミラがそう言った。
「え?お手本見せてくれないの?」
「ないな。魔力を放って地中の死体を起こして地上に這い出させる。それだけだ」
何それ、もう…雑だなあ。と私は思ったが仕方ない。やってみるしかない。私はまず精神を集中させて頭の中にイメージを思い描いてみる。
「死霊魔術に詠唱はありませんの?」
「人間の魔女が行う際には必要なようだが闇の眷属の頂点である吸血鬼には不要だ」
私は二人の会話を聞きながらも頭の中にイメージを描いていくが、土の中からモコモコってゾンビが出てくるのを想像しただけでダメ、もう、怖くて。
「うう…」
「どうした、早くやってみろ」
「…なんかもう、泣きそう」
「気のせいだ。吸血鬼の目から涙は流れない」
「ホントにぃ?なんか、ほら、出てない?」
そう言って振り返った私を見てローザが短く「きゃっ!」と叫んだ。
「ちょっとリリアス様、血の涙!ゾンビなんかよりよっぽど怖いですわよ!」
「もったいない、無駄に血を流すな」
「だってぇ…」
私は懐から黒いハンカチを出して血の涙を拭う。
「リリアスよ」
アルミラに呼びかけられて顔を上げると、なんとアルミラがローザを背後から抱き抱え、ローザの白い首筋に噛みつきそうに鋭い犬歯を剥き出しにしている。
「ローザ!」
「動くな!動けばこいつを屍食鬼にしてしまうぞ」
私は拳を握りしめて踏み止まる。
「リリアス様…」
「貴様も余計な抵抗はするなよ。いいか、リリアスよ。今から二度目のテストだ。アタシの牙がローザの首筋に突き立てられる前に死霊魔術を成功させろ。上位の吸血鬼ほど多くの死者を操るが、まあ一匹でも蘇らせることができれば合格としてやる。さあ早くやれ。この女を永遠に彷徨う死体にしたくなければな」
ひどい…アルミラ…。
私は悔しいやら悲しいやら憤懣やるかたないやらでいろんな感情がぐちゃぐちゃになりそうだったが、目に涙を滲ませるローザを見て決意を固めた。
いいじゃない、やってやるわよ。
もうどうなったって知らないからね。
私は身体の奥底から魔力を沸き上がらせる。
もともとは魔術なんて苦手な私は全力で魔力を放出してもほんの小さな火種みたいなものしか出せなかったのが、今は轟々と山火事のような真っ黒い炎が私を中心に燃え上がる。
「起きなさい!お墓で眠る死者たちよ!」
私がそう言うと、手前のお墓の土がボコボコッと動く。やった!成功したわ!と私は拳を握りしめたが、出てきた手は小さく、土を掻き分けて這い出てきたのは赤ちゃんのゾンビだった。
赤ちゃんゾンビは頭を振って土を落とし「な゛ー!」と猫のように鳴いた。
「合格…よね?」
私がアルミラを振り返ると、なんとも納得のいかなそうな表情で「まあ、な…」と言っている。
「何よその顔は!一匹でも出せばいいって言ったのはアルミラでしょ!早くローザを離しなさいよ!」
アルミラは無言でローザを離す。
ローザが私のほうに駆けてきて「リリアス様!」と叫んで私に抱きつく。私は抱き留めるが、私より背が高いローザの豊かな胸に私の顔が埋まってしまう。何これ柔らか!
