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第四章 新たな任務
第五十五話 活性化の原因
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「ええ。……お願い致します」
リュドヴィックさんが丁寧に言うと、アンドレアスさんが話の続きを始めた。
「魔物達の活性化については、我々も手を焼いているのである。だが、その原因につい最近ようやく辿り着いたのである」
アンドレアスさんの言葉に、私達は息を飲む。
えっ、マジで!? 辿り着いちゃったの!?
私が感心している間にも、話はどんどん進んでいく。
「それで? その原因というのは?」
リュドヴィックさんが先を促す。
「うぬ。その原因とは『パビルサグ』と呼ばれる者……魔物達の凶暴性を引き出す危険な存在。我々は……『破壊神サテュロス』の手の者と見ているのである」
『破壊神サテュロス』。その名前が出た事にみんなが驚いた。まぁ、私はついに出たか! って感じで驚いちゃったんだけどね……。
言い様のない緊張感に包まれる室内。その空気に飲まれそうで……。かなり怖いです……。
「『破壊神サテュロス』って……あのサテュロスですか? あの伝承に出てくる?」
今まで黙っていたオクト君が口を開く。その表情は珍しく強ばっていた。
えっ、この世界で破壊神さんってどんな風に伝わってるの? というか、それと私……戦うの!?
私が動揺している間に、アンドレアスさんが頷いてみんなに説明を始めていた。
「左様である。古より伝わりし、あの『サテュロス』である」
その時、今まで少ししか聞いたことのない低い声がした。
「アンドレアス殿。儂はブリアック・アランブールと申す者。差し当たりなければ、そちらに伝わる『破壊神サテュロス』について話て頂けまいか?」
ぶ、ブリアック卿が自分から喋った……。
私だけでなく、オクト君も同じ感想だったらしい。目をパチクリとさせているのが、視界に入った。
「うぬ。我々に伝わる伝承はこうである」
――遥か昔。創造神にして男神『サジタリウス』産まれし時、破壊神にして片割れ『サテュロス』産まれり。
『サジタリウス』と『サテュロス』は世界の理なり。
世界の調和と混沌を保ちし、二神。
その均等崩れし時、『勇者』現れ『サテュロス』封印されたり――。
「というのが、我々の知る『サテュロス』の伝承である。して、そちらと何か違いはあるか?」
アンドレアスさんにそう言われ、ブリアック卿が首を横に振る。
「否、どうやら伝承は同じのようで。ならば、すり合わせは必要あるまいな? リュドヴィック卿よ」
話を振られたリュドヴィックさんは頷いた。
「ブリアック卿、感謝する。アンドレアス殿にも。これで、『サテュロス』については共通認識であることがわかりました。なので……」
「うぬ。『パビルサグ』とはなにか? であるな?」
「ええ。一体どのような連中なのですか? 幸か不幸か、自分達は未だ遭遇しておりませんので」
リュドヴィックさんが丁寧に訊くと、アンドレアスさんが杖を懐から取り出した。
「では、これより我々が遭遇した『パビルサグ』について説明するのである。良いな?」
私達が頷くのを確認すると、アンドレアスさんは呪文を唱え出し、私達の目の前に映像が映し出された。
そこに映っていたのは……。
男性の上半身に獣の下半身の、虚ろな目をした怪物だった。
リュドヴィックさんが丁寧に言うと、アンドレアスさんが話の続きを始めた。
「魔物達の活性化については、我々も手を焼いているのである。だが、その原因につい最近ようやく辿り着いたのである」
アンドレアスさんの言葉に、私達は息を飲む。
えっ、マジで!? 辿り着いちゃったの!?
私が感心している間にも、話はどんどん進んでいく。
「それで? その原因というのは?」
リュドヴィックさんが先を促す。
「うぬ。その原因とは『パビルサグ』と呼ばれる者……魔物達の凶暴性を引き出す危険な存在。我々は……『破壊神サテュロス』の手の者と見ているのである」
『破壊神サテュロス』。その名前が出た事にみんなが驚いた。まぁ、私はついに出たか! って感じで驚いちゃったんだけどね……。
言い様のない緊張感に包まれる室内。その空気に飲まれそうで……。かなり怖いです……。
「『破壊神サテュロス』って……あのサテュロスですか? あの伝承に出てくる?」
今まで黙っていたオクト君が口を開く。その表情は珍しく強ばっていた。
えっ、この世界で破壊神さんってどんな風に伝わってるの? というか、それと私……戦うの!?
私が動揺している間に、アンドレアスさんが頷いてみんなに説明を始めていた。
「左様である。古より伝わりし、あの『サテュロス』である」
その時、今まで少ししか聞いたことのない低い声がした。
「アンドレアス殿。儂はブリアック・アランブールと申す者。差し当たりなければ、そちらに伝わる『破壊神サテュロス』について話て頂けまいか?」
ぶ、ブリアック卿が自分から喋った……。
私だけでなく、オクト君も同じ感想だったらしい。目をパチクリとさせているのが、視界に入った。
「うぬ。我々に伝わる伝承はこうである」
――遥か昔。創造神にして男神『サジタリウス』産まれし時、破壊神にして片割れ『サテュロス』産まれり。
『サジタリウス』と『サテュロス』は世界の理なり。
世界の調和と混沌を保ちし、二神。
その均等崩れし時、『勇者』現れ『サテュロス』封印されたり――。
「というのが、我々の知る『サテュロス』の伝承である。して、そちらと何か違いはあるか?」
アンドレアスさんにそう言われ、ブリアック卿が首を横に振る。
「否、どうやら伝承は同じのようで。ならば、すり合わせは必要あるまいな? リュドヴィック卿よ」
話を振られたリュドヴィックさんは頷いた。
「ブリアック卿、感謝する。アンドレアス殿にも。これで、『サテュロス』については共通認識であることがわかりました。なので……」
「うぬ。『パビルサグ』とはなにか? であるな?」
「ええ。一体どのような連中なのですか? 幸か不幸か、自分達は未だ遭遇しておりませんので」
リュドヴィックさんが丁寧に訊くと、アンドレアスさんが杖を懐から取り出した。
「では、これより我々が遭遇した『パビルサグ』について説明するのである。良いな?」
私達が頷くのを確認すると、アンドレアスさんは呪文を唱え出し、私達の目の前に映像が映し出された。
そこに映っていたのは……。
男性の上半身に獣の下半身の、虚ろな目をした怪物だった。
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