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幸せな夜

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 三度目のセックスでわかったことは、別に僕は特別酷いことをしなくても勃つということだった。
 要は、僕が相手の心を支配できていると感じられればいいのだ。
 今回のトリガーは、瑞姫が僕のために自らエッチな格好をして、痛みや羞恥に耐えてくれていたということだった。
 自分が残虐な性癖でなかったことに心から安堵する。

 瑞姫はというと、ベッドで眠っている。
 連日のハードなエッチに加えて、映画館を出てからずっと、電源の入ったバイブとローター、さらにはブラジャーに圧迫された乳首の洗濯ばさみで、お酒も飲み、帰宅直後にはまだうまくコントロールできない僕の激しいセックスだ。それはもう、めちゃくちゃ疲れているんだろう。
 お尻のローターを抜き、乳首の洗濯ばさみを取って、溢れている白い液を濡れタオルで拭いてあげている間に、彼女はくったりと寝てしまった。

(こんなになるまで、頑張ってくれてたんだ……)
 そう思うと、めちゃくちゃ愛しい。
 また、息子が元気になりそうなくらいだった。

 しかし、これだと僕はちっとも『執事』っぽくないなと思う。
 瑞姫の理想は『ちょっと意地悪な執事』で、基本的には奉仕してもらいたい側なはずだった。命令されるのは嫌いだし、お嬢様扱いしてもらいたい。
 そういう観点から言うと、今週の僕は失格だろう。
 さっきもガンガン突いて中に出したし、昨日の夜だって公園で全裸だ。勃つようになったことは嬉しいが、もうちょっと理性をコントロールできなければならないだろう。

 瑞姫の髪をそっと梳く。
 ん、と小さく身じろぎする彼女の額にキスをする。
 このまま唇に噛みつきたいような衝動と、ゆっくり寝かせてあげたい気持ちとがせめぎ合う。
(でもまあ、僕は明日仕事だしな……)
 彼女の会社はもうゴールデンウィークで連休だが、僕の会社はカレンダー通りなので明日と明後日は仕事なのだ。

 ふあ、とあくびをして、電気を消す。
 幸せな疲労感を感じながら眠りに落ちていった。
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