「やはり半人ではこの程度か…」
アルミラの呟きは無視して、私はローザから離れると赤ちゃんゾンビに「ごめんね起こして、もうお墓にお帰り」と言う。赤ちゃんゾンビは自分が出てきた穴に頭から入って帰っていく。
その時だった。
時間差だったのだ。
きっと、赤ちゃんゾンビは棺が簡易だったとか浅く埋葬されていたとかそういう理由で目覚めが早かっただけで、私の死霊魔術はもう少し広い範囲に効果を及ぼしていたようだ。
周囲からボコボコボコッという音が一気に響き、お墓というお墓から死体が這い出てきた。
泥にまみれて肉が腐り落ち内臓がこぼれ出て骨が見えて眼球もとろけたゾンビが次から次へと起き上がる。
広大な敷地の、すべての墓から。
100匹や200匹じゃきかない数のゾンビの大群。
私が気を失いそうになりながら「お、おかおかお帰りくださいっ!!!」と叫ぶと、ゾンビたちは一瞬の間を置いて再び寝床へと帰っていく。《ええ?来たばっかりですよ?》という声が聞こえたような気がするが気のせいだろう。
「…す、素晴らしい」
アルミラからそんな呟きが漏れた。
私はイヤよ、こんな分野で素晴らしいの…。
アルミラはさておきローザまでよくこんな高い柵を飛び越えられるわねと柵の手前で立ち止まっている私に気付いてやっと二人は振り返り「どうかなさいましたの?」「さっさと来い」と声をかける。
「いや、ちょっとその、お墓、勝手に入っていいの?管理人さん、そうよ、管理人さんに怒られちゃうわよ。ダメなんでしょ、目立っちゃ」
そう言った私に「はは~ん」と言いながらローザが戻ってくる。
「リリアス様、お墓が怖いのでしょう?ご自分だってもう吸血鬼ですのに」
「…だ、だってそんな、吸血鬼になったからって急に苦手なものが平気になるわけないじゃない!大体、ローザは怖くないわけ?お化けとかゾンビとか」
「アンデッドが怖くて聖女なんかやってられませんわよ。度重なる討伐ですっかり慣れたものですわ」
鉄柵の向こうで自信満々に微笑むローザを見て、やっぱり私なんかじゃ婚約者を取られても仕方なかったのかな、なんてついつい思ってしまう。だからってジェラルドのバカは許さないけど。きっとしょんぼりしていた私の顔を見てだろう、ローザが鉄柵の隙間から白くて細い腕を伸ばして「ほら、わたくしが守って差し上げますから、一緒に行きましょう」と私の手を握ってくれた。あたたかい。
それでようやく私もお墓の敷地に入ることを決意して、でもこんな高い鉄柵飛び越えられるかな、最近お嬢様らしくということであんまり走ったり飛んだりしてなかったし、と少し躊躇したが、何歩か後ろに下がって助走をつけて力強くジャンプすると、鉄柵なんか悠々と飛び越えてローザどころかアルミラよりもずっと先、広い広いお墓の敷地のなんと真ん中あたりまで飛んで着地してしまう。
ひいぃぃぃ!ちょっと一人にしないで!
叫び出しそうなのをなんとか堪えて私は二人のいるところまで今度はもう少し弱めにもう一度ジャンプ。空中で《そういえば柵なんて影になってすり抜けちゃえばよかったわ》なんて気付いたせいか怖くて焦っていたせいか、着地を失敗してアルミラとローザの間でズルッと滑って尻餅をつく。
「何をやってるんだ貴様は…」
呆れ返ったアルミラの呟きが背後から聞こえてくるけど、もう、仕方ないでしょ。怖いものは怖いんだから。
******
「さあ、まずはやってみろ」
今度はちゃんと三人で墓地の真ん中あたりまで来るとアルミラがそう言った。
「え?お手本見せてくれないの?」
「ないな。魔力を放って地中の死体を起こして地上に這い出させる。それだけだ」
何それ、もう…雑だなあ。と私は思ったが仕方ない。やってみるしかない。私はまず精神を集中させて頭の中にイメージを思い描いてみる。
「死霊魔術に詠唱はありませんの?」
「人間の魔女が行う際には必要なようだが闇の眷属の頂点である吸血鬼には不要だ」
私は二人の会話を聞きながらも頭の中にイメージを描いていくが、土の中からモコモコってゾンビが出てくるのを想像しただけでダメ、もう、怖くて。
「うう…」
「どうした、早くやってみろ」
「…なんかもう、泣きそう」
「気のせいだ。吸血鬼の目から涙は流れない」
「ホントにぃ?なんか、ほら、出てない?」
そう言って振り返った私を見てローザが短く「きゃっ!」と叫んだ。
「ちょっとリリアス様、血の涙!ゾンビなんかよりよっぽど怖いですわよ!」
「もったいない、無駄に血を流すな」
「だってぇ…」
私は懐から黒いハンカチを出して血の涙を拭う。
「リリアスよ」
アルミラに呼びかけられて顔を上げると、なんとアルミラがローザを背後から抱き抱え、ローザの白い首筋に噛みつきそうに鋭い犬歯を剥き出しにしている。
「ローザ!」
「動くな!動けばこいつを屍食鬼にしてしまうぞ」
私は拳を握りしめて踏み止まる。
「リリアス様…」
「貴様も余計な抵抗はするなよ。いいか、リリアスよ。今から二度目のテストだ。アタシの牙がローザの首筋に突き立てられる前に死霊魔術を成功させろ。上位の吸血鬼ほど多くの死者を操るが、まあ一匹でも蘇らせることができれば合格としてやる。さあ早くやれ。この女を永遠に彷徨う死体にしたくなければな」
ひどい…アルミラ…。
私は悔しいやら悲しいやら憤懣やるかたないやらでいろんな感情がぐちゃぐちゃになりそうだったが、目に涙を滲ませるローザを見て決意を固めた。
いいじゃない、やってやるわよ。
もうどうなったって知らないからね。
私は身体の奥底から魔力を沸き上がらせる。
もともとは魔術なんて苦手な私は全力で魔力を放出してもほんの小さな火種みたいなものしか出せなかったのが、今は轟々と山火事のような真っ黒い炎が私を中心に燃え上がる。
「起きなさい!お墓で眠る死者たちよ!」
私がそう言うと、手前のお墓の土がボコボコッと動く。やった!成功したわ!と私は拳を握りしめたが、出てきた手は小さく、土を掻き分けて這い出てきたのは赤ちゃんのゾンビだった。
赤ちゃんゾンビは頭を振って土を落とし「な゛ー!」と猫のように鳴いた。
「合格…よね?」
私がアルミラを振り返ると、なんとも納得のいかなそうな表情で「まあ、な…」と言っている。
「何よその顔は!一匹でも出せばいいって言ったのはアルミラでしょ!早くローザを離しなさいよ!」
アルミラは無言でローザを離す。
ローザが私のほうに駆けてきて「リリアス様!」と叫んで私に抱きつく。私は抱き留めるが、私より背が高いローザの豊かな胸に私の顔が埋まってしまう。何これ柔らか!
「やはり半人ではこの程度か…」
アルミラの呟きは無視して、私はローザから離れると赤ちゃんゾンビに「ごめんね起こして、もうお墓にお帰り」と言う。赤ちゃんゾンビは自分が出てきた穴に頭から入って帰っていく。
その時だった。
時間差だったのだ。
きっと、赤ちゃんゾンビは棺が簡易だったとか浅く埋葬されていたとかそういう理由で目覚めが早かっただけで、私の死霊魔術はもう少し広い範囲に効果を及ぼしていたようだ。
周囲からボコボコボコッという音が一気に響き、お墓というお墓から死体が這い出てきた。
泥にまみれて肉が腐り落ち内臓がこぼれ出て骨が見えて眼球もとろけたゾンビが次から次へと起き上がる。
広大な敷地の、すべての墓から。
100匹や200匹じゃきかない数のゾンビの大群。
私が気を失いそうになりながら「お、おかおかお帰りくださいっ!!!」と叫ぶと、ゾンビたちは一瞬の間を置いて再び寝床へと帰っていく。《ええ?来たばっかりですよ?》という声が聞こえたような気がするが気のせいだろう。
「…す、素晴らしい」
アルミラからそんな呟きが漏れた。
私はイヤよ、こんな分野で素晴らしいの…。
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
わがまま姉のせいで8歳で大聖女になってしまいました
ぺきぺき
ファンタジー
ルロワ公爵家の三女として生まれたクリスローズは聖女の素質を持ち、6歳で教会で聖女の修行を始めた。幼いながらも修行に励み、周りに応援されながら頑張っていたある日突然、大聖女をしていた10歳上の姉が『妊娠したから大聖女をやめて結婚するわ』と宣言した。
大聖女資格があったのは、その時まだ8歳だったクリスローズだけで…。
ー---
全5章、最終話まで執筆済み。
第1章 6歳の聖女
第2章 8歳の大聖女
第3章 12歳の公爵令嬢
第4章 15歳の辺境聖女
第5章 17歳の愛し子
権力のあるわがまま女に振り回されながらも健気にがんばる女の子の話を書いた…はず。
おまけの後日談投稿します(6/26)。
番外編投稿します(12/30-1/1)。
作者の別作品『人たらしヒロインは無自覚で魔法学園を改革しています』の隣の国の昔のお話です。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と
鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。
令嬢から。子息から。婚約者の王子から。
それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。
そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。
「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」
その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。
「ああ、気持ち悪い」
「お黙りなさい! この泥棒猫が!」
「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」
飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。
謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。
――出てくる令嬢、全員悪人。
※小説家になろう様でも掲載しております。
大好きな母と縁を切りました。
むう子
ファンタジー
7歳までは家族円満愛情たっぷりの幸せな家庭で育ったナーシャ。
領地争いで父が戦死。
それを聞いたお母様は寝込み支えてくれたカルノス・シャンドラに親子共々心を開き再婚。
けれど妹が生まれて義父からの虐待を受けることに。
毎日母を想い部屋に閉じこもるナーシャに2年後の政略結婚が決定した。
けれどこの婚約はとても酷いものだった。
そんな時、ナーシャの生まれる前に亡くなった父方のおばあさまと契約していた精霊と出会う。
そこで今までずっと近くに居てくれたメイドの裏切りを知り……
【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~
イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」
どごおおおぉっ!!
5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略)
ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。
…だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。
それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。
泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ…
旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは?
更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!?
ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか?
困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語!
※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください…
※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください…
※小説家になろう様でも掲載しております
※イラストは湶リク様に描いていただきました
【完結】公女が死んだ、その後のこと
杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】
「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品は小説家になろうでも公開します。
◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!
【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。
西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ?
なぜです、お父様?
彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。
「じゃあ、家を出ていきます」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